2023年11月21日 (火)

紅葉が進み、サザンカの花が咲き出す


 11月中旬に小石川植物園をぶらぶら回ってきました。最近の小石川植物園は「牧野富太郎」のNHK朝ドラ効果で人気が出て、人出が多くなっている気がしています。この時期の園内は、遅まきながら紅葉がようやく目立つようになり、散策路沿い等ではサザンカの花が咲き出していました。

(紅葉・黄葉)

 園内でも木々の紅葉・黄葉も進んできました。上図はミズメ(水目、梓;カバノキ科カバノキ属)。岩手県以南~四国、九州に分布し、山地に生える落葉高木。4月~5月頃開花し、秋には褐色に紅葉します。樹皮を傷付けると水のような樹液が出てくることから和名が由来。木材は高い弾力性を有し、かつては神事に用いる梓弓を作るときに使われました。


 ソメイヨシノ(染井吉野;バラ科サクラ属サクラ亜属エドヒガン群)。サクラの代表格でエドヒガン系の園芸品種。3月末から4月上旬に咲き出す。圧倒的なボリュームの優雅な桜色の花が木全体を覆い、春の青空の中に美しく広がっていく様は本当に素晴らしい。晩秋には褐色に紅葉する。


 ムクロジ(無患子;ムクロジ科ムクロジ属)。新潟県・茨城県以西~四国、九州に分布し、山地に自生する落葉高木。6月頃、枝先に大きな円錐花序がつき、淡緑色の花が多数咲く。晩秋にあざやかな黄葉が見られる。


 氷河期生き残りの樹木といわれるハナノキ(花の木;ムクロジ科カエデ属)。日本固有種で雌雄異株の落葉高木。長野、岐阜、愛知の県境地域にかかる恵那山を中心とする半径約50kmというごく限られた地域にのみ分布する。3月下旬~4月初旬にかけて開花し、秋には美しい黄葉が見られる。

(季節の花々)

 山口県、四国南部から九州中南部、南西諸島に分布する常緑広葉樹のサザンカ(山茶花;ツバキ科ツバキ属)。晩秋から新年にかけ、多くの園芸種の白色や赤色の花が次々と咲き出します。園内の一角のサザンカの高木に数多くの赤い花が咲いていました。


 サザンカには多くの園芸品種があります。上図のサザンカの品種名は雪山(せつざん)。


 サザンカ 、品種名:根岸紅(ねぎしこう)。


 イソギク(磯菊;キク科キク属)。関東地方南部から東海地方と伊豆諸島に分布し、海に面した岩場や急斜面の草地に生育する野生ギク。茎の先端に舌状花でない小さな黄色の花が密生して咲いています。花姿が独特の形状をしています。


 本州から四国・九州の平地にかけてふつうに見られる多年草のチョクザキヨメナ(猪口咲き嫁菜;キク科シオン属)。舌状花が円筒状の特徴的な形状をしていて、オビトケコンギク(帯解紺菊)の別名がある。

(木の実)

 クロガネモチ(黒鉄黐;モチノキ科モチノキ属)。関東以西~沖縄の山野に生える常緑高木。5月~6月、枝の葉腋から花序をつくり、晩秋には赤い実が樹木全体にたわわにつく。公園樹、街路樹として用いられる。


 タラヨウ(多羅葉;モチノキ科モチノキ属)。静岡県以西~四国、九州に分布する常緑高木。4~5月頃に小さな淡黄緑色の花が群れて咲き、秋には雌株に小さな球形の赤い実が付く。タラヨウは葉の裏面を傷つけると字が書けることから、郵便局の木として定められている。


 詳しくは
  → 季節のスケッチ(2023年11月)


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2023年10月19日 (木)

猛暑去り、秋の香りが広がる小石川植物園



 10月中旬、園内をぶらぶら散歩してきました。長く続いた厳しい残暑がようやく去り、小石川植物園の園内に秋の香りが広がってきました。日本庭園の大池辺りにキンモクセイの大樹が生えています。緑葉の中の橙色の花はあまり目立たないのですが、近づいてよく見ると満開になっていて、心地良い芳香を周りに漂わせていました。まさに秋の香りです。また、イチョウ、マチバチシャノキ、ハゼノキなどの秋の木の実をあちこちで見かけました。


 植物学者の平瀬作五郎による精子発見で有名な精子発見の大イチョウの大樹は、まだ夏木立の様相です。ただよく見てみると、黄葉やイチョウの実が散見されます。イチョウ(銀杏;イチョウ科イチョウ属)は中国原産の落葉高木。晩秋の黄葉は見事で街中が黄金色に輝きます。各地で公園木や街路樹として多く用いられる。


 緑葉の木枝につく黄色のイチョウの実。秋に実が熟し、木の下に落ちた臭い実から美味しい銀杏(ぎんなん)ができる。


 マルバチシャノキ(丸葉萵苣の木;ムラサキ科チシャノキ属)。関東以西の本州、四国、九州及び沖縄に自生する落葉小高木。この季節、多くの黄色の実が塊状になって木枝の随所に付く。この実はバナナような風味があり、食用になる。


 ハゼノキ(櫨の木;ウルシ科ウルシ属)。関東以西の本州、四国、九州・沖縄、小笠原諸島に自生する落葉小高木。木枝からたわわに垂れ下がる房状の黒い実から木蝋を採る。 ハゼノキの葉はこのアト美しく紅葉する。


 モッコク(木斛;モッコク科モッコク属)。千葉県以西~九州、南西諸島に分布し、暖地の海岸近くの山地に自生する常緑高木。花の後の果実は秋になると赤く熟す。熟すと厚い果皮が不規則に裂けて、橙赤色の種子が露出する。


 北米原産の落葉高木ハナミズキ(花水木;ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属)。わが国のヤマボウシに似ることからアメリカヤマボウシともいう。この頃になると、木枝に赤い実がつく。


 サイカチ(皀莢;マメ科ジャケツイバラ亜科サイカチ属)。日本固有種で本州から九州の山野や川原に自生する落葉高木。秋の豆果の種子は漢方の皀角子(さいかくし)として利尿や去痰の薬に用られる。サイカチの和名は皀角子に由来。


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  → 季節のスケッチ(2023年10月)

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2023年9月27日 (水)

9月下旬の小石川植物園、ようやく秋の風情漂う


 今年の9月は夏の猛暑がいつまでも続き、下旬になってようやく朝晩に涼しさを体感できるようになってきました。上図は小石川植物園の日本庭園の風景です。大池や赤い建物(旧東京医学校)の周りの木々の様子をみると、まだ青々と茂る深緑の風景になっています。


 園入口から左方に曲がって少し進むと、天空に向かって直伸するメタセコイア(曙杉;ヒノキ科セコイア亜科メタセコイア属)が林立しています。四季折々に表情を変え来園者を迎えてくれますが、この時季うっすらと葉が黄色がかってきました。左手前に咲くヒガンバナも秋の風情を醸し出しています。


 巨樹ゾーンのオオモクゲンジ(大木欒子;ムクロジ科モクゲンジ属、別名:袋実木欒子)。この時期に黄色の細かい花を盛んに付け、花が降り注ぐと木の下の地面は黄金色のオガクズを敷き詰めたようになります。英名では golden rain tree と呼ばれています。


 関東以南で観賞用に栽培される夏の花木のフヨウ(芙蓉;アオイ科フヨウ属)。日本や中国、台湾などに自生する落葉低木で、日本では、沖縄・九州などに自生します。大輪の淡いピンクの花が咲いています。


 ちょうど秋の彼岸の時期に各所に咲き広がるヒガンバナ(彼岸花;ヒガンバナ科ヒガンバナ属、別名:曼珠沙華)。今年は猛暑のせいで咲き具合が心配でしたが、園内では随所に見かけることができ、安心しました。ヒガンバナはアルカロイドを多く含み全草有毒なので要注意。


 オミナエシ(女郎花;スイカズラ科オミナエシ属)。直立した茎の先にあざやかな黄色の花が群生して咲いていました。沖縄をのぞく日本全土に分布し、日当たりの良い草地に生える秋の七草の一つ


 関東西部、中部地方東部に分布する多年草のヤマトリカブト(山鳥兜;キンポウゲ科トリカブト属)。冷温室で青紫色の花が咲いていました。花は昆虫のサナギのような変わった形をしています。有名な有毒植物だが、漢方では附子という生薬として使われる。日本自生種のトリカブト。


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  → 季節のスケッチ(2023年9月)

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2023年8月13日 (日)

郷里(東根市)のお盆の頃の風景


 コロナ規制解除に伴い、久しぶりにお盆の時期に帰省し、墓参りをしてきました。帰省先の東根では、お墓参りや親戚への盆礼、庭掃除、家のごみ整理などで忙しく過ごしました。また、居間のエアコンの故障が見つかったので、家電ショップに飛び込みましたが、お盆の時期なので帰省期間中のエアコン交換は無理とのこと。ただ、天気の方は日中暑いものの降雨もあって何とかしのげました。いずれ時期をみて対応したいと思います。


 東根小学校の校庭(旧城址跡)にそびえ立つ日本一のオオケヤキの夏木立です。樹齢千年を超すとみられ、高さ約28mの巨木。この大ケヤキは、今でも昔と変わらず凛々しくそびえていまて、私のような帰省者も暖かく迎えてくれ、癒やしを与えてくれます。


 ただ、巨木であるがゆえに植物体を維持するのが大変なようです。樹中をよく見ると、太い木枝を補強しているのが分かります。確か2020年の年末、大雪で太い枝の一部が折れ、地上に落下する災難に見舞われています。


 東根から西方の眺望です。手前はわが国有数の米どころ山形盆地の田園風景。これから秋にかけて黄金色に変貌し、「つや姫」などの美味しいお米が産出されます。後方の山並みは葉山になります。また、左奥に月山の白く丸い山頂が見えるのですが、この日はあいにく雲に覆われていました。


 上の写真の右側の風景。東根市を縦走する白水川の河畔のサクラ並木が立ち並んでいます。小さい頃はよくこの白水川で遊んだものです。


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  → 季節のスケッチ(2023年8月)

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2023年7月28日 (金)

7月下旬の都心、とある午前の風景


 連日「危険な暑さ」が続くの7月下旬の都心の午前の風景です。この日は用事があって朝から都心を車で走り回ってきました。車中から街路樹を眺めていると夏木立の中にサルスベリ(百日紅)やフヨウ(芙蓉)などの季節の花を見かけました。



 日テレ通りの市ヶ谷駅~旧日テレ本社の区間の街路樹はサルスベリ(百日紅;ミソハギ科サルスベリ属)です。この時季ちょうど満開になっており、道行くドライバーや歩行者を楽しませてくれてくれます。サルスベリの街路樹は、ここ以外にも飯田橋駅付近や竹橋駅付近でも見かけます。


 炎暑下に咲き続けるサルスベリ(百日紅)の花の色は濃い赤紫色のものが多いのですが、この日テレ通りには白色の花が目立ちます。白色の花は真夏に一服の清涼感を与え、いいものです。


 わが家のサルスベリ(百日紅;ミソハギ科サルスベリ属)。元気に赤紫色の咲き誇っています。わが家は7月に入って猛暑下の外壁塗装工事が始まりましたが、先日ようやく工事が終わりました。わが家が見違えるようになりました。


 神保町三井ビルの一角の小さな公園です。ちょっとした緑の憩いの空間になっています。この神保町の書店・古書店街の南側一帯(ジェイシティ東京)は三井不動産によって再開発が行われました。


 神保町三井ビル前の歩道の両脇にはクスノキ(樟、楠;クスノキ科ニッケイ属 )とケヤキ(欅;ニレ科ケヤキ属)の高木が街路樹として立ち並んでいて、緑陰の歩道になっています。クスノキが街路樹に用いられるのは珍しい。


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  → 季節のスケッチ(2023年7月)

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2023年6月18日 (日)

奥日光の大自然を満喫



 6/17-18の週末、奥日光湯元温泉の休暇村に宿泊して、奥日光の大自然を周遊してきました。梅雨の合間で晴れ上がった天気にも恵まれ、緑に囲まれた高原道路をゆったりとドライブして、久しぶりにリフレッシュできました。


 最初の目的地は奥日光の湯ノ湖です。東京からクルマで東北自動車道を北上、日光宇都宮道路に入り、清滝ICより国道120号で約25km進むと湯ノ湖が現れます。マス釣りの釣人で賑わっていました。今回の宿泊地は湯ノ湖の北岸湖畔に広がる日光湯元温泉です。


 湯元温泉、湯ノ湖周辺に緑の大自然に囲まれた散策路が整備されています。緑一面の中にオレンジ色のレンゲツツジ(蓮華躑躅;ツツジ属シャクナゲ亜属レンゲツツジ節)の花が風景のアクセントになっています。レンゲツツジは戦場ヶ原など、奥日光の各所で見かけます。


 湖畔の木々です。これは北海道~九州に分布し、山地から亜高山帯にかけて自生するミズナラ(水楢;ブナ科コナラ属)。葉は大きく波打つようなはっきりした鋸歯(輪郭のギザギザ)を有する。木材は柾目の模様が美しく、高級家具、建築材、洋酒樽などに利用されます。ミズナラ以外にもシラカバ、シウリザクラなどが生えています。


 珍しいベニサラサドウダン(紅更紗満天星;ツツジ科ドウダンツツジ属)の花も見かけました。ベニサラサドウダンは日本原産で東北地方~中部地方の高地に自生する落葉低木でサラサドウダンの変種です。5月~6月頃、葉腋から伸びる総状花序に深紅色の小さな鐘形の花が多数下向きにつきます。


 湯ノ湖から日光方面に少し戻ると、奥日光三名瀑の一つとされる竜頭の滝に着きます。前回の奥日光旅行の時に見逃していたので、今回こそはと訪れました。竜頭の滝は、湯ノ湖に端を発し戦場ヶ原を流れ下ってきた湯川の末流にかかる滝。急斜面の途中で二手に別れ、豪快に流れ下っています。この滝の姿を龍の頭に見立て、竜頭の名が付いたとされる。


 さらに日光方面に進むと、中禅寺湖と男体山が見えてきます。中禅寺湖は約2万年前に男体山の噴火でできた堰止湖で、今や観光地として人気を博しています。また、男体山は標高2,486mの火山で、日本百名山のひとつ。日光二荒山神社の境内地にある。


 次は華厳の滝です。中禅寺湖からの地表を流れる唯一の流出口の大谷川の最上流の一部。落差97mの滝一気に流れ落ちる姿は壮観です。この写真は華厳の滝展望台からのものですが、エレベータで滝壺まで下りることも出来ます。


 この後、長くくねったいろは坂を下って日光東照宮近くの日光植物園(小石川植物園の日光分園)に立ち寄ってきました。広大な園内には、日本の高山ならびに温帯から亜寒帯に生育する種をはじめ多くの植物が生育しています。この日は、珍しい山野草も数多く見かけました。


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  → 季節のスケッチ(2023年6月)

 

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2023年6月 3日 (土)

6月初旬の小石川植物園、落ち着いた緑の風景


 今年は台風2号の影響で前線の動きが活発になり、東京地方は6月早々に大雨に見舞われました。また、早めの梅雨入りも予想されています。この時期は、梅雨空の下で木々がしっとりとした緑に覆われるようになります。


 6月初旬に小石川植物園を回ってみると、落ち着いた緑の世界の中でハナショウブ、アジサイ、タイザンボク、ドクダミなどの季節の花々が静かに咲き出していました。


 メタセコイア林の近くに位置するヤナギ池。一面落ち着いた緑色に覆われています。画面左側に生えていたシダレヤナギ(枝垂柳)の高木が今年に入って伐採されてしまいました。スッキリした風景になりましたが、少し寂しくなりました。


 ハナショウブ(花菖蒲;アヤメ科アヤメ属)。全国各地の庭園、寺社などで栽培される多年草。植物園の菖蒲田でも、白、紫、黄、薄紅色の優雅な花が咲き乱れ、梅雨時のうっとうしさを忘れさせてくれます。


 別世界に来たかのような美しい空間を演出するハナショウブはノハナショウブ を原種とする園芸品種で、古典園芸植物の一つ。江戸時代に盛んにハナショウブの栽培が行われた。


 ガクアジサイ(額紫陽花;アジサイ科アジサイ属アジサイ亜節)。日本固有種で房総半島、伊豆半島、三浦半島などの海岸地に自生する落葉低木。梅雨空に似合い、しっとりと咲いています。花序を見ると、中心部の多数の両性花の周りに装飾花が額縁のように縁取る。アジサイ亜節の基本種。


 タイサンボク(泰山木;モクレン科モクレン属 Magnolia亜属)。高木の樹上に威風堂々の白い大きな花が上向きに咲いていました。花の中心部に黄色の雄しべが密生します。高所に神々しく咲く花は王者の風格があります。光沢ある常緑の緑葉と大輪の純白の花のコラボは見ごたえがあります。


 クリ(栗;ブナ科クリ属)。日本・朝鮮半島原産で北海道~九州、屋久島に分布する落葉高木。ブナ科植物は風媒花のものが多いが、クリは虫媒花。この時期、地味な感じの雄花が多数木枝に付いていました。秋に実が茶色に熟し、イガの中から栗とか栗の実といわれる堅い果実(堅果)が現れます。


 ユキノシタ(雪の下;ユキノシタ科ユキノシタ属)。本州から九州に分布し、湿った半日陰地の岩場などに自生する常緑多年草。園内のシダ園の入口の所に小さい華奢な花がたくさん咲いているのを見つけました。ユキノシタは名前のとおり、雪の積もった下でも耐え、日陰や湿地を好みます。


 ドクダミ(毒溜;ドクダミ科ドクダミ属)。道ばたや草むらの半日陰地に分布する多年草。ドクダミの白い花が園内随所に群生していました。十薬ともいわれるドクダミは、様々な薬効があり、腫れ物、皮膚病などに利用されます。葉茎に独特の強い匂いがあります。


 トウダイグサ(燈台草;トウダイグサ科トウダイグサ属)。本州以南に広く分布し、日当たりのよい荒地や畑などに自生する一年草(。苞葉の中に花を複数つけたユニークな形状の緑色の花序が先端部に形成されています。茎や葉を傷つけると有害な白い乳液を出す。種子にも有毒な成分を持つ。


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  → 季節のスケッチ(2023年6月)

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2023年5月 1日 (月)

若葉茂り風薫る5月、初夏の木々の花、野の花が咲き競う



 風薫る5月に入りました。木々の新緑は徐々に濃くなり、若葉が生い茂る万緑の世界が目前です。小石川植物園では、緑の世界の中で先月後半から咲き出したカラフルなツツジの花々や白く清楚なウツギの花などが咲き競います。また、クスノキやスダジイ、シラカシなどの常緑樹も木枝の中を覗いてみると地味な花々を盛んにつけています。また、アヤメ、カマヤマショウブ、イチハツなどの初夏の野の花も咲き出してきます。


(5月の風景)
  5月セレクション ツツジの花々

(フォトギャラリー)
  5月の風景 新緑の輝き 万緑・夏木立
  四季フォト(木立、風景)

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  → 季節のスケッチ(2023年5月)

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2023年4月24日 (月)

4月中旬の小石川植物園、美しい新緑が広がる



 4月中旬の小石川植物園を回ってきました。華やかだったソメイヨシノなどの桜の時季が過ぎ、園内は落ち着いた雰囲気の中で美しい新緑が広がっています。また、NHK朝ドラ「らんまん」の主人公牧野富太郎博士にちなんだ展示が見られます。


 この時季はなんと言っても新緑が美しい。これは北米原産の落葉高木アカガシワ(赤柏;ブナ科コナラ属)の新緑です。わが国には明治時代に渡来し、北海道を中心に街路樹や公園樹などに植栽されています。


 アカガシワ(赤柏)は、これから初夏に目立たない黄緑色の花が咲き、秋に堅果(ドングリ)がつきます。葉の形状が日本のカシワに似て、紅葉が美しいことから和名が由来。レッドオーク、アカナラ(赤楢)の別名あり。


 ノグルミ(野胡桃;クルミ科ノグルミ属)。東海以西の本州、九州、四国に分布し、日当たりの良い林縁に生える落葉高木。新緑のアト、6月~7月頃、新枝の先に目立たない穂状の花穂が直立してつきます。風媒花で風に乗せて花粉を運びます。後日、松かさに似た果実をつけますが、食用にならない。建築材、器具材として用いられる


 北米東部原産の落葉高木アメリカスズカケノキ(スズカケノキ科スズカケノキ属)。わが国へは明治時代に渡来し、巨木が多い。花期は4月~5月で球形の花序がぶら下がる。互生する広卵形で掌状の大きな葉は切れ込みが浅い。緑葉に覆われた夏木立や晩秋の褐色の紅葉の景観は迫力があります。


 ヒトツバタゴ(一つ葉タゴ;モクセイ科ヒトツバタゴ属)の樹木全体が白雪に覆われたようになっていました。ヒトツバタゴは対馬地方、木曽川流域、岐阜県東濃地方などに限定的に自生する落葉高木。春に新緑が木枝に芽生え、その後初夏に開花し、枝先に集散花序をつけ多数の花が咲く。晩秋には紅葉が見られる。


 中国、インド、ミャンマー等が原産の落葉高木で丘陵地~山地に自生するアルニフィラム・フォーチュネイ(エゴノキ科アルニフィラム属)が枝先の葉腋に円錐花序を形成し、多数の白い花が咲き出していました。普段周りに見かけない珍しい樹木で、小石川植物園では柴田記念館の近くなどに生えています。


 サクラソウ(桜草;サクラソウ科)の特別展示。古典園芸植物の代表格とされるサクラソウは、江戸近郊の荒川の原野に生える野生種から栽培、品種改良が広まったと言われています。小石川植物園ではサクラソウの古い品種が栽培・保存されています。


 これは野生種のサクラソウ(桜草)です。サクラソウは北海道~九州の高原や原野に分布する多年草で、林間の湿性地や原野の草地に生育します。地中に根茎があり、高さ15~40cmの花茎を直立させ、5~10個の清楚な美しい花をつけます。


 植物園の標本室に収蔵されているサクラソウ標本。牧野富太郎博士が1903年5月に採集したもの。この当時、サクラソウは関東近辺に多くの自生地が残っていたが、現在では準絶滅危惧種(NT) として保護の対象となっている。


 柴田記念館の入口では満開のヒラドツツジ(品種名:大紫)がお出迎え。館内にはNHK朝ドラ「らんまん」の主人公牧野富太郎博士の足跡などの特別展示がなされています。


 マルバオウセイ(丸葉黄精;キジカクシ科アマドコロ属)をはじめて見かけました。マルバオウセイは四国南西部、九州に分布し、海岸近くの広葉樹林下、林縁などに生える多年草。同属のアマドコロナルコユリとよく似るが、葉の形は丸みを帯びる。散房状に並んだ多数の小さな花が葉腋から垂下しています。


 シャガ(著莪、射干;アヤメ科アヤメ属)の花が一面に咲き広がっていました。シャガは中国四川省原産で谷沿いの陰地や竹林などに群生する常緑多年草。4月~5月、黄と青の幻想的な模様の入った白い花が次々に咲き出してきます。根茎が短く横に這い、群落を形成します。


 最後に小石川植物園以外の風景ですが、珍しいシャクナゲ(石楠花;シャクナゲ亜属シャクナゲ節)の街路樹を見つけました。場所は千代田区二七通りの五番町交差点付近。大きな赤い花が満開になっていて通行する人やドライバーの目を惹きます。


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  → 季節のスケッチ(2023年4月)

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2023年4月 1日 (土)

春爛漫の4月はサクラから新緑、ツツジへ主役交代



 いよいよ春爛漫の4月です。小石川植物園では心躍るソメイヨシノの風景が終わってもオオシマザクラやサトザクラなどのいろんな桜の花が咲き続けます。そして、4月中下旬にはサクラから新緑とツツジに主役交代となります。また、ニリンソウ、オオアマナ、ヒメオドリコソウ、ラショウモンカズラなど春の野の花が園内各所の草むらに咲き広がります。

(4月の風景)
  4月セレクション サクラの風景 ツツジの花々
  春の妖精たち

(フォトギャラリー)
  4月の風景 新緑の輝き サクラの風景
  春の野の花 春の妖精たち


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  → 季節のスケッチ(2023年4月)

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