2024年5月 3日 (金)

小石川植物園は新緑から万緑へ、落ち着いた雰囲気の花々



 初夏の風薫る5月に入りました。先月初旬に満開になった小石川植物園のサクラ並木です。その頃は大勢の人で賑わっていましたが、今や新緑が過ぎ、万緑の様相を呈しています。木の下では緑陰を求める家族連れがチラホラと見受けられます。この時季になるとバラの仲間の花や大樹の目立たない花が咲き、園内は落ち着いた雰囲気になります。


 満開になったアルニフィラム・フォーチュネイ(Alniphyllum fortunei;エゴノキ科アルニフィラム属)。中国、インド、ミャンマー等が原産の落葉高木で、丘陵地~山地に自生する。園内では大樹が柴田記念館の近くに生えており、この時期だけ近づくことが出来るようになっています。


 アルニフィラム・フォーチュネイは初夏~夏にかけて、枝先の葉腋に円錐花序を形成し、多数の白い花が付いています。枝に互生する全縁の葉の表面には光沢がある。普段見かけない珍しい樹木です。


 バラ科の花が目立ちました。これはノイバラ(野茨;バラ科バラ属)。北海道から九州にかけての山野に自生する落葉低木。バラ特有のトゲが多い野バラです。房状になって白い花が多数咲く。秋に小さな赤い実が付く。日本のバラの代表的な原種です。


 ナナカマド(七竈;ナナカマド属)。北海道から九州の亜高山帯の林地に自生する落葉高木。初夏に複散房花序を付け、小さな白い花が多数咲く。秋になると見事に紅葉し、真っ赤な球状の実をたわわに付ける。庭木や街路樹、花材として用いられる。


 シセンテンノウメ(四川天の梅; バラ科テンノウメ属 )。中国南部、台湾が原産の常緑低木。山地の岩場に生育する。ウメに似た白い花が咲くが、鳥の羽毛のような葉が付き全体としてユニークな形状。点々と咲く花が天空の星のように見えることから和名が由来します。


 タニウツギ(谷空木;スイカズラ科タニウツギ属)。北海道や本州の日本海側の山野に自生する落葉小低木。山地の谷沿いや斜面に多く見られる。新緑の中、美しい淡紅色の漏斗状の花を付ける。田植えの時期に花が咲くことから、「田植え花」ともいわれる。


 大樹の木枝をよく見ると、目立たない地味な花も多々見かけます。これはシラカシ(白樫;ブナ科コナラ属)。福島・新潟県〜九州の山地に生える常緑高木。初夏に枝から多数の花穂(尾状花序で黄褐色の雄花)が垂れ下がります。秋にはドングリの実(堅果)がつく。


 スダジイ(椎の木;ブナ科シイ属)。福島県以西の日本全国に分布する常緑高木。いわゆる椎の木のこと。初夏に大樹がうっそうと緑に覆われ、雄花が枝先にたくさん付く。雄花は強い香りを放ち、虫を呼び寄せます。秋の木の実(堅果)はドングリの一つで、椎の実とも呼ばれる。


 針葉樹にも花穂が付いています・これはクロマツ(黒松;マツ科マツ属)。本州、四国、九州に分布し、海岸に多く自生する常緑針葉樹。和風庭園の主木としてや用いられる。樹皮は名の通り黒みを帯び、樹齢を重ねると亀甲状に剥離する。雌雄同株で、4月~5月頃花をつけ、雌花の後に球果(松かさ)ができる


 アカマツ(赤松;マツ科マツ属)。本州、四国、九州に分布する常緑針葉樹。山地や山野に生えることが多い。アカマツの心材と呼ばれる中心部は耐水性が高く、建築用材や杭などに幅広く使われる。樹皮は赤みの強い褐色で、鱗状に薄く剥がれる。雌雄同株で、4月頃目立たない花をつけ、雌花の後に球果(松かさ)ができる。


 アレッポマツ(Aleppo Pine;マツ科マツ属)。地中海地方を原産とする常緑高木のマツ。球果(松かさ)は細い円錐状で、はじめの緑色から2年ほど経つと熟し、茶色に変化する。 現地では庭園木や木材等に用いられている。アレッポはシリア北部の都市。


 草むらなどを見渡すと、初夏の野の花をも見かけます。これはカマヤマショウブ(蒲山菖蒲;アヤメ科アヤメ属)。朝鮮半島、中国東北部が原産の多年草。濃い紫色の花で外側の大きい花びら(外花被)の中央に網目模様がある。葉は細長い線形で直立し、花径も長くて外花被片の幅が広い。韓国の釜山から和名が由来。


 同じアヤメ属のキショウブ(黄菖蒲;アヤメ科アヤメ属)。ユーラシア大陸原産の多年草。日本全国の水辺や湿地、水田脇に野生化しています。5月~6月に青紫色、紫色の花を付ける他のアヤメ属の仲間と異なり、黄色の花が咲きます。外花被片が大型の広卵形で先が下に垂れ、花弁の基部に茶色の網目がある。


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2024年4月24日 (水)

ソメイヨシノ満開の後、色とりどりのツツジが主役


 ソメイヨシノ満開の後の主役はツツジになります。日本庭園の赤い建物の周りの植込みのツツジも美しく咲き出しています。この時季、ツツジ園や散策の道沿いなど園内至る所で満開のツツジを見かけます。


 園内では色とりどりのツツジ(ツツジ科ツツジ属)が沢山咲いていました。この植込みはヒラドツツジ(平戸躑躅)の園芸品種の大紫(おおむらさき)です。ヒラドツツジはケラマツツジキシツツジなどいくつかのツツジから長崎県の平戸地方で作出された園芸品種群。


 キリシマツツジ(霧島躑躅)の園芸品種の日の出霧島(ひのできりしま)です。キリシマツツジは4月から5月頃に小ぶりの花を開花させる常緑低木のツツジ。鹿児島県下の霧島山の山中に自生するツツジの中から江戸時代初期に作出され、園芸品種が多い。


 オオヤマツツジ(大山躑躅)の園芸品種の錦の司(にしきのつかさ)。オオヤマツツジは関東周辺の日当たりのいい山地に自生する常緑低木のツツジ。ヤマツツジよりも花や葉が大きい。ヤマツツジの仲間。


 ジングウツツジ(神宮躑躅)。東海地方の蛇紋岩地帯に生息する落葉低木のツツジ。伊勢神宮の神域から発見されたことから和名が由来。浜松市内の渋川に群生地があるため、シブカワツツジ(渋川躑躅)の別名あり。春に気品ある花を咲かせることから庭木として利用される。ミツバツツジの仲間。


 ランダイヒカゲツツジ(巒大日陰躑躅)。台湾原産で高雄山などの高山の林地に生える常緑低木のツツジ。4月~5月にかけて赤い斑点が入った淡い赤紫色の花を咲かせ、長い雄しべが5本付く。ヒカゲツツジゲンカイツツジと同じ仲間。


 セイシカ(聖紫花、八重山聖紫花)。沖縄の八重山地方(石垣島や西表島)に自生するツツジ。八重山聖紫花ともいう。川沿いの林内や林縁の岩上に生育する。巨樹のクスノキの緑を後景にして、沢山の花が木全体に咲き広がって壮観です。これ以外にも園内では多くのツツジが美しく咲いていました。


 巨木並木の春の風景です。日に日に緑が濃くなってきます。スズカケノキユリノキケヤキなどの巨木が数多く立ち並んでいます。林立する巨木の下から大空を見上げる風景は圧巻で、まさにパワースポットそのものです。


 巨木並木の区域から少し奥に進むと、ヒトツバタゴ(モクセイ科ヒトツバタゴ属)が満開になっていました。対馬地方、木曽川流域、岐阜県東濃地方などに限定的に自生する落葉高木。この時季に開花し、枝先に集散花序をつけ多数の花が咲きます。まるで高木全体が雪で覆われているような景観です。


 イヌザクラ(犬桜;バラ科サクラ属ウワミズザクラ亜属)。山地に生育する落葉高木。5月頃に枝先のブラシ状の総状花序に多くの白い花を付けます。サクラ亜属のいわゆるサクラの仲間とは花の形状が異なります。シロザクラの別名があります。


 タブノキ(椨の木;クスノキ科タブノキ属)。東北地方~九州・沖縄に分布する常緑高木。潮風、強風、大気汚染に強く、海岸近くに多く見られる。枝先の葉腋に円錐花序を出し、あまり目立たない黄緑色の花がたくさん咲いています。


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2024年4月11日 (木)

4月上旬の小石川植物園、ソメイヨシノがやや遅めの満開



 今年はソメイヨシノの開花を目前にした3月下旬になって冷え込みが続くようになり、開花時期が遅れ、ソメイヨシノの満開は4月上旬になりました。花見を待ちかねた大勢の人たちが桜の木の下に集っています。最近は災害とか戦争とか穏やかならざる出来事が頻発しているので、このような見慣れた花見の光景に出会うと、ふと心が和みます。小石川植物園ではサクラ以外にもいろんな木々の花々や新緑があふれ、美しい季節の到来を実感します。


 ようやく満開になった4/4のソメイヨシノ(染井吉野;サクラ亜属エドヒガン群)。あいにく曇天でしたが、多くの人が押しかけていました。いつもながらサクラの花の圧倒的なボリュームには感動させられます。


 ベニシダレ(サクラ亜属エドヒガン群)の見事な景観です。シダレザクラの淡紅色の品種。ここに植えられて、まだ10年未満だと思うのですが、順調に生育しています。


 4/4の満開の後、強風が吹く悪天候の日があって心配でしたが、4/10時点のサクラ並木には、まだ花がかなり残っていました。


 しかしサクラ並木の樹下を見渡すと、このように散った桜の花が絨毯のように地面に敷き詰められていました。


 日本、中国などが原産の常緑高木トキワマンサク(常盤満作;マンサク科トキワマンサク属)。満開になった大樹がひも状の白色、淡黄色の無数の小さな4弁花に覆われます。樹木を見上げると、まるで滝のように花が流れている感じになります。


 東北地方南部~沖縄まで分布する常緑高木モチノキ(黐の木;モチノキ科モチノキ属)。大樹の木枝に無数の黄緑色の花が束になって咲いています。


 イロハモミジ(いろは紅葉;ムクロジ科カエデ属 )の鮮やかな新緑です。東アジアに自生し、わが国では本州以南に分布する落葉高木。秋の紅葉の代表格ですが、この時期の新緑も見事です。


 イロハモミジの新緑に覆われた木枝をよく見ると、暗紫色の小さな花がたくさん咲いています。この花は風媒花で5弁花。俳句では花楓とかもみじ咲くなどと詠む。


 園内を散策していると、林の中で珍しい樹木を見かけました。コブシモドキ(辛夷擬、這辛夷;モクレン科モクレン属シモクレン節)が数輪の花を付けていました。日本固有種の落葉低木でコブシの品種とされる。葉の展開に先立って大きめの白い花を咲かせています。


 コブシモドキは1948年に徳島県相生町で1個体のみが発見されたが、その後、野生種が見つからず野生絶滅(EW)とされている。コブシが2倍体であるのに対し、コブシモドキは3倍体で結実しないので、現在は挿し木で増やしたクローン株が国内数ヶ所に生えているに過ぎないとのこと。


 本州西部の太平洋側、四国、九州に広く分布する常緑高木クスノキ(樟、楠;クスノキ科ニッケイ属)の巨木。鎮守の森の主のようにそびえ立っています。常緑樹ですが、そろそろ新葉と入れ替わります。


 メタセコイア林の春の風景です。園入口から左方に曲がって少し進むと、天空に向かって直伸するメタセコイアが林立しています。この時期、うっすらと新緑が吹き出してきました。


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2024年3月14日 (木)

啓蟄過ぎの小石川植物園、春の花々がいよいよ咲き出す



 啓蟄が過ぎた春暖の3月中旬、小石川植物園をぶらぶら回ってきました。ソメイヨシノの開花を目前にして、オオカンザクラ(大寒桜)などのサクラの花やハヤトミツバツツジ(隼人三葉躑躅)などのツツジの花が咲き出していました。また、この時期に期間限定公開中のロックガーデンではキクザキイチゲ(菊咲一華)やヒロハノアマナ(広葉の甘菜)などの春の野の花が開花していました。

(木々の花)

 オオカンザクラ(大寒桜;カンヒザクラ×カンザクラの交雑種)。カンザクラよりも花がやや大きいことから和名が由来。埼玉県川口市安行の地から広められたサトザクラ。安行寒緋(あんぎょうかんひ)とも呼ばれる。


 オカメザクラカンヒザクラ×マメザクラの栽培品種)。前年までの名札では早春桜@マメザクラとされていた。このオカメザクラは英国の桜研究家であるコリングウッド・イングラムが作出。早咲きで花期は2月下旬から3月上旬ごろ


 鹿児島県原産で低山地の岩場に多く見られる落葉低木のハヤトミツバツツジ(隼人三葉躑躅;ツツジ亜属ミツバツツジ節)。2月下旬から3月に葉のない枝先に淡い赤紫色の花が元気に咲き出す。


 トサミズキ(土佐水木;マンサク科トサミズキ属)。高知県原産で蛇紋岩地帯や石灰岩地帯などに生育する落葉低木。3月頃、無数の黄緑色の花が一斉に枝から咲き出す。


 サンシュユ(山茱萸;ミズキ科ミズキ属)。中国及び朝鮮半島を原産とする落葉小高木。新葉の展開前、3月に無数の黄金色の花が大空に吹き出すように広がり、ハルコガネバナとも呼ばれる。観賞用として庭木などに利用される。


 ミツマタ(三椏;ジンチョウゲ科ミツマタ属)。中国中南部、ヒマラヤ原産の落葉低木。3月~4月頃、新葉が芽吹く前に開花する。3本に分枝する枝(三叉)の先に、多くの小さい黄色の筒状花が凝集した半球形方の花序がつく。強い繊維質の樹皮は和紙や紙幣の良質な原料となる。

(春の野の花)

 キクザキイチゲ(菊咲一華;キンポウゲ科イチリンソウ属)。本州近畿地方以北から北海道に分布し、落葉広葉樹林の林床などに生育する。キクサキイチゲの葉は元気に上向いている感じで、ちょうど菊の葉のように切れ込みが鋭いのが特徴。キクザキイチリンソウ(菊咲一輪草)とも呼ばれる。スプリング・エフェメラル(春の妖精)の一つ。


 ユキワリイチゲ(雪割一華;キンポウゲ科イチリンソウ属)。2月中頃から小さく可憐な白い花が枯葉の中から顔を出します。春先に花をつけ、夏まで葉をつけると、残りは地下で過ごすスプリング・エフェメラル(春の妖精)の仲間。本州中部以西の暖かい地域の林内に生える。


 ヒロハノアマナ(広葉の甘菜;ユリ科アマナ属)。日本固有種で関東地方から近畿地方、四国に分布し、草地や落葉樹林の下に生育する球根植物。3月~5月に開花し、花茎の先に1個の白色の花が咲く。6個の花弁と6本の雄しべを有し、花茎に3個の苞葉がつく。また、幅が広めの葉の中央に見える白線模様が特徴的。スプリング・エフェメラル(春の妖精)の一つ。


 ハナニラ(花韮、西洋甘菜;ヒガンバナ科ネギ亜科 ハナニラ属)。早春、ハナニラ(花韮)の清楚な白い花が植物園内の各所に咲き広がります。花の形はアマナに似ることから、セイヨウアマナ(西洋甘菜)とも呼ばれます。南米原産で明治時代に観賞用として帰化。


 タチツボスミレ(立坪菫;スミレ科スミレ属)。わが国では平地から低山に分布し、日当たりのよい道端や草原、林地などに普通に見られる多年草のスミレです。


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2024年2月11日 (日)

晴れ上がった新春の青空の下、梅の香が広がる



 晴れ上がった建国記念日(2/11)に小石川植物園の散策を楽しんできました。この時期の梅園は、紅梅・白梅の花が少しずつ賑やかになり、梅の香が広がるようになってきます。梅の花以外にもカンザクラ、ツバキ等の木々の花も見かけました。また、大樹の冬木立が見事に青空に映えていました。


 梅園では色んな品種のウメ(梅;バラ科サクラ属スモモ亜属)の花が、1月から3月にかけて次々に咲き出してきます。この白梅の品種名は田毎の月(たごとのつき)。  → 梅百科


 白梅の白鷹(はくたか)。


 紅梅の五節の舞(ごせちのまい)。紅梅は白梅よりも強い香りを放つ。


 紅梅の佐橋紅(さばしこう)。


 古井戸近くに生えるカンザクラ(寒桜;バラ科サクラ属サクラ亜属カンヒザクラ群)日本のサクラの基本野生種の一つ。オオシマザクラカンヒザクラの自然交配種でカンヒザクラ系の品種。早春の頃に咲くのであまり人が集まりませんが、濃い目のしっかりとした花を咲かせ、青空によく映えます。


 ヤブツバキ(藪椿;ツバキ科ツバキ属)。わが国のツバキの原種で、本州、四国、九州、南西諸島に分布する常緑高木。冬から春に真紅の花が咲き、花の少ない冬の時期によく目立ちます。秋には椿油を採取する実を付けます。 → ツバキの仲間


 次は巨木ゾーンの風景です。スズカケノキ(鈴懸の木;スズカケノキ科スズカケノキ属)の冬木立。青空に灰白色の木肌がよく映えます。ヨーロッパ南東部~アジア西部が原産の落葉高木でプラタナスとも呼ばれる。成長が早く、街路樹や公園樹、庭園樹として利用されています。


 モミジバスズカケノキ(紅葉鈴懸の木;スズカケノキ科スズカケノキ属)。スズカケノキアメリカスズカケノキとの交配種。大きな葉はモミジ葉のような切れ込みがある。明治時代にイギリスから渡来。街路樹や公園樹に用いられることが多い。


 ヒマラヤ地方が原産の常緑針葉樹ヒマラヤスギ(ヒマラヤ杉;マツ科ヒマラヤスギ属)の大木。古井戸の近くに生えています。後方の冬木立はモミジバスズカケノキ、右方は常緑樹のクスノキ。ヒマラヤスギは耐久性、難腐敗性に優れ、建築材料として大きな需要がある。


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2024年1月17日 (水)

新年の小石川植物園、ちらほらと梅の花が咲き始める



 ここ数日の寒風が収まり穏やかに晴れ上がった1月中旬、夫婦連れだって久しぶりに小石川植物園を散策してきました。人出が少なく、植物園を独り占めしているような気分でした。日本庭園の梅林では早くも梅の花が咲き始めていました。


 小石川植物園の梅林には数多くのの木が生えていますが、梅の香を十分に楽しめるほど近づき自在に散策できるのが特色です。梅の花は色んな園芸種があって風流な名が付いており、新年から3月まで次々に咲き出します。上の写真の白梅(品種名:長寿)はこれから次第に勢いを増してきます。


 淡い紅梅(品種名:扇流し)です。毎年新年から盛んに咲き出す品種です。園内の華やかな梅の花の写真を「梅百科」としてまとめています。


 青空の下でメタセコイア(曙杉;ヒノキ科セコイア亜科メタセコイア属)の冬木立がスクッと林立しています。スギの先祖で落葉針葉樹のメタセコイアは戦後中国からわが国に伝来。現在では全国各地の公園木、並木などに使用されています。


 ラクウショウ(落羽松、沼杉;ヒノキ科スギ亜科ヌマスギ属)の冬木立。北米原産の落葉針葉樹。湿地に生育し、木元が少し水につかった状態で自生することが多い。


 スズカケノキ(鈴懸の木;スズカケノキ科スズカケノキ属)の美しい冬木立。白い木肌が青空に似合います。ヨーロッパ南東部~アジア西部が原産の落葉高木。成長が早く、街路樹や公園樹、庭園樹として利用されています。 プラタナスとも呼ばれる。


 ハゼノキ(櫨の木;ウルシ科ウルシ属)。すっかり落葉した木枝から多数の房状の黒い実が垂れ下がっています。この実から木蝋を採り、それまで木蝋の主原料であったウルシの果実に取って代わるようになっています。


 ヘツカニガキ(辺塚苦木;アカネ科タニワタリノキ属)。暖帯から亜熱帯に生え、沖縄・九州南部・四国南部に自生する落葉高木。新年になっても周囲の冬木立の木々の中で、まだ表面に光沢のある黄葉が少し残る。


 常緑小高木のタチバナ(橘;ミカン科ミカン属/カンキツ属)。タチバナは日本に古くから自生していた柑橘類(野生のミカン)。普通のミカンより小さめの実がたわわに付いています。ただ、酸味が強く生食用には向かない。


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2024年1月 1日 (月)

謹賀新年2024



      【わが家テラスからの初日の出】

 内憂外患の厳しい環境は続いています。対外的にはロシアのウクライナ侵略、イスラエルとハマスの中東紛争、中国による周辺国への圧迫等々、至るところで争いが絶えません。また、国内では円安局面の長期化による生活物価の上昇、政治資金を巡る政権の不安定化、芸能界での数々の不祥事の露見など問題山積です。このような難局を打開し、わが国の繁栄を持続させるための本格的なチャートづくりが急がれます。


 → 季節のスケッチ(2024年1月)
 → 四季の植物(1月セレクション)
 → 1月の Photo Gallery

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2023年12月 9日 (土)

ショクダイオオコンニャク開花に長蛇の列



 12月上旬の晴れ上がった日、久しぶりのショクダイオオコンニャク開花の知らせを受け、小石川植物園に駆けつけました。ショクダイオオコンニャク(サトイモ科コンニャク属、学名:Amorphophallus titanum)が久しぶりに開花しました。小石川植物園では1991年、2010年に続き、13年ぶり3回目の開花となります。本種はインドネシア、スマトラ島の固有種で現在は絶滅危惧種に指定されていて、分岐しないものとしては世界最大の花序を作ることで知られています。


 ショクダイオオコンニャクの開花に伴い、12/8から12/10まで特別公開されました。私も見学しようと12/9の10時過ぎに出かけてみたのですが、ご覧のように見学者の列が長蛇のように続き、約1時間待ちとのこと。さすがに見学をあきらめてしまいました。


 という訳で、この写真は2010年7月のショクダイオオコンニャク開花時のものです。このときは簡単に近づくことができたのですが。当時の邑田園長がメディアの取材を受け、あれこれ説明している場面に遭遇することができました。


 ショクダイオオコンニャクの巨大花を見れなかった代わりに、奥に進んで晩秋の紅葉風景や木々の冬木立を楽しんできました。これは巨木になったメグスリノキ(目薬の木;ムクロジ科カエデ属)の紅葉です。真っ赤に燃えるような見事な風景はこの時期のお気に入りです。


 メグスリノキは日本固有種で東北地方中部以南に自生する落葉高木。面白い名前をしていますが、戦国時代の昔から樹皮を煎じて眼病に効く目薬として使用していたとのこと。眼病のみならず、二日酔い、肝機能の向上、動脈硬化予防等にも効果があるとされています。


 巨木が林立する巨木並木の風景。スズカケノキユリノキケヤキなどの巨木が数多く立ち並んでいます。この時期、枯葉のじゅうたんの上を木々の冬木立を見上げながら散策する贅沢なひとときに喜びを感じます。


 この区画の一角の生えるモミジバスズカケノキ(スズカケノキ科スズカケノキ属)。スズカケノキアメリカスズカケノキとの交配種でプラタナスとも呼ばれる。秋~晩秋には褐色に紅葉し、多くの鈴のような集合果が木枝から垂れるのが見えます。


 中国・台湾原産の落葉高木ナンキンハゼ(南京櫨;トウダイグサ科ナンキンハゼ属)。晩秋に美しく紅葉し、庭木、街路樹、公園樹に用いられる。木の実は種皮が蝋状の物質で覆われ、ハゼノキと同じようにロウを採取します。


 ハゼノキ(櫨の木;ウルシ科ウルシ属)。関東以西の本州、四国、九州・沖縄、小笠原諸島に自生する落葉小高木。江戸時代の頃より、木枝から垂れ下がる房状の黒い実から木蝋を採るようになった。後方はイチョウの黄葉です


 ヨーロッパ原産の落葉高木イタリアヤマナラシ(ヤナギ科ヤマナラシ属)の黄葉。わが国では北海道~九州に分布する。セイヨウハコヤナギ(西洋箱柳)やポプラとも呼ばれる。美しい箒状の樹形が特徴的で、街路樹、庭園木、防風林などに多く用いられる。


 ラクウショウ(落羽松、沼杉;ヒノキ科スギ亜科ヌマスギ属)。北米原産の落葉針葉樹。湿地に生育し、木元が少し水につかった状態で自生することが多く、ヌマスギ(沼杉)とも呼ばれる。晩秋には褐色に紅葉し、熟した球形の実が紅葉の樹木に多数つく。


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2023年11月21日 (火)

紅葉が進み、サザンカの花が咲き出す


 11月中旬に小石川植物園をぶらぶら回ってきました。最近の小石川植物園は「牧野富太郎」のNHK朝ドラ効果で人気が出て、人出が多くなっている気がしています。この時期の園内は、遅まきながら紅葉がようやく目立つようになり、散策路沿い等ではサザンカの花が咲き出していました。

(紅葉・黄葉)

 園内でも木々の紅葉・黄葉も進んできました。上図はミズメ(水目、梓;カバノキ科カバノキ属)。岩手県以南~四国、九州に分布し、山地に生える落葉高木。4月~5月頃開花し、秋には褐色に紅葉します。樹皮を傷付けると水のような樹液が出てくることから和名が由来。木材は高い弾力性を有し、かつては神事に用いる梓弓を作るときに使われました。


 ソメイヨシノ(染井吉野;バラ科サクラ属サクラ亜属エドヒガン群)。サクラの代表格でエドヒガン系の園芸品種。3月末から4月上旬に咲き出す。圧倒的なボリュームの優雅な桜色の花が木全体を覆い、春の青空の中に美しく広がっていく様は本当に素晴らしい。晩秋には褐色に紅葉する。


 ムクロジ(無患子;ムクロジ科ムクロジ属)。新潟県・茨城県以西~四国、九州に分布し、山地に自生する落葉高木。6月頃、枝先に大きな円錐花序がつき、淡緑色の花が多数咲く。晩秋にあざやかな黄葉が見られる。


 氷河期生き残りの樹木といわれるハナノキ(花の木;ムクロジ科カエデ属)。日本固有種で雌雄異株の落葉高木。長野、岐阜、愛知の県境地域にかかる恵那山を中心とする半径約50kmというごく限られた地域にのみ分布する。3月下旬~4月初旬にかけて開花し、秋には美しい黄葉が見られる。

(季節の花々)

 山口県、四国南部から九州中南部、南西諸島に分布する常緑広葉樹のサザンカ(山茶花;ツバキ科ツバキ属)。晩秋から新年にかけ、多くの園芸種の白色や赤色の花が次々と咲き出します。園内の一角のサザンカの高木に数多くの赤い花が咲いていました。


 サザンカには多くの園芸品種があります。上図のサザンカの品種名は雪山(せつざん)。


 サザンカ 、品種名:根岸紅(ねぎしこう)。


 イソギク(磯菊;キク科キク属)。関東地方南部から東海地方と伊豆諸島に分布し、海に面した岩場や急斜面の草地に生育する野生ギク。茎の先端に舌状花でない小さな黄色の花が密生して咲いています。花姿が独特の形状をしています。


 本州から四国・九州の平地にかけてふつうに見られる多年草のチョクザキヨメナ(猪口咲き嫁菜;キク科シオン属)。舌状花が円筒状の特徴的な形状をしていて、オビトケコンギク(帯解紺菊)の別名がある。

(木の実)

 クロガネモチ(黒鉄黐;モチノキ科モチノキ属)。関東以西~沖縄の山野に生える常緑高木。5月~6月、枝の葉腋から花序をつくり、晩秋には赤い実が樹木全体にたわわにつく。公園樹、街路樹として用いられる。


 タラヨウ(多羅葉;モチノキ科モチノキ属)。静岡県以西~四国、九州に分布する常緑高木。4~5月頃に小さな淡黄緑色の花が群れて咲き、秋には雌株に小さな球形の赤い実が付く。タラヨウは葉の裏面を傷つけると字が書けることから、郵便局の木として定められている。


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2023年10月19日 (木)

猛暑去り、秋の香りが広がる小石川植物園



 10月中旬、園内をぶらぶら散歩してきました。長く続いた厳しい残暑がようやく去り、小石川植物園の園内に秋の香りが広がってきました。日本庭園の大池辺りにキンモクセイの大樹が生えています。緑葉の中の橙色の花はあまり目立たないのですが、近づいてよく見ると満開になっていて、心地良い芳香を周りに漂わせていました。まさに秋の香りです。また、イチョウ、マチバチシャノキ、ハゼノキなどの秋の木の実をあちこちで見かけました。


 植物学者の平瀬作五郎による精子発見で有名な精子発見の大イチョウの大樹は、まだ夏木立の様相です。ただよく見てみると、黄葉やイチョウの実が散見されます。イチョウ(銀杏;イチョウ科イチョウ属)は中国原産の落葉高木。晩秋の黄葉は見事で街中が黄金色に輝きます。各地で公園木や街路樹として多く用いられる。


 緑葉の木枝につく黄色のイチョウの実。秋に実が熟し、木の下に落ちた臭い実から美味しい銀杏(ぎんなん)ができる。


 マルバチシャノキ(丸葉萵苣の木;ムラサキ科チシャノキ属)。関東以西の本州、四国、九州及び沖縄に自生する落葉小高木。この季節、多くの黄色の実が塊状になって木枝の随所に付く。この実はバナナような風味があり、食用になる。


 ハゼノキ(櫨の木;ウルシ科ウルシ属)。関東以西の本州、四国、九州・沖縄、小笠原諸島に自生する落葉小高木。木枝からたわわに垂れ下がる房状の黒い実から木蝋を採る。 ハゼノキの葉はこのアト美しく紅葉する。


 モッコク(木斛;モッコク科モッコク属)。千葉県以西~九州、南西諸島に分布し、暖地の海岸近くの山地に自生する常緑高木。花の後の果実は秋になると赤く熟す。熟すと厚い果皮が不規則に裂けて、橙赤色の種子が露出する。


 北米原産の落葉高木ハナミズキ(花水木;ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属)。わが国のヤマボウシに似ることからアメリカヤマボウシともいう。この頃になると、木枝に赤い実がつく。


 サイカチ(皀莢;マメ科ジャケツイバラ亜科サイカチ属)。日本固有種で本州から九州の山野や川原に自生する落葉高木。秋の豆果の種子は漢方の皀角子(さいかくし)として利尿や去痰の薬に用られる。サイカチの和名は皀角子に由来。


 詳しくは
  → 季節のスケッチ(2023年10月)

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