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2010年7月

2010年7月24日 (土)

世界最大の花「ショクダイオオコンニャク」が開花


 世界最大の花といわれるショクダイオオコンニャク(サトイモ科;別名スマトラオオコンニャク)が小石川植物園で開花するというニュース(→ 植物園のプレスリリース)が、テレビや新聞で報道されたことから、大勢の人が植物園に押しかけ、お祭り騒ぎになっています。開花が 7/22(木)の夕方で、2日間咲き続けるということで、今日の7/24(土)には猛暑にもかかわらず入園者が1万人を超えたそうです。記録的な入園者数だと思います。地下鉄の白山駅から植物園までの歩道の通行状況は、普段はパラパラですが、今日は途切れなく行進が続いていました。


 私は、7/19(月)に植物園内を散策していたら、開花直前のショクダイオオコンニャクを前に邑田園長がテレビ取材を受けている場面に遭遇。このときは、報道前でしたので見物の人もまばらでした。この巨大コンニャクはスマトラ島の固有種で、その巨大さからタイタン (Amorphophallus titanum) の学名が付いている。かつて1991年に植物園で開花しており、今回は19年ぶりということになります。花の高さは2メートルはありそうでした。

   
 これは開花直後の 7/23(金)午前7時頃の写真(植物園HPより)です。ショクダイオオコンニャクの花といわれるものは、本当は花の集まり(花序)です。太い軸(附属体)のまわりに小さな雄花と雌花が集まっていて、その花のあつまりを取り囲むようにして、上向きに開いた仏炎苞(ぶつえんほう:葉が変形したもの)がとり囲んでいます。花序の形がロウソクを立てた燭台のように見えることにショクダイオオコンニャクの名が由来。
  
 実は植物園には、もう一つの巨大コンニャクがあります。やはりスマトラ島原産で、ギガス (Amorphophallus gigas) の学名が付いています。2007年9月に開花したときの写真ですが、この時はあまり騒がれませんでした。3.3メートルの高さで、見上げて撮影した記憶があります。ギガスもタイタンも、その名はギリシア神話に出てくる巨人から採っています。何とも面白い命名です。

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2010年7月18日 (日)

梅雨が明け 不忍池に 蓮の花


 今年の梅雨時には、激しい集中豪雨が各地で大暴れしたり、参議院選挙で政権をもつ民主党が大敗するなど重大な出来事が相次ぎましたが、ちょうど海の日をはさむ3連休に合わせたかのように、7/17に梅雨明けが発表されました。天気予報によると、今後しばらくは真夏の太陽の登場です。30度を超す猛暑が続きそうです。


 梅雨明けの頃は各地で蓮(はす)の花が見頃になります。そこで連休初日の早朝、蓮の花を見ようと上野公園内の不忍池に出かけました。事前に公園事務所に電話して開花状況を確認しましたが、まだポツポツといったところの返事でしたので、咲いているかどうか不安でしたが、とにかく早起きして車を飛ばしました。


  不忍通りから公園に入ってすぐの所に八角形の不忍弁天堂が建っていて、池の四方からお参りできるようになっています。この堂は、寛永寺を創建した天海僧正が建立。創建当時のお堂は戦災で消失し、現在の堂は1958年に再建したもの。ご本尊の八臂大弁財天は、長寿や福徳・芸能の守りとして信仰されています。早朝なので参拝の人はまだいませんでした。


 弁天堂の周りの池に蓮の花がやはりポツポツと咲いていました。蓮はインド、中国、日本などに分布するスイレン科の水性多年草。大きな楯型の葉と天を向いて咲く大きな美しい花が幻想的な美しさを醸し出します。蓮の花の開花は東の空が白む早朝で、午後には閉じてしまいます。仏教では極楽浄土を象徴する花として「蓮華」ともいいます。


 泥土の中から空に向かってまっすぐに茎を立て、その先端に大輪の花を載せている蓮の花は「君子花」とも呼ばれて古来より人々の心をとらえてきました。
 ○紅白の蓮擂鉢に開きけり 漱石
 ○弁天の石橋低し蓮の花 子規
 ○青き葉の大波間より蓮ひらく 大洞綾子
 ○おのづから月やどるべきひまもなく
   池に蓮の花咲きにけり 西行


 花の中央部にある 実の入った花床(黄色部分)よく見ると、たくさんの穴があいていて 蜂の巣に似ています。このことから「はちす」へ、そして「はす」の呼び名になったとのこと。

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2010年7月 3日 (土)

小石川植物園は夏の風景へ


 7月に入って最初の週末、小石川植物園を散策してきました。先月から続いている梅雨もいよいよ終盤になり、九州南部では集中豪雨の被害のニュースが出ています。例年のことながら大自然の力のすさまじさを実感します。

 同じ自然界でも小石川植物園では、確実に四季の営みが進行し、次第に夏の風景に変貌しつつありました。
  → 四季の植物(7月) 

 ネムノキ(合歓木;マメ科)の花を見つけました。今年は開花が遅れていましたが、ようやく満開になっていました。樹上に一面に咲くネムノキの花は幻想的な美しさです。夕方には、葉が眠ったように閉じてしまうのでこの名がついています。


 奥の細道の行程中、芭蕉は象潟で「象潟や 雨に西施が ねぶの花」の俳句を詠んでいます。芭蕉は雨にうたれるネムノキの花に、中国春秋時代の悲劇の美女西施を思い浮かべたといわれています。


 ススキノ科(旧ユリ科)の八重咲きのヤブカンゾウ(薮萓草)の花が園内随所に咲いていました。ヤブカンゾウの鮮やかなオレンジ色が緑一色の夏の風景のアクセントになっています。ノカンゾウ、ユウスゲ、キスゲ等も同じ仲間で、この時期に咲き出します。


 代表的な夏の花木のキョウチクトウ(夾竹桃)の花も咲き出しました。中国原産の常緑低木キョウチクトウは炎暑の夏を延々と咲き続ます。夾竹桃の名は、葉の形状が竹に似て狭く、花が桃に似ていることからきています。


 木々の緑が深くなってきました。高木のバショウ(芭蕉)の木の大きな青々とした葉がゆったりと羽ばたいていました。沖縄では、昔からバショウの木から芭蕉布を織っています。この木を見ると美しい調べの 芭蕉布の歌 を思い出します。

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