RWCPの成功がもたらした「コンピュータ将棋(あから2010)が女流王将に勝利」
さる 10月11日、東京大学本郷キャンパスにおいて、コンピュータ将棋(あから2010)が清水市代女流王将と対局し、圧勝したという衝撃的なニュースが流れました。

あから2010は、情報処理学会の「トッププロ棋士に勝つ将棋プロジェクト」が開発した特製の、次のような圧倒的な能力を有するコンピュータシステムです。
● | あからというネーミングは、10の224乗を表わす阿伽羅(あから)が、将棋の局面数に近いことに由来。 |
● | ハードウエアは、東京大学クラスターマシンが使用され、Intel Xeon 2.80GHz(4コア) 109台、Intel Xeon 2.40GHz(4コア) 60台、合計169台(676コア)が搭載されている。 |
● | ソフトウェアは、国内トップ4プログラム(激指、GPS将棋、Bonanza、YSS)を動かし、その多数決合議法を採用。 |
実は、私どもは1990年代の10年間、リアルワールド・コンピューティング・プロジェクト(RWCP)を推進し、コンピュータの能力を極限まで追求すべく実世界知能技術や並列分散コンピューティング技術の開発を進めてきました(→ RWCPメモリアル)。

今回の東京大学クラスターマシンは、このようなRWCPの並列分散コンピューティング技術に由来するもので、RWCPの成功が衝撃的なニュースによって実証されたことになります。プロジェクト関係者にとっては感慨ひとしおといった所です。
1999年の筆者のエッセイ「四六のガマ」 の中では、PCクラスタマシンと囲碁の名人が対決す

しかしながら、この状況は10年前のチェスと将棋の関係に酷似しています。私としては人間はコンピュータより優秀であり続けて欲しいと思うと同時に、今回のRWCPの成功が更なる飛躍につながって欲しいとの気持ちもあって、心の中では複雑な思いが錯綜しています。
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