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2012年1月15日 (日)

コンピュータ将棋ソフト「ボンクラーズ」が米長邦雄永世棋聖に完勝


 新年早々ビッグニュースが飛び込んできました。といっても政治・経済・事件などのことではなく、人間対コンピュータの将棋対局でコンピュータが永世棋聖に完勝したというニュースです。 →コンピュータ将棋協会ブログ記事



 将棋の元名人で永世棋聖の米長邦雄(68才)とコンピューター将棋ソフト「ボンクラーズ」が対戦する特別公式対局(第一回将棋電王戦)が1/14(土)、東京・千駄ケ谷の将棋会館で行われ、113手でボンクラーズが勝利しました。対局は、ボンクラーズの指し手を代理人の人間が盤上で再現する形で行われた。後手となった永世棋聖は序盤相手を封じ込める作戦に出たが、ボンクラーズは中盤の一手のミスを見逃さず、一気に米長陣を攻略、圧勝しました。

 2003年に現役を引退した米長永世棋聖に対し、ボンクラーズは昨年5月の世界コンピュータ将棋選手権で優勝した「強豪棋士」。これまでのプロとコンピューターソフトの公式対局を振り返ると、2007年に渡辺明竜王が「ボナンザ」に勝ったものの、2010年に清水市代女流名人が「あから2010」に敗れている(→ ブログ記事)。コンピュータ将棋はソフトの改良とともにPCの処理能力の著しい向上により年々「棋力」がアップし、今や十分にプロ棋士と肩を並べる実力を有すると言われる。



 コンピュータ将棋の進撃を止めるため、米長永世棋聖は将棋連盟会長の立場もあってか、女流名人の次の防波堤を買って出たわけですが、あえなく敗退。来年の将棋電王戦は、プロ棋士側5人対コンピュータ側5チームで行われることになりました。なお、将棋界最高峰に位置する渡辺竜王は、他が倒されてしまったら出ざるを得ない(それまではでない)とのコメント。

 開発者の伊藤英紀氏(富士通研究所)によれば、ボンクラーズの名前は将棋ソフト「ボナンザ」を基本ソースとしていることと、ハード的にPCクラスタ(並列処理)技術を用いていることから付けられたそうです。

 かつて、国プロのReal World ComputingプロジェクトにおいてPCクラスタ技術開発に携わったものとしては、その成果を活用したコンピュータ将棋の快進撃を嬉しく思うとともに、それと同時に人間の能力の素晴らしさを信じたい気持ちもあって複雑な思いをしています。

(参考)Real World Computingプロジェクト
RWC(Real World Computing)プロジェクト は、 21世紀において必要とされる新しい情報処理技術 を開発するため、 1992年から10年計画で経済産業省によって推進された研究開発プロジェクトであり、内外の企業・研究機関が組合員として参加する 技術研究組合 新情報処理開発機構(RWCP) 及び 独立行政法人 産業技術総合研究所 によって実施されました。 RWCプロジェクトでは、次世代の情報処理技術の基盤となる (1) 実世界知能技術、 (2) 並列分散コンピューティング技術 の開発に取り組みました。



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