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2012年2月 5日 (日)

囲碁は若き天才棋士たちが覇を競う世界


 今、囲碁棋聖戦の七番勝負が進行中です。将棋の世界では、先日コンピュータ将棋が米長永世棋聖を打ち破り(→ブログ記事)、大きな話題になりました。また、将棋に似ているチェスの世界では、すでに1997年に世界王者がコンピュータチェスに敗れています。しかしながら、囲碁の世界はまだまだ人智にコンピュータが追いつきそうにない状況です。

 相手の王将を追い詰めるために直線的に進行する将棋と違って、囲碁のゲームでは、最終的に自分の陣地(地)を相手より1目でも多く確保するためにいろんな駆け引きが必要で、ジグザクとした複雑な進行をたどります。

 具体的には、
1)盤の目の数が361(将棋は81)もあるので、局面の数が飛躍的に増え、より超高速なコンピュータの処理能力が必要となる。
2)相手の石をを取り返せない「劫」があったり、今は実利ゼロだが将来の地となりうる「厚み」の計算の仕方が難しかったり、さらには自分の石をわざと捨てる「捨て石」が有利な場面があったりと、コンピュータソフトの作り込みが極めて難しい。
等の点から、コンピュータが人間に追いつくには相当な年月を要するものと思われます。

 こういうわけで、囲碁の世界では現在、若い天才棋士たちが覇を競っています。すなわち30代の四天王(張栩、山下敬吾、羽根直樹、高尾紳路)と20代の井山裕太を軸に、いろんな棋戦が激しく展開されています。

 つい先日、張栩 棋聖・王座 対 高尾紳路 九段の囲碁棋聖戦の第3局が放映されていました。四天王の二人の対戦です。さらに、もう一人の四天王の羽根直樹が解説者という、囲碁ファンにとってはたまらない番組でした。私も、しっかりと番組を録画して、帰宅してからじっくりと熱戦を鑑賞しました。



 二日間に亘る激闘の結果は、高尾紳路の半目勝ちに終わりました。一見、盤の前に座っているだけのように見えますが、お互い8時間の持ち時間を目一杯使って、知力の限りを尽くして最善の着手を捻り出し続けます。相当の体力も要し、終わったときにはへとへとになるようです。

 半目差というのは極めて微差で、私たちのアマの対戦では誤差の範囲内の揺らぎのようなもので、どちらが勝つかは指運にかかっています。しかし、トップ棋士ともなると揺らぎのない数字のようで、この半目差を巡って延々と死闘が続いていました。

 羽根の解説が明快で、この辺の状況がよく分かって非常に興味深いものでした。特に、終盤に入った局面ですが、まだ寄せの部分がかなり残っている段階で、羽根は「このまま寄せると半コウが残り、その半コウを張栩を勝ちついでも高尾に半目が残る」と言い切っていました。結果は、その羽根の予測通りになりました。最後まで最善の手順を尽くした高尾、張栩の両対局者、そしてその進行を早い段階から読み切った羽根。若い天才的な頭脳たちに拍手です。

 棋聖戦は目下高尾の2勝1敗ですが、7番勝負ですのでまだまだ激闘は続きます。最後まで名勝負を期待しています。


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