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2012年4月15日 (日)

サクラの「宴の後」はツツジ、野の花などが春花斉放


 東京の桜(ソメイヨシノ)は、満開から1週間であっという間に散ってしまいました。途中、天気が荒れたこともありますが、つかの間の花の饗宴でした。ただ、このような儚さ故に私たちは桜の花に惹かれるのかも知れません。

 さて、ソメイヨシノは散ってしまいましたが、小石川植物園の園内では色とりどりのツツジやウンナンオウバイ、そして野の花も次々に咲き出して春花斉放の様相になってきました。さらには、イロハモミジの新緑も日に日に鮮やかになり、冬木立だった大樹もうっすらと緑衣をつけてきました。


1週間前に満開だったソメイヨシノの桜並木の「宴の後」です。再び人出がまばらになり、逆に落ち着いたいい雰囲気に思えます。散った桜の花びらがうっすらと「積雪模様」のように地面に広がっています。


ソメイヨシノが散ったといっても、まだ咲いているサクラもありました。これはサトザクラの品種で、ボタン(牡丹)の名が付いています。雰囲気的にはソメイヨシノに似ていますが、花と新葉が同時に付きます。


やはりサトザクラの栽培品種であるチョウシュウヒザクラ(長州緋桜)もよく咲いていました。半八重咲きの大柄な花です。花の感じが、やはりサトザクラの安行寒緋に似ています。明治時代に荒川堤から全国に広まったとのことで、長州との関係は不明。


桜に変わって主役になりつつあるのはツツジの仲間です。青空と鮮やかな赤紫色の花が美しく調和しているのは、タンナアカツツジ(耽羅赤躑躅)です。タンナアカツツジは韓国の済州島に分布し、山地に生えます。「耽羅」というのは済州島の古名です。そういえば韓国ドラマによくこのようなツツジの花が登場します。


中国、台湾に分布するマルババイカツツジ(丸葉梅花躑躅)。真ん中部分の紫色の斑点模様が印象的です。わが国のバイカツツジと比べると大輪。


前から咲き出していたシャクナゲ(石楠花;ツツジ科)の高木が満開を迎えました。大輪の紅い花が立ち並び、壮観です。これら以外にも多くのツツジ科の花が咲き競っています。


ウンナンオウバイ(雲南黄梅;モクセイ科)の鮮やかな黄色の花が連綿と連なって盛んに咲き始めました。ウンナンオウバイは成長力が旺盛で、茎が根元から多数分枝し上部で枝垂れます。また、芳香で有名なジャスミンの仲間ですが、この花はほとんど香りはありません。


中国原産で、中国北部~朝鮮半島にかけて分布する落葉樹ハナズオウ(花蘇芳;マメ科)の不思議な感じがする花です。ハナズオウは葉が全く付いていない状態で、細かな赤紫の花が連なって枝から直接吹き出るように一杯に付きます。


梅や桜が終わっても、バラ科の木々が花を咲かせ続けています。バラ科でもナシの仲間(ナシ属)のヤマナシ(山梨)の清楚な感じの花が満開になっていました。ヤマナシは中部地方以南に自生する野生種で、果肉が硬く味も酸っぱいため、あまり食用には向かないとのこと。


ハナズオウに隣接してオオリキュウバイ(大利休梅;バラ科ヤナギザクラ属)の木が生えていて、白い花を咲かせています。中国原産で日本には明治時代に渡来したリキュウバイの変種。茶人の千利休との関係は不明。例年はこのオオリキュウバイのハナズオウと満開の時期が一致して、オオリキュウバイの白を背景にしたハナズオウの赤紫色の花は美しく引き立つのですが、今年はあいにくとオオリキュウバイの満開時期が遅れています。


小さくかわいらしい白い花はシジミバナ(蜆花;バラ科シモツケ属)です。一つ一つの花がシジミの身に似ているのでこの名がついたという。八重咲きの白い花が枝いっぱいに撓みながら群がって咲いています。


山野でよく見かける多年草キジムシロ(雉筵;バラ科キジムシロ属)です。五弁の花が太陽の光を浴びて黄金色に輝いて群生していました。花後の葉が放射状に展開し、その株の姿がキジが休むムシロに例えられたことにこの名が由来。


ヒメカジイチゴ(姫梶苺;バラ科キイチゴ属)の白い花です。ヒメカジイチゴはバラ科キイチゴ属の落葉低木で、梶苺(カジイチゴ)と苦苺(ニガイチゴ)の交雑種。葉の形がカジノキに似ていて、小振りなことからこの名が由来。同じキイチゴ属で野草のような木本クサイチゴも、あちこちの草むらで見かけます。


木のすべてが有毒であるという「恐ろしげ」なシキミ(樒;シキミ科)の花が咲いていました。仏事に用いるため、寺院に多く栽培させます。なお、間違って死亡事故が多いため、シキミの実は植物としては唯一、毒物及び劇物取締法により劇物に指定されています。


この時期、花だけではなく新緑も日ごとに美しくなってきます。イロハモミジが新緑に覆われてきましたが、よく観察すると赤紫色の花序が垣間見えます。秋の紅葉も見事ですが、初夏の新緑も美しい。


冬木立だった園内の大樹が新緑の緑衣をまとい始めました。これはユリノキ(百合の木;モクレン科ユリノキ属)の大樹です。蓮やチューリップのような花を付けるので、蓮華木とかチューリップツリーとも呼ばれます。


ユリノキの近隣にそびえるシナサワグルミ(クルミ科サワグルミ属)の大樹も新緑に覆われてきました。中国原産の落葉高木で街路樹や公園木などに多く用いられています。


野の花もいろいろと咲いています。これは全国的に分布する草本植物のクサノオウ(瘡の王;ケシ科クサノオウ属)の黄色の花です。植物体を傷つけると多種にわたる有毒アルカロイド成分を含む黄色い乳液を流し、これが皮膚に触れると炎症を起こし、皮膚の弱い人は植物体そのものも触れるとかぶれる危険があります。また薬効もあり、皮膚病の一種である瘡(クサ)に効くといわれる。


日当たりの良い林縁や草地に生えるやタツナミソウ(立浪草;シソ科タツナミソウ属)を初めて見つけました。青紫の花が同じ方向に並んだ花穂の姿が打ち寄せる波頭に似ていることから、この名が由来。広く紫の斑点がある下の唇弁が印象的です。


正真正銘のイチリンソウ(一輪草;キンポウゲ科イチリンソウ属)を見つけました。イチリンソウはひとつの茎に花をひとつだけ咲かせ、ニリンソウと比べて大柄の花です。小柄なニリンソウも最初のころは花が一輪だけのこともあり、実際には区別がつきにくい。イチリンソウもニリンソウもスプリング・エフェメラルの仲間です。


ユリ科バイモ属の多年草のバイモ(貝母)の花が草むらの中で、枝に釣り鐘状に並んで静かに咲いていました。花びらの内側が網目模様になっていることから、編笠百合の別名があります。また、鱗茎を見ると二枚の厚い貝状の鱗片が相対していることから、名が由来。


各地の明るい林縁や草地に生える一年草セリバヒエンソウ(芹葉飛燕草;キンポウゲ科デルフィニウム属)の青紫色の花が、草むらのあちこちに咲いていました。花の姿が燕の飛ぶ姿を思わせることからこの名が由来。セリバヒエンソウは中国原産で、明治時代に渡来。


全国的に日当たりの良い山野に生える多年草のウマノアシガタ(馬の蹄;キンポウゲ科キンポウゲ属)。ごく小さな黄色の花が咲いていました。名とは違い、馬の足形には似ていません。このウマノアシガタの八重咲きのものをキンポウゲ(金鳳花)と呼ぶ。これからも次々と野草が咲き出しますので、野の花観察も忙しくなります。



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