6月初旬:ハナキササゲ(花木大角豆)の大樹が満開
梅雨入りを間近に控えた 6月初旬(6/3)の小石川植物園の風景です。

園内の日本庭園ゾーンの一角に赤い古風な建物が建っています。この建物は明治9年に旧東京医学校の本館として建築されたもので、国の重要文化財に指定されています。現在は、東京大学総合研究博物館小石川分館 として、一般公開されています。
この建物の周りには四季折々の木々の花が咲き、季節を感じさせる写真スポットになっています。上の写真の左側に白い花を付けた大樹が見えます。

この大樹を別のアングルから撮った写真です。日本庭園の池の周りに立っていて、日差しの強い日には格好の木陰スポットを提供してくれます。この大樹は北米原産の落葉高木ハナキササゲ(花木大角豆;ノウゼンカズラ科キササゲ属)です。ちょうど満開になっていました。白い花が木枝のいたるところから咲き出していて壮観でした。

ハナキササゲの大樹の近づいてみると、単に白い花だと思っていたのが、面白い形状・色合いの花序になっていることに気づき、驚いてしまいます。すなわち、ふわふわと縁が縮れた形状になっていて、花の中には紺や黄色のスジが入っていて幻想的な感じがします。また、大きい葉は同じノウゼンカズラ科に属する桐の葉によく似ています。花の後は、長いササゲのような実を垂らします。

アジサイ(紫陽花)はこの時期の風物詩ですが、今年は園内の紫陽花が満開になるのにあと1~2週間かかりそうです。その代わり、アジサイの仲間(アジサイ属)の花を幾つか見かけました。これはアマチャ(甘茶;ユキノシタ科アジサイ属)です。アマチャは日本固有種のガクアジサイの変種といわれ、花の形もによく似ています。アマチャの若い葉から煎じて作った飲料は甘茶といい、古くから仏教の花祭りの際に用いられてきました。

ヤマアジサイ(ユキノシタ科アジサイ属、別名:サワアジサイ)です。本州からから四国・九州に分布し、湿り気のある林や沢沿いに生育することからサワアジサイの別名があります。ヤマアジサイもガクアジサイと花の形がよく似ていますが、ガクアジサイよりも花序が小型で、野趣に富んだ紫陽花と言えます。

咲き始めの西洋アジサイ(ユキノシタ科アジサイ属)です。こんもりと円錐状に咲き、観賞用として庭木にもよく用いられています。単にアジサイというとこの西洋アジサイのことを思い浮かべる人が多いと思います。もうすぐ近所の白山神社でも、紫陽花祭りが始まります。梅雨空に紫陽花、しっとりとした感じでいいですね。





この時期、ハナショウブ(花菖蒲;アヤメ科アヤメ属)もアジサイと並ぶ風物詩になっています。都内では、堀切菖蒲園、明治神宮、小石川」後楽園をはじめ各所で花菖蒲を楽しむことが出来ます。植物園内にも花菖蒲田がありますが、まだポツポツと本当に咲き始めの感じでした。ここもあと1~2週間で見頃になると思われます。花菖蒲にはいろんな園芸種があって名前までは確認できませんが、ポツリポツリと咲き出した花々を以下に紹介します。青紫、紫、白、黄など色とりどりで、形状も微妙に異なります。

園内のボダイジュ通り付近で、セッコウガキ(浙江柿;カキノキ科カキノキ属)の花を見つけました。花の縁が赤なっていて小さない可愛らしい花です。葉を見ると確かに柿の葉です。詳しくは分かりませんが、中国の浙江省にちなんだ名前のようです。これまで10年間にわたり何度も植物園を訪れていましたが、今回初めてこの花を見つけました。植物園は奥が深いですね。まだまだ未知の発見がありそうです。

北米原産の多年草オオトウワタ(大唐綿;ガガイモ科トウワタ属)が花を付けていました。オオトウワタも初めて見つけました。小さな5角形の花が凝集して花序を形成しています。わが国には中国経由で明治時代に渡来し、実が弾けると種にふさふさの綿毛がつくことから唐綿の名が由来。薬効があり、利尿、催吐、下剤などに用いられています。

年が明けて、草むらや林地に咲き出したフクジュソウ、ユキワリイチゲ、イチリンソウ、ニリンソウ、カタクリなどの春の妖精たち(スプリング・エフェメラル)が地表から姿を消し、その代わり、この時期はドクダミ(ドクダミ科ドクダミ属)の白い花があちこちの草むらを覆わんばかりに盛んに咲き出してきました。花の部分をよく見ると、花弁に見える4枚の白色の総苞のある棒状の花序に淡黄色の小さな花が密生しています。ドクダミは独特の臭気がありますが、十薬と呼ばれるように様々な薬効を有しています。
…> 季節のスケッチ(24年6月)
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