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2012年7月

2012年7月22日 (日)

ニッコウキスゲ、ヤブカンゾウ等のワスレグサの仲間は夏の花々


 この季節、清涼の夏山の高原にに咲くニッコウキスゲは人気があり、この花を求めて大勢の人々が押し寄せます。特に、霧ヶ峰高原、尾瀬、車山などの群落が有名です。私はかつて夏に霧ヶ峰高原を訪れたことがありましたが、その時はニッコウキスゲが咲き終わっていて残念な思いをしたことを覚えています。


           (霧ヶ峰自然保護センターHPより)
 このニッコウキスゲはワスレグサ(忘れ草)の仲間です。ワスレグサとはユリ科ワスレグサ属の多年草のことで、花の形状がよく似ています。ワスレグサ(忘れ草)は朝開いて夕には萎む一日花で、そもそも属名のHemerocallisは「1日美しい」の意味です。中国では萱草と呼ばれます。

 小石川植物園でも、夏の時期に多くのワスレグサの花々を見かけますので、以下にまとめて紹介します。


              (ヤブカンゾウ:2008年7月小石川植物園)


              (ヤブカンゾウ:2012年7月小石川植物園)


              (ヤブカンゾウ:2012年7月小石川植物園)
 園内の随所で見かけるのは、中国原産のヤブカンゾウ(藪萱草)です。八重咲きで濃いオレンジ色が特徴でよく目立ちます。林地や池辺などに野生化して咲いています。草丈は1~2mと高く育ち、匍匐茎を出して拡がります。


                (ノカンゾウ:2006年8月小石川植物園)
 ヤブカンゾウが八重咲きであるのに対して、一重のすっきりした形状のノカンゾウ(野萱草、別名ベニカンゾウ)の花です。ユリの花が上を向いたような形をしています。日本、中国、朝鮮半島、サハリンが原産になります。アゲハが蜜を吸いにきています。


             (ハマカンゾウ:2010年9月小石川植物園)
 海岸に咲く常緑種のハマカンゾウ(浜萓草)です。ノカンゾウと花がよく似ていますが、自生地がほぼ海岸に限定されることや、冬の間でも地上部の葉が残ることが特徴です。


              (ゼンテイカ:2012年7月小石川植物園)
 ゼンテイカ(禅庭花)の花です。ゼンテイカの名よりもニッコウキスゲ(日光黄菅)の名のほうが通用しています。日本の本州などでは高原に普通に見られ、花期は6月上旬から8月上旬。草原・湿原を代表する花で、群生すると山吹色の絨毯のようで美しい。日光の霧降高原も群生地になっていて、 花が黄色で葉がカサスゲ(笠萓)に似ているため、地名を付けてニッコウキスゲと呼ばれるようになったとのことです。


            (エゾゼンテイカ:2005年5月小石川植物園)
 北海道に分布し、湿地や海岸の草原に自生するエゾゼンテイカ(蝦夷禅庭花、別名は蝦夷萓草)です。ゼンテイカに地域名を付して種を区別しているようです。


           (マンシュウキスゲ:2003年5月小石川植物園)
 わが国に自生するエゾキスゲの基本種となるマンシュウキスゲ(満州黄菅)。開花期が5~6月と早めで、鮮やかな黄色の花が特徴的です。


           (ムサシノキスゲ:2003年5月小石川植物園)
 やはり早い時期に開花するムサシノキスゲ(武蔵野黄菅)です。東京府中の丘陵地に自生しています。


                (ユウスゲ:2005年7月小石川植物園)
 鮮やかなレモン色をしたユウスゲ(夕菅)の花です。別名はキスゲ(黄菅)。夕方に開花して翌朝にしぼむ一日花です。清楚な感じがします。


            (ユウスゲ:2004年8月山形自動車道古関PA)
 かつて山形自動車道の古関PAで咲いているのを見つけたワスレグサの花ですが、夕方近い時間だったことや花の色合いなどからユウスゲの花ではないかと思っています。アキアカネのトンボがとまっていました。



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2012年7月 9日 (月)

梅雨の中休み、夏の花木やユリ科の花々が咲き出す


 7月に入ってもぐずついた天気が続いていましたが、8日(日)の午後から晴れ間が広がり梅雨の中休みに入ったようです。私は慌ててカメラ片手にすぐ近くの小石川植物園にウォーキングを兼ねて閉園時間を気にしながらも出かけてきました。


 晴れ上がっていましたので、園内から東京スカイツリーがよく見えました。右側は常緑樹のオキナヤシ(翁椰子)です。園内の小石川養生所で使われたという古井戸のところが眺望に適しています。5月22日に開業して以来、人気の観光スポットになっているスカイツリーですが、夏休みを控えてこの11日からは当日券の発売も始まるそうです。




 園内では、インドや中国原産で夏の代表的な花木のムクゲ(木槿;アオイ科フヨウ属)の花が咲き始めました。夏の間中しっとりと目を楽しませてくれます。楚々とした和風の風情をもっていますが、お隣の韓国でもムグンフアと呼ばれ人気があり、国花になっているほどです。庭木として広く植栽されていて、夏の茶花としても用いられています。


 炎暑の夏を延々と咲き続けるキョウチクトウ(夾竹桃;キョウチクトウ科キョウチクトウ属)のピンク色の花が咲き出しました。中国原産の常緑低木で夏の代表的な花木です。葉が竹に似て、花が桃に似ていることから名が由来。キョウチクトウには経口毒性があるので要注意。花、葉、枝、根、果実すべての部分と、周辺の土壌にも毒性があります。

 クサキョウチクトウ(草夾竹桃;ハナシノブ科フロックス属)の花も咲いていました。名前は似ていますが、キョウチクトウとは関連がないようです。クサキョウチクトウは観賞用植物として世界各国で栽培されている多年草で、かつてはオイランソウとも呼ばれていたが、イメージが良くないということで最近は宿根フロックスと呼ばれることが多い。


 この時期はユリ科の花々も多く見かけるようになります。これはオニユリの変種で黄金色に輝くオウゴンオニユリ(黄金鬼百合;ユリ科ユリ属)です。対馬のみに自生しますが、自生地が減少しているので保護復活させようとする動きがあるそうです。


 ヤマユリ(山百合;ユリ科ユリ属)の花も咲いていました。ヤマユリは日本固有のユリで山地の林縁や草地に分布します。豪華な雰囲気で強い甘い香りを放ち、王者の風格を有するユリの花です。




 ユリ科ワスレグサ属の多年草のことをワスレグサ(忘れ草)といいます。多くのワスレグサはこの季節に咲き出します。上の花はヤブカンゾウ(藪萱草)です。八重咲きで濃いオレンジ色が特徴の花で、園内の各所に野生化して咲いています。


 同じワスレグサの仲間のゼンテイカ(禅庭花)。別名のニッコウキスゲの呼び名がよく知られています。本州の高原に自生しますが、特に日光の霧降高原、尾瀬ヶ原、車山などの群落が有名です。園内ではこれ以外にも、エゾゼンテイカ(蝦夷禅庭花)ノカンゾウ(野萓草)ハマカンゾウ(浜萓草)マンシュウキスゲ(満州黄菅)ムサシノキスゲ(武蔵野黄菅)ユウスゲ(夕萓)などのワスレグサの花々も咲き出してきます。


 夏の花木やユリ科の花々以外にも、いろんな花が咲いていました。美しい佇まいのキクイモモドキ(菊芋擬き;キク科キクイモモドキ属)の花が群れて咲いていて、風にたなびいていました。「・・モドキ」の名は花に対して失礼だと思います。幸いにも、キクイモモドキには姫向日葵の風流な別名が付いています。


 透き通っていて妖美な感じのアザミゲシ(薊芥子;ケシ科アザミゲシ属)の黄色の花です。茎や葉にアザミのような鋭いトゲがあります。種子から油が採れ、古くは石鹸の原料や灯火の油として使われていたそうです。シロアザミゲシもアザミゲシ属の仲間です。




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2012年7月 4日 (水)

梅雨前線が依然活発な7月、幻想的な合歓の花が満開です


 7月に入りました。梅雨前線が活発で九州地方中心に大きな豪雨災害をもたらしています。また、この梅雨前線は、わが国のみならず中国浙江省、バングラディシュ、インドのアッサム州まで東西に延びていて、各国でも洪水、地すべりなどの災害が発生しています。本当に世界的に気象が荒くなっているような気がしてなりません。


 一方、植物の世界では先月までの梅雨空に似合うアジサイ(紫陽花)やハナショウブ(花菖蒲)などの花が主役の座を降り、キョウチクトウ(夾竹桃)やムクゲ(木槿)などの夏の花木が咲き出すようになります。また、木々の緑も一層濃くなり、大樹の夏木立も見応えがあります。
  

 7月に入ってすぐの週末(6/30、7/1)に小石川植物園を半月ぶりに訪れてきました。半月は短いようでも、植物の世界の様子は大きく変わっていました。アジサイ(紫陽花)の花はまだ少し咲き残っていましたが、ハナショウブ(花菖蒲)タイザンボク(泰山木)の花は跡形もなくなっていて、ちょっぴり残念な気分でした。

 その代わり、合歓(ねむ)の花が満開になっていて樹木いっぱいに美しく咲き広がっているのを見つけて、大いに感激しました。大満足でした。



 夜になると葉が眠ったように閉じてしまうことから名が由来するネムノキ(合歓木;マメ科)の花です。このときは午前10時頃でしたので、もう目が覚めたようで樹木いっぱいに花を付けていました。一つ一つの花をよく見ると、幻想的な美しさを感じさせます。

 かつて芭蕉は、奥の細道の旅程で秋田県の象潟を訪れています。そして雨にうたれる合歓の花に、中国の悲劇の美女西施を思い 浮かべ「象潟や 雨に西施が ねぶの花」と詠んでいます。

 ちなみに、当時の象潟は、「東の松島と西の象潟」と言われるように海に小さな島々が浮かぶ景勝地だったとのことですが、その後、文化元年(1804年)の大地震で隆起し、以後平地となって現在にいたっているそうです。

 植物園内では、合歓の花以外に、キョウチクトウベニバナタチアオイアザミゲシなどのこの時期ならではの花々も見かけました。



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