炎天下の小石川植物園には、戦争の歴史を秘める占守鋸草ほか
8月5日(日)、蓮の花咲く早朝の上野不忍池に引き続いて、小石川植物園も訪れてきました。開園直後でしたが、猛烈な暑さには参りましたが、北方領土の歴史を秘める占守鋸草をはじめ夏の花々が炎天下でも暑さにめげず咲いていました。

この日、上野不忍池から帰ったあと小石川植物園を訪れてきました。9時半頃には入園したのですが、炎天の夏の陽射しが厳しく、出来るだけ木陰を歩くようにして園内を回ってきました。それでも草むらからもむっとした熱気が立ち上り、相当に大変でしたので早足で駆け回って1時間ほどの短時間の散策になりました。
入園してすぐの所にメタセコイア林があります。メタセコイアはスクッと天に向かう樹姿が見える冬木立が見事ですが、この時期にはうっそうと木の葉が生い茂り、深緑の衣に覆われた夏木立に変貌しています。

植物園の薬草園の片隅にひっそりとシュムシュノコギリソウ(占守鋸草;キク科ノコギリソウ科)の花が咲いていました。この花は千島の北東端にある占守島で発見され、国内では利尻島、礼文島、北海道北部の山地に分布しています。

占守島は千島列島の最北端に位置する島で当時日本に帰属していました。ところが、日本がポツダム宣言受諾し終戦を迎えた後になって、ソ連軍が火事場泥棒的に突然占守島に上陸して侵略を開始ししたのです。その後、千島列島一体を不法に占拠し現在に至っており、この占守島の戦いは北方領土問題の原点になります。
ちょうど、この時期に占守島に咲く占守鋸草は、ソ連軍の侵略行為を目の当たりに見ていたわけで、北方領土の歴史を秘める花とも言えます。(→ 占守鋸草:戦争の忘れざるべき歴史を秘めた花 )


植物園の池の辺に、細かな白い花で覆われた大樹を見かけました。中国原産の落葉高木エンジュ(槐;マメ科エンジュ属)です。枝先の円錐状の花序に白い蝶形花が多数付き、蜜蜂などがよく集まってきます。花や蕾にはルチンを多く含有し、蕾を乾燥させたものは、槐花という生薬で止血作用があります。街路樹や庭木などに多く用いられています。

関東以西に分布する落葉低木ハマボウ(浜朴;アオイ科フヨウ属)の黄色の花です。花芯の濃いエンジ色がアクセントになっています。海岸沿いや河口付近の干潟の陸側や湿地帯に生育し、潮間帯での植生がマングローブに類似することから、半マングローブ植物と呼ばれることもあります。

北米原産の宿根草モミジアオイ(アオイ科フヨウ属、別名:紅蜀葵)の大きな赤い花です。冬は地上部が枯れて根の状態で越し、毎年花を咲かせます。フヨウ、ハイビスカス、ハマボウなどと同じようにアオイ科フヨウ属に属しますが、木本ではなく草本になります。葉がモミジに似ていることからこの名が由来。

北米原産の多年草シカクヒマワリ(四角向日葵;キク科テトラゴノテカ属)の黄色の花です。背が高いシカクヒマワリは小さくて華奢な花を多く咲かせ、後方の木々とうまく調和した風景になっています。面白い名前ですが、茎の断面が四角なことからこの名前が付いたとのこと。

中国原産のフサフジウツギ(房藤空木;ゴマノハグサ科フサフジウツギ属)です。花が美しいので園芸用に栽培されます。淡紫色の房状の花穂に沢山の小さな花が付いています。蜜が多いのでよく蝶が集まります。

湿地に生える大型の多年草ミズカンナ(水カンナ;クズウコン科ミズカンナ属)が、園内の池に群生しています。背丈は1~2mになります。青々とした大きな葉の間に目立ちにくいのですが、よく見ると小さな紫色と白色が交じった花を付けています。水生植物であることと、葉がカンナに似ていることからこの名が付いたとのこと。
…> 季節のスケッチ(24年8月)
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