若手囲碁棋士の井山裕太本因坊が史上初の六冠達成

井山新棋聖は23才の若さで天元、王座、碁聖、十段と合わせて、七大タイトルのうち六つを占める史上初の六冠となりました。また、過去に名人も獲得しており、史上最年少での七大タイトル制覇(グランドスラム)も達成したことになります。 ちなみに、囲碁界の七大タイトルは次のようになっていて、タイトルの順位は、優勝賞金の大きさによって決まり、「棋聖」は最高位のタイトルになります。
囲碁7大タイトル | ||||
棋戦名 | 主催・協賛等 | 創設年 | 挑戦手合 | 優勝賞金 |
---|---|---|---|---|
![]() | 読売新聞社 | 1976年 | 七番 | 4500万円 |
![]() | 朝日新聞社 | 1976年 | 七番 | 3700万円 |
![]() | 毎日新聞社他 | 1940年 | 七番 | 3200万円 |
![]() | ブロック紙3社連合 | 1975年 | 五番 | 1400万円 |
![]() | 日本経済新聞社 | 1952年 | 五番 | 1400万円 |
![]() | 新聞囲碁連盟 | 1975年 | 五番 | 800万円 |
![]() | 産経新聞社 | 1961年 | 五番 | 750万円 |
なお、七大タイトル以外にも以下のような囲碁棋戦があります。
その他の主な囲碁棋戦 | ||||
棋戦名 | 主催・協賛等 | 創設年 | 挑戦手合 | 優勝賞金 |
---|---|---|---|---|
![]() | 日本電気 | 1981年 | - | 1000万円 |
![]() | 阿含宗他 | 1994年 | - | 1000万円 |
![]() | しんぶん赤旗 | 1975年 | - | 200万円 |
![]() | 中日新聞社 | 1953年 | - | 170万円 |
![]() | 大和証券G | 2006年 | - | 500万円 |
![]() | 日本放送協会 | 1953年 | - | 500万円 |
![]() | 囲碁・将棋ch | 1990年 | - | 600万円 |
(女流棋戦) | ||||
![]() | 共同通信社他 | 1981年 | 五番 | 580万円 |
![]() | 産経新聞社他 | 1988年 | 三番 | 500万円 |
![]() | NTTドコモ | 1997年 | 三番 | 500万円 |
今回の棋聖戦は、かつて五冠を保持していた張栩棋聖にとっては、次第にタイトルを奪われ最後の一冠になっていました。勝負の世界に非情さはつきものとはいえ、最後に投了するときの張栩棋聖の気持ちは、察して余りあるものがあります。ただ、彼は33才でまだまだ若いわけですので、捲土重来を期待したいと思います。
一方、井山六冠はしばらくトップとして君臨し続けるものの、23才の井山六冠 v.s 30代の四天王(張栩阿含桐山杯33才、高尾NEC杯36才、山下名人34才、羽根王冠36才)の激闘を中心に囲碁界が動いていくものと思われます。とにかく、井山の碁の内容が溌剌としていて、本当に強いの一語に尽きます。従来の定石にとらわれず自由奔放に碁を打っていて、私たち視聴者も次はどんな手を指すのかとハラハラドキドキしながらも小気味よく彼の碁を楽しむことができます。
実は、自在の碁の裏には緻密な読みがあります。前に「情熱大陸」のテレビ番組に出演したときに1分間でどれだけ手を読めるかと質問されていましたが、数百手から千手位は読むことが出来るそうです。すごい読みです。

日本の囲碁界にはいろいろと課題がありますが、まずは中国勢や韓国勢が独占している世界戦を制覇することです。棋聖戦6局の解説者をしていた高尾紳路九段(張栩棋聖と同世代で四天王の一人)も、彼(井山)の碁は中国、韓国でも強いと評判で、十分に世界戦を勝ち抜く可能性あり、と大きな期待を寄せていました。
経済や防衛などの分野での強い日本の復活が、今のわが国社会の悲願になっていますが、囲碁の分野でも歩調を合わせて世界一になってくれることを念願します。
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