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2013年4月

2013年4月21日 (日)

将棋電王戦でコンピュータが勝利、プロ棋士を撃破


 将棋の世界では、人間(プロ棋士)とコンピュータ(将棋ソフト)の激闘が続いていますが、先日コンピュータ軍団がトッププロ棋士チームを打ち破り、大変なことになってきました。

 将棋ソフトは日進月歩の勢いで開発が進み、今やアマチュアの棋力を超え、プロ棋士並みの力量を持つようになってきています。ここ数年の両者の戦いを振り返ってみます。

2007年3月 渡辺竜王 v.s. ボナンザ
 2007年3月、前年の世界コンピュータ将棋選手権で優勝した最強の将棋ソフトボナンザが、トッププロ渡辺明竜王に平手で挑戦しました。それまで将棋連盟はプロ棋士が将棋ソフトと対戦することを規制し ていたので、初めての公式対局とあって、多数の将棋ファンの注目を集めました。将棋は、終盤まで緊迫した局面が続きましたが、最後は一手違いで渡辺竜王が112手の熱戦を制しました。竜王の貫禄勝ちといったところでしょうか。


2010年10月 清水市代女流王将 v.s. あから2010
 次は、コンピュータ将棋(あから2010)が清水市代女流王将に挑戦しました。対局途中、あから2010は人間であれば到底考えつかないような意表を突いた手を指して、その後清水を圧倒。結果はあから2010の勝利。コンピュータが大和撫子を凌駕した瞬間でもありました。


 → RWCPの成功がもたらした「コンピュータ将棋(あから2010)が女流王将に勝利」


2012年1月 故米長邦雄永世棋聖 v.s. ボンクラーズ
  (第1回将棋殿王戦)

 清水女流のリベンジとばかり、今度は将棋連盟会長(当時)を務めていた米長邦雄永世棋聖(故人)が、強豪ソフトのボンクラーズと対戦。入念な作戦を練っていた米長は中盤まで善戦したものの、一瞬の隙を突かれて攻め込まれあえなく返り討ち。結果はボンクラーズの勝利。米長は、この対局を第1回将棋電王戦として、翌年の第2回は団体戦とすることを発表した。


 → コンピュータ将棋ソフト「ボンクラーズ」が米長邦雄永世棋聖に完勝

 この流れを受けて、今年の第2回将棋電王戦の団体対抗戦が行われました。第2戦、第3戦の戦いは、それぞれ女流棋士、現役引退棋士との対局でしたので、いくら最強ソフトといえども、現役バリバリのプロ棋士であれば何とか撃退してくれるのではと誰しもが淡い期待を抱きながら、今回の第4戦を迎えることなったわけです。

 本棋戦の内容は、5人の現役プロ棋士と5つの最強コンピュータ将棋ソフトが闘うというものです。プロ棋士チームは、新進気鋭の若手からA級在籍のトップ棋士たちです。これに対して、コンピュータチームは第22回世界コンピュータ選手権で勝利した上位5チームの将棋ソフトです。

 今回の戦いを関係者は固唾を飲んで見守りました。果たして、その結果は?
2013年3月~4月 現役プロ棋士 v.s. 最強将棋ソフト
  (第2回将棋電王戦)



  • 第1局 3月23日 ○ 阿部光瑠 四段 v.s. ● 習甦
  • 第2局 3月30日 ● 佐藤慎一 四段 v.s. ○ ponanza
  • 第3局 4月 6日 ● 船江恒平 五段 v.s. ○ ツツカナ
  • 第4局 4月13日 △ 塚田泰明 九段 v.s. △ Puella α
  • 第5局 4月20日 ● 三浦弘行 八段 v.s. ○ GPS将棋

 最終第5局で、東京大学の研究者らが開発したソフト「GPS将棋」が三浦弘行八段(39)に勝ち、団体戦は将棋ソフト側の3勝1敗1分けとなり、人間がコンピュータに敗れてしまいました。コンピュータが人間の頭脳に一層近づいてきました。

 特に最終局の三浦八段は名人挑戦権を争うA級棋士のトップクラスでしたので、予想に反しての完敗に将棋界には大きな衝撃が走りました。最終戦・第五局の終局後に東京・千駄ヶ谷の将棋会館にて全体記者会見が行われ、谷川浩司連盟会長は次のような厳しい所感を語っています。
  • 『今回の結果は、プロ棋士にとって厳しい現実をつきつけられましたが、5名のプロ棋士はきっちりと準備・研究をして、全力を出し切ったと思います。今日の三浦八段の姿を見ると心が痛みますが、決して責任を感じることなく胸を張って欲しい。若いプロ棋士は(電王戦の経験を)プラスに繋げて欲しいと思います』
 この勢いでは、数年後にはコンピュータ軍団が人間側の渡辺竜王、森内名人、羽生3冠の「最後の砦」に戦いを挑むことになりかねません。このような最終決戦を見たいような、見たくないような複雑な心境です。

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2013年4月18日 (木)

役に立つ情報セキュリティ対策


 先日、昨今の情報セキュリティを巡る話を聴く機会がありました。最近のサイバー攻撃とかフィッシングとか日々多様化しているようで、私たちが完全に防ぎきるのは不可能のようです。

 だからといって、手をこまねいていたら益々事態は深刻化するわけで、日常的に普通の情報セキュリティ対策を講じることがやはり基本のようです。

 ほとんどの人がセキュリティソフトをPCにインストールしていると思いますが、これは最低限のことで、これ以外に割と簡単に導入できる対策を教えてもらいましたので、幾つか紹介します。


(1)IPAのバージョンチェッカソフトを実行する

 Windows OS の更新は、自動的に Windows UPDATE が働くので問題がないのですが、Acrobat とか JAVA などの有名ソフトウェアは自動更新がないので、要注意のようです。すなわち、古いバージョンの上記ソフトウェアは脆弱性を狙われるので、絶えず最新のバージョンにアップしておくことが肝要です。

 個別に個々のソフトの最新状態を調べに行くのは非常に面倒なことなのですが、すべてまとめて最新バージョンかどうかを調べてくれるサイトが、IPAのホームページ上に存在します。このサイトは MyJVN バージョンチェッカ といい、専門家の間では有名なサイトのようです。
     

 私も、この MyJVN バージョンチェッカ を用いて調べてみたのですが、予想外に多くのソフトが古いバージョンのままになっていましたので、手順に従って早速バージョンアップを済ませました。週に一度は MyJVN バージョンチェッカを実行するのがいいと思います。


(2)USBを挿入したときに「自動再生」を停止する

 学会などで論文集の入ったUSBをパソコンに挿入したときに、自動再生設定がされていると、自動的にプログラムが動くので、ファイルがウィルスで汚染されている場合、簡単にそのウイルスがPCに移ってきたり、悪さをしたりすることになってしまうので要注意です。

 これを防ぐには、WindowsのOSによって異なりますが、7/Vistaの場合には、コントロール パネル→ハードウェアとサウンド→自動再生と画面を開いて、「すべてのメディアとデバイスで自動再生を使う」のチェックを外します。

 聞くところによると、中国などでは海賊版(非正規版)のWindowsOSが多くのPCに入り込んでいるため、ウィルス汚染が蔓延しているようです。できるだけ用心しましょう。


(3)無線LANルーターのWEP方式の暗号処理は丸見えと心得る


 無線LANルーターとPCとの間のメッセージのやり取りは、暗号化されているので安全と思いがちですが、そうでもないようです。初期の無線LANルーターの暗号化はWEP方式を用いることが多かったのですが、その後WEP方式は簡単に解読できるようになり、今やWEP方式で暗号化しても「丸見え」の状態のようです。

 これにもかかわらず、現在でも約半数のPCがWEP方式で無線LANを用いているとのことです。日頃使っている無線LANの状態を点検してみることをオススメします。

 最近では、WEP方式に変わり、WPA/WPA2方式が普及していますが、この方式は大丈夫とのことです。

以上、簡単にできる情報セキュリティ対策の紹介でした。



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2013年4月14日 (日)

西蔵王高原に咲くミズバショウ、ザゼンソウ、ショウジョウバカマ等の山野草


 4月中旬、用事があって郷里の山形(東根)を訪れてきました。東北自動車道を北上し、山形自動車を経由して郷里に入りますが、ドライブの道すがら北国の春の風景を楽しんできました。太平洋側では、ヤマザクラ、コブシ、ハクモクレンなどの木々の花々が、自動車道から眺望できる山里の所々に咲き出していて春の訪れを実感できました。

   
 一方、日本海側は山々に雪渓が残り、サクラの開花には少し早い時期でした。しかし、西蔵王高原の山麓に広がる山形市野草園でザゼンソウが咲き出したというニュースが聞きつけましたので、それではと車を飛ばして野草園に出かけてきました。


 野草園にミズバショウの谷と呼ばれる湿地帯があって、ワインレッド色のザゼンソウが点在して開花しているのが見受けられました。また、ザゼンソウに混じって、純白色のミズバショウの花が咲き出しています。あいにくと、この日は粉雪が舞う寒い日でしたが、カメラを持つ手がかじかみながらも、張り巡らされている回廊を夢中で走り回りました。


 山地の湿地に生育するザゼンソウ(座禅草;サトイモ科)。ワインレッド色の仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる苞が中心部分に花序を囲っています。この様子が、お坊さんが座禅を組む姿に見えることから、座禅草の名が付いたされています。ダルマソウ(達磨草)とも呼ばれます。開花する際に中心部の花序が発熱して周囲の氷雪を溶かし、早い時期に顔を出すことで、この頃には数の少ない昆虫を独占するとのことです。


 ザゼンソウに交じって純白色のミズバショウ(水芭蕉;サトイモ科ミズバショウ属)も咲き出していました。ミズバショウもザゼンソウと同様、白い花のように見える部分は仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ぶ葉が変形した苞で、真ん中の緑の部分に粒々のような小さな花が結集して花序が形成されています。ミズバショウは、小さい頃の「夏の思い出」の歌の印象が強いのですが、実際には4月頃に咲き出します。


 この湿地帯で、珍しい野の花を見つけました。ショウジョウバカマ(猩々袴;ユリ科ショウジョウバカマ属)です。猩々袴の名は、花が赤いのを中国の伝説上の動物の猩々になぞらえ、根生葉の重なりが袴に似ていることから由来するとのこと。
 
 春先に開花し夏まで葉をつけると、あとは広葉樹林の林床などの地中で過ごす一連の野の花を総称してスプリング・エフェメラル(春の妖精) と呼びますが、実はショウジョウバカマはスプリング・エフェメラルの仲間です。私のWebコレクションが増えました。


 ミツガシワ科アサザ属の多年草アサザ(浅沙)も、この近辺で咲いていました。浮葉性植物で、地下茎をのばして生長し、スイレンに似た切れ込みのある浮葉をつけます。アサザは日本では本州や九州などの湖沼や池に生育しますが、近年、水辺の護岸工事や水質汚濁、水位操作に伴い、各地で個体群が消滅、縮小しているそうです。


 フクジュソウ(福寿草;キンポウゲ科フクジュソウ属)もかたまって咲いていました。フクジュソウもスプリング・エフェメラルの仲間です。春の陽光があれば、まぶしいような黄金色を放ちながら輝きます。あいにく陽光のないこの日は、寒さに身を寄せ合っているようでした。フクジュソウの群れの中に、フキノトウ(蕗の薹)が交じっていました。


 やはり寒さに凍えているミスミソウ(三角草;キンポウゲ科ミスミソウ属)を見かけました。ミスミソウは本州から九州にかけて分布する常緑の多年草で、山間部の落葉樹林の林床や傾斜地に自生します。ミスミソウの名は、葉が三角形になる種類があるところから由来。天気が良ければ、花が開いて可憐な姿が見えるのですが、この時は萎んだままで残念でした。

 これ以外にも、開花が始まっているはずのセツブンソウ、アズマイチゲ、キクザキイチゲなどの野の花も日差しがないので出会い叶わず残念でしたが、今後の楽しみにしておきます。


 山形市から北へ約20km、郷里の東根市の風景です。田んぼの雪は消えていますが、出羽山系の山々はまだ雪渓を抱いています。真白で丸い月山の山頂の部分が左方に見えます。


 田んぼのあぜ道には、春の野の花が咲いていました。これは、ミチタネツケバナ(道種漬花;アブラナ科タネツケバナ属)です。空地や道端などによく生えています。よく見ると、ミチタネツケバナの近くにオオイヌノフグリやヒメオドリコソウも咲いています。


 ツクシ(土筆)がニョキニョキと伸びてきているのを見かけました。ツクシの周りにはスギナ(杉菜;トクサ科トクサ属)がツンツンと生えていますが、両者は同一の植物体で、スギナの胞子体がツクシです。


 往路(下り)の東北自動車の安達太良PAからは、高村光太郎の「智恵子抄」で有名な安達太良山が展望できます。かすかに雪が山頂に残っています。智恵子の実家はこの地の酒蔵でした。



 またこのPA内には、ハクモクレンやヤマザクラの花が力強く咲いていました。まさに、春を歓ぶ北国の風景です。

 この他にも、いろんな写真があります。
     …> 季節のスケッチ(25年4月)


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2013年4月 7日 (日)

春花斉放(続):野の花もにぎやかです

 ソメイヨシノの宴の後の 4/7の小石川植物園の風景(続々)です。野の花も春花斉放です。シャガ、オオアマナ、イチリンソウ、ムラサキケマンなど賑やかになってきました。


 シャガ(著莪;アヤメ科アヤメ属)の花が咲き出し、ニュートンのリンゴの木の近くの草むらに群生していました。シャガの白い花に交じった黄と青の模様は、何とも幻想的です。この花は1日しかもたず、開花した翌日にはしぼんでしまいます。


 オオアマナ(大甘菜;キジカクシ科オオアマナ属)の星型の白い花です。一見するとハナニラ(花韮;ヒガンバナ科ハナニラ属)の花に似ていますが、各花弁が細長くスッキリした印象です。そして、ハナニラの花期が終わった頃から、オオアマナが咲き出します。これから春の陽射しを浴びてとまぶしく輝いていて園内のあちこちの林床を一面の白に染めていきます。明治の末頃、ヨーロッパから入ってきた帰化植物です。


 束の間の春の期間だけ地上に顔を出すスプリング・エフェメラル(春の妖精)の仲間のイチリンソウ(一輪草;キンポウゲ科イチリンソウ属)の白い花です。林地の草むらで一輪だけ見つけました。イチリンソウはひとつの茎に花をひとつだけ咲かせ、ニリンソウと比べて大柄の花です。


 イチリンソウの近縁種のニリンソウ(二輪草;キンポウゲ科イチリンソウ属)の花は、先月から咲き続けています。このニリンソウはひとつの茎からちょうど2輪の花が咲き出しています。やはり、スプリング・エフェメラルの仲間で山麓の林の縁や林の中、土手などに生えています。


 赤紫色の花序を付けたムラサキケマン(紫華鬘;ケマンソウ科キケマン属)も園内の随所で見つけました。ムラサキケマンの花期は4~6月で、キケマン属に特徴的な筒状の花を咲かせています。やはり、スプリング・エフェメラルの仲間で初夏まで成長した後、地上部が枯れ、地下に団子状の塊茎を残します。そして、その年の秋になると数枚の葉を出して年を越し、春になると花茎を立てて花をつけるといったライフサイクルを有しています。全草にプロトピンを含み有毒。誤食すれば嘔吐・呼吸麻痺・心臓麻痺などを引き起こすので要注意。


 キケマン(黄華鬘;ケマンソウ科キケマン属)の黄色の花も見つけました。関東から九州の海岸や低地の木陰に生えます。主に海岸近くの木陰に生育します。ムラサキケマンと同じキケマン属で、やはり毒性があります。なお、華鬘というのは仏殿の欄間などの装飾具のことです。形状がよく似ています。


 セリバヒエンソウ(芹葉飛燕草;キンポウゲ科デルフィニウム属)の青紫色の花が咲いていました。セリのような葉と、この花の姿が燕の飛ぶ姿を思わせることからこの名が由来。中国原産で明治時代に渡来し、現在では東京を中心に分布しています。


 ムスカリ(キジカクシ科ムスカリ属)の濃い青紫の小さな花がブドウの房を逆さにしたように並んで咲いていました。園芸植物としてよく栽培され、ブトウヒアシンスの別名があります。タンポポやヒメオドリコソウもムスカリに交じって咲いていました。

 この時期は木々の花だけでなく、草むらで可憐な野の花を見つけるのも大きな楽しみになります。

    …> 季節のスケッチ(25年4月)

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春花斉放:花水木、ハンカチノキ、ツツジ、石楠花、ハナズオウ……

 ソメイヨシノの宴の後の4月7日の小石川植物園の風景(続)です。さまざまなサクラの花以外にも、花水木、ハンカチノキ、ツツジ、石楠花など次々に開花し始め、まさに色鮮やかな春花斉放の季節到来です。

  …> 季節のスケッチ(25年4月)


 長く冬木立だったメタセコイア林も新緑で覆われてきました。林の下方では、色とりどりにツツジの花が咲き出してきました。




 白いハナミズキ(花水木;ミズキ科ヤマボウシ属)の花が開花してきました。青空によく調和しています。最近では街路樹にもよく用いられます。かつて私の米国駐在時の住まいにも紅色のハナミズキが咲いていたのが思い起こされます。米国では"dogwood"と呼ばれていました。


 ハンカチノキ(ミズキ科ハンカチノキ属)も高木の樹上で白いハンカチのような花が春風の中でヒラヒラと舞っていました。たくさんの白鳩が飛び出そうとするようにも見えます。英語では"Dove tree"(鳩の木)といわれます。


 シャクナゲ(石楠花;ツツジ属無鱗片シャクナゲ亜属シャクナゲ列)の高木に真っ赤な花が盛んに咲いていました。シャクナゲ(石楠花)はツツジの仲間です。高山性の常緑低木で、日本全土の亜高山帯や周辺の渓谷に自生します。


 これはアカボシシャクナゲ(赤星石楠花)です。本州の中部地方から四国にかけて分布し、山地の林の中に生えています。


 園内にもヤマツツジ、オオヤマツツジ、キリシマツツジ、リュウキュウツツジ、オンツツジなど本当にいろんな種類のツツジ(躑躅)が植えられていて、咲く時期もバラバラですが、やはりこの季節に咲くツツジが見応えがあります。この日は日の出霧島という園芸種(キリシマツツジ)が咲き出していました。


 園内ではツツジ科でツツジ属以外の植物も見かけます。これは、ドウダンツツジ(満天星躑躅;ツツジ科ドウダンツツジ属)です。小さな鈴状の白い花が満天の夜空に輝く無数の星のように咲きます。ドウダンツツジは秋に美しく紅葉します。


 ドウダンツツジの花と似たような花が枝いっぱいに付いていますが、躑躅の花ではなくエゴノキ科アメリカアサガラ属のアメリカアサガラ(アメリカ麻殻)の花です。小さな鐘状の花が満開になって空間を覆い尽くしていました。


 冬木立だったイロハモミジの並木径が、新緑で覆われてきました。新緑に近づいてよく見ると、赤紫色の花序が沢山付いていました。秋の紅葉も見事ですが、この時期の新緑も美しく輝いています。


 シモクレン(紫木蓮;モクレン科モクレン属)の高木に、沢山の赤紫色の花が咲き出して春の空に似合っていました。近縁種に白い花のハクモクレンもあります。シモクレンは単にモクレンとも呼びます。


 ウンナンオガタマ(雲南招霊;モクレン科モクレン属)もモクレンの近縁種です。しっかりとした白い花が盛んに咲いていました。神社などによく植えられています。


 ハナズオウ(花蘇芳;マメ科ハナズオウ属)の紫の花が勢いよく咲き出していました。後方のオオリキュウバイの白い花によくマッチしています。ハナズオウの花をよく観察すると、幹や枝から直接吹き出しているように見え、ビッシリと密生しています。


 ハチジョウキブシ(八丈木五倍子;キブシ科キブシ属)の黄緑色の小さな花が塊になって、垂れ連なって咲いていました。ハチジョウキブシは八丈島などの伊豆七島の山中に多く自生しています。
 この日の野の花の様子は、また次の記事で紹介します。

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ソメイヨシノが散っても、まだまだ様々な桜の花が咲いています


 4月7日の日曜日、発達した低気圧が日本海を横断。東京も悪天候が予想されていましたが、強風が吹いたものの幸い日中晴れ上がった時間がありましたので、急いで小石川植物園に出かけてきました。

 今年は早くも3月下旬にはソメイヨシノが満開になりましたので、2週間も経つと葉桜の姿になってしまいますが、まだまだソメイヨシノ以外の桜の花が咲いていました。また、サクラの近縁種の花々も見かけました。

   …> 季節のスケッチ(25年4月)


 つい2週間前は満開になっていて、清楚なサクラの圧倒的なボリュームが私たちを楽しませてくれたソメイヨシノ(染井吉野)の桜並木です。この日は、このようにうっすらとピンク色がかった葉桜の状態になっていました。強風の天気だったこともあり、散策する人はまばらでした。


 ソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンの交雑種ですが、その交雑の研究過程でいろんな品種が作られています。昭和桜の品種名が付いているこのソメイヨシノは、小さめの白い清楚な花が満開に咲いていました。


 ソメイヨシノが散った後でも、多くのサトザクラがたわわに咲き残っています。サトザクラは主に観賞用にオオシマザクラを基にしてヤマザクラ、エドヒガン、カスミザクラ、マメザクラなどを掛け合わされた園芸品種の総称で種類が多い。この八重のサトザクラの品種には一葉(いちよう)の名が付いています。


 雨宿(あまやどり)@サトザクラ。


 晩都(おそみやこ)@サトザクラ。


 ヤエノオオシマザクラ(八重の大島桜)の美しさも見事です。オオシマザクラの八重咲きの栽培品種で、ヤマザクラ群に属します。


 作並山(さくなみやま)の品種名が付くカスミザクラ。カスミザクラ(霞桜)は北海道中部から九州に分布し、早春の山に点々と咲き出します。カスミザクラもヤマザクラ群に属します。


 普通にサクラといわれるのはサクラ属サクラ亜属に属する植物ですが、サクラ亜属以外のサクラ属の花々も見かけます。これは、ウワミズザクラ(上溝桜;バラ科サクラ属ウワミズザクラ亜属)です。北海道、本州に自生。ブラシのような白い花序には小さな花が凝集しています。




 これはセイヨウバクチノキ(西洋博打の木;バラ科 サクラ属バクチノキ亜属)です。ヨーロッパ東南部から西アジア原産の常緑木。白い房状に直立する面白い形状の花序を付けます。花の形状がウワミズザクラとよく似ています。


 リンゴ(林檎;バラ科ナシ亜科リンゴ属)の白い花です。同じバラ科に属しますがナシ亜科になります。白い花はサクラの花に似ていています。このリンゴの木は、いわゆるニュートンのリンゴの木のすぐ隣に植えられていて、盛んに開花していました。


 リンゴの近縁種のヒマラヤズミ(バラ科ナシ亜科リンゴ属)です。白い花が満開になって咲いていました。中国南西部からインド北部、ヒマラヤに分布。ヒメリンゴともいわれ、秋に小さな果実を付けます。


 梅園の近くの池の周りでは、薄ピンク色の山桜と新緑のヤマモミジがコラボしている景色が見られました。いよいよ新緑の季節が始まります。

 この日はサクラ以外の木々の花や野の花も多く咲いていましたので、次のブログ記事で紹介します。


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