« 春花斉放(続):野の花もにぎやかです | トップページ | 役に立つ情報セキュリティ対策 »

2013年4月14日 (日)

西蔵王高原に咲くミズバショウ、ザゼンソウ、ショウジョウバカマ等の山野草


 4月中旬、用事があって郷里の山形(東根)を訪れてきました。東北自動車道を北上し、山形自動車を経由して郷里に入りますが、ドライブの道すがら北国の春の風景を楽しんできました。太平洋側では、ヤマザクラ、コブシ、ハクモクレンなどの木々の花々が、自動車道から眺望できる山里の所々に咲き出していて春の訪れを実感できました。

   
 一方、日本海側は山々に雪渓が残り、サクラの開花には少し早い時期でした。しかし、西蔵王高原の山麓に広がる山形市野草園でザゼンソウが咲き出したというニュースが聞きつけましたので、それではと車を飛ばして野草園に出かけてきました。


 野草園にミズバショウの谷と呼ばれる湿地帯があって、ワインレッド色のザゼンソウが点在して開花しているのが見受けられました。また、ザゼンソウに混じって、純白色のミズバショウの花が咲き出しています。あいにくと、この日は粉雪が舞う寒い日でしたが、カメラを持つ手がかじかみながらも、張り巡らされている回廊を夢中で走り回りました。


 山地の湿地に生育するザゼンソウ(座禅草;サトイモ科)。ワインレッド色の仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ばれる苞が中心部分に花序を囲っています。この様子が、お坊さんが座禅を組む姿に見えることから、座禅草の名が付いたされています。ダルマソウ(達磨草)とも呼ばれます。開花する際に中心部の花序が発熱して周囲の氷雪を溶かし、早い時期に顔を出すことで、この頃には数の少ない昆虫を独占するとのことです。


 ザゼンソウに交じって純白色のミズバショウ(水芭蕉;サトイモ科ミズバショウ属)も咲き出していました。ミズバショウもザゼンソウと同様、白い花のように見える部分は仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ぶ葉が変形した苞で、真ん中の緑の部分に粒々のような小さな花が結集して花序が形成されています。ミズバショウは、小さい頃の「夏の思い出」の歌の印象が強いのですが、実際には4月頃に咲き出します。


 この湿地帯で、珍しい野の花を見つけました。ショウジョウバカマ(猩々袴;ユリ科ショウジョウバカマ属)です。猩々袴の名は、花が赤いのを中国の伝説上の動物の猩々になぞらえ、根生葉の重なりが袴に似ていることから由来するとのこと。
 
 春先に開花し夏まで葉をつけると、あとは広葉樹林の林床などの地中で過ごす一連の野の花を総称してスプリング・エフェメラル(春の妖精) と呼びますが、実はショウジョウバカマはスプリング・エフェメラルの仲間です。私のWebコレクションが増えました。


 ミツガシワ科アサザ属の多年草アサザ(浅沙)も、この近辺で咲いていました。浮葉性植物で、地下茎をのばして生長し、スイレンに似た切れ込みのある浮葉をつけます。アサザは日本では本州や九州などの湖沼や池に生育しますが、近年、水辺の護岸工事や水質汚濁、水位操作に伴い、各地で個体群が消滅、縮小しているそうです。


 フクジュソウ(福寿草;キンポウゲ科フクジュソウ属)もかたまって咲いていました。フクジュソウもスプリング・エフェメラルの仲間です。春の陽光があれば、まぶしいような黄金色を放ちながら輝きます。あいにく陽光のないこの日は、寒さに身を寄せ合っているようでした。フクジュソウの群れの中に、フキノトウ(蕗の薹)が交じっていました。


 やはり寒さに凍えているミスミソウ(三角草;キンポウゲ科ミスミソウ属)を見かけました。ミスミソウは本州から九州にかけて分布する常緑の多年草で、山間部の落葉樹林の林床や傾斜地に自生します。ミスミソウの名は、葉が三角形になる種類があるところから由来。天気が良ければ、花が開いて可憐な姿が見えるのですが、この時は萎んだままで残念でした。

 これ以外にも、開花が始まっているはずのセツブンソウ、アズマイチゲ、キクザキイチゲなどの野の花も日差しがないので出会い叶わず残念でしたが、今後の楽しみにしておきます。


 山形市から北へ約20km、郷里の東根市の風景です。田んぼの雪は消えていますが、出羽山系の山々はまだ雪渓を抱いています。真白で丸い月山の山頂の部分が左方に見えます。


 田んぼのあぜ道には、春の野の花が咲いていました。これは、ミチタネツケバナ(道種漬花;アブラナ科タネツケバナ属)です。空地や道端などによく生えています。よく見ると、ミチタネツケバナの近くにオオイヌノフグリやヒメオドリコソウも咲いています。


 ツクシ(土筆)がニョキニョキと伸びてきているのを見かけました。ツクシの周りにはスギナ(杉菜;トクサ科トクサ属)がツンツンと生えていますが、両者は同一の植物体で、スギナの胞子体がツクシです。


 往路(下り)の東北自動車の安達太良PAからは、高村光太郎の「智恵子抄」で有名な安達太良山が展望できます。かすかに雪が山頂に残っています。智恵子の実家はこの地の酒蔵でした。



 またこのPA内には、ハクモクレンやヤマザクラの花が力強く咲いていました。まさに、春を歓ぶ北国の風景です。

 この他にも、いろんな写真があります。
     …> 季節のスケッチ(25年4月)


|

« 春花斉放(続):野の花もにぎやかです | トップページ | 役に立つ情報セキュリティ対策 »

季節・風景・植物」カテゴリの記事

山形・東北」カテゴリの記事

山形野草園」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 西蔵王高原に咲くミズバショウ、ザゼンソウ、ショウジョウバカマ等の山野草:

« 春花斉放(続):野の花もにぎやかです | トップページ | 役に立つ情報セキュリティ対策 »