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2014年2月

2014年2月23日 (日)

立春過ぎて都心に大雪、小石川植物園の梅林も被害


 立春過ぎて大雪が相次ぎ、小石川植物園の梅林もだいぶ被害を受けてしまいました。

2月の寒気、相次ぐ大雪
 まず、立春以降の天気の動きを振り返ってみます。
 2月に入った頃は気温も高くこのまま陽春を迎えそうな気候でしたが、その後上空に強力な寒気が張り出してきたことから、洋上で発生する南岸低気圧の北進に伴って、相次いで大雪になってしまいました。大雪と言っても、雪国育ちの者からみればたいした降雪ではないのですが、首都圏などは備えがないため、大きな被害が発生しやすいわけです。


 1回目の大雪。洋上で発達した南岸低気圧の接近による8日早朝の雪景色(わが家のベランダからの眺望)。この時点の積雪は3cmでしたが、この後大雪警報が出され、8日中雪が降り続けて結局20cmに達しました。交通機関も休止が相次ぎ、首都圏は大混乱となりました。


[毎日新聞より]

 この日は、盛り上がりに乏しかった都知事選の運動期間の最終日でした。候補者は降りしきる雪の中で最後の訴えを行い、聴衆も寒さに震えながら演説に聞き入っていました。


[朝日新聞より]

 2回目の大雪。翌週14日に再び南岸低気圧が接近し、関東地方に記録的な大雪を運んできました。この2回目の大雪が水分を多く含み重かったことから各地で農業施設が崩壊したり、山梨県内を中心に何日かに亘って多くの車両が道路に立ち往生するなど大きな被害・混乱をもたらしました。


 この写真は16日早朝の小石川植物園ものですが、気温が上がらず、全然積雪が消えていません。この日、先週に引き続き家の前の雪かきをしましたが、湿った雪が重く作業が大変でした。


2月下旬の小石川植物園、枝折れの被害

 3回目の大雪は空振り。23日の週末は雪の恐れがなくなったので、久しぶりに小石川植物園を訪れてきました。大雪前に咲き出していた梅の花がどうなっているのか気がかりで、入園してすぐ梅園に足を運んでみました。


 梅林では紅梅、白梅が2月初旬の頃と同じように咲いていましたので、ひと安心。しかし、よく見てみると、梅の木の枝が折れて垂れ下がっています。


 2回目の降雪が湿気を多く含み重かったので、園内では梅林を中心に多くの木の枝が折れる被害が出ていました。見事な梅の木ばかりですので残念です。

 しかし枝折れの被害があったものの、この日も寒さにめげずいろんな梅の花が咲いていました。  梅林では、この後3月末頃までいろんな品種の梅の花が次々と咲き出してきます。芳香を楽しみながらの梅花鑑賞がまだまだ続きます。

[今年のフクジュソウ 2014.2.23]


[昨年のフクジュソウ 2013.2.9]

 この季節の野の花も、寒い日が続くため開花が遅れ気味です。これは春の妖精(スプリングエフェメラル)の仲間のフクジュソウ(福寿草;キンポウゲ科フクジュソウ属)です。半開状態のものを一輪だけ見つけました。昨年より咲き出しがかなり遅れています。

 同じ春の妖精の仲間のユキワリイチゲ(雪割一華;キンポウゲ科イチリンソウ属)も、恐る恐る地上に顔を覗かせてみたといった感じでした。単なる雑草と思うのでしょうか、誰も気づかず通り過ぎていきます。

 2週間に亘り開催されたソチ冬季五輪(日本勢の獲得メダル数は8個)がこの23日に終了しましたが、振り返ってみると偶然ながら五輪の開催中ずっと寒気が居座り続き、大雪被害をもたらしたことになります。冬季五輪の終了と共に寒気が去り、今週の中頃から陽気が訪れるとのことです。平常生活に戻ることができ、何かホッとした感じになります。

…> 季節のスケッチ「26年2月」


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2014年2月 7日 (金)

BEANSプロジェクト終了1年、BEANS研究者が未来を拓く


BEANSプロジェクトが終了して早くも1年
 早いもので、筆者が係わったBEANSプロジェクト(2008年~2012年)が終了して、約1年経ちました。BEANSプロジェクトは、ナノテク、バイオテクノロジーなどの異分野技術と従来のMEMS技術とを融合させることにより、革新的次世代デバイス(BEANSデバイス)の創出に必要となる基盤的プロセス技術群を開発し、そのプラットフォームを確立することを目的として5年間遂行され、多大の成果を生んで 2013年3月末に終了しました。
      → BEANSプロジェクトの発足 (2008.9.3)
      → プロジェクト終了にあたり (2013.2.12)

 今後はプロジェクト研究成果の実用化が進み、「環境・エネルギー」、「医療・福祉」、「安全・安心」分野等における新しいライフスタイルを創出する革新デバイス・応用システムが次々と出現していくことが期待されます。



 BEANSプロジェクトの成果を普及するため、BEANS技術研究センターが設置され、BEANSパテントショップBEANS知識データベースの運営がなされていて、国プロ終了後の成果普及の新たな取り組みとして注目されています。



高いプロジェクト評価を受ける
 昨年末にNEDOから公開されたプロジェクト事後評価報告書においても、高い評価を受けました。以下、総合評価部分を原文のまま紹介します。
 バイオ技術とIT 技術等の異分野技術を活用した新しい機械の創造という目標は、挑戦的で今後日本の先端機械技術の国際的地位を決める上で重要であり、NEDO プロジェクトとして実施した意義は大きい。

 本プロジェクトは、これまでの縦割り構造社会を打破した異分野融合プロジェクトとして日本のこれからの新しい産業を創造する製造技術という観点から非常にチャレンジングであるにもかかわらず、技術レベルの高い研究成果が得られており、様々なMEMS 応用分野での産業技術としての発展が期待できる。また、本プロジェクトを通してMEMS/NEMS 技術の最先端研究を担う若手研究者が多数育成されたことは大いに評価できる。

 但し、産業化への要素技術としては良いが、開発技術が既存の技術や製品と比べて優位性があるかは疑問が残る。今後、広く他の高機能デバイスに活用するためには、開発したプロセス技術を他の競合技術と比較しその利点・欠点をより明確にすることが必要である。実用化には開発プロセス技術のポテンシャルを俯瞰的に示すプラットフォーム技術マップが有効となると考えられ、そのためには当該プロジェクトで開発したデータベースをさらに整備・改善し、継続的に維持する努力が必要である。


先端科学の革命児はBEANS研究者
 ところで、さる2月2日放映のNHKのサイエンスZEROの番組に、東大生産技術研究所の竹内昌治准教授が「先端科学の革命児」として出演していました。

 大胆な発想で先端科学に革命を巻き起こすユニークな研究者たちを特集するということで、竹内准教授が生きた細胞で人形や編み物を作ったり、細胞をひも状に加工して病気の治療に役立てようという驚きの最新研究についてのリポートでした。

 さらに、番組では医療応用だけでなく、食肉を細胞から作るようにすると家畜を使わずに畜産ができるようになる等、夢のような将来展望が語られ、大いに盛り上がっていました。


[NHK WEBより]

 実は、この番組で先端科学の革命児と紹介された竹内准教授はBEANS研究者です(でした)。彼の研究内容は次のブログ記事 (2009.2.3)に紹介されています。


 上述の事後評価報告書に「本プロジェクトを通してMEMS/NEMS 技術の最先端研究を担う若手研究者が多数育成されたことは大いに評価できる」との記述ありましたが、その通りです。竹内准教授を始め、多くのBEANS若手研究者たちがプロジェクトから巣立ちました。彼らが各研究分野で活躍され、科学技術の発展、わが国経済の再生、さらには人類の福祉向上に大きく貢献していくことを希っています。

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2014年2月 2日 (日)

2月に入り、小石川植物園の梅林が賑やか

 立春を目前にして、最近は三寒四温の典型的な春の気候になってきた感があります。2月に入っての休日は、気温も上がって3月下旬から4月上旬の暖かさでした。春暖に誘われて(?)、小石川植物園の梅林では紅白の梅の花が次第に賑やかになってきました。梅の花以外にも、マンサクやツバキの花、春の野の花も見つけました。


 梅林の様子です。紅白の梅の花が並んで同時期に咲いています。紅梅には黒雲(くろくも)、白梅には長寿(ちょうじゅ)の品種名がついています。

 今日はこれ以外にも、赤、白、ピンクといった色とりどりのいろんな梅の花が咲いていました。見た目の美しさとともに香しい匂いを楽しんできました。その一部を以下に紹介します。




 梅林では、1月から3月までの長い期間、いろんな品種の花が次々と咲き出してきて、私たちを楽しませてくれます。


 先月から咲き始めていたシナマンサク(支那満作;マンサク科マンサク属)の花が満開になっていました。黄色のフワフワとした花が青空に舞っているようです。マンサクという名は、春にまず咲くことに由来します。


 ツバキ(椿)の花も咲き出してきました。晩秋から咲き出すサザンカ(山茶花)と同じ仲間で、花の形も似ていますが、サザンカの花が全開するのに対して、ツバキの花は半開なので区別が付きます。


 春の野の花も少しずつ咲き出してきました。これはオオイヌノフグリ(ゴマノハグサ科クワガタソウ属)で、星くずのように可憐な青い小さな花です。


 春の七草の一つのハコベ(繁縷;ナデシコ科ハコベ属)の花も見つけました。本当に小さな白い花がやっと咲き出したところでした。目を凝らさないと気がつかずに通り過ぎてしまいます。
 

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2014年2月 1日 (土)

第3の万能細胞 「STAP細胞」発見の快挙


 1月30日、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの若い女性研究者小保方晴子ユニットリーダーらが、ES細胞(胚性幹細胞)、iPS細胞(人工多能性幹細胞)に続く第3の万能細胞「STAP細胞」を作製することに成功したと発表しました。このビッグニュースは直ちに国内外を駆け巡りました。

 マウスの実験で細胞に強い刺激を与え、様々な組織や臓器に変化する「万能細胞」を作製したということで、29日付の英科学誌「ネイチャー」に掲載されています。



[NHKニュースより]



 そもそも、動物の体は1個の受精卵が分裂と変化を繰り返し、成長していくもので、いったん血液や皮膚、脳、内臓など体の組織や臓器になった細胞は、他の細胞に変化することはないとされていました。

 この定説を覆したのが京都大学の山中伸弥教授で、2006年マウスの細胞に4種類の遺伝子を入れて細胞の状態を受精卵に近い状態に戻し、どのような組織や臓器にもなる多能性を持たせることに成功しました。この細胞はiPS細胞と名付けられ、この功績で山中教授は一昨年にノーベル賞を受賞しています。

 一方、今回の小保方研究チームは、外部からの単純な刺激だけで細胞の役割がリセットされる「初期化」が起こり、あらゆる組織、臓器に変化する「多能性」を獲得することを発見したもので、実際にはマウスからリンパ球を取り出し、酸性の溶液に約30分間漬け、そして、特殊なたんぱく質を加えて培養すると2~3日で多能性細胞に変化し、さらに神経や筋肉の細胞になることを確認したということです。

 いわば「コロンブスの卵」のようなあまりにも簡単な手法で万能細胞(STAP細胞)が作製されるため、これまで何回英科学誌「ネイチャー」に投稿しても、「科学を愚弄している」という理由で不採択になっていたそうです。STAP細胞の作製はiPS細胞よりも簡単で、効率が良く、iPS細胞の課題であるがん化のリスクも低いとみられます。

 今後、STAP細胞を人間でも作れれば、iPS細胞と同様、医療や創薬への応用が期待できます。小保方さんは「STAP細胞ができる仕組みを調べ、初期化の度合いを操作するなど、次世代の細胞操作技術を開発したい。老化やがんの研究にも貢献できる可能性がある」と話しています。

[理研のプレスリリースより]

今回発見されたSTAPによる初期化は、全く従来は想定していなかった現象である。その原理の解明は、幹細胞や再生医学のみならず幅広い医学生物学研究に変革をもたらすことが期待される。さらに、ヒト細胞への技術展開も今後の課題。

 STAP細胞発見のニュースは、一向に盛り上がらない都知事選のニュースに代わって連日マスコミやマスメディアでも大きく取り上げられています。もちろん、研究内容の素晴らしいことが最大の理由ですが、これと同時に、研究代表者の小保方さんがまだ30才の若い女性研究者いわゆる「リケジョ」だったことも大きな要因になっています。ちょうど2002年に会社の「ふつうの技術者」だった田中耕一さんがノーベル化学賞を受賞した時と同じように、爽やかな風が日本列島を吹き抜けたようです。白衣ではなく割烹着を着たかわいらしいリケジョがとんでもない発見をさらりとやってのけたという快挙に喝采を送りたいと思います。そして今後のSTAP細胞の実用化に期待しましょう。

 また、アベノミクスの成長戦略の中では「女性の活躍」が一つの柱になっています。今後若いリケジョたちに小保方さんに続いて欲しいと思いますし、全国の働く若い女性たちにも大いに輝いて欲しいと願っています。

  • 【追 記】
  •  後日、iPS細胞で2012年にノーベル生理学・医学賞を受賞した山中伸弥・京都大教授は、STAP細胞の作製について、「画期的な成果。オールジャパンで研究を進めるべきで、いくらでも協力する」と話し、「京大iPS細胞研究所の若い研究者と小保方さんが協力すれば、細胞が受精卵のような状態に戻る『初期化』の謎について、大発見ができるかもしれない」と期待を寄せています。  (2月6日読売新聞朝刊より)

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