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2014年5月 4日 (日)

みどりの日の神代植物公園、大勢の人が万緑を楽しむ


 好天が続く後半の大型連休、2日目のみどりの日は神代植物公園に出かけてきました。神代植物公園は東京都調布市にあって都立としては唯一の植物公園です。園内には約4,500種類、10万株の植物が植えられています。武蔵野の面影が残り、四季を通じて草木の姿や花の美しさを味わうことができるようになっています。もともと東京都の街路樹などを育てるための苗圃だったのが、1961年に都内唯一の植物公園として開園したものです。


 深大寺門から入園したのですが、この日はみどりの日で無料公開になっていました。大勢の老若男女が万緑を楽しもうと集い、植物公園が大賑わいになっていました。本当はじっくりと散策したかったのですが。……


 深大寺門から入って数分の所にシンメトリックに設計された沈床式庭園があります。中央部の噴水の周りに花々が配置され、春バラは409品種5,200余本、秋バラは約300品種5,000余本が植えられています。春バラの盛りは5月下旬だそうで、今から開花が始まるところでした。正面の建物は大温室で、見事な眺望です。


 上の庭園の右側に長い藤棚が配置されていて、大勢の人が満開になった藤棚のフジ(マメ科フジ属)を楽しんでいました。無数の房状のフジの花が垂れ下がる様は圧巻です。


 シャクナゲ園では本当に多くの種類のシャクナゲの花が満開になっていて、見応えがあります。シャクナゲ(石楠花)は耐寒性常緑広葉樹で、ツツジ(躑躅)と同じくツツジ科ツツジ属に属します。ツツジと比べ、花が大きくゴージャス感があること、丸みを帯びた葉が厚く細長いことなどが特徴になります。


 武蔵野の古刹として知られる深大寺の裏山に当たる自然林です。クヌギ、コナラ、イヌシデ、エゴノキ、アカマツなどが茂る典型的な武蔵野の雑木林で、この時期は新緑に覆われていました。


 この時期はいろんな木々が花盛りで、見頃になっています。これはハクウンボク(白雲木;エゴノキ科エゴノキ属)です。大樹を見上げると満開になった白雲のような白い花で溢れていました。


 ハンカチノキ(ミズキ科ハンカチノキ属)には、白いハンカチのような花(実は花苞;花芽を保護する葉)がひらひらと舞っていました。このハンカチノキは1991年に公園の開園30周年を記念して植えられたとのこと。


 トチノキ(栃の木;トチノキ科トチノキ属)の花も見つけました。このトチノキの花はミツバチが好んで吸蜜に訪れ、養蜂の重要な蜜源植物になっています。しかし、近年トチノキが多い森林は減少し日本の養蜂に大きな打撃を与えているとのことです。また、栃の実は縄文時代から重要な食料で、どんぐりなどとともに主食の一部だったそうです。


 トチノキの近縁種のベニバナトチノキ(紅花栃の木;トチノキ科トチノキ属)がピンク色の花を付けていました。ベニバナトチノキは赤花トチノキと西洋トチノキ(マロニエ)との交配種です。


 公園の塀沿いに初夏の風物詩のウツギ(空木;ユキノシタ科ウツギ属)の白い花が咲き連なっていました。ウツギは全国に広く分布する落葉低木で、「夏は来ぬ」の小学唱歌の卯の花のことです。


 珍しい野の花も見かけました。これは日本原産のエビネ(海老根;ラン科エビネ属)。地下茎の様子が海老に似ていることが名の由来です。昨日、皇居東御苑でエビネの近縁種のキエビネを見つけました。


 川岸の湿った草地や原野などに生えるチョウジソウ(丁字草;キョウチクトウ科チョウジソウ属)。うす青紫色の清楚な感じの花が咲いていました。絶滅危惧種に指定されています。


 ひっそりと林地にたたずむホウチャクソウ(宝鐸草;ユリ科チゴユリ属)。宝鐸(ほうちゃく)とは寺院建築物の軒先の四隅に吊り下げられた飾りのことで、花が垂れ下がって咲く姿がこの宝鐸に似ることが和名の由来です。近縁種のチゴユリを昨日、皇居東御苑で見つけました。


 タツナミソウ(立浪草;シソ科タツナミソウ属)の小さな口唇形の花が咲いていました。青紫の花が同じ方向に並んだ花穂の姿が打ち寄せる波頭に似ています。葉先はぎざぎざしていますが、全体として葉の形が丸みを帯びてハート状です。地下茎を伸ばして増えていきます。

 今回はあいにく混雑の中の散策になってしまいましたが、次は普通の日にじっくりと植物公園を探索してみたいと思っています。
    …> 季節のスケッチ「26年5月」

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