皇居東御苑の雑木林でチゴユリ、ギンランなどの新たな野草を見つける
後半の大型連休も好天に恵まれました。今年は近場で楽しむことにして5月3日の憲法記念日は皇居東御苑へ出かけてきました。
東御苑は旧江戸城本丸・二の丸の跡地に広がり、庭園や芝生、雑木林などが見事に配置されています。そして四季折々の花木や野草を楽しむことが出来るようになっています。
今まで何回か訪れていますが、この日は二の丸雑木林でチゴユリ、キンラン、ギンランなどの新たな野草を見つけたのが大きな収穫でした。高台の所の本丸地区では、家族連れがくつろいぐ大きな芝生が広がっています。また、珍しいバラが集まるバラ園には多くの人が集まっていました。

東御苑の二の丸庭園です。色とりどりのツツジの花が目を引きました。後方の大手町の高層ビル群が庭園の背景になっています。

庭園の一角にたたずむ諏訪の茶屋の前の草地にシャガ(著莪;アヤメ科アヤメ属)の花が群生していました。


庭園の二の丸池の周りは散策コースになっています。池の水面からポツンポツンとヒメコウホネ(スイレン科コウホネ属)の黄色の花が突き出ていました。

鮮やかな赤紫色のシラン(紫蘭;ラン科シラン属)が池の周りの所々に配置されています。

池の端の部分にリュウキンカ(立金花;キンポウゲ科リュウキンカ属)を見つけました。輝くような黄金色の花を咲かせていました。

二の丸池に隣接して雑木林が造られていて、この時期は新緑で覆われています。この雑木林は山野草の宝庫になっています。この日は新たな野の花を見つけることが出来、感激しました。

林床にひっそりと咲くチゴユリ(稚児百合;ユリ科チゴユリ属)を初めて見ました。名前の通り、可愛らしく小さな白い花です。横に伸びる地下茎で増えます。

雑木林の中で、キンラン(金蘭;ラン科キンラン属)の花が一輪だけ咲いていました。多くのラン科植物は、落ち葉や倒木などを栄養源にして独立生活している腐生菌に依存するが、キンランが依存している菌は腐生菌ではなく、樹木の根に外菌根を形成する樹木共生菌であることから、人工的な栽培がきわめて困難とされています。

白い花のギンラン(銀蘭;ラン科キンラン属)もキンランと同属になりますが、数多くの株を見つけました。キンランもギンランも日本の野生ランですが、乱獲などもあって絶滅が危惧されるようになっています。

山林に分布するフタリシズカ(二人静;センリョウ科センリョウ属)が2本の穂状の白い花序をつけていました。同属のヒトリシズカは、先月箱根の湿生花園で見つけたばかりです。

本丸の天守台。江戸城天守閣がこの天守台の上に建っていました。大勢の人が天守台に上り下りしています。前方に広がる大芝生では家族連れなどが自由にくつろぐことが出来るようになっています。

本丸のバラ園には日本のバラの野生種が主に植えられています。これは近代バラ、現代バラの原種の一つといわれるコウシンバラ(庚申薔薇;バラ科バラ属)。四季咲きで、枝先に1個から数個の花を付けます。

これは常緑つる性低木のモッコウバラ(木香薔薇;バラ科バラ属)。バラ特有の刺が無く小ぶりの八重咲きの花をびっしりと付けます。

落葉樹林の林床に生育する常緑の多年草のキエビネ(黄海老根;ラン科エビネ属)が鮮やかな黄色い花を付けています。同属のエビネより大ぶり。「エビネ」の名は、地下茎が横に連なって海老のように見えることに由来します。

赤紫色のレンゲソウ(蓮華草;マメ科ゲンゲ属、別名はゲンゲ)の花も咲いていました。中国原産でかつては水田に緑肥として栽培されていました。現在、レンゲの花の蜜は、良質の蜂蜜の源となる蜜源植物として利用されています。

平川門への帰り道、草むらでマツヨイグサ(待宵草;アカバナ科マツヨイグサ属)を見つけました。どこか文学的な香りがする可憐な花です。夕方(宵)を待って咲くことからこの名が由来。
皇居東御苑は広大で、まだまだ「未知の花々」との遭遇がありそうです。何回でも訪れてみたい所です。
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