行田市の古代蓮の里で10万株のハスの花が見頃を迎える
7月に入って最初の日曜日は久しぶりの晴れの天気予報が出ました。そこで、10万株もの古代の蓮の花が見頃を迎えているという行田市の古代蓮の里の公園を訪れることにしました。ハスの花は早朝に開花しますので、早々に家を出発し現地には9時頃に到着しました。


ここ行田市の古代蓮の里一帯は、かつてたくさんの水生植物が茂る湿地帯で、このとき咲いていた蓮の実が地中深くもぐって長い長い眠りについていたとのことです。ところが、昭和48年の近くの公共施設の造成工事で1400年以上前の地層から偶然掘り出された種が自然に発芽し池に開花しているのが発見されたそうです。地中深く眠っていた多くの蓮の実が出土し、自然発芽して一斉に開花した事は極めて珍しいことといわれています。

行田市の天然記念物に指定されている古代蓮(行田蓮)は原始的な形態を持つ1400年~3000年前の蓮で、現代の蓮より花びらの枚数が少なく、大きいのが特徴です。
蓮(ハス科ハス属)は大きな楯型の葉と天を向いて咲く大きな美しい花が幻想的で、いつもその見事さに感動します。仏教では極楽浄土を象徴する花として蓮華ともいいます。このような神秘的な美しさを秘めた古の蓮の花が公園一帯に無数に咲きそろっているのですから、思わず固唾を飲んでしまいます。まるで天上の世界を散歩しているかのようでした。

この時期、公園は古代蓮で覆われている感がありますが、水生植物園では蓮以外の花も幾つか見かけました。この小柄の白い花はヒツジグサ(未草;スイレン科スイレン属、漢名は睡蓮)です。睡蓮の葉に切れ目が入っているのが特徴です。

アサザ(浅沙;ミズガシワ科アサザ属)の黄色の花も水面に立ち並んでいました。アサザは浮葉性植物で、地下茎をのばして生長し、スイレンに似た切れ込みのある浮葉をつけます。ジュンサイと同様に茎と新芽を食用にするため、花ジュンサイとも呼ばれます。

熱帯アメリカ原産のの水生植物ホテイアオイ(布袋葵;ミズアオイ科)のうす紫色の花が咲いていました。葉の基部が膨らんでいて七福神の布袋様のお腹に似ていることからこの名が由来。花がきれいなので主に観賞用として世界各地に導入されましたが、繁殖力が旺盛で川や池沼を被い、アフリカでは船の行き来やダムによる水力発電を妨げるなどの害をもたらし、今では世界十大害草のひとつとされています。

公園内の散策路にヤブカンゾウ(薮萓草;ユリ科)の鮮やかなオレンジ色の花を見つけました。ヤブカンゾウは八重咲きで、日光キスゲ、ノカンゾウ(野萓草)、ハマカンゾウ(浜萱草)などと同じユリ科の仲間。数日花なのでワスレグサの別名があります。

白花のアガパンサス(ユリ科アガパンサス属)も咲いていました。多くの花が放射状に集まり、全体が球形に見えます。アフリカ原産のアガパンサスにはムラサキクンシランの和名が付いていますが、クンシラン(ヒガンバナ科クンシラン属)とは全く違う種類です。

同じ散策路にネムノキ(合歓木;マメ科ネムノキ属)の花が樹木いっぱいに付いていました。一つ一つの花をよく見ると、幻想的な美しさを感じます。夜になると葉が眠ったように閉じてしまうことからネムノキの名が由来するとのこと。
古代蓮の里の後は、近くのみかも山公園まで足を伸ばしてきました。みかも山の風景は、古代蓮の里の風景と合わせて季節のスケッチ(26年7月)にてご覧下さい。
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