久しぶりの小石川植物園、スイフヨウ、ヒガンバナ、萩などの秋の花々
9月下旬になってデング熱騒動がようやく収まりそうになってきました。やれやれと思っていたところ、昨日は秋の紅葉シーズンを迎えた木曽の御嶽山が噴石を伴う水蒸気噴火を起こし、数10名の被害者が出たようです。
[NHK ニュースWEBより]
(秋分の日の小石川植物園)
さて、先日の秋分の日(23日)、久しぶりに小石川植物園を訪れてきました。デング熱対策として虫除けようのリストバンドを2カ所付けた重装備の格好で回ってきましたので、蚊には全く刺されませんでした。
園内の様子ですが、季節は暦通りに進んでいて、スイフヨウ、ヒガンバナ、萩などの秋の花々を見かけることができました。
まず、植物園に入って直ぐの所にスイフヨウ(酔芙蓉;アオイ科フヨウ属)の花が咲いていました。

八重咲きのスイフヨウの花は一日花で、白色から薄赤色に徐々に変わってしぼみます。酒を飲んで顔がだんだん赤くなってくる様子から「酔う芙蓉」といい、この名になったとのこと。普通に見る花は白花か赤花ですが、この日はちょうど変身中の花を撮ることができ、ラッキーでした。
スイフヨウの木から少しだけ離れた所にフクロミモクゲンジ(袋実木欒子; ムクロジ科モクゲンジ属)の大樹があります。

樹上を見上げると、黄色の花が盛んに咲いていました。黄色の細かい花がハラハラと舞い降りて、木の下の地面は黄色のオガクズを敷き詰めたようになります。まさに、英名の golden rain tree そのものです。
次はこの季節の風物詩のヒガンバナ(彼岸花;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)です。園内の至る所で真っ赤に広がっていました。

ヒガンバナにはその美しさ、妖しさ等からいろんな呼び名があります。曼珠沙華(まんじしゃげ)の呼び名が有名ですが、サンスクリット語からきたもので天界に咲く美しい花ということです。一方、わが国ではちょうど彼岸の時期に咲くことから、死人花、幽霊花などの異名が付いています。ヒガンバナは妖しく燃えるような真っ赤な花が大部分ですが、少しだけ白いヒガンバナも咲いています。白花曼珠沙華ともいいます。

毒花、痺れ花の別名が付くヒガンバナは全草有毒なのですが、アゲハには無毒のようです。アゲハはヒガンバナの蜜が大好物で、舞うように次々にヒガンバナを巡っていきます。

園内の至る所でヒガンバナを見かけました。ヨメイヨシノの大樹の根元でもこのように。日本に分布するヒガンバナは全て遺伝的に同一の三倍体のため、種子で増えることができず、球根を増やしながら広がります。

ヒガンバナは昔から墓地に植えられ、故人を弔うための花といった感じもします。故人の霊が宿るようなヒガンバナの後方に見えるのはラクウショウ(落羽松)の気根ですが、まるで野辺に立つお地蔵さまのように見えます。
秋の七草の一つである萩の花も盛んに咲き出していました。

全国の山地に分布するマルバハギ(丸葉萩;マメ科ハギ属)が赤紫色の蝶形の花を付けていました。名のとおり丸い葉が特徴です。マルバハギや同属のヤマハギが、「秋の七草の萩」とされています。

ミヤギノハギ(宮城野萩)が紅紫色の小さな花を細い枝に多数つけ、枝垂れて咲いていました。宮城県に多く自生することから和名が由来します。わが家の庭にも同じ萩の木がありましたが、旺盛な繁殖力でどんどん成長します。

珍しい白い花を付けるシロバナハギ(白花萩)も見かけました。シロバナハギはミヤギノハギの変種です。

白いシュウメイギク(秋明菊;キンポウゲ科イチリンソウ属)の花が可憐に咲いていました。シュウメイギクの名前からはキク科のように思えますが、実はキンポウゲ科の植物です。シュウメイギクには白い花と趣が異なる、勲章のように立派な形をした八重咲きの赤い花もあります。京都北山の貴船に自生していることから貴船菊の別名があります。

山野の半日陰地にみられる多年草のホトトギス(杜鵑;ユリ科)も見かけました。面白い和名が付いていますが、花びらの斑点模様が鳥のホトトギスの胸の模様に似ていることに名が由来。
秋の花々以外にも赤い実を付けている樹木を多く見かけました。秋の季節を実感します。

初夏に美しい花を付け楽しませてくれるハナミズキ(花水木;ミズキ科ミズキ属)ですが、頭上の木の枝をよく見ると、赤い実が点々と付いているのがわかります。葉も少しずつ色づいてきました。

これは日本庭園の池の周りに生える落葉低木のゴンズイ(権萃;ミツバウツギ科ゴンズイ属)。赤い袋果の実が数多く付いています。やがて黒い種が出てきます。

ニイタカガマズミ(スイカズラ科ガマズミ属)の低木にガマズミの赤い実が付いていました。植物園の名札にはViburnum betulifolium Batal.の英語名しか付いていませんでしたので、調べてみたらニイタカガマズミが和名のようです。ニイタカ山は台湾の最高峰ですので、台湾に多く自生していると思われます。

秋に赤い実でなく、珍しい紫色の実を付けるのは落葉低木コムラサキ(小紫;クマツヅラ科ムラサキシキブ属)です。その名のとおり紫色の小粒の実が房状に連なって枝垂れながら枝中に付いていました。
…> 季節のスケッチ(26年9月)
| 固定リンク
「季節・風景・植物」カテゴリの記事
- 若葉茂り風薫る5月、初夏の木々の花、野の花が咲き競う(2023.05.01)
- 4月中旬の小石川植物園、美しい新緑が広がる(2023.04.24)
- 春爛漫の4月はサクラから新緑、ツツジへ主役交代(2023.04.01)
- 春分の日、はやくもソメイヨシノが満開に(2023.03.21)
- コブシ、ベニシダレ、シナミズキなどの木々が次々と満開(2023.03.16)
「自然災害」カテゴリの記事
- 1月中旬、ようやくロウバイの花が満開(2022.01.16)
- 夏空が戻った小石川植物園の深緑の風景(2021.08.22)
- 金木犀が香る10月下旬の小石川植物園(2019.10.24)
- 小石川植物園に自生する彼岸花、ようやく月末に満開(2019.09.29)
- 台風24号の被害を受けた小石川植物園(2018.10.07)
「小石川植物園」カテゴリの記事
- 若葉茂り風薫る5月、初夏の木々の花、野の花が咲き競う(2023.05.01)
- 4月中旬の小石川植物園、美しい新緑が広がる(2023.04.24)
- 春爛漫の4月はサクラから新緑、ツツジへ主役交代(2023.04.01)
- 春分の日、はやくもソメイヨシノが満開に(2023.03.21)
- コブシ、ベニシダレ、シナミズキなどの木々が次々と満開(2023.03.16)
コメント