10月の小石川植物園、黄色のヒガンバナを見つける
10月に入って、週末毎に台風18号、19号と次々に大型台風が日本に襲来しました。さらには、その前の9月最後の週末は御嶽山の水蒸気噴火がありました。本来であれば暑くもなく寒くもなく絶好の行楽シーズンのはずですが、散々な状況です。この「大荒れの気象」はたまたまの一過性のものであって欲しいのですが、地球規模の気候変動の一環なのかも知れません。大いに気になるところです。
さて、台風19号の襲来を翌日に控えた10/12(日)の東京は、曇天ながらもまだ穏やかな天気でしたので、急いで小石川植物園を回ってきました。
園内の様子ですが、ショウキヒガンバナ(黄色のヒガンバナ)との初出会いがありましたし、晩秋の風物詩のサザンカの花が数輪咲き始めているのを見つけました。これ以外にも、先月から咲き続ける赤白のシュウメイギクや、シオン、ソメイヨシノ、セイタカアワダチソウなどの多くのキク科の花々を見かけました。


形状はヒガンバナとそっくりですが、黄色の花を付けたショウキズイセン(鍾馗水仙;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)がヒガンバナより約1ヶ月遅れで咲いていました。何度も植物園に通っていますが、初めて見ました。ヒガンバナが群生する草むらの片隅に生えていましたので、近年ここに植え付けられたのかも知れません。
ショウキズイセンは、ショウキランともいい、四国から沖縄などの山野に分布します。昔は沖縄の野山に沢山咲いていたそうです。名前のショウキは、立派な髭を生やし冠をつけた鍾馗様(中国の道教系の神様)のことです。
黄色のショウキズイセンが加わり、ヒガンバナ科ヒガンバナ属に属する「ヒガンバナの仲間」がまた増えました。次のように赤、白、ピンク、橙、黄といったカラフルなコレクションになりました。
真紅に燃えるようなヒガンバナは9月の彼岸の頃に一斉に咲き出します。アゲハにとってヒガンバナの蜜が大好物なようで、舞いながら花から花へと次々に巡り回っていきます。(2013年9月)
ヒガンバナは赤い花が大多数ですが、白い花も少し咲いています。シロバナマンジュシャゲ(白花曼珠沙華)ともいわれます。(2013年9月)
ナツズイセン(夏水仙)は淡桃色の花を付けます。林地の暗い茂みの中で8月頃に見かけます。(2012年8月)
橙色のキツネノカミソリ(狐の剃刀)の花は、やはりの林地の涼しい所で8月頃に見かけます。面白い和名がですが、春先の伸びた葉をキツネの剃刀にたとえ、この名が付いたとのことです。(2012年8月)

翌日台風が接近するということですが、この日はまだ大丈夫。暑くもなく寒くもなく程良い天気で、桜並木の下では家族連れが敷物を広げていました。

ツバキ園を覗いてみたら、やはり10月です。白いサザンカ(山茶花)の花が咲き出していました。秋冬の花の少ない景色の中で赤や白のサザンカの花は貴重です。サザンカはこの季節の風物詩で、歌にもよく登場します。小学唱歌「さざんかさざんか咲いた道 たき火だたき火だ落ち葉たき」や、 演歌「赤く咲いても冬の花 咲いて寂しい山茶花の宿」などの歌はポピュラーです。これからどんどん咲き出してきます。


先月咲き始めたシュウメイギク(秋明菊;キンポウゲ科イチリンソウ属)の花が盛んになってきました。風にたなびく白花は可憐な野の花という趣があります。シュウメイギクの名前からはキク科のように思えますが、実はキンポウゲ科の植物です。
一方、赤紫色の八重咲きの花は立派な勲章のような形状をしています。京都北山の貴船に自生していることから貴船菊の別名があります。

ここからは正真正銘のキク科の花々が続きます。薄い紫色の花がゆらゆらと優雅に風にたなびいているのはシオン(紫苑;キク科シオン属)の花です。古い時代に薬草として渡来したが、花が美しいので薬草より観賞用として栽培が盛んになったとのことです。

静かな佇まいのカントウヨメナ(関東嫁菜;キク科ヨメナ属)の花を園内の随所で見かけるようにました。カントウヨメナはいわゆる野菊の一種です。木の根元でひっそりと群れて咲いていました。

背の高いセイタカアワダチソウ(背高泡立草;キク科アキノキリンソウ属)を園内の草むらなどの各所に見かけました。スクッと立った枝先に形状のいい黄色の花穂を付けます。北米原産の帰化植物で各地の河原や空き地などに群生します。

風になびくススキ(薄;イネ科ススキ属)の穂が秋の陽射しを受けゆらゆらと輝いていました。典型的な秋の風景です。ススキは秋の七草の一つとして古くから親しまれ、全国津々浦々に見かけます。

先月細かい無数の黄色の花が地上に降り注いでいたフクロミモクゲンジ(袋実木欒;ムクロジ科モクゲンジ属)の大樹を見上げると、今度は沢山のベージュ色の花が咲いているように見えました。実は、色づいた花のように見えるのは黒い実の果実が収まった袋です。この大樹は姿・形を変えて色々と楽しませてくれます。
…> 季節のスケッチ(26年10月)
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