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2015年4月

2015年4月18日 (土)

新緑が広がり、ハナミズキ、シャクナゲ、ツツジなどの花々が咲き出す


 4月中旬の晴れ上がった週末、2週間ぶりの小石川植物園でしたが、季節が進行し風景がどんどん変わっていました。

 ソメイヨシノはすっかり終わり、新緑の世界へ。そしてツツジ、シャクナゲ、ハナミズキなど花々が競って咲き出してきました。以下、この日の園内の風景です。




 サクラの花に代わり、いろんな花々が咲き出して来ました。園内の林間部の奥の方で、ハナミズキ(花水木;ミズキ科ミズキ属)の紅白の花が咲いているのを見つけました。可憐なハナミズキの花が青空に舞っている様子は美しいものです。

 かつて米国赴任時に住んでいたわが家の庭にドッグウッド(花水木のこと)の木が植えてあって、子どもたちが木に登ったりして遊んでいました。満開のハナミズキを見ると、当時のことが昨日のことのように思い出されます。

 もともとハナミズキは北アメリカ東部産の代表的な花木です。桜の木と交換に米国から贈られた原木は今も小石川植物園内に残っています(もう花は付けませんが)。


 ツツジの仲間のシャクナゲ(石楠花)の花も咲き出してきました。柴田記念館の近くのシャクナゲの高木が見事に満開になっていました。シャクナゲはツツジ属ではありますが、その中で無鱗片シャクナゲ亜属シャクナゲ列の植物がいわゆるシャクナゲといわれます。高山性の常緑低木のシャクナゲは、ツツジと異なり細長く堅めのしっかりとした葉が特徴です。日本全土の亜高山帯や周辺の渓谷に自生し、花は赤紫から白まで変化に富んでいて、いずれも高貴な風情があります。


 園内にはいろんなシャクナゲが植えられています。これは紀伊半島以西の本州・四国・九州の山地に分布し樹高3~4mで淡い紅色の花を咲かせるツクシシャクナゲ(筑紫石楠花)です。


 園内には貴重なツツジも見られます。これは奄美地方に自生するアマミセイシカ(奄美聖紫花;ツツジ属セイシカ亜属)です。西表島の秘境に自生するセイシカ(聖紫花)の近縁種。いずれも秘境の花といった雰囲気を感じさせます。


 これはセンカクツツジ(尖閣躑躅)です。このツツジは名前からも想像できますが、:わが国の尖閣諸島魚釣島の固有種で、:山頂付近の岩地に生育します。センカクツツジは戦後、琉球政府(沖縄返還前の統治機構)の数次の調査団により採取されたものです(この事実も尖閣がわが国の固有の領土である立派な証左になります)。

 園内にはセンカクツツジ(尖閣躑躅)以外にも北方領土の歴史を秘めるシュムシュノコギリソウ(占守鋸草;キク科ノコギリソウ科)も育てられていて、生きた歴史の教材になりそうです(→ブログ記事)。


 園内のサクラ並木はほとんど花が散り終えましたが、まだほんの少し満開の桜の木が残っていました。そして、この木の下はやはり花見の人たちの団らんの場になっていました。


 園内に華やかに咲き出した花々は新緑が広がる空間に包み込まれているようです。これはイロハモミジの並木ですが、あざやかな新緑のトンネルのようになっています。イロハモミジの紅葉も綺麗ですが、この時期の緑葉もいいもので、心身をリフレッシュしてくれます。


 長い間冬木立のままだったユリノキの巨木に新緑が吹き出してきました。大空いっぱいに新緑の点描が広がり、壮観な眺めです。


 木々の緑が広がる中で、珍しいサクラの花を見かけました。これは北海道、本州に自生するウワミズザクラ(上溝桜)です。ブラシのような白い花序に小さな花が凝集していますが、この花はいわゆるサクラの花とはまったく別物に見えます。普通のサクラの木はバラ科サクラ属サクラ亜属に属していますが、このウワミズザクラはバラ科サクラ属ウワミズザクラ亜属に属しますので、少し遠い仲間と言えます。


 このイヌザクラ(犬桜、別名はシロザクラ)もウワミズザクラと同じサクラ属ウワミズザクラ亜属の仲間で、花の形も似ています。ようやく咲き始めといったところです。本州、四国、九州に自生します。ウワミズザクラは花序枝に葉が付きますが、イヌザクラの花序枝には葉が付きません。


 セイヨウバクチノキ(西洋博打の木;バラ科 サクラ属バクチノキ亜属)も普通のサクラの遠い仲間です。ヨーロッパ東南部から西アジア原産の常緑木。白い房状に直立する面白い形状の花序を付けます。バクチノキは幹が太くなると樹皮が剥げ落ちますが、博打に負けて身ぐるみ剥がされる様子に似ていることに、この面白い名が由来したようです。


 植物園の奥まったところに、アメリカアサガラ(アメリカ麻殻;エゴノキ科アメリカアサガラ属)の小さな鐘状の花が満開になって空間を覆い尽くしていました。ハクウンボク(白雲木;エゴノキ科エゴノキ属)の花とよく似ています。


 赤紫色のシモクレン(モクレン科)の花も春の空の下で立派に咲いていました。かすかに芳香もあります。ハクモクレンに比べて木が小振りですが、色合いが優雅です。シモクレンは単にモクレンともいいます。


 春の野の花も次々に咲き出してきます。この星形の白い大きな花はオオアマナ(大甘菜;ユリ科オオアマナ属)です。春の陽射しを浴びて、一面に群生していました。オオアマナは、明治の末頃にヨーロッパから入ってきた帰化植物です。


  柴田記念館の近くにシャガ(著莪、射干;アヤメ科菖蒲属、別名:胡蝶花)の花が群生しています。 黄と青の幻想的な模様の入ったシャガの白い花は1日しかもたず、開花した翌日にはしぼんでしまいます。シャガの花は谷沿いの陰地や竹林などに群生しますが、和風の庭園にも用いられます。


 イチリンソウ(一輪草;キンポウゲ科イチリンソウ属)も園内の一角に群生しています。イチリンソウは本州、四国、九州に分布し、落葉広葉樹林の林床や林縁に生育するスプリング・エフェメラルの植物です。イチリンソウの和名はひとつの茎に1輪の花が咲くことから由来します。また、ニリンソウ(二輪草)と比べ花が大きめです。


 この紫色の野草はサギゴケ(鷺苔;ゴマノハグサ科サギゴケ属)です。園内の日当たりの良い芝生などの一角を、まるで苔のようにびっしりと覆っていました。本州、四国、九州の湿ったあぜ道などに分布する多年草で、匍匐茎で広がっていきます。

 これ以外にも、園内でいろんな風景に出会いました。
     …> 季節のスケッチ (27年4月)


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2015年4月 4日 (土)

ソメイヨシノの終演とともに新緑の芽吹きが始まる 


 連日の初夏の陽気と打って変わり花冷えのする週末、小石川植物園を訪れました。この時期は1週間で風景が大きく変わります。
 今年も私たちの心を魅了してくれたソメイヨシノでしたが、満開が過ぎあっという間に終幕に向かっていました。その一方では、木々の新緑の芽吹きが一斉に始まりました。まさに植物たちの生命の躍動を実感させられます。

 以下、園内の様々なこの時季ならではの風景を紹介します。


 植物園の入口から日本庭園に向かう途中にある池の周りの風景です。満開のサクラが散り始め、池面に花びらが広がっています。一方、サクラの隣りに生えるイロハモミジが鮮やかな新緑に染まっていました。満開のサクラから新緑の芽吹きへと主役が代わりつつあります。


 サクラ並木のソメイヨシノは満開が過ぎてしまいました。あと1週間も経つと葉桜に変貌しています。花冷えのする週末でしたが、まだ少し残っているサクラの花を惜しむかのように、いろんなグループが集い樹下で談笑の輪が広がっていました。


 日本庭園にある大きな広場にもサクラの大木が生えています。この場所でも、多くの家族連れ、友だちどうしなどで和やかに賑わっていました。


 ソメイヨシノはそろそろ終演ですが、まだサトザクラ群に属するいろんなサクラの花が元気に咲いていました。サトザクラは主に観賞用にオオシマザクラを基にしてヤマザクラ、エドヒガン、カスミザクラ、マメザクラなどを掛け合わされた数多くの園芸品種のことをを総称していいます。
 これはチョウシュウヒザクラ(長州緋桜)@サトザクラです。先週はまだ蕾の状態でしたが、この日は艶やかな赤紫色に咲き広がっていました。明治時代に荒川堤から全国に広まったとのことで、長州との関係は不明。


 紫桜@サトザクラ。周りの新緑を背景にして、うすい赤紫色(いわゆる桜色)に染まるサクラの花が満開になっている様は見事に美しい。見た目の印象としては、長州緋桜とよく似ています。


 雨宿@サトザクラ。白く大きな八重咲きのサクラの花が数輪づつ群れになりながら枝垂れていました。まるで大きな雨だれが滴り落ちているようです。


 撫子@サトザクラ。うすい赤紫色の八重咲きのサクラの花が優雅に咲いていました。花弁の先に細かい切れ込みがあるのが野の花のナデシコ(撫子)に似ていることは名の由来とのこと。


 染井匂@ソメイヨシノ。ソメイヨシノの園芸品種で、まだ小柄な桜の木ですが、白い花が満開に咲き広がると見事なものです。この桜の木の下にも人の輪がありました。


 新緑に覆われたイヌザクラ(犬桜)。花芽が点々と付いていますが、4月下旬以降に白いブラシ状の花を咲かせます。イヌザクラはバラ科サクラ属の植物ですが、いわゆるサクラ(サクラ属サクラ亜属サクラ節)の仲間とは少し異なります。花の形も相当違います。


 園内ではいろんな大木の鮮やかな新緑も楽しむことが出来ました。これは深い森林部に生えるイロハモミジの高木。壮観な眺めに圧倒されます。晩秋には美しく紅葉します。


 イロハモミジの新緑の中に点々と付いている赤い粒のようなものは花穂になります。暗赤色の花が垂れ下がって付いています。


フウ(楓;マンサク科フウ属)の木にも新緑が芽生えてきました。フウは中国、台湾原産の落葉高木で樹脂の香りがいい。葉の形が、同じ漢字名をもつカエデに似ています。


 新緑のシナサワグルミ(クルミ科サワグルミ属)の大木です。中国原産の落葉高木で公園樹、街路樹に用いられます。



 冬木立だったイチョウ(裸子植物)の巨木にも新緑が吹き出してきました。よく見ると、枝先に小さなイチョウの新葉が何枚かずつまとまって付いていて、その下に雄しべが多数連なっています。花粉は風で散布されます。




 園内の一角に、美しく紫色に染まった風景が出現していました。鮮やかな紫色の正体はハナズオウ(花蘇芳;マメ科)です。勢いよく花が咲いています。ハナズオウは江戸時代に中国から渡来しました。


 ハナズオウの隣ではオオリキュウバイ(大利休梅;バラ科ヤナギザクラ属)が真っ白に満開になっていて、両者のコラボが美しい風景を醸し出しています。オオリキュウバイは、中国原産で日本には明治時代に渡来したリキュウバイの変種です。茶人の千利休との関係は不明。



 ホンカイドウ(本海棠;バラ科リンゴ属)の樹木が満開になっていました。この樹木は名札が無かったので長年ズミ(酸実;バラ科リンゴ属)だと思っていましたが、最近になってホンカイドウの名札がつきました。正体が判明してスッキリしました。



 ヤマブキ(山吹;バラ科ヤマブキ属)の花が満開になって咲き連なっていました。ヤマブキは本州の山地に自生する落葉低木で、まさに絵の具のヤマブキイロと同じ鮮やかな黄色の花を咲かせます。


 木々の様子から草むらに目を転じます。薄い赤紫色のイカリソウ(メギ科イカリソウ属)の花を見つけました。ふわふわと遊泳しているような感じの花ですが、名前は、花の形が錨に似ていることに由来します。イカリソウは元々薬草で、滋養・強壮に効力があるということで、薬草園で丁寧の育てられています。


 全国の山野に生える多年草のセントウソウ(仙洞草;セリ科セントウソウ属)。小さく細かな白い花が路傍の草むらのあちこちに咲いていました。ニンジンのような葉が特徴的です。


 中国原産の一年草のセリバヒエンソウ(芹葉飛燕草;キンポウゲ科デルフィニウム属)。明治時代に渡来し、現在では関東地方で野生化しているとのこと。青紫色の花の姿が燕の飛ぶ姿を思わせることからこの名が由来。

 この時季は木々や野の花などがめまぐるしく躍動するので、目が離せません。植物園の散策の楽しみが倍加します。

…> 季節のスケッチ (27年4月)

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