初夏の皇居東御苑は広がる新緑とツツジなどの色とりどりの花々
いよいよ大型連休です。好天に恵まれたこの日(4/26)は、5月中旬の陽気になり、久々に皇居東御苑を訪れました。苑内ではあざやかな新緑が広がるとともに、ツツジなどの色とりどりの花々が美しく咲き競っていました。また、野草の宝庫になっている二の丸雑木林では、キンラン、ギンランなどが見つかりました。以下、綺麗に整備されている苑内の風景を紹介します。

平川門から入ってすぐの所が二の丸ゾーンの平地です。二の丸庭園ではあざやかな新緑とカラフルなツツジの花が見事にコラボしています。



二の丸庭園に隣接して雑木林が広がっています。この雑木林内を散策しながら観察すると、四季折々の珍しい野草が見つかります。

キンラン(金蘭;ラン科キンラン属)の可憐な花が何輪か咲いていました。キンランは、依存している菌が腐生菌ではなく、樹木の根に外菌根を形成する樹木共生菌であることから、人工的な栽培がきわめて困難とされています。

キンランと同属で白い花のギンラン(銀蘭;ラン科キンラン属)。.数多くの株を雑木林の中で見つけました。キンランもギンランも日本の野生ランですが、乱獲などもあって絶滅が危惧されるようになっています。

赤紫色のイカリソウ(メギ科イカリソウ属)の花も見つけました。イカリソウの和名は、花の形が錨(いかり)に似ていること由来します。イカリソウは元々薬草で、滋養・強壮に効力があります。

二の丸ゾーンから汐見坂を上ると本丸ゾーンに到達します。汐見坂の途中から見た内堀の様子です。遠方には丸の内の高層ビルのシルエットが浮かんでいます。

本丸ゾーンの風景です。かつて天守閣がそびえていた天守台の石垣には大勢の人が上り下りしていました。江戸城天守閣は1657年の寛永年間の江戸大火で焼失して、江戸の復興を優先させる必要があったことや幕府の治世が安定してきたので威光をを示す必要がなくなったことなどから、それ以降再建されることはありませんでした。

天守台の前に大芝生が広がっていて、晴れ晴れとした風景に感動します。後背の高層ビル群が、素晴らしい大自然が大都会に中にあることを感じさせてくれます。


本丸ゾーンでも新録や花々が見事です。


本丸のバラ園には日本のバラの野生種が主に植えられています。上のバラは常緑つる性低木のモッコウバラ(木香薔薇;バラ科バラ属)の中で、黄色の花を付けるキモッコウバラです。また、うっすらとピンク色のサクラバラ(桜薔薇;バラ科、下図)も咲いていました。周りに甘い香りを放ちます。紅茶に浮かべると美味しいそうです。

土手沿いにはゴージャスなシャクナゲ(石楠花;ツツジ属無鱗片シャクナゲ亜属シャクナゲ列)の花が咲き並んでいました。

土手の斜面のひな段の部分にチャノキが植えられていますが、新緑の茶葉がどんどん伸びてきました。タンポポの綿毛も見えます。

キエビネ(黄海老根;ラン科エビネ属)が鮮やかな黄色い花を付けていました。キエビネは落葉樹林の林床に生育する常緑の多年草。同属のエビネより大ぶり。「エビネ」の名は、地下茎が横に連なって海老のように見えることに由来します。

本丸野草の島でも、いろんな野の花が見つかりました。これはエビネ(海老根;ラン科エビネ属)です。エビネは同属のキエビネ同様、地上性のランで、ジエビネ、ヤブエビネと呼ばれることもあります。

ホウチャクソウ(宝鐸草;ユリ科チゴユリ属)の野草も花を付けていました。宝鐸(ほうちゃく)とは寺院建築物の軒先の四隅に吊り下げられた飾りのことで、花が垂れ下がって咲く姿がこの宝鐸に似ることが和名の由来になります。

オオアマナ(大甘菜;ユリ科オオアマナ属)も元気に星型の白い花を咲かせていました。小さい花ですが群生し、春の陽射しを浴びてとまぶしく輝いています。

苑内の草むらにも、いろんな野の花が見つかります。この赤紫色の野の花はレンゲソウ(蓮華草;マメ科ゲンゲ属、別名はゲンゲ)。レンゲソウはかつては水田に緑肥として栽培されていましたが、今では、レンゲの花の蜜は良質の蜂蜜の源となる蜜源植物として利用されています。

シロツメグサ(白詰草;マメ科シャジクソウ属)。シロツメグサはいわゆるクローバーでアイルランドの国花になっています。

タンポポの綿毛。

出入り口の平川門の近くでは、ウツギ(空木;ユキノシタ科)の花が咲き出していました。ウツギは「卯の花の匂う垣根に……」の唱歌に出てくる卯の花のことで、この季節の風物詩になっています。
…> 季節のスケッチ(27年5月)
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