中禅寺湖、戦場ヶ原などの奥日光の大自然を満喫
このたび、中禅寺湖、華厳の滝、戦場ヶ原などが男体山の裾野に広がる奥日光の地を訪れ、大自然を満喫してきました。梅雨前線が関東地方に近づいていたのですが、幸いにもこの日は何とか天気がもってくれました。

日光市街を出て日本ロマンチック街道と名付けられた観光道路を進みます。紅葉時に車が長蛇の列になるいろは坂を上りきると中禅寺湖や華厳の滝が見えてきます。

奥日光の入り口に位置する中禅寺湖です。周囲約25km、最大水深163mで、およそ2万年前に男体山の噴火による溶岩で渓谷がせき止められ、湖の原形ができたといわれています。後景の男体山が雲の中で幻想的なシルエットのようでした。


多くの滝が点在する日光周辺で、最も有名なのが華厳ノ滝です。中禅寺湖の湖水が高さ97メートルの岸壁を一気に落下する壮大な眺めを堪能できます。この日は滝の轟音が響き亘る中、濃い霧の中から滝が流れ出てくるような神秘的な光景でした。

いろは坂を上りきる直前の所に明智平のドライブインがあります。駐車場も広く、休憩しながら展望を楽しむことが出来ます。遠方に華厳の滝が小さく見えます。明智平の地名は、東照宮造営を指揮した天海僧正といわれています。

中禅寺湖から日本ロマンチック街道を少し進んでいくと左手に戦場ヶ原の大湿原が広がっています。今回は赤沼茶屋の所から入り、遊歩道を1時間近く歩き回ってきました。→戦場ヶ原コースマップ
戦場ヶ原の名前は、かつて中禅寺湖をめぐって男体山の神と赤城山の神が争った「戦場」だったという神話に由来します。かつて湖であった地が湿原化したもので、400ヘクタールもの広大な面積を有します。

湿原をぐるりと囲むように自然探究路(木道)が整備され、2時間ほどで歩けるハイキングコースになっており、大自然の中で森林浴を満喫することが出来ます。戦場ヶ原には350種にも及ぶ植物が自生し、野鳥の種類が多いことでも有名です。

美しい雄姿の男体山を背景とした広大な湿原を見渡せる展望ポイントが各所に設置されています。ロマンチック街道を走るバスが小さく見えます。


この時期の湿原にはオレンジ色に咲くレンゲツツジや白い綿毛が飛び交うワタスゲなどが点在していました。ただ、最近の連日の降雨のため、ワタスゲの綿毛がすっかり萎んでいて残念でした。

遊歩道沿いに湿原を縦走する湯川が流れています。カラマツの倒木を多く見かけましたが、これは地下水の水位が高いため深く根を張れないことによるとのことです。

今回は時間の余裕があまりなかったため、赤沼から湿原南部の区域だけの散策になりましたが、それでもいろんな木々や山野草の花を見かけました。
これは落葉低木のカンボク(肝木;スイカズラ科ガマズミ属)で、純白で5枚の装飾花を付けます。アジサイの花とよく似ていますが、アジサイの装飾花は4枚です。

落葉低木ミヤマウグイスカズラ(深山鶯神楽;スイカズラ科スイカズラ属)に早くも赤い実が付いていました。本州から四国・九州の主に日本海側に分布し、高さは2メートルほどになります。

ハクサンフウロ(白山風露;フウロソウ科フウロソウ属)。東北地方から中部地方に分布し、高山の雪渓周辺の草地に生えます。和名は石川県の白山に由来しますが、戦場ヶ原の古名である赤沼ヶ原に多く分布するので、アカヌマフウロとも呼ばれます。

アヤメ(文目;アヤメ科アヤメ属)の花を多く見かけました。本来アヤメは乾燥した草地に生える植物ですので、戦場ヶ原のアヤメには少々驚きました。

オオヤマフスマ(大山衾;ナデシコ科オオヤマフスマ属)の小さい白い花を見つけました。平地から山地の日当たりのいい河原や土手などに多い多年草です。

ウマノアシガタ(馬の足型;キンポウゲ科キンポウゲ属)の黄色い光沢のある小さな花を多く見かけました。平地から山地の日当たりのいい草原などに生えます。キンポウゲ科に多い有毒植物です。

イブキトラノオ(伊吹虎の尾;タデ科イブキトラノオ属)。山地から高山の日のよく当たる湿地や湿り気のある草原に群生します。

戦場ヶ原入口の赤沼茶屋の周辺の畑地に多くのニッコウキスゲ(日光黄菅;ユリ科ワスレグサ属)が植えられていました。ただ、湿原内には咲いていないようです。
奥日光散策の翌日は、ニッコウキスゲが咲き誇る霧降高原や日光植物園(小石川植物園日光分園)に行こうとしたのですが、あいにく本降りの雨となり断念。是非次の機会に訪れたいと思います。
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