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2015年8月15日 (土)

猛暑の8月の小石川植物園は夏の花木、緑濃い夏木立など

 8月に入って、東京では35℃を超える猛暑日が8日も連続するなどすさまじい暑さを記録しました。こうなると、外出は熱中症の危険が増大するので、近くの小石川植物園ですら散策を控えることになります。また、この間に夏休みをとって郷里の山形に帰省したのですが、ここでも同様に酷暑でした。というわけで、今年の郷里の風景の撮影は断念せざるを得ませんでした。

 しかしながらこの厳しい残暑も、お盆の頃になるとさすがに和らいできました。そこで終戦記念日と重なったこの週末 (8/15) 、朝の涼しい時間帯を利用して久しぶりに小石川植物に出かけてきました。園内はやや蒸し暑かったのですが、急ぎ足で回ってサルスベリ、ムクゲ等の夏の花木や、高木・巨木の緑濃い夏木立などを楽しんできました。


(咲き続ける夏の花木)

 小石川植物園の日本庭園の一角に建つ旧東京医学校本館の赤い建物。1996年春に国内で最初の教育研究型ユニヴァーシティ・ ミュージアムを標榜する東京大学総合研究博物館として誕生。この博物館の前方には四季折々の花が楽しめるように配置されていて、この時期はサルスベリの花が咲いています。



 盛夏のシンボルとなるサルスベリ(百日紅;ミソハギ科サルスベリ属)。強い日差しの中でサルスベリの花が青空に鮮やかに咲き続けています。真紅色の花が多く見かけますが、薄紫色や白色のものもあります。また、木の幹は名前の通りつるつるしています。



 ムクゲ(木槿;アオイ科フヨウ属)も夏の季節の代表的な花木です。いろんな色合いの花が園内の随所に咲いています。風雅で落ち着いた雰囲気で夏中咲き続けます。和名は、韓国語の無窮花(ムグンファ)の読みと中国語の木槿(ムーチン)の漢字に由来するとのこと。


 炎暑の夏を延々と咲き続けるキョウチクトウ(夾竹桃 キョウチクトウ科キョウチクトウ属)。中国原産の常緑低木で、赤花と白花があります。夾竹桃の名は、葉の形状が竹に似て狭く、花が桃に似ていることからきています。木全体に毒性が強いためか、最近はあまり見かけなくなりました。

(緑濃い夏木立の佇まい)

 園内には至る所に高木・巨木が生えていて、この時期は緑濃い夏木立の佇まいを楽しむことが出来ます。これは中国原産の落葉高木キジュ(喜樹; ヌマミズキ科カンレンボク属)。キジュの果実や根にはカンプトテシンというアルカロイドを含み制癌作用があるそうです。


 ケヤキ(欅;ニレ科ケヤキ属)の夏木立です。ケヤキは樹形が美しく、国内各地に大木・巨木となったケヤキの木が分布します。特に我が郷里が誇る東根の大ケヤキ(樹齢1500年)は特別天然記念物に指定されています。


 アメリカスズカケノキ(スズカケノキ科スズカケノキ属)の雄大な木立です。アメリカスズカケノキは北米原産で日本には明治時代に渡来しました。日本で街路樹として用いられるプラタナス(モミジバスズカケノキ)は、本種とスズカケノキの雑種です。


 巨木ユリノキ(モクレン科ユリノキ属)の緑衣も見応えがあります。あふれんばかりの緑葉の中に花の名残りが少しだけ視認できます。ユリノキの花はこの5月に盛んに咲いていました。


 九州や南西諸島に分布する高木のシマサルスベリ(ミソハギ科サルスベリ属)。すべすべした木肌が豊かな緑葉で覆われています。白い花が頂上付近に咲くのですが、高すぎてよく見えません。


 ソメイヨシノ(染井吉野;バラ科サクラ亜属)の夏木立。ソメイヨシノは春のサクラの花→夏木立→秋の黄葉と四季折々に楽しめます。


 ハート型に似た円形の葉が特徴のカツラ(桂;カツラ科カツラ属)の高木が色鮮やかな緑葉で覆われていました。カツラの木は秋から冬にかけて落葉が独特の甘い香りを呈します。


 ムクノキ(椋木;アサ科(旧ニレ科)ムクノキ属)の緑濃い木立。ムクノキは成長が比較的早く大木になるため、日本では多くのムクノキが国や地方自治体の天然記念物に指定されています。


(8月の野の花)

 薬草園の近くの林地に橙色のキツネノカミソリ(狐の剃刀;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)の花が群生していました。連日の猛暑でいささか花がゲンナリしているようでした。キツネノカミソリとは面白い名前ですが、春先の伸びた葉をキツネの剃刀にたとえ、この名が付いたとのこと。


 秋の七草の一つオミナエシ(女郎花;オミナエシ科オミナエシ属)の花が咲き始めていて、秋間近の感がします。オミナエシは直立した茎の先にあざやかな黄色の花が群生して咲きます。


 野生化したマルバアサガオ(丸葉朝顔;ヒルガオ科サツマイモ属)も園内のあちこちで見かけました。マルバアサガオの:原産地は熱帯アメリカで、わが国へは江戸時代に渡来。花の形がアサガオヒルガオによく似ています。


 オオハンゴンソウ(大反魂草;キク科オオハンゴンソウ属)が園内の随所に群生していました。北アメリカ原産の帰化植物で、国内各地でよくみられます。また花屋さんではルドベキアの名前で売られています。


 山地の林の中などに生える多年草ヤブミョウガ(藪茗荷;ツユクサ科ヤブミョウガ属)。可憐な白い花の中に黒い実が点々と付いていました。葉の形がミョウガに似ていることがヤブミョウガの名の由来になります。


 8月も後半になると、残暑も落ち着くようですが、本格的な散策の復活は9月に入ってからになりそうです。

…> 季節のスケッチ(27年8月)


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