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2015年9月 5日 (土)

9月初旬の小石川植物園はヒガンバナ、ススキ、木の実等々、秋の気配が漂う

 8月の旧盆を過ぎてからのぐずついた天気は9月に入っても続いています。8月上旬の40度℃近い炎暑が続いた時期から1か月しか経っていないのですが、すっかり時候が変わり秋の気配が漂ってきました。

 さて、9月初旬の小石川植物園です。夏から秋への季節の移ろいを実感してきました。秋の季節を代表する紅白のヒガンバナやススキの花穂がぽつぽつと出てきました。また、まだ緑葉が残る木々の枝を見やると、秋の木の実がちらほらと見え隠れしていました。


 日本庭園の一角に建つ旧東京医学校の赤い建物(現在は東京大学総合研究博物館)の落ち着いた佇まい。左方には代表的な夏の花サルスベリの真紅色の花が、右方にはドウダンツツジの茂みを覆って群生する白いセンニンソウの花が目に飛び込んできます。

[季節の花々]


 スイフヨウ(酔芙蓉;アオイ科フヨウ属)の花は夏が終わるこの時期に咲き出します。スイフヨウの花は一日花で、白色から薄赤色に徐々に変わってしぼみます。



 この季節の風物詩のヒガンバナ(彼岸花;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)は、まさに9月の彼岸の時期に一斉に咲き出します。この日は9月初旬でしたのでどうかなと思っていましたが、赤花(別名:曼珠沙華)や白花(別名:白花曼珠沙華)が数輪ずつ咲き出していました。


 秋の七草の一つオバナ(尾花;イネ科ススキ属)はススキのことです。イネ科の多年草でススキの穂が風にたなびき、秋の陽射しを受けキラキラと輝くようになります。古くから親しまれ、お月見には欠かせない草。昔は茎や葉を刈って屋根を葺いていました。


 道ばたに咲いているアザミの花にチョウが止まり、盛んに蜜を吸っていました。このアザミは草原に普通に見られるノハラアザミ(野原薊;キク科アザミ属)でしょうか。


 やはりチョウが集まっていたのは、全国の野原や道端にも普通に見られる野草キツネノマゴ(キツネノマゴ科キツネノマゴ属)の小さい花です。こんなに小さい花なのにと驚いてしまいます。


 つる性の野の花が盛んに生育しています。これはキンポウゲ科センニンソウ属のセンニンソウ(仙人草)です。仙人のヒゲのような多数のふわふわとした白色の花が、ドウダンツツジなどの他の植物に絡んで全体を覆っています。


 これもつる性植物のヘクソカズラ (屁糞葛;アカネ科ヘクソカズラ属)。小さな花で、花自体はかわいらしいのですが、名前がどうもいただけません。葉や茎を採って揉むと悪臭があるとのこと。この状態では全然臭いません。

[木の実(果実)]


 木々の紅葉・黄葉はこれからで、まだ大部分が緑葉です。しかしながら緑の木の枝を見やると、色づいた木の実(果実)をちらほらと見かけるようになりました。ヤマボウシは6月頃に白い花を咲かせます。


 初夏に美しい花を付け楽しませてくれるハナミズキ(花水木;ミズキ科ミズキ属)ですが、木い実が点々と付いていて赤みがかってきました。



 植物園に入って直ぐの所にヒメタイサンボク(姫泰山木;モクレン科モクレン属)の木が生えています。同じ北米原産のタイザンボク(泰山木)と比べて、葉の厚さが薄く大きさも小さめで上品な印象を受けます。このヒメタイサンボクの樹中に赤い木の実が付いていました。実は今までこの木の存在も知りませんでしたので、赤い木の実を見たのももちろん初めてです。


 イチョウ(イチョウ科イチョウ属)の木の実も見つかりました。色づきはまだまだですが、やがて黄葉とともに黄色の実が熟して、美味しい銀杏を味わうことが出来るようになります。


 ヤブツバキ (ツバキ科 ツバキ属)の木に大きめの果実が付いていました。ヤブツバキは東北以西の暖地に生育する常緑の小高木で、伊豆七島や四 国・九州の太平洋海岸地域などに花の名所が多い。この果実の中の種子から広く愛用されている椿油を採取します。


 イイギリ(飯桐;イイギリ科)の高木をふと見上げると、まだ黄色い房状の実がぶら下がり始めていました。やがて真っ赤に熟してたわわに垂れ下がり、ヒヨドリなどが啄むことになります。


 日本、台湾、中国などに分布するマルバチシャノキ(丸葉萵苣の木;ムラサキ科チシャノキ属)。樹の随所に黄色の実の大きな塊が付いていました。この実をつぶすとバナナような香りがします。果肉は生食できるそうです。

[紅葉・黄葉など]


 木々の紅葉・黄葉も少しだけですが、見かけました。これは北アメリカ原産の落葉高木ヌマミズキ(沼水木;ヌマミズキ科ヌマミズキ属)。やがて真赤に紅葉していきます。


 シダレカツラ(枝垂れ桂)の黄葉も見かけました。シダレカツラはカツラの変種で、多数の細い枝が枝垂れています。数百年前に岩手県の早池峰山山麓で発見され、その後各地に広まったとのことです。


 日本、朝鮮半島、ウスリー、満州に分布し、日本では全国の山野の低地や湿地、沼に自生する落葉高木のハンノキ(榛の木;カバノキ科ハンノキ属)はきのこ栽培に適する樹木とされています。木の幹の部分に立派なキノコが付いていました。毒キノコではなさそうですが、名前は分かりません。

…> 季節のスケッチ(27年9月)



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