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2016年2月

2016年2月11日 (木)

スプリング・エフェメラルを始め、多くの春の野の花が咲き出す


 梅の香が広がる建国記念日(2/11)の小石川植物園の続きです。散策しながら園内の林地の草むらやあぜ道の路傍を観察してみると、若草や枯れ葉が広がる地表にいろんな野の花が咲いていることに気づきます。

 春の野の花の代表はスプリング・エフェメラルです。スプリング・エフェメラルと言われる野の花たちは、冬木立の間から春の陽光が差し込んでくるのをじっと林床の枯葉の下で待っています。そして地上に出た後はつかの間の春を謳歌して、夏までの間に光合成を行って地下の球根などに栄養分を蓄えます。そして、その後は春まで地中の地下茎や球根の姿で過ごすという独特のライフサイクルを持ちます。

 この日は、スプリング・エフェメラルのアマナ、ユリワリイチゲ、フクジュソウを始め、オオキバナカタバミ、ムラサキカタバミ、ハコベ、オオイヌノフグリ、ヒメオドリコソウ、ホトケノザなどの多くの野の花を見かけました。


 散策路の道ばたのところで枯葉のすき間から顔をのぞかせているアマナ(甘菜;ユリ科アマナ属)の花を見つけました。まるで小さなチューリップのようです。長年植物園に通っているのですが、今回が初めての出会いでしたので、嬉しさがこみ上げてきました。アマナは本州東北地方南部以南、四国、九州、奄美大島に分布し、水田の畦や河川の堤防などに生育するスプリング・エフェメラルの一つです。


 ユキワリイチゲ(雪割一華;キンポウゲ科イチリンソウ属)もスプリング・エフェメラルの仲間です。園内のメタセコイア林の近くに群生地があります。道端の目立たない場所なので通りすぎてしまう人も多いのですが、よく見ると幾重にも重なった落ち葉の中から、清楚で可憐な白い花が何輪か顔を出していました。


 フクジュソウ(福寿草;キンポウゲ科フクジュソウ属)は薬草園の中で咲いていました。やはりスプリング・エフェメラルの仲間です。フクジュソウは早春に忘れずに咲き出します。まぶしいような黄金色を放ちながら、精一杯春の陽光の中で輝いています。 寄せ合って咲く様子がほのぼのとした感じを与えてくれます。


 春の七草の一つハコベ(繁縷;ナデシコ科ハコベ属)の小さな花が咲き出してきました。島崎藤村の「千曲川旅情の詩」では、「小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ 緑なすはこべは萌えず 若草も籍くによしなし しろがねの衾の岡辺日に溶けて 淡雪流る」 とハコベが登場します。


 これはオオイヌノフグリ(ゴマノハグサ科クワガタソウ属)です。星くずのように可憐な青い小さな花が春の野に点々と咲くようになってきました。


オオキバナカタバミ(大黄花片喰;カタバミ科カタバミ属)の黄色の花も咲き出してきました。散歩道から少し外れた園内の一角にオオキバナカタバミの群生地があります。


 道ばたで野生化したムラサキカタバミ(紫片喰;カタバミ科カタバミ属)の赤紫色の花がひっそりと咲いていました。いつもは、4月頃によく見かけるのですが。


 花の形が踊り子に似ているヒメオドリコソウ(姫踊り子草;シソ科オドリコソウ属)や葉の様子が仏像の蓮座を連想させるホトケノザ(仏の座;シソ科オドリコソウ属)を見つけました。園内の随所で咲き出してきました。

…> 季節のスケッチ(28年2月):春の野の花


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2月中旬の小石川植物園、梅林に梅の香が広がる


 快晴に恵まれた建国記念日(2/11)、小石川植物園を散策してきました。年末・年始が暖かな日が続いたこともあって、花の咲き具合は例年より早めのような感じがしました。


 この日の梅林は全体の6分~7分咲きといったところで、かなり賑やかになってきました。いろんな種類の紅梅や白梅が咲き出していて、梅の香が園内一面に広がっていました。

 この日咲いていた紅梅、白梅の花の幾つかを以下に紹介します。

 この園芸種は、大盃(おおさかずき)。


 緋の司(ひのつかさ)。


 白加賀(しろかが)。


 月の桂(つきのかつら)。


 大湊(おおみなと)。


 八重寒紅(やえかんこう)。これ以外にも多くの梅の花が咲いていました。


 梅以外では、枯れ葉が枝に残ったままでシナマンサク(支那満作;マンサク科マンサク属)の花が満開になっていました。無数のふわふわした黄色の花びらが周りの空間に広がっています。マンサクという名は、春にまず咲くことに由来します。


 メタセコイア(スギ科メタセコイア属)は依然としてスクッと直立した冬木立のままです。まだ太陽の高度が低いのが分かります。

季節のスケッチ(28年2月):梅林など


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