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2016年4月 3日 (日)

サクラ満開の小石川植物園、小雨模様でも花見の宴


 東京地方のサクラ満開宣言から5日経過した週末の小石川植物園。このところ気温が比較的低めに推移しているおかげで、この日もまだ満開が続いていました。



 ただ、あいにくの小雨模様で昼過ぎには止んできたものの、青空の下の観桜は残念ながら断念。それでもソメイヨシノ(染井吉野)の桜の木の下は敷物を広げて陣取った花見の宴で賑わっていました。サクラの主役はなんといってもソメイヨシノ(染井吉野)。園内の桜並木に多くのソメイヨシノが集中していますが、それ以外の場所でも所々で見かけます。ソメイヨシノのサクラの木は、江戸時代の染井村(現在の豊島区駒込付近)の植木屋さんが作り出したもので、これが全国に広まったと言われています。当初はヤマザクラの名所であった奈良県の吉野山にちなんで吉野の名で売り出されたもの。




 サクラ博士と言われた竹中要博士により、ソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンとの雑種で伊豆半島に自然発生したものであることが明らかになっています。ソメイヨシノには、竹中博士がソメイヨシノの起源を研究する過程で生まれた品種や各地で収集したいろんな品種があり、植物園の園内にも多くのソメイヨシノが集まっています。上から三島桜、帝吉野、天城吉野の名がついていますが、よく見ると花とともに新葉が付いています。この点が、花が散った後に葉が付く「純正」のソメイヨシノとは異なります。

 園内では、ソメイヨシノ以外にも野生種のものとか珍しい桜とか、いろんな種類の桜の花が見つかります。

 野生種のサクラの一種のオオシマザクラ(大島桜)。関東以南に分布するが、特に伊豆諸島に多く、和名の由来となっています。このオオシマザクラは、親株としてソメイヨシノ、フユザクラなどの多くの園芸品種を生み出している。また、この時期の和菓子として食される桜餅は、このサクラの若葉を塩漬けにして用いられる。


 オオヤマザクラも野生種の桜。北海道、本州、四国などに自生する。ヤマザクラ(山桜)に比べ花や葉が大きいことからこの名が由来。北海道に多く生育していることからエゾヤマザクラ(蝦夷山桜)ともいわれます。


 チハヤザクラ(千早桜)。ヤマザクラ(山桜)の変種で、熊本市島崎町千原台にあった原木から増殖した木が現在でも熊本で多く栽培され愛されています。熊本では古くからツクシヤマザクラ(筑紫山桜)が栽培されてきたので、本種も筑紫山桜(ツクシヤマザクラ)ではないかと推定されています。


 チョウジザクラ(丁字桜;別名メジロザクラ)という珍しいサクラの花です。ソメイヨシノのような華やかさはなく質素なたたずまいです。この花を横から見ると丁字や丁子のように見えることが和名の由来とされています。チョウジザクラもサクラの野生種の一つ。


 園内の桜並木のすぐ近くにシダレザクラの木があります。うす紅色の花が見事に枝垂れていました。シダレザクラとは、枝がやわらかく枝垂れる桜の総称で、エドヒガンの系統が多く、品種もさまざまです。このシダレザクラは紅色が濃いのでベニシダレという品種かと思われます。




 いろんな名が付いたサトザクラも満開になっていました(上から、雨宿り、牡丹、長州緋桜)。サトザクラは主に観賞用にオオシマザクラを基にしてヤマザクラ、エドヒガン、カスミザクラ、マメザクラなどを掛け合わされた園芸品種の総称で種類が多い。観賞用ということもあって、サトザクラには八重系のものが多いように思います。



 この時期は満開の桜にすっかり気を取られていますが、園内ではイロハモミジをはじめとして新緑の世界が徐々に広がってきています。4月後半にもなると主役交代です。


 野の花の世界も相変わらず活発に動いています。園内の林地ではスプリング・エフェメラルの仲間のイチリンソウ(一輪草)の花が咲き出しました。イチリンソウは本州、四国、九州に分布し、落葉広葉樹林の林床や林縁に生育します。そして、ひとつの茎に1輪の花が咲くことから和名が由来。ニリンソウと比べ、花が大きめなので簡単に見分けがつきます。


 池の周りでは、小さく可憐なニリンソウの花が仲良く並んで咲いていました。ニリンソウは、メタセコイア林の林床地に群生して、先月後半から咲き出しています。


 オオアマナ(大甘菜;ユリ科オオアマナ属)の星型の白い花が元気に咲いているのを見つけました。オオアマナは草むらの随所に群生し、これから園内のあちこちの林床を一面の白に染めるようになります。明治の末頃、ヨーロッパから入ってきた帰化植物です。


  青紫色のタツナミソウ(立浪草;シソ科タツナミソウ属)を草むらで見かけました。タツナミソウは日当たりの良い林縁や草地に生育します。青紫の花が同じ方向に並んだ花穂の姿が打ち寄せる波頭に似ていることからこの名が由来。


 全国の山野に生える多年草のセントウソウ(仙洞草;セリ科セントウソウ属)が小さく細かな白い花が、散策路の路傍に盛んに咲いていました。非常に小さな花なのでつい見過ごしてしまいます。セントウソウはニンジンのような葉が特徴的です。

 この週末は良い天気ではなかったのですが、いろんな種類のサクラの花とか木々の新緑、野の花の世界など十分に楽しむことができました。

…>季節のスケッチ(28年4月)



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