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2016年5月

2016年5月 8日 (日)

初夏の小石川植物園、美しい緑の季節を迎えました


 大型連休最後の一日は、立夏が過ぎ心地よく晴れ上がった小石川植物園を散策してきました。初夏の園内は美しい緑の季節を迎えました。

 園内の日本庭園の奥の方に建つ旧東京医学校の赤い建物です。この前庭はいろんな木々が配置され四季折々の風景が演出されるようになっています。この日は緑一色でした。


 ひと月前は満開のソメイヨシノで賑わったサクラ並木。今や葉桜の時期も過ぎ、すっかり緑葉に覆われてきました。


 イロハモミジの並木径が心地よい緑のトンネルになっていました。このトンネルを通り抜けると、心身ともにリフレッシュされた気がします。


 後方にうっそうと茂っているのは、鎮守の森の主のようにそびえ立つクスノキ(クスノキ科ニッケイ属)の巨木です。クスノキは常緑樹ですが、ちょうどこの頃に新葉と入れ替わります。前方はツツジ園です。


 精子発見で有名になった記念樹のイチョウの高木です。緑衣をまとってきました。


 アメリカスズカケノキ(スズカケノキ科スズカケノキ属)の雄大な木立に若葉が生い茂っています。アメリカスズカケノキは北米原産で日本には明治時代に渡来しました。


 ユリノキ(百合の木;モクレン科ユリノキ属)の大樹の若々しい緑葉です。チューリップに似たユリノキの花は残念ながら終わっていました。


 中央アジアのコーカサス地方を原産とするコーカサスサワグルミ(クルミ科サワグルミ属)。葉の形や幹の文様が特徴的です。普通のサワグルミと比べて、葉が大き目。


 中国原産の落葉高木エンジュ(槐;マメ科エンジュ属)が盛んに若葉を吹き出していました。やがて、この大樹は細かな白い花で覆われるようになります。


 トサミズキ(土佐水木;マンサク科トサミズキ属)の丸い緑葉の幾何学文様。陽光が差し込む葉の裏側からの写真です。


 いろんな初夏の花も咲いていました。これはシナヤマツツジ(支那山躑躅;ツツジ科ツツジ属)で、真っ赤な花が周りの緑の世界の中で際立って鮮やかです。シナヤマツツジは奄美、沖縄、中国、台湾に分布し、タイワンヤマツツジとも呼ばれます。


 北米やキューバ原産のツツジのカルミア(ツツジ科カルミア属)の小高木が沢山のピンク色の花をつけていました。花をよく見ると、コンペイトウのような小さな花が塊集して咲いています。


 この時季のいろんな野の花も見かけました。庭園の池辺にカマヤマショウブ(蒲山菖蒲;アヤメ科アヤメジク属)の紫色の花とキショウブ(黄菖蒲;アヤメ科アヤメ属)の黄色の花が咲いていました。


 路傍の草むらにハハコグサ(母子草;キク科ハハコグサ属)の小さな黄色の花を見つけました。春の七草のゴギョウ(御形)のことです。ロゼットの状態で越冬し、春になると茎を伸ばします。


 日当たりのよいところにクサノオウ(ケシ科クサノオウ属)の黄色の花が咲いています。皮膚病の湿疹(くさ)を治す薬効があるために、くさ(瘡)の王(おう)と呼ばれます。


 オオムラサキツユクサ(大紫露草;ツユクサ科ムラサキツユクサ属)も園内のあちこちで見かけました。北米東部に分布する多年草で、ムラサキツユクサよりも大型です。



 赤紫色の花のイモカタバミ(芋紫傍喰;カタバミ科)がメタセコイアの林地に群生して咲いていました。イモカタバミは地下に芋状の塊茎を持ちます。白花のものも交じっています。


 園の出入り口付近にメタセコイア(スギ科メタセコイア属)が林立しています。凛として天に向かってそびえ立っていた冬木立がいつの間にか青々と茂ってきました。

 これからは夏の日差しが強くなるにつれ、日中の園内散策は厳しくなってきます。

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2016年5月 7日 (土)

今年の大型連休に霊峰出羽三山の羽黒山を訪れる


 今年の大型連休は郷里の山形に帰郷し、霊峰出羽三山の一つ羽黒山を訪ねてきました。出羽三山とは月山、羽黒山、湯殿山の総称であり、古くから修験道の霊場として知られています。山形県には大きな自然災害がめったに起きませんが、地元では出羽三山がこの地を守っているお陰と言われています。


 標高414mの羽黒山は出羽三山の中心地。山頂には三神合祭殿があり、自動車道も通じているため容易に参拝することができます。随神門から始まる表参道は、全長約1.7km、2446段の長い石段になっています。参道の両側には樹齢350~500年の杉並木が続き、その数は400本以上で国の特別天然記念物に指定されています。杉並木の途中に国宝五重塔が突然姿を現します。


 入口の随神門を抜け参道に入ると、いきなり長い下り坂(継子坂)になっています。


 石段唯一の下り坂の継子坂を下ると、祓川にかかりる赤い神橋が見えてきます。清流は月山に源流を発し、昔出羽三山に参拝する人々は全てこの川で身を清めたそうです。


 赤い神橋のすぐ近くに祓川をはさんで流れ落ちる須賀の滝が見えます。江戸時代、遠く月山より8kmの水路をひいて作られ不動の滝と呼ばれていました。

 
 神橋からさらに5分ほど石段を登っていくと、樹齢1000年といわれ国の天然記念物に指定されている爺杉にたどり着きます。かつて爺杉の隣にあった婆杉は台風で失われてしまったとのこと。


 爺杉の近くに羽黒山五重塔(国宝)が荘厳なたたずまいで建っています。参道の途中に忽然と現れたといった感じで、強いインパクトがあります。東北地方では最古の塔といわれ、平将門の創建と伝えられています。高さが29.0mの三間五層柿葺素木造。


 羽黒山山頂に月山・羽黒山・湯殿山の三神を合祭した日本随一の大社殿が建っています。厚さ2.1mの萱葺の屋根、総漆塗の内部など見ごたえ十分とのことだったですが、あいにく手直しの修理中でした。


 俳聖松尾芭蕉は、出羽三山には元禄二年六月三日から十日まで滞在しています。この間、羽黒山をはじめ、月山、湯殿山と三霊山をくまなく踏破しこの霊気漂う神域に深く感動したとのこと。この間、次のような句を詠んでいます。
 「涼風やほの三か月の羽黒山」
 「雲の峯いくつ崩れて月の山」
 「かたられぬゆとのにぬらす袂かな」


 参道の路傍には珍しい山野草をちらほら見かけました。これはスプリングエフェメラルの仲間のショウジョウバカマ(猩々袴;ユリ科ショウジョウバカマ属)。 ショウジョウバカマは北海道から九州までの、やや湿った場所に分布する多年草です。面白い名前は、赤い花が中国の伝説上の動物の猩々(ショウジョウ)になぞらえ、根生葉の重なりが袴(ハカマ)に似ていることから由来するそうです。


 オオバキスミレ(大葉黄菫;スミレ科スミレ属)を初めて見つけました。積雪量の多い日本海側の亜高山帯の林縁や草地に生育します。和名の由来は、他のスミレと比べて葉が大きく黄色の花であることによります。


 出羽三山の一つの月山(標高1,984m)は羽黒山と連なっていて羽黒山山頂からよく見えます。月山の山頂一帯のなだらかな地形部には、氷帽氷河(アイスキャップ)が存在していた可能性があると指摘されています。


 月山の姿は県内の山形盆地、庄内平野、最上地方のどこからでもよく眺められています。遠く離れた山形盆地の東根市からは月山のなだらかな白い山頂部がよく見えます。


 同じ山形盆地でも山形市からはゆったりとした月山の中腹部までの山容が望めます。このように月山のイメージはその人が住む地域によって少しづつ異なってきますが、「月山」は県内の多くの人に親しまれ、心の拠り所になっています。

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