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2016年8月

2016年8月14日 (日)

厳しい残暑下の小石川植物園はサルスベリ、巨木の夏木立などが競演


 8月中旬の厳しい残暑の下、開園直後でまだ気温が上昇する前の小石川植物園をぐるっと巡ってきました。ちょうど今開催中のリオ五輪で日本選手の活躍が連日報じられていますが、植物の世界でもサルスベリをはじめとする夏の花木や巨木・高木のの夏木立、夏の野の花などが競演中でした。


 植物園の日本庭園の一角に建つ赤い建物(旧東京医学校、現東京大学総合研究博物館小石川分館)は、その周りに季節を実感する花木が配置されています。夏のこの時季はサルスベリの木に咲く百日紅といわれる花を観賞できるのですが、近年咲き具合が悪くなり、今年は全然咲いていませんでした。少し心配です。


 一方、赤い建物の右方の庭園を見やると、サルスベリの大樹が満開になっていました。手前のドウダンツツジの茂みはつる性植物のセンニンソウに淡雪のように覆われています。

(炎天に咲き続ける夏の花木)
 炎暑の夏空の下、長期に花を咲かせるサルスベリ、ムクゲおよびキョウチクトウは代表的な夏の花木と言われます。この時期の園内では、これらの花木に咲く夏の花々を楽しむことが出来ます。


 まずはサルスベリ(百日紅;ミソハギ科サルスベリ属)です。強い日差しの中でサルスベリの花が青空に鮮やかに咲き続けてます。真紅色の花が多く見かけますが、薄紫色や白色のものもあります。木の幹はスベスベしていて和名の由来になっています。


 ムクゲ(木槿;アオイ科フヨウ属)も夏の季節の風物詩になっています。いろんな色合い・模様の花が園内の随所に咲いています。風雅で落ち着いた雰囲気を醸し出しています。ムクゲというと、かつて訪れた英国のウィンザー城に咲いていたムクゲをいまでも思い出します。


 中国原産の常緑低木のキョウチクトウ(夾竹桃 キョウチクトウ科キョウチクトウ属)も夏空に長く咲き続けます。葉の形状が竹に似て、花が桃に似ていることから夾竹桃の名が付いたとのこと。白花のキョウチクトウも咲いていました。キョウチクトウは全身が有毒というので敬遠されているせいか、最近では街中であまり見かけなくなっています。


 上述の夏の花木とは意味合いが異なるのですが、小笠原諸島の父島固有の珍しいムニンノボタン(無人野牡丹;ノボタン科)の白い花を見かけました。このムニンノボタンは、かつて父島にたった1株しか残っていないという絶滅寸前まで追い詰められていたのですが、小石川植物園の施設内で増殖に成功。その後父島に再移植され順調に株数が増加しているとのこと。

(巨木・高木の夏木立)
 園内には背丈が数10メールもの巨木・高木を多数存在します。実際の森の中を歩き回っているような錯覚を覚えるほどです。この時季、これらの巨木・高木群がすっかり深まった緑葉に覆われ、見事な夏木立のたたずまいになっています。

 古井戸の近くにそびえ立つクスノキ(楠木;クスノキ科ニッケイ属)の巨木にうっそうと葉が茂っています。まるで鎮守の森の主のようです。クスノキは常緑樹ですが、春に新葉に替わります。


 スズカケノキ(スズカケノキ科スズカケノキ属)の夏木立。日本で街路樹として用いられるプラタナス(モミジバスズカケノキ)は、本種とアメリカスズカケノキの雑種です。


 ユリノキ(モクレン科ユリノキ属)の夏木立も見応えがあります。あふれんばかりの緑葉の中に花の名残りが少しだけ視認できます。ユリノキの花は5月頃に咲きます。


 これは高木のイタリアヤマナラシ(ヤナギ科ヤマナラシ属、別名セイヨウハコヤナギ;いわゆるポプラ)ですが、イタリアヤマナラシの緑葉に、夏緑性のナツヅタがぎっしりと絡みついています。面白い風景です。

(季節の野の花)
 野の花の世界も賑やかです。この時期はほかの植物を覆うつる性植物の活動が盛んです。また、立秋が過ぎたこともあり秋の七草が目立つようになります。

 秋の七草の一つのオミナエシ(女郎花;オミナエシ科オミナエシ属)。オミナエシの花を見ると初秋の季節を実感させられます。直立した茎の先にあざやかな黄色の花が群生して咲きます。黄色い花が粟(あわ)に似ていることから、粟花ともいわれる。


 園内の至る所にオオハンゴンソウ(大反魂草;キク科オオハンゴンソウ属)が群生しています。北アメリカ原産の帰化植物で、今ではわが国の各地で野生化しています。また、ルドベキアの名前で花市場に流通しています。


 全国に分布する多年草のツルボ(蔓穂;ユリ科ツルボ属)です。園内のいろんなところで、小柄でピンク色の花穂を付けていました。かつて、ツルボの鱗茎は飢饉の時に食用に供され役立ったそうです。


 つる性植物で野生化したマルバアサガオ(丸葉朝顔;ヒルガオ科サツマイモ属)を園内のあちこちで見かけました。熱帯アメリカ原産で、わが国へは江戸時代に渡来。花の形がアサガオヒルガオによく似ています。


 繁殖力が旺盛で木々を覆い尽くしてしまい、グリーンモンスターとも呼ばれるクズ(葛;マメ科クズ属)に赤紫色の葛の花も咲いていました。根からは葛澱粉が採れ、この根は葛根(カッコン)と呼ばれ、漢方薬として使われます。クズも秋の七草の一つです。


 藪を覆って枯らしてしまうほど生育が旺盛といわれるヤブガラシ(藪枯らし;ブドウ科ヤブガラシ属)も花を付けて、随所に広がっています。庭の手入れを怠ると広がるのでビンボウカズラ(貧乏葛)とも呼ばれます。

 上述以外にも、色んな花木、夏木立、野の花を見かけました。詳しくは、季節のスケッチ(28年8月)をご覧ください。



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2016年8月11日 (木)

郷里での夏休み、田んぼアートを鑑賞


 8月上旬夏休みを取り、郷里の東根市(山形)で子どもや孫たちと一緒に田舎の生活を満喫してきました。山形も日中は暑かったのですが、実家の近くの尾花沢市で田んぼアートを鑑賞したり、近辺の最上川、大ケヤキの写真を撮ったりと、車で各所を回ってきました。



 東根市から車で30分ほど北上した尾花沢市福原地区を拠点に、小学校の生徒たちも巻き込んだ地域ぐるみの田んぼアートづくりの活動が行われていました。数年前から行われていて、今年は福原地区が尾花沢スイカの中心地であることから、スイカ太郎の絵柄(上)になっていました。くまモン(?)の図案のアート(下)もありました。6種類の稲の品種(ゆきあそび・べにあそび・紫大黒・黄大黒・青系観177号・はえぬき)を巧みに配置して色の違いを出しています。10月になるとみんなで収穫祭を行うとのこと。いいですね。


 尾花沢市と隣接する大石田町付近を悠然と流れる最上川の風景です。最上川は米沢付近を源として山形、河北町、大石田町、新庄、酒田と縦走し、日本海へ通じます。江戸時代には内陸部で産出される米、紅花などを運送する重要な航路になっていて、これらの産品は日本海の酒田の地で北前船に移し替えられ上方まで運ばれました。特に紅花商人たちはこの交易で多大な利益を得て紅花大尽とも呼ばれました。



 羽州街道沿いの村山市本飯田地区に立つ尾上のマツ。樹齢は約600年といわれる端麗な姿の名木です。その美しい樹姿は羽州街道を通る参勤交代の大名行列の頃から人目を引いていたといわれます。今では、この一帯が尾上の松ドライブインとなっている。


 東根小学校の校庭にそびえる、国指定特別天然記念物の大ケヤキ。東根の大ケヤキは、南北朝時代(1347年ころ)小田島長義が築いた東根城内に植栽されたものといわれています。樹齢1500年以上と推定され、樹高28m、幹周り16mと日本一のケヤキの巨木です。私たちがいつ訪れても、その雄姿に接すると勇気づけられ、元気になります。


 羽州街道六田宿跡(今の東根市六田地区)の、紅花を抱えた芭蕉像。芭蕉は尾花沢から羽州街道を通って山寺に向かう途中、この地でもてなしを受け、「行く末は誰(たが)肌ふれむ紅の花」と詠んでいます。


 東根市の六田地区から見た出羽三山方面(西方向)の眺望です。中央やや左後方に山頂に幾つかの雪渓を抱く山が見えますが、この山が出羽三山の一つの月山です。手前の水田はまだ青々としていますが、やがて黄金色の穂が実り10月頃には新米が収穫されます。

 詳しくは、季節のスケッチ(28年8月)へ。




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