« 2016年9月 | トップページ | 2016年11月 »

2016年10月

2016年10月10日 (月)

体育の日の神代植物公園、多くの秋の野草が賑やか



 10月10日の体育の日、久しぶりに調布の神代植物公園を訪れました。今年は台風の影響もあって夏の暑さが長く続き、寒露の頃を迎えてようやく時候が秋らしくなってきました(例年は秋の彼岸過ぎ)。この日は暑くもなく寒くもなく格好の散策日和で、始まったばかりの秋のバラフェスタを大勢の人が楽しんでいました。

     〔園内マップ〕 → 拡大図(pdf)


 私としては美しく咲く秋バラよりも、秋の野草が賑やかに咲いていたのが強く印象に残りました。

 芝生広場の中央部に背の高いシロガネヨシ(白銀葭;イネ科シロガネヨシ属)が群生していました。この前で老夫婦がゆったりと食事をしていました。シロガネヨシはブラジル南部などのパンパス地帯に大群落を作っているのでパンパスグラスともいう。


 貴船菊や秋牡丹の別名がある可憐なシュウメイギク(秋明菊;キンポウゲ科イチリンソウ属)の花。白い花赤い八重咲の花は何度も見かけていますが、赤紫色の花とは初めての出会いです。シュウメイギクの名前からはキク科のように思えますが、実はキンポウゲ科の植物です。


 秋の七草の幾つかの花も見かけました。これはフジバカマ(藤袴;キク科ヒヨドリバナ属)です。花色が藤の花に似ていることから「藤袴」の名が付いたとのこと。


 これも秋の七草の一つオミナエシ(女郎花;オミナエシ科オミナエシ属)。8月頃によく見かけますが、この日も咲いていました。直立した茎の先にあざやかな黄色の花が群生して咲きます。


 やはり秋の七草のキキョウ(桔梗;キキョウ科キキョウ属)の白花。7~8月の盛夏の花です。青紫色の花はよく見かけますが、白花は珍しい。


 ワレモコウ(吾亦紅;バラ科ワレモコウ属)。秋の高原でよく見かけ、暗赤色の丸い花穂を付けます。


 全国の路傍や草むらに多く見かけるイヌタデ(犬蓼;タデ科タデ属)。子どものままごとで赤飯の代わりに使われたことからアカマンマの別名が付いています。


 ミズヒキ(水引;タデ科イヌタデ属)の赤い花も見かけました。ミズヒキの和名は、紅白に見える花序が水引に似ていることに由来します。全国各地の日陰地に自生する野草です。



 全国の草地に分布するキンミズヒキ(金水引;バラ科キンミズヒキ属)。細い花穂に黄色の花が付いています。細長い花穂がタデ科のミズヒキに似ています。


 タデ科の多年草サクラタデ(桜蓼)も花を付けていました。タデ科の仲間は地味な花が多いのですが、サクラタデは可憐なピンク色の花を咲かせます。


 面白い形状の果実を見かけました。これはツノナス(角茄;ナス科ナス属)の黄色の果実。ツノナスはブラジル原産で、独特な形の果実をつける植物です。主に観賞用として栽培されていて、生け花などにも用いられる。果実の形状がキツネの顔に似ていることからフォックスフェイスやキツネナス(狐茄子)の別名あり。


 ヒョウタン(瓢箪;ウリ科ユウガオ属)の実が成っていました。ヒョウタンはアフリカ原産で食用や加工材料として全世界に広まったと考えられています。果肉部分を除去し乾燥させた瓢箪は、土産物などとしてよく見かけますが、本物を見るのは初めてです。


 園内の樹木ゾーンではジュウガツザクラ(十月桜)の花が咲いていました。春の時期の華やかなソメイヨシノと異なり、楚々とした風情です。エドヒガン系の園芸種です。


 タイザンボク(泰山木;モクレン科モクレン属)の大木を見上げると、袋果が裂けて赤い種子がむき出しになっていました。泰山木は6月頃に威風堂々として清らかな芳香の白い大きな花を咲かせます。


 バラ園の奥の方に大温室が建っています。この大温室は本年5月にリニューアルオープンしたばかりです。


 従来からのベゴニア・ランのコーナーに加え、チリのビーニャ・デル・マル植物園の協力によりチリ植物のコーナーを増設し、またサボテン類などの貴重な乾燥地の植物や、世界自然遺産である小笠原諸島の植物の展示を拡充するなど、合計約1,300種・品種を展示しています。

 大温室に展示中の植物などは、季節のスケッチ(28年10月神代植物公園)にアップしています。





| | コメント (0)

2016年10月 8日 (土)

大隅良典東京工業大栄誉教授がノーベル賞(医学・生理学賞)を受賞


 10月に入って今年のノーベル賞(医学・生理学賞)にオートファジー(自食作用)の仕組みを解明した大隅良典・東京工業大栄誉教授が授与されることに決まったという嬉しいニュースが飛び込んできました。



 〔大隅教授とオートファジー研究〕(東工大HPより)


 日本人の受賞は昨年の医学・生理学賞(大村智氏)、物理学賞(梶田隆章氏)に続き3年連続となります。米国籍を含め、日本人受賞者は25人。単独受賞は1949年の湯川秀樹氏(物理学賞)、1987年の利根川進氏(医学・生理学賞)に次いで29年ぶり3人目となります。

 大隅教授は、27年前に酵母のオートファジーを発見して以来、一貫してその分子機構の解明を目指して研究を進めてきており、世界に先駆けた遺伝学の適用による酵母のオートファジー遺伝子(ATG) の同定は、それまでのオートファジー研究を一変し、今日の爆発的な研究領域の展開の切っ掛けとなっています。今回の受賞は、このオートファジー研究が評価されたもので、医学・生理学賞の選考委員は「生命科学の根源的な発見で、がんやパーキンソン病などの病気の治療研究に貢献する」としています。

 近年多くの日本人研究者がノーベル賞を受賞していて、同じ日本人として誇らしい気持ちになりますが、気になる指摘を紹介しておきます。すなわち、一次選考でノーベル委員会が研究者や過去受賞者に呼びかける推薦状の日本からの返信率が他国と比べて非常に低いとのことで、日本人の受賞確率が低くなる要因として、ノーベル委員会委員がこの点に苦言を呈しているそうです。今後もノーベル賞受賞のため、日本全体としての一層の努力が必要なようです。

| | コメント (0)

2016年10月 7日 (金)

ススキの穂が揺れ秋の風情たっぷりの小石川植物園


 先日、東京工業大学栄誉教授の大隅良典氏が「オートファジー」の研究でノーベル医学・生理学賞を受賞し、明るい話題で国内が沸き立ちました。一方、秋晴れのここ小石川植物園もススキの穂が揺れ、秋の風情がたっぷりになってきました。


 園内のサクラ並木では、少しづつ黄葉、落葉が進んでいて、夏の木々の濃い緑とは様変わりです。園内では秋の花々、木の実なども多くみられ、秋の深まりを実感します。


 白いシュウメイギク(秋明菊;キンポウゲ科イチリンソウ属)の花が可憐に咲いていました。シュウメイギクの名前は、キク科のようですが、実はキンポウゲ科の植物です。


 シュウメイギクには、勲章のように立派な形をした赤い花もあります。貴船菊や秋牡丹の別名があります。


 キク科の花々にチョウやハチなどの昆虫が盛んに集まっていました。これは、薄い紫色の花が優雅にたなびくシオン(紫苑;キク科シオン属)の花です。古い時代に薬草として渡来したが、現在では薬草より観賞用として多く栽培されている。


 背の高いキク科アキノキリンソウ属のセイタカアワダチソウ(背高泡立草)にヒョウモンチョウが止まっていました。セイタカアワダチソウは形状のいい黄色の花穂を付けます。北米原産の帰化植物で河原や空き地などに群生します。


 ノゲシ(野芥子;キク科ノゲシ属)の花にモンキチョウが止まり、蜜を吸っていました。ノゲシは花期は春から秋で黄色のタンポポのような花が咲きます。各地の路傍や空き地などに分布。背丈は高めです。


 山地に生える多年草カリガネソウ(雁金草;クマツズラ科カリガネソウ属)が多くの薄青紫色の小さく優雅な花を付けていました。花の形が水鳥の雁(かり)に似ています。


 北海道から九州の山野に生える多年草ナンテンハギ(南天萩;マメ科ソラマメ属)の青紫色の花。ナンテンハギは草原や林縁部など、比較的日当たりのよい場所に生えます。2枚の小葉を付けることからフタバハギの別名あり。


 秋の七草の一つのハギ(萩;マメ科ハギ属)の花です。花の形がよく似るナンテンハギは草本ですが、ハギは木本に属します。紅紫色の小さな花を細い枝に多数つけて枝垂れて咲いています。


 木の実や果実も多く見かけました。コムラサキ(クマツヅラ科ムラサキシキブ属)が紫色の実をつけていました。木の実は赤色のものが多いのですが、植物の世界は奥深いですね。


 園内には多くのイチョウの大木が生えています。この時期ちょうどイチョウの実が熟し、木の下にも多数落ちています。少々臭いが気になりますが、これから美味しい銀杏(ぎんなん)が作られるとは妙なものです。


 マルバチシャノキ(丸葉萵苣の木;ムラサキ科ムラサキ科チシャノキ属)の大樹に黄色の実の大きな塊が随所に付いていました。木の下に落ちている実の皮をむいてみると、バナナの香りに似た果肉が出てきます。


 アジア原産のヒメザクロ(姫石榴;ザクロ科ザクロ属)に小さな赤紫色の実がポツンと付いていました。ヒメザクロは6月頃に小さな赤い花を咲かせ、園芸用として栽培されています。チョウセンザクロ、ナンキンザクロなどの別名あり。


 山地の林の中などに生える多年草ヤブミョウガ(藪茗荷;ツユクサ科ヤブミョウガ属)が黒い実が点々と付けていました。葉の形がミョウガに似ていることがヤブミョウガの名の由来になります。

 これら以外にもいろんな写真があります。
     …> 季節のスケッチ(28年10月)



| | コメント (0)

2016年10月 2日 (日)

10月はコスモス、キンモクセイ、栗の実などの秋の香り


 10月2日、孫の運動会があってつくば市まで出かけてきました。運動会の合間に保育園を運営する安福寺の近辺を回って、いろんな秋の香りを見つけてきました。この日は日差しが強くすっかり日焼けしてしまいました。


 この日は晴れ上がっていましたので、筑波山のくっきりとした山並みが見えました。市内のいろんな所から眺望できます。筑波山は昔から「西の富士、東の筑波」と愛称され、朝夕に山肌の色を変えるところから「紫峰」とも呼ばれています。男体山(左)と女体山(右)の2つの峰を持ち、古くから信仰の山として栄えてきました。また山中の梅林も有名です。


 保育園を運営する安福寺は、研究学園都市駅のすぐ近くに建つ名刹。境内は広大で四季折々の花が咲き、自然豊かで心癒される場所です。


 境内の周辺では、秋の香りをたっぷりと実感できました。これは風に舞うコスモス(秋桜;キク科コスモス属)の花。コスモスは熱帯アメリカ原産で、メキシコからスペインに渡りコスモスと名づけられた。日本には明治20年頃に渡来。今や代表的な秋の風物詩です。


 黄金色に染まり特有の芳香を放つキンモクセイ(金木犀;モクセイ科)を見つけました。甘い香りが漂っているのに気づき、振り返るとそこにキンモクセイということがままあります。


 境内の周りに生えているソメイヨシノのサクラの木を見上げると、少しだけ黄葉が始まっていました。


 寺の近くの栗畑を覗くと、少しだけイガに包まれた栗の実が残っていました。栗はブナ科クリ属の木になります。ブナのドングリと違って、栗の殻の中は種子ではなく果実です。

       …> 季節のスケッチ(28年10月)


 

| | コメント (0)

« 2016年9月 | トップページ | 2016年11月 »