体育の日の神代植物公園、多くの秋の野草が賑やか

10月10日の体育の日、久しぶりに調布の神代植物公園を訪れました。今年は台風の影響もあって夏の暑さが長く続き、寒露の頃を迎えてようやく時候が秋らしくなってきました(例年は秋の彼岸過ぎ)。この日は暑くもなく寒くもなく格好の散策日和で、始まったばかりの秋のバラフェスタを大勢の人が楽しんでいました。
〔園内マップ〕 → 拡大図(pdf)

私としては美しく咲く秋バラよりも、秋の野草が賑やかに咲いていたのが強く印象に残りました。

芝生広場の中央部に背の高いシロガネヨシ(白銀葭;イネ科シロガネヨシ属)が群生していました。この前で老夫婦がゆったりと食事をしていました。シロガネヨシはブラジル南部などのパンパス地帯に大群落を作っているのでパンパスグラスともいう。

貴船菊や秋牡丹の別名がある可憐なシュウメイギク(秋明菊;キンポウゲ科イチリンソウ属)の花。白い花や赤い八重咲の花は何度も見かけていますが、赤紫色の花とは初めての出会いです。シュウメイギクの名前からはキク科のように思えますが、実はキンポウゲ科の植物です。

秋の七草の幾つかの花も見かけました。これはフジバカマ(藤袴;キク科ヒヨドリバナ属)です。花色が藤の花に似ていることから「藤袴」の名が付いたとのこと。

これも秋の七草の一つオミナエシ(女郎花;オミナエシ科オミナエシ属)。8月頃によく見かけますが、この日も咲いていました。直立した茎の先にあざやかな黄色の花が群生して咲きます。

やはり秋の七草のキキョウ(桔梗;キキョウ科キキョウ属)の白花。7~8月の盛夏の花です。青紫色の花はよく見かけますが、白花は珍しい。

ワレモコウ(吾亦紅;バラ科ワレモコウ属)。秋の高原でよく見かけ、暗赤色の丸い花穂を付けます。

全国の路傍や草むらに多く見かけるイヌタデ(犬蓼;タデ科タデ属)。子どものままごとで赤飯の代わりに使われたことからアカマンマの別名が付いています。

ミズヒキ(水引;タデ科イヌタデ属)の赤い花も見かけました。ミズヒキの和名は、紅白に見える花序が水引に似ていることに由来します。全国各地の日陰地に自生する野草です。

全国の草地に分布するキンミズヒキ(金水引;バラ科キンミズヒキ属)。細い花穂に黄色の花が付いています。細長い花穂がタデ科のミズヒキに似ています。

タデ科の多年草サクラタデ(桜蓼)も花を付けていました。タデ科の仲間は地味な花が多いのですが、サクラタデは可憐なピンク色の花を咲かせます。

面白い形状の果実を見かけました。これはツノナス(角茄;ナス科ナス属)の黄色の果実。ツノナスはブラジル原産で、独特な形の果実をつける植物です。主に観賞用として栽培されていて、生け花などにも用いられる。果実の形状がキツネの顔に似ていることからフォックスフェイスやキツネナス(狐茄子)の別名あり。

ヒョウタン(瓢箪;ウリ科ユウガオ属)の実が成っていました。ヒョウタンはアフリカ原産で食用や加工材料として全世界に広まったと考えられています。果肉部分を除去し乾燥させた瓢箪は、土産物などとしてよく見かけますが、本物を見るのは初めてです。

園内の樹木ゾーンではジュウガツザクラ(十月桜)の花が咲いていました。春の時期の華やかなソメイヨシノと異なり、楚々とした風情です。エドヒガン系の園芸種です。

タイザンボク(泰山木;モクレン科モクレン属)の大木を見上げると、袋果が裂けて赤い種子がむき出しになっていました。泰山木は6月頃に威風堂々として清らかな芳香の白い大きな花を咲かせます。

バラ園の奥の方に大温室が建っています。この大温室は本年5月にリニューアルオープンしたばかりです。

従来からのベゴニア・ランのコーナーに加え、チリのビーニャ・デル・マル植物園の協力によりチリ植物のコーナーを増設し、またサボテン類などの貴重な乾燥地の植物や、世界自然遺産である小笠原諸島の植物の展示を拡充するなど、合計約1,300種・品種を展示しています。
大温室に展示中の植物などは、季節のスケッチ(28年10月神代植物公園)にアップしています。
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