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2016年11月

2016年11月26日 (土)

11月下旬、小石川植物園は鮮やかな紅葉・黄葉が主役


 11月下旬は重大な気象の出来事が相次ぎました。まず22日朝方に福島県などで最大震度5弱を観測し、東北地方沿岸に津波が押し寄せました。東日本大震災の余震だとのこと、まだまだ油断が出来ません。それから2日後の24日には強大な寒気が日本列島に南下するとともに南岸低気圧の東進と相まって、都心でも降雪を観測。11月では何と54年ぶりだそうです。
 さて、週末の26日はすっきりと晴れ上がりましたので、風邪気味だったのですが、小石川植物園内を散策してきました。鮮やかな木々の紅葉・黄葉が園内の主役でした。以下、園内の風景を紹介します。


 入口から日本庭園へ向かう途中の池の風景。水面にイチョウの黄葉やモミジの紅葉が逆さに映っていて、晩秋の風情たっぷりでした。春の時期には、この池面は新緑とサクラの花に覆われていました。



 中国原産の落葉高木ナンキンハゼ(南京櫨;トウダイクサ科ナンキンハゼ属)。無数の木の葉が秋の日差しに輝く大樹の紅葉の姿は圧巻でした。下の写真にナンキンハゼの実が見えますが、種皮が蝋状の物質で覆われ、ハゼノキと同じようにロウを採取します。


 ナンキンハゼに隣接する落葉小高木のハゼノキ(ウルシ科ウルシ属)も美しく紅葉していました。ハゼノキはモミジ、カエデとともに山の紅葉の代名詞になっていて、四国・九州・小笠原・琉球などの温暖な場所に生育します。ハゼノキの房状の実からロウを採取、和ロウソクやクレヨンなどに利用されます。


 イロハモミジの並木径です。まだら模様ながらも紅葉がかなり進行していました。春には心地よい緑のトンネルに変貌します。



 並木径のイロハモミジの葉の様子を観察すると、真っ赤に紅葉しているものや、まだ緑葉のもの、橙色のものなど様々です。日当り加減などに左右されるそうです。


 ヌマミズキ科の木々の紅葉も見事です。これは北アメリカの東部から南東部の湿地に広く分布する落葉高木のヌマミズキ(沼水木;ヌマミズキ科ヌマミズキ属)です。真っ赤に紅葉していました。


 ヌマミズキと同属のニッサボク(ヌマミズキ科ヌマミズキ属)の紅葉も秋の日差しに輝いていました。ニッサボクは中国原産の落葉小高木で、欧米では街路樹や庭園樹に用いられています。


 精子発見で有名なイチョウの大樹の見事な黄葉です。かつて平瀬作五郎博士がこの大イチョウを観察して動く精子を発見し、世界的に有名な研究業績になりました。イチョウの大樹の左はニレ科のウルムス・プロセアの大樹ですが、落葉が進んでいました。


 中国原産の落葉高木シナユリノキ(支那百合の木;モクレン科ユリノキ属)です。黄色や褐色に輝く無数の木の葉が大樹を覆っていました。つい見落としがちですが、初夏に小さな花を付けます。


 植物園入り口近くに生えるシナマンサク(支那満作;マンサク科マンサク属)の黄葉が陽光に輝き、青空に美しく映えていました。新春にはふわふわした黄色の花を咲せてくれます。


 中国原産の落葉低木シナミズキ(支那水木;マンサク科トサミズキ属)も黄葉が進んでいました。春になると、シナミズキの小さく房状の黄色の花が周りの空間を埋め尽くすようになります。


 ラクウショウ(落羽松;スギ科ヌマスギ属:右)とメタセコイア(スギ科メタセコイア属:左)の高木が共に鮮やかな褐色に輝いていました。ラクウショウは水湿地に生育し気根を有する落葉針葉樹です。


 園入口付近のメタセコイア林。11月初旬の頃と比べるとかなり褐色が深まってきました。


 メタセコイア林のすぐ隣に咲くグランサムツバキ(ツバキ科ツバキ属)の白い大輪の花。グランサムツバキは1955年に香港で発見され、当時の香港総督グランサム卿にちなんでこの名が付けられたそうです。

 上記以外にもいろんな写真を撮りました。
           …>季節のスケッチ(28年12月)

 植物園の紅葉・黄葉は12月中旬頃まで、しばらく楽しむことが出来ます。


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2016年11月 5日 (土)

小石川植物園、11月に入り徐々に紅葉・黄葉が広がる



 11月に入ってすぐの週末は晴れ上がった秋空の下、小石川植物園で久しぶりに心地よい散策を楽しんできました。園内では徐々に広がってきた紅葉・黄葉が秋の日差しの中で輝いていました。




 園の入口から日本庭園の方に進むと、何本ものヒロハカツラ(広葉桂;カツラ科カツラ属)の高木が集っている区域がありますが、このゾーンがヒロハカツラの黄葉で輝いていました。落葉からの独特な甘い香りと相まって壮観な眺めです。ヒロハカツラは、カツラよりも葉が丸みを帯び大きいのが特徴で、初夏の頃の緑葉の風景も美しい。


 アメリカ スズカケノキ(スズカケノキ科スズカケノキ属)の巨木を見上げると、褐色の紅葉や黄葉、緑葉がまだら模様を呈していました。


 アメリカスズカケノキに隣接したユリノキ(モクレン科ユリノキ属)の巨木です。陽光に輝く黄葉が、日陰になった幹をバックによく映えていました。


 サクラ並木のソメイヨシノ(染井吉野)も紅葉が進み始めていました。抜けるような青空は写真の格好の背景になります。


 ハナミズキ(花水木;ミズキ科ヤマボウシ亜属)の紅葉。葉の表面からはくすんだ色でしかないのですが、裏側から陽光を透かして見ると真赤に輝やき出します。


 メタセコイア林の中に生えているヒッコリー(クルミ科ペカン属)の高木。部分的に褐色になった黄葉も見かけました。ヒッコリーは北米に広く分布する広葉樹で、アメリカでは、伝統的に燻製に使われています。


 晩秋には多くの木の実も見かけます。これは落葉高木イイギリ(飯桐;イイギリ科イイギリ属)。高木を見上げると真赤な木の実が房状なって、いくつも垂れ下がっていました。イイギリの赤い実は大食漢のヒヨドリの大好物です。


 クロガネモチ(黒鉄黐;モチノキ科)の大木にも赤い実が点々と沢山付いていました。クロガネモチは関東以西の山野に生える常緑高木で、庭木にも用いられます。また比較的都市環境にも耐えることから、公園樹や街路樹として植えられています。


 氷河期の生き残りといわれる落葉低木ハナヒョウタンボク(スイカズラ科スイカズラ属)の木枝を見やると、透き通った赤い珠玉のような実が静かに輝いて付いていました。よく見ると2個または3個の赤い実が繋がっています。初夏には楚々とした花を咲かせます。



 晩秋でも木々の花が咲いています。園内の古井戸の近くのあるツバキ園を覗いてみると、紅白のサザンカ(山茶花;ツバキ科ツバキ属)が咲いていました。上の写真の白花の品種名は雪山、下の赤花は根岸紅です。


 同じツバキ園の一角では茶の園芸種で主に観賞用に栽培されるベニバナチャ(紅花茶;ツバキ科ツバキ属)が淡紅色の小柄の花を咲かせていました。


 キク科の花も幾つか見かけました。これはコンギク(紺菊;キク科シオン属)の小さな可憐な花です。コンギクが野生化したのがノコンギクで、ごくありふれた野菊の1つ。道ばたでもよく見かけます。


 各地の山中の岩場に生える多年草イワギク(岩菊;キク科キク属)。マーガレットの花を小さくしたような白い花を咲かせていました。


  ツワブキ(石蕗;キク科ツワブキ属)が鮮やかな黄色の花を咲かせていました。 ツワブキはツヤツヤとした葉が特徴で、形状は蕗(ふき)の葉に似ています。日本庭園の石組みや木の根元などに好まれます。


 園の入口付近に林立するメタセコイアは、まだ緑葉が優勢でした(右の黄葉はヒッコリー)。やがて年末から新年にかけて褐色に輝き直立した冬木立に変貌していきます。

 これ以外にもこの時季のいろんな風景写真があります。
   …> 季節のスケッチ(28年11月)


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2016年11月 3日 (木)

深まりつつある郷里の秋を実感


 10月末の週末、山形に帰郷してきました。山形地方は冬の足音が近づいているかのようにかなり冷え込みました。実家では急ぎこたつを引っ張り出し、暖を取りました。最近の寒さもあって平地でも紅葉・黄葉があちこちに見られ、深まりつつある秋を実感してきました。


 東根小学校の校庭にそびえる大ケヤキは樹齢1500年以上と推定され、樹高28m、幹周り16mと日本一のケヤキの巨木です。この時季、紅葉が少しづつ進行していました。



 市民の憩いの場になっている堂の前公園(上)や大森山の麓に建つ市民体育館の周りのケヤキ並木(下)でも紅葉・黄葉が始まっていました。




 東根市に隣接する天童市内に整備されている山形県総合運動公園の秋の風景です。公園には県内のすべての市町村の木を始め数百本もの樹木が植栽されていて、イチョウ、ユリノキ、カエデ、モミジなどの樹木の紅葉・黄葉を十分に楽しむことができました。



 東根は果物の産地です。特にサクランボが日本一の生産額で有名ですが。この季節はフジリンゴ、ラフランス(洋ナシ)、ブドウ、柿などがどんどん出荷されています。

 詳しくは、HPへ。
    …> 季節のスケッチ(28年11月 山形)


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