大型連休中の皇居東御苑、美しい緑や初夏の野の花
大型連休中の憲法記念日の日に皇居東御苑を訪ねてきました。苑内では色鮮やかなツツジの花がアクセントになった美しい緑の世界が一面に広がっていました。また、雑木林などでは初夏の野の花を数多く見かけました。
東御苑は旧江戸城本丸・二の丸の跡地に広がり、四季折々の花木や野草を楽しむことが出来るようになっています。平川門から入苑して少し歩くと二の丸庭園が広がっています。美しい木々の緑と色鮮やかなツツジの花が見事に調和した風景です。
二の丸庭園の池の周りには散策径が設けられていて、大勢の人がゆったりと初夏の風景を楽しんでいました。東御苑は観光バスのコースに入っているようで、海外からの人たちの姿が目立ちました。
池の周りの散歩径のお休み所に藤棚が造られています。白色や青紫色の多数の房状のフジ(藤;マメ科フジ属)の花がちょうど満開になって棚から垂れ下がっていました。
散歩径沿いにいろんな花々が咲いていました。フジ棚の近くの草むらでは無数のシャガ(著莪;アヤメ科 アヤメ属)の花が群落を成し、一面に咲き広がっていました。
色鮮やかなナスヒオウギアヤメ(那須檜扇菖蒲;アヤメ科アヤメ属)。那須町と那須塩原市の一部にだけに咲く絶滅危機種です。
リュウキンカの近縁のエンコウソウ(猿候草;キンポウゲ科リュウキンカ属)。茎が横に長く這って広がり、先が斜上して花をつけます。
池の方を見やると、アヤメの後方にヒメコウホネ(姫河骨;スイレン科コウホネ属)の多くの黄色の小さい花が池面からポツポツと突き出しています。
明治期の茶室風の建物として優雅な外観を持つ諏訪の茶屋の建物。当初吹上御所にお休み所として建てられましたが、その後、皇居東御苑の整備に伴い日本庭園の一角に吹上御所から移築されたものです。
諏訪の茶屋の庭にボタン(牡丹;ボタン科ボタン属)やシラン(紫蘭;ラン科シラン属)の花が咲いていました。
二の丸庭園に隣接して雑木林が広がっています。この雑木林でいろんな初夏の野の花を見かけました。これはキンラン(金蘭;ラン科キンラン属)。キンランが依存している菌が樹木の根に外菌根を形成する樹木共生菌であることから、人工栽培がきわめて困難とされています。
白い花のギンラン(銀蘭;ラン科キンラン属)。雑木林の一隅に数多くの株が群性していました。キンランもギンランも日本の野生ランですが、乱獲などの影響で絶滅が危惧されています。
やはりラン科のエビネ(海老根;ラン科エビネ属)の白い花も見つけました。エビネの和名は、地下茎が横に連なって海老のように見えることに由来します。
可憐なチゴユリ(稚児百合;ユリ科チゴユリ属)の花が林床にひっそりと咲いていました。日本国内では全国で見られ、落葉樹林の木陰に生えます。球根はなく、白くてやや太い地下茎を持ちます。
二の丸ゾーンの散策を終え汐見坂を上ると本丸ゾーンです。本丸ゾーンでは真っ先に天守台が目に入ります。かつて江戸時代初期には江戸城天守閣がこの天守台の上に建っていました。大勢の人が天守台を往来しています。
前方に広がる大芝生では家族連れなどが自由にくつろぐことが出来るようになっています。丸の内の高層ビル群が背景となる美しい風景です。
大芝生の一角に見事な樹形のケヤキの大樹が生えています。右端に白い雲に覆われているような樹木が見えます。
その白雲がかかっているような樹木に近づいてみると、結構な大樹でした。この正体はハクウンボク(白雲木;エゴノキ科エゴノキ属)でした。よく見ると白い小さな花が群がり連なっていて遠くからは白雲のように見え、これが和名の由来になっています。ハクウンボクは全国の山地の落葉樹林に生育します。また、庭木や公園樹としてよく用いられています。
ハクウンボクから少し歩いたところにタニウツギ((谷空木;スイカズラ科タニウツギ属)のピンク色の花が咲いていました。タニウツギは北海道や本州の日本海側の山野に自生し、特に谷間に多く生息します。
タニウツギに隣接してバイカウツギ(梅花空木;ユキノシタ科バイカウツギ属)の白い花が咲いていました。バイカウツギは山地に自生する落葉低木で、花の形が梅の花に似ています。
ヒメウツギ(姫空木;アジサイ科ウツギ属)の小さな白い花が群がって咲いていました。ヒメウツギは温帯から暖帯にかけた河岸の岩上の日当たりのよい場所などに生育する落葉低木で、日本固有種。
本丸ゾーンに珍しいバラの花を集めた一角があります。これは近現代バラの原種の一つといわれるコウシンバラ(庚申薔薇;バラ科バラ属)です。四季咲きで枝先に1個から数個の花を付けます。
周りに甘い香りを放つサクラバラ(桜薔薇;バラ科バラ属)です。これ以外にも、モッコウバラ、キモッコウバラ、ナニワイバラ、ハマナスなどのバラの花が集まっています。
本丸ゾーンの草むらでも季節の野の花を見つけることができます。休憩所の裏に赤紫色のレンゲソウ(蓮華草;マメ科ゲンゲ属、別名はゲンゲ)が群生しています。レンゲの花の蜜は、良質の蜂蜜の源となる蜜源植物として利用されています。
ムラサキツメクサ(紫詰草;マメ科シャジクソウ属、別名アカツメクサ)の赤紫色の花も咲いていました。ヨーロッパ原産で牧草として導入されたが、各地で野生化している。
小さく可憐なホウチャクソウ(宝鐸草;ユリ科チゴユリ属)の白い花も見かけました。宝鐸(ほうちゃく)とは寺院建築物の軒先の四隅に吊り下げられた飾りのことで、花が垂れ下がって咲く姿がこの宝鐸に似ることが和名の由来。
平川門から出て橋の上から眺めた左方の竹橋方面の風景です。若葉に入れ替わった常緑樹のクスノキや新緑のケヤキの木など街路樹も美しい緑の世界になってきました。
上記以外にも多くの季節の写真があります。
…> 季節のスケッチ(29年5月 皇居東御苑)
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