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2018年5月

2018年5月28日 (月)

新しい植物分類体系への対応


 季節のスケッチでは、植物の名前を表示する場合、できるだけ科名と属名も記入するようにしています。科名と属名の情報源は、植物園内の名前の表示板、植物事典、植物に関するWEBサイト、ウィキペディアなどになっていますが、科名について必ずしも統一されていないことが気になっていました。


 そこで、この件につき少し調べてみると、近年になって新たな植物分類体系の導入が進められていることが分かりました。すなわち、従来の分類体系(新エングラー体系、クロンキスト体系)は、目に見える外部形態(雌蕊・雄蕊の形質)に基づいた類似形態的分類体系であったが、1990年以降のDNA解析による系統学手法の進展により、欧米では植物図鑑などが新しい分類体系(APG植物分類体系)に変わってきているとのことで、わが国でも今後この手法が植物分類学の主流になると考えられています。

 具体的に見てみると、所属する従来の科がなくなり丸ごと別の科に編入されたり(カエデ科やトチノキ科→ムクロジ科、シナノキ科→アオイ科、イイギリ科→ヤナギ科など)、ユリ科のように寄せ集めだった一つの科の植物がいくつかの科に分散されたり(ユリ科のスズランやアマドコロ→キジカクシ科、エンレイソウ→シュロソウ科など)などの変更がなされています。

 これまでの季節のスケッチにおける名前の表記は旧分類のものが多く見受けられますが、幸いなことに小石川植物園のHPサイトやウィキペディアでは新分類表記になっているようなので、今後これらを参考にして新しい名前表記への変更を進めることにしたいと思います。

【今回の植物体系変更の対応リスト】
 ●木本:旧科名順 名前順 属名順
 ●草本:旧科名順 名前順 属名順

【参考】ウィキペディアより
 APG体系 新エングラー体系 クロンキスト体系


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2018年5月20日 (日)

緑豊かな小石川植物園、大樹ハナキササゲが満開



 緑が一層あざやかになってきた5月中旬の小石川植物園、多くのグループの人たちで賑わっていました。この日は、ハナキササゲの大樹が満開になっていました。また、ウツギをはじめこの季節の花々が数多く咲き出していました。


 日本庭園の池の辺に生えるハナキササゲ(花木大角豆;ノウゼンカズラ科キササゲ属)の大樹。満開になっていて木全体が白い花で覆われていました。


 白黄色のふわふわとふちが縮れたような花には紺や黄色のスジが入っていて独特な文様です。やがて秋になると、ササゲ(大角豆)に似た細長い果実を付けます。


 全国に広く分布して卯の花とも呼ばれ、この季節の風物詩のウツギ(空木;アジサイ科(旧ユキノシタ科)ウツギ属)。白い花が盛んに咲いていました。


 園入口付近ではサラサウツギ(更紗空木;アジサイ科(旧ユキノシタ科)ウツギ属)の花がにぎやかに咲いていました。サラサウツギはウツギの八重咲き種で白い花に淡いピンク色の文様が入っていて美しい色合いです。


 山地に自生する落葉性の低木バイカウツギ(梅花空木;アジサイ科(旧ユキノシタ科)ウツギ属)も満開で、数多くの白い花が咲き出していました。花の形が梅の花に似ています。


 ガビハナミズキ(峨眉花水木;ミズキ科ミズキ属)。中国雲南省の峨眉山が付くことから中国原産であることが判ります。花はヤマボウシによく似ていますが、葉の表面がつやつやしているのが異なります。


 山野に自生するシモツケ(下野;バラ科シモツケ属)。ふっくらとした感じのピンク色や白色の花が椀状に密集して咲いています。シモツケは庭木としてもよく用いられる。


 メタセコイア林の近くでハグマノキ(白熊の木;ウルシ科ハグマノキ属)の花が咲いていました。うす紅く煙っている霞がかかっているように見えていました。


 巨木ゾーンの奥の方に生えるシマサルスベリ(ミソハギ科サルスベリ属)が緑葉で覆われていました。夏になると高木の頂部に白い花が咲くようになります。


 ムシトリナデシコ(虫取り撫子;ナデシコ科マンテマ属)。小さい赤紫色の花が密集して咲いていました 。対生する葉のすぐ下の茎から粘液を出していて、そこに小さな虫がくっつきます。


 本州から九州の山地や草原に自生する多年草のナルコユリ(鳴子百合;キジカクシ科アマドコロ属)が可憐な花を付けていました。茎が丸く稜がないので、よく似たアマドコロと区別がつきます。


 草むらでダンドク(曇華;カンナ科カンナ属)の花がスクッと咲いていました。ダンドクはカンナの原種で南米原産。堅い実の形から、インデアンの弾丸と呼ばれています。


 熱帯アメリカ原産の一年草シロアザミゲシ(白薊芥子;ケシ科アザミゲシ属)の花は、透き通ったような白い色で妖美な感じがします。茎や葉にアザミのような鋭いトゲがあります。


 ドクダミ(毒溜;ドクダミ科ドクダミ属)の白い花が咲き広がってきました。「十薬」ともいわれるドクダミは、様々な薬効があり、腫れ物、皮膚病などに利用されます。


 上記以外にも、いろんな5月中旬の小石川植物園の風景写真をアップしています。
   …> 季節のスケッチ(2018年5月)



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2018年5月 6日 (日)

初夏の山形野草園の風景



 連休の合間に西蔵王高原に造られた山形野草園を訪ねてきました。北国のこの時季はちょうど新緑が美しい頃です。園内をゆっくりと散策し、世界で一本しかないというミヤマカスミザクラや今が見頃のアズマシャクナゲ、林間に咲き広がるシラネアオイ、サクラソウなどを楽しんできました。


 山形野草園は、西蔵王高原の中に「自然との共生」を図ることをねらいとして1993年に開園され、野草、樹木あわせて約1,000種類のさまざまな植物があり、四季折々の野草が群生しています。山形市の市政施行100周年の記念事業の一環として整備されたものです。この日はちょうど新緑が美しい時季で、暑くもなく寒くもなく絶好の散策日和でした。


 園内にはいろんな植物が生えていて、花を咲かせていました。これはミヤマザクラとカスミザクラが自然交配した新種のサクラで、世界に1本だけの貴重なサクラとのこと。ミヤマカスミザクラと命名されています。花期は過ぎていたものの、花が少しだけ咲き残っていました。


 日本固有種の一属一種の植物で中部地方以北の多雪地に生える多年草のシラネアオイ(キンポウゲ科シラネアオイ属)の群生が見られました。新緑の林の中で、薄紫色の花がしっくりと落ち着いた感じで咲き広がっていました。日光の白根山に多く生え、花がタチアオイに似ていることが和名の由来。


 山地の湿り気の多い所に生える多年草のサクラソウ(サクラソウ科サクラソウ属)も、シラネアオイの近くで群生していました。サクラソウは地中に根茎があり、高さ15~40cmの花茎を直立させ、5~10個の清楚な美しい花をつけます。花が美しいのでよく栽培され園芸品種も多く流通しています。


 地下茎で繁殖する多年草のクマガイソウ(ラン科アツモリソウ属)が林地で群生していました。袋状の花が源氏の武将熊谷次郎直実が背負った母衣に似ていることから和名が由来。


 トウゴクマムシグサ(サトイモ科)を見かけました。花のように見えるのは仏炎苞です。ウラシマソウミズバショウザゼンソウも同じサトイモ科の仲間。


 薄紅色や白色の数多くのアズマシャクナゲ(東石楠花;ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属)の花が満開になって咲き競っていました。アズマシャクナゲは東北地方(宮城県、山形県以南)、関東地方、中部地方(南部)に分布し、亜高山帯の林内、稜線上などに自生します。


 アズマシャクナゲの周辺の木々にはウワミズザクラ(上溝桜;バラ科サクラ属)の白い花が咲いていました。北海道、本州に自生するウワミズザクラは普通のサクラの花とは違い、ブラシのような白い花序に小さな花が凝集しています。


 ミズバショウとザゼンソウの群生するミズバショウの谷ですが、この時期はもう両者とも花が咲き終わっていて、青々とした大きな葉だけが繁茂していました。


 ミズバショウの谷では、山地の湿地や沼に生える一属一種の多年草のミツガシワ(ミツガシワ科ミツガシワ属)の白い花が群生していました。葉は複葉で3小葉からなります。寒冷地に分布し、氷河期の生き残りと考えられています。


 リュウキンカ(立金花;キンポウゲ科リュウキンカ属)の花もミズバショウの谷で見かけました。本州、九州に分布し、水辺や湿地などに生育します。茎が直立し、黄金色の花をつけます。


 オキナグサ(翁草;キンポウゲ科オキナグサ属)も多く生育していました。山地の日当たりのよい草原や河川の堤防などに生育しますが、草地の開発が進んだことや山野草としても乱獲が進んだことから、各地で個体数が激減しているとのこと。オキナグサは花が終わると雌しべが羽毛状に伸び、老人の白髪のようになります。


 山地の草地に生える多年草のアマドコロ(甘野老;キジカクシ科アマドコロ属)も見かけました。茎に6本の稜があり、触ると角ばった感じがします。茎や根茎には甘みがあり、山菜として食用にされます。


 山形野草園の出入口付近です。山野草祭りが催されていたこともあり、お年寄りのグループも多く見かけました。野草園には珍しい野の花が多く、これからもリピートしたいと思います。


 上記以外にも、いろんな野草園の風景写真をアップしています。  …> 季節のスケッチ(2018年5月 山形野草園)


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2018年5月 1日 (火)

万緑の中にユリノキやナツロウバイの初夏の花々



 今年は暑い大型連休のスタートです。前半の三連休 (4/28-4/30) から東京では真夏日が続き、季節もぐんぐん進んでいます。小石川植物園の新緑の風景は緑が日に日に鮮やかになり、あっという間に万緑の世界に一変しました。園内では豊かな緑の中でユリノキやナツロウバイなどの初夏の花々が咲き出していました。


 ニュートンのリンゴの木の前を通るイロハモミジの小径も見事な緑のアーチになっていました。年末には真赤なアーチに変貌します。


 ひと月前は満開だったソメイヨシノの並木も様変わり。暑い日に格好の緑陰を提供してくれます。


 メタセコイア林の近くの小さな池の周りの木々が池面を緑色に染めています。この池は秋になると、木々の紅葉で赤、橙、黄に染まります。


 園内の木々も新緑から夏木立に変身中です。これは巨木ゾーンの林間地のユリノキ(百合の木;モクレン科ユリノキ属)の大樹です。樹上にかすかに花が見えます。


 よく見てみると、樹上のあちこちに緑葉に囲まれるようにしてユリノキの花が咲いていました。花の形は百合の花というよりもチューリップに似ています。


 初夏に咲くナツロウバイ(夏蝋梅;ロウバイ科ナツロウバイ属)の花も咲き出しました。新春に咲く同じロウバイ科のロウバイソシンロウバイとは花の形があまり似ていません。


 ツツジ園のツツジの花は残り少なくなっています。後方では精子発見のイチョウ(右)とニレ科のウルムス・プロセア(左)の大樹が夏木立に変貌中です。


 この頃は〇〇ウツギの名の付いた花を沢山見かけ ます。これはシロバナヤエウツギ(アジサイ科ウツギ属)。ウツギの変異種で枝先に八重の白い花を咲かせます。


 ハマナス(浜梨;バラ科)の赤紫色い花があざやかに咲き出しました。浜(海岸の砂地)に生え、果実がナシに似た形をしていることが名の由来になります。


 草本の草花や野の花もいろいろと咲いていました。これは、マンシュウキスゲ(満州黄菅;ススキノキ科ワスレグサ属)の黄色い花。ニッコウキスゲ、ノカンゾウなどのキスゲの他の仲間より早い時期に咲きます。


 アヤメ属の花々も咲き出してきました。これはイチハツ(一八、鳶尾草;アヤメ科アヤメ属)。アヤメの仲間の中で「いち早く咲く」ことからこの名が付く。


 ヨーロッパ原産の西洋あやめの代表種の一つジャーマンアイリスの美しい花。日本のアヤメと比べて大柄、花弁にはフリルが入って華やかです。


 山林に分布する山野草のフタリシズカ(二人静;センリョウ科チャラン属)。白い2本の穂状の花序が付いています。


 カタバミ科の花も多く見かけました。これはカタバミ(傍喰;カタバミ科カタバミ属)の黄色の花。3枚のハートの小葉を連ねた葉が特徴的です。


 赤紫色の花のイモカタバミ(芋紫傍喰;カタバミ科)がメタセコイアの林地に群生して咲いていました。イモカタバミは地下に芋状の塊茎を持ちます。白花のものも見かけます。イモカタバミの花の中心部の雄しべが黄色っぽく、この部分が白っぽいムラサキカタバミと区別できます。


 道端や河原に生えるコメツブツメクサ(米粒詰草;マメ科シャジクソウ属)。シロツメクサに似ているが全体的に小さい。小米詰草、黄花詰草の別名があります。


 春の野の花のハルジオン(春紫苑;キク科ムカシヨモギ属)が至る所で咲き広がっていました。ハルジオンは春に咲く紫苑(しおん)という意味です。


 道端にノアザミ(野薊;キク科アザミ属)の赤紫色の花を見かけました。葉の縁にとげがあります。草むらや河川敷にふつうに見られ、比較的早い時期に咲き出します。


 上記以外にも、いろんな初夏の風景の写真をアップしています。   …> 季節のスケッチ(2018年5月)


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