久々の箱根湿生花園、ミズバショウ、ミスミソウなどの春植物が出迎え

伊豆高原のジオサイトを楽しんだ後、北上して箱根へ。久しぶりに仙石原の湿原に広がる箱根湿生花園を訪れてきました。今年は例年より少し早く3月1日に開園になっていました。箱根湿生花園は、湿原をはじめとして川や湖沼などの水湿地に生育している植物を中心にした植物園です。広大な園内には低地から高山まで日本の各地に点在している湿地帯の植物(200種)のほか、草原や林、高山の植物(700種)などが集まっています。

園内の水湿地では純白の苞をまとったミズバショウ(水芭蕉;サトイモ科ミズバショウ属)の花がが咲き広がっていました。まさに美しい箱根の春到来といった感じでした。

前回の湿生花園でミズバショウに出会ったのは4月上旬でしたので、3月中旬のこの時期はどうかなと案じていたのですが、その心配は無用でした。

ミズバショウの白い花のように見える部分は、実は花ではなく仏炎苞(ぶつえんほう)と呼ぶ葉が変形した苞です。そして真ん中の緑の部分に粒々のような小さな花が結集しています。園内にはキバナミズバショウやザセンソウなども生えているのですが、この日は見つけることが出来ませんでした。

セツブンソウ(節分草;キンポウゲ科セツブンソウ属)の可憐な花が咲いていました。石灰岩地に分布するスプリング・エフェメラルの仲間です。園の方の話によると、この早春に咲くセツブンソウを公開するために開園日を早めたとのこと。

フクジュソウ(福寿草;キンポウゲ科フクジュソウ属)の黄金色の花も咲き出していました。フクジュソウは北海道から九州にかけて分布し山林に生育するスプリング・エフェメラルの仲間です。

ミスミソウ(三角草;キンポウゲ科ミスミソウ属)の小さく可愛らしい花が園内の各所に咲いていました。三角形状の葉が三つに分かれているのが特徴です。

ミスミソウの花の色は白色、薄紅色、青色など様々です。本州の中部以西の山間地に多く生育する常緑の多年草です。

カタクリ(片栗;ユリ科カタクリ属)の赤紫色の花がひそやかに何輪か咲き出していました。陽光差す落葉広葉樹林の林床などに生育するスプリング・エフェメラルの代表格の春の花です。カタクリの花は6枚の花びらが反り返っていて、まるで森の妖精が背中の羽根を羽ばたきながら遊んでいるようです。

バイカオウレン(梅花黄蓮;キンポウゲ科オウレン属、別名はゴカヨウオウレン)の白い花を見つけました。小葉は5枚。日本固有種で、本州の福島県以南と四国に分布し、山地帯から亜高山帯の針葉樹林の林床や林縁に生育する常緑の多年草です。

すぐ隣にミツバノバイカオウレン三葉の梅花黄蓮;キンポウゲ科オウレン属)。小葉は3枚。本州中部以北の日本海側の亜高山帯から高山帯に自生します。

本州、北海道の山地に分布する落葉小低木のナニワズ(ジンチョウゲ科ジンチョウゲ属)。黄色の花を枝先に束生状に多数付けます。

アセビ(馬酔木;ツツジ科アセビ属)の木々が白色や赤紫色の細かい花を鈴なり状に連なって枝に付けていきました。アセビは呼吸中枢を麻痺させる毒性を有しており、家畜は食べないとのこと。アセビは途中の箱根の山地の所々でも見かけました。

ネコヤナギ(猫柳;ヤナギ科ヤナギ属)のふっくらとした銀白色の毛で目立つ花穂を水辺で多く目にしました。よく観察すると黄色のオシベが見えます。

林の中に一羽のキジ(雉)を見つけました。盛んに地上のエサを啄んでいました。
…> 季節のスケッチ(2019年3月 伊豆・箱根)
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