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2019年5月

2019年5月17日 (金)

5月後半の小石川植物園、巨樹ユリノキの花や風物詩ウツギの花


 5月後半に入った17日、小石川植物園を廻ってきました。前回(5/10)の木々の若葉・万緑の写真の補充のつもりだったのですが、巨樹ユリノキの花や、この時期ならではウツギの花なども見かけ、いろいろと楽しんできました。


 北米中部原産の落葉高木のユリノキ(百合の木;モクレン科ユリノキ属)の大樹が巨木ゾーンにそびえています。その大樹を見上げると、生い茂る緑葉の左上方部にユリノキの花が咲いていました。。


 花の形は百合の花というよりもチューリップに似ています。このため、ユリノキにはチューリップ・ツリーの別名もあります。巨木のかなりの上の方に咲いているので、気がつかずに通り過ぎる方も多いと思います。


 精子発見のイチョウの大木の根元付近で盛んに花を付けた樹木を見かけました。


 よく見ると海岸に自生する常緑低木のトベラ(扉;トベラ科トベラ属)です。白い花が枝の先に葉が集まって付いていました。トベラはつやのある葉を密生することなどから観賞用あるいは街路樹として利用されます。


 季節の風物詩のウツギ(空木;アジサイ科ウツギ属)の白い花が咲き出していました。ウツギは全国に広く分布し、卯の花とも呼ばれます。ウツギ以外にも、〇〇ウツギの呼び名の花々を見かけました。


 サラサウツギ(更紗空木;アジサイ科ウツギ属)。八重咲きのウツギで、花弁の外側が淡い紅紫色になります。しっとりとした美しさがあります。


 シロバナヤエウツギ(白花八重空木;アジサイ科ウツギ属)。やはり八重咲き種のウツギで白花を付ける。わが国の山野に自生します。


 山地に自生する落葉低木バイカウツギ(梅花空木;アジサイ科バイカウツギ属:右)の白い花が咲き出してきました。


 ニシキウツギ(二色空木;スイカズラ科タニウツギ属)。丹沢や箱根の山地全域に普通に分布します。


 いろんな木々の緑葉を観察することができました。これは、落葉性の高木のトチノキ(栃の木;トチノキ科トチノキ属)。長い柄のある大形の掌状複葉が陽光に輝いています。


 キリシマミズキ(霧島水木;マンサク科トサミズキ属)の緑葉。キリシマミズキは九州の霧島山系で見られ、霧島の春を代表する名花木です。


 カシワ(柏;ブナ科コナラ属)日本、朝鮮半島、台湾、中国に分布する落葉高木。柏餅を包むのに用いられるカシワの葉が生い茂っています。


 コナラ( 小楢;ブナ科コナラ属)。わが国全域に分布し、雑木林に多く見られる落葉高木。緑の葉が生い茂っています。


 緑葉におおわれたシダレカツラ(枝垂れ桂;カツラ科カツラ属)。シダレカツラはカツラの変種で、多数の細い枝が枝垂れています。


 サイカチ(皁莢;マメ科サイカチ属)の緑葉。日本の固有種で本州から九州の山野や川原に自生する落葉高木。一見しただけでマメ科の樹木であることがわかります。


 いろんな野の花も見かけました。これは夏の花のダンドク(曇華;カンナ科)。カンナの原種で南米原産。堅い実の形から、インデアンの弾丸と呼ばれています。


 ムシトリナデシコ(虫取り撫子;ナデシコ科マンテマ属)。可憐な小さいピンクの花が密集して咲いていました 。対生する葉のすぐ下の茎から粘液を出し、小さな虫の侵入を防ぎます。


 ヨーロッパ原産のジギタリス(オオバコ科ジギタリス属)の穂状の赤紫の花。花が指の形に似ていることから、狐の手袋とも呼ばれます。全草に猛毒があります。


 園内の各所にノアザミ(野薊;キク科アザミ属)の花が咲いています。葉の縁にとげがあります。春から夏にかけて草むらや河川敷にふつうに見られます。


 上記以外にも、多くの写真をアップしています。
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2019年5月10日 (金)

10連休後の小石川植物園、若葉生い茂る万緑の世界へ



 10連休のGWを郷里の山形で過ごした後、東京に戻り、3週間ぶりに小石川植物園を回ってきました。この季節は植物の成長が早く、園内は前回の新緑の世界から若葉生い茂る万緑の世界へと様相が一変していました。また、この時期ならではのツツジやバラなどの多くの花々も見かけました。


 ソメイヨシノの桜並木も次第に緑が濃くなってきました。涼しい木陰に保育園の子どもたちが集まっています。


 園入口近くで天空にそびえ立つようなメタセコイア林も青々としてきました。

(木々・草本の花々)

 真紅のシナヤマツツジ(支那山躑躅;ツツジ亜属ツツジ節ヤマツツジ列)が目を引きます。後方はクスノキの巨木です。


 オオムラサキ@ヒラドツツジ(平戸躑躅;ツツジ亜属ツツジ節ヤマツツジ列)。園内の各所で見かけました。


 この日、バラ科の花を多く見かけました。これはノイバラ(野茨;バラ科バラ属)。ノイバラは日本各地の山野に多く自生し、単に野薔薇とも言います。


 ハマナス(浜梨;バラ科バラ属)の花も咲き出しました。北海道に多く分布し、主に海岸の砂地に自生します。「知床旅情」の歌にも登場します。


 うすピンク色の大きめのサクラバラ(桜薔薇;バラ科バラ属) の花。中国に分布する庚申薔薇と野茨の自然交雑種と言われる。


 いろんな草本の花々も見かけました。これはイチハツ(一八、鳶尾草;アヤメ科アヤメ属)。アヤメの仲間の中で、いち早く咲きます。


 あざやかな黄色の花が咲いたキショウブ(黄菖蒲;アヤメ科アヤメ属)が池の周りに群生していました。アヤメの仲間で湿地や水辺に生えます。


 日本、台湾、中国原産で日当りのいい草地などに自生するシラン(紫蘭;ラン科シラン属)。極めて丈夫な植物で、観賞用として庭に植えらることが多い。赤紫色のシランの花が日本庭園の池の周りで咲いていました。


 ウマノアシガタ(馬の蹄;キンポウゲ科キンポウゲ属)。薬草園で多くの小さく可憐な黄色の花が光を浴びてキラキラ光っていました。「馬のアシガタ」という妙な和名が付いていますが、本当は「鳥のアシガタ」で鳥の字が馬に誤記されたのではないかと言われています。

(木々の若葉・万緑)
 植物園内の木々はあっという間に若葉が生い茂ってきました。また、若葉の中に目立たないながらもいろんな花穂を見かけました。


 日本に自生するメグスリノキ(ムクロジ科カエデ属)。秋の紅葉は見事です。葉を煎じて服用したり、洗眼すると目の病気に効用があります。


 コナラ(小楢;ブナ科コナラ属)。全国の雑木林に生育する落葉広葉樹。秋にはどんぐりの実がなります。


 園入口近くの常緑広葉樹のスダジイ(ブナ科シイ属)。スダジイの大樹がうっそうと緑に覆われていました。暖地の照葉樹林を代表する樹木のひとつ。樹中をよく見てみると、雄花が枝先にたくさん付いています。雄花は強い香りを放ち、虫を呼び寄せます。


 本州から九州の山地に生える落葉高木アワブキ(泡吹;アワブキ科アワブキ属)の枝先に緑色の花穂が付いています。


 ミズキ(水木; ミズキ科ミズキ属)。北海道から九州までの各地に広く分布する落葉高木。早春に芽をふく時に地中から多量の水を吸い上げることから和名が由来。樹上に多くの白い花が咲いていました。


 ホオノキ(朴木;モクレン科モクレン属)。大きな葉(朴葉)は、昔から食物を盛るのに用いられてきました。


 トチノキ(栃の木;トチノキ科トチノキ属)。落葉性の高木で、温帯の落葉広葉樹林を構成します。白い花穂を付けていました。東日本を中心に分布し、特に東北地方に多く見られる。


 ブレッシュネイデラ・シネンシス(アカニア科ブレッシュネイデラ属)。園内のメタセコイア林近くの林地に生えていました。名札にはBretschneidera Sinesis Hemsl の表記がありました。中国南部からベトナム北部にかけての山間部などに分布し、絶滅が危惧されているようです。


 ヒッコリー(クルミ科ペカン属)。北米に広く分布する落葉広葉樹。材質が良く、建築、家具、工芸材やスキー用材として使用されている。また米国では、伝統的に燻製に使われています。生い茂る若葉の中に細長い花穂が垂れていました。


 中国原産の落葉高木キジュ(喜樹; ヌマミズキ科カンレンボク属)。果実 や根にカンプトテシンというアルカロイドを含み制癌作用があるとのこと。


 ヘツカニガキ(辺塚苦木;アカネ科タニワタリノキ属)。暖帯から亜熱帯に生え、沖縄・九州南部・四国南部に分布します。


  上記以外にも、多くの写真をアップしています。
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2019年5月 8日 (水)

高山植物が咲く日光山地の上三依水生植物園



 GW終了後、郷里の山形から東京に帰る途中、那須高原にワンストップして宿泊。翌日、車で約1時間のところにある日光市の上三依水生植物園を訪ねてきました。2016年7月に次いで2度目の訪問です。この日はケマンソウ、コマクサ、シラネアオイ、アネモネ・ネモローサなどの珍しい花々が咲いていました。


 上三依水生植物園は日光の山地につくられ、男鹿川沿いの敷地面積約2万2千平方メートルの広大な園内に約300種、3万本の高山植物、湿生植物などが季節を彩るように咲き競っています。今回は宿泊地の那須高原から日光市上三依水生植物園へは車で行きましたが、会津と鬼怒川を結ぶ野岩鉄道会津鬼怒川線(ほっとスパ・ライン)を利用すれば上三依塩原温泉口駅から徒歩7分です。


 園内では、多年草のケマンソウ(華鬘草;ケシ科ケマンソウ亜科ケマンソウ属)が盛んに咲いていました。花の形を見ると、鯛が釣竿にぶら下がっているように見えることからタイツリソウとも言われます。この時期に咲き出し、9月ごろに地上部が枯れて休眠に入ります。


 白花のコマクサ(駒草;ケシ科コマクサ属)が静かに咲き出していました。コマクサはその可憐な美しさから高山植物の女王と呼ばれます。


 赤紫色のサクラソウ(桜草;サクラソウ科サクラソウ属)が木元に群生していました。サクラソウは山地の湿り気の多い所に生える多年草。


 北海道、本州北部の湿った林地に生える多年草のオオバナノエンレイソウ(大花延齢草;シュロソウ科エンレイソウ属)。3枚の花弁、萼片、葉を持つのが特徴的です。白花の中に暗赤色のアカバナエンレイソウも交じっていました。


 シラネアオイ(キンポウゲ科シラネアオイ属)。日本固有種の一属一種の植物で中部地方以北の多雪地に生える多年草。薄紫色や白色の多くの花が落ち着いた感じで咲き広がっていました。日光の白根山に多く生え、花がタチアオイに似ていることが和名の由来。


 アネモネ・ネモローサ(キンポウゲ科イチリンソウ属、和名はハルオコシ)の小さな白い花が群生していました。ヨーロッパ原産のヤブイチゲの八重咲の品種。白い花びらの周りに緑色のがく片と総苞葉がついています。スプリング・エフェメラルの一つ。


 ボタンキンバイ(牡丹金梅;キンポウゲ科キンバイソウ属)。北海道の利尻島にのみ分布する固有種です。利尻山の高山草原植物の多年草。


 ヒメリュウキンカ(姫立金花;キンポウゲ科キンポウゲ属)。イギリスやヨーロッパ大陸の山地の湿った草原や湖沼畔に生えるキンポウゲの仲間。


 落葉小低木のチングルマ(珍車、稚児車;バラ科ダイコンソウ属)。本州中部以北、北海道などに分布し、やや湿った草原に生える高山植物。


 上記以外にも、多くの写真をアップしています。
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2019年5月 5日 (日)

最上川の並走ドライブで鳥海山や月山の雄姿を拝む


 GW終盤の5/5、最上川に並走して東根から庄内地方までドライブしてきました。酒田市松山地区の眺海の森からは、日本海に注ぎ込む最上川河口付近、肥沃な庄内平野が眼下に一望できました。さらに、南北にそびえ立つ鳥海山、月山がくっきりと見え、雄姿を拝むことができました。

 最上川は米沢市の吾妻山系を源とし、置賜地方、山形盆地、新庄盆地、最上峡、庄内平野と県内を縦走して日本海に注ぐ大河で、日本三大急流のひとつとされています。かつて米、紅花などの物流の主役だった最上川は、いまでも県民にとって母なる川として親しまれています。今回は最上川中流域から河口にかけて、最上川を巡る新緑の風景を楽しんできました。

 最上川の中流域では、山形盆地の村山市大淀地区で大蛇行し、大石田へと北上します。大石田町は陸路と水路の接点という地の利から、かつては最上川最大の舟着場として栄えました。


 北上する最上川は新庄盆地で向きを変えて最上峡を西進し、庄内平野、日本海に向かいます。最上峡の古口地区から最上峡芭蕉ラインの観光船が出ていて、草薙地区まで舟下りを楽しむことができます。


 古口付近の最上川右岸の山腹です。新緑が美しい山腹に淡く色づいた山桜が点在しています。


 県内を229km縦走してきた最上川は、庄内平野の酒田港付近で日本海に注ぎ込みます。この地で芭蕉は「暑き日を海にいれたり最上川」と詠んでいます。このほか、最上川は「五月雨やあつめてはやし最上川」、「最上川逆白波のたつまでにふぶくゆふべとなりにけるかも」(茂吉)などの俳句や短歌でも有名です。

 最上川右岸から少し離れて酒田市松山地区の丘陵地帯につくられた眺海の森に車で登ってきました。眺海の森からは、北方に鳥海山、南方に月山が眺望でき、素晴らしいビュースポットでした。

 鳥海山は秋田県との県境に位置し、出羽富士とも呼ばれる美しい山容を有する名峰です。


 月山は羽黒山、湯殿山とともに出羽三山を成す霊山です。万年雪で夏スキー客で賑わうことでも有名です。月山は山形盆地からも眺望できますが、庄内平野からは異なった趣があります。



 さらに、眺海の森から日本海に注ぎ込む最上川(上)や肥沃な庄内平野(下)が眼下に一望できます。夏の夕陽が最上川河口の日本海に沈み込む光景をこの地から見ることが出来るとのこと。是非一度来てみたいと思っています。



 眺海の森を下り、次は庄内平野を南下して鶴岡市に向かいましたが、道の途中、左手に月山(上)、右手に鳥海山(下)の雄姿がくっきりと見えました。庄内平野はこれらの山々からの水の恵みを受け、豊かな穀倉地帯になっています。


 上記以外にも、多くの写真をアップしています。
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2019年5月 4日 (土)

改元令和の10連休、郷里の山形で新緑の大自然を満喫


 今年の大型連休(GW)は、平成から令和への改元の諸行事のため10連休になりました。私の場合は、混雑しそうな東京都心を離れ、郷里の山形で過ごすことにしました。山形では新緑が広がる大自然の中でハナミズキやサクランボ、モモなどの花々が咲き出していて、美しい季節を存分に楽しむことが出来ました。


 郷里の東根小学校の校庭(かつての小田島城址)にそびえ立つケヤキの巨樹です。樹齢千年を超すとみられ、高さ約28mで日本最大。この大ケヤキは、今でも昔と変わらず悠然とかつ凛々しくそびえ、東根の地の人々の営みを見守っています。GW時に新緑の大ケヤキを飾る横綱を台車で運ぶパレードが行われました。


 山形盆地は豊かな穀倉地帯になっていて全国有数の米どころになっています。最近では日本一を目指すブランド米「つや姫」が栽培されています。広がる田んぼはちょうど耕されていて、これから水張り、田植えと進んでいきます。遠方に最近の寒波で冠雪した葉山や月山などの山並みが見えます。


 山形蔵王ラインの蔵王半郷地区からの月山の眺めです。東根市からは白い山頂の部分しか見えませんが、ここからは見事な山容が眺望できました。


 郷里の東根市はサクランボ生産が日本一です。山形新幹線の駅名も「さくらんぼ東根」と付いているほどです。この時期、サクランボの木枝に白い花がぎっしりと咲いていました。これから6月の収穫期までサクランボ農家は大忙しです。


 東根で多く生産されている品種はサクランボの王者といわれる佐藤錦です。さくらんぼ東根駅の駅前に、佐藤錦の生みの親の佐藤栄助翁の像が立っています。


 東根市は果樹王国と言われるように、モモの栽培も盛んです。近所を車で回ると、あでやかな桃色の花を付けたモモの木々を所々で見かけます。後背の青々とした山並みと美しく調和した風景になっています。


 郷里の実家の庭では、ちょうど紅色のハナミズキ(花水木; ミズキ科ミズキ属)の花が満開になっていました。ハナミズキは東根市の花になっていて、市内の街路樹などにも多く使われています。


 やはり庭のサクラの木。満開が過ぎていましたが、まだ白い花が咲き残っていました。サクラの種類がよくわからないのですが。チョウジザクラ(丁字桜)のような気がします。


  上記以外にも、多くの写真をアップしています。
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