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2021年8月

2021年8月22日 (日)

夏空が戻った小石川植物園の深緑の風景


 五輪閉幕後、日本上空に線状降水帯が発生し、各地に豪雨災害をもたらしました。さらに、コロナウィルスのデルタ株による感染が急拡大し、これも災害級の事態と喧伝されており、大変な8月となっています。
 さて、8月下旬になってようやく夏空が戻り、久しぶりに深緑に覆われた小石川植物園を回ってきました。



 久しぶり訪れた植物園は全体的に深緑に覆われていました(上は桜並木、下は巨木並木の風景)。早くも桜の木の下では落葉がチラホラと見えるようになっています。深緑の中にいろんな木々の花や野の花が咲いていました。



 日本庭園の池の周りにサルスベリ(百日紅;ミソハギ科サルスベリ属)の真紅や薄紫色の花が咲いています。サルスベリは花期が長く、炎暑下の強い日差しの中で咲き続けます。


 北海道~沖縄に分布する落葉小高木のクサギ(臭木;シソ科クサギ属)。この時期に咲く5弁の白い花を初めて見かけました。


 クサギは秋になると、ピンク色の星形のガクの中心に紺色の種子が付くようになり、一見するとこれが花のように見えます(2019.10)。クサギの和名は葉に悪臭があることから由来。


  日当たりの良い草地に生える多年草オミナエシ(女郎花;スイカズラ科オミナエシ属)。直立した茎の先にあざやかな黄色の花が群生して咲いています。秋の七草の一つ。


 ワレモコウ(吾亦紅;バラ科ワレモコウ属)。秋の高原の風物詩の多年草で、北海道~九州の日当たりのよい草原に見られる。花は穂の先端から咲き始め、独特の暗赤色の丸く短い花穂を付けます。


 タヌキノカミソリ(狸の剃刀;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)。中国原産の球根植物。同属のヒガンバナナツズイセンキツネノカミソリと同様、春に葉が出て夏には枯れ、その後花茎だけが直立するようになり、花茎の先に薄い桃色の花をつける。 花の形はキツネノカミソリとよく似るが、花の色が異なる。


 これはキツネノカミソリ(狐の剃刀;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)。林床や林縁などに自生する球根植物。タヌキノカミソリの近くに生えています。タヌキ……とかキツネ……とか面白い名前が登場しますが、深い理由がある訳ではなく、単に区別用に使われているようです。


 シナノアキギリ(信濃秋桐;シソ科アキギリ属)。長野県松原湖周辺と群馬県の一部でのみ自生する多年草。絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。種の保全を図るため、小石川植物園が長野県の協力を得て移植したもの。


 木の実もボチボチ見かけるようになりました。これはボダイジュ(菩提樹;アオイ科シナノキ属)。中国原産の落葉高木。この実は菩提子といい、数珠をつくります。


 関東~沖縄に自生する落葉小高木マルバチシャノキ(丸葉萵苣の木;ムラサキ科チシャノキ属)。多くの黄色の実が塊状になって付いています。


 中国原産の落葉高木エンジュ(槐;マメ科マメ亜科エンジュ属)。ササゲのような細長い果実が多数枝先から垂れ下がっています。


 わが家のテラスから見た小石川植物園の風景です。ようやく晴れ上がった夏空が見られるようになりました。



 わが家の庭ではサルスベリ(百日紅;ミソハギ科サルスベリ属:上)の花やハイビスカス(アオイ科フヨウ属:下)の花が色鮮やかに咲いています。


 詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年8月)

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2021年8月 1日 (日)

本土から遠く離れ、独自の生態系をもつ小笠原の植物


 先月の沖縄特集に続き、今月は独自の生態系をもつ小笠原特集です。本土から遠く離れた父島、母島などの小笠原諸島はまだ訪れたことがありませんので、今回は主に小石川植物園の温室内の小笠原の植物をまとめてみました。


 小笠原諸島の島々は海底火山の隆起により形成されたもので、日本本土や大陸と一度も繋がったことがない海洋島です。このため独特の生態系となっていて、多くの固有種の植物が存在し、植物では自生種の約5割が固有種とされています。都内では、小石川植物園や神代植物公園、新宿御苑、夢の島熱帯植物館などの温室にて保存・生育されている小笠原の植物に出会うことができます。


 小笠原諸島を代表する固有植物の常緑小高木ワダンノキ(海菜木;キク科ワダンノキ属)。東アジア産のキク科の木本としては最も大きく生長し、樹高3~5mに達する。小笠原諸島は競合する木本植物が少ない海洋島であることから本来の草本植物が木本化したものとのこと。絶滅危惧Ⅱ類 。2021.3


 小笠原固有の常緑低木オガサワラクチナシ(小笠原梔子;アカネ科クチナシ属)。山頂付近から山腹にかけて広く分布する。4月~5月頃、枝先に白い6弁の大きい花が咲き、いい香りがします。光沢のある厚い葉が対生する。同属のクチナシに全体的によく似るが、やや小ぶり。絶滅危惧Ⅱ類。2021.3末


 小笠原固有種の常緑低木シマザクラ(島桜;アカネ科シマザクラ属)。島の道路沿いや林の縁、岩場などに生える。花期は7月~10月頃で普通の桜の花とは全然似ていない。枝先に集散花序がつき、うっすらと紫色を帯びた多くの白い花が咲く。花の裂片、雄しべ、雌しべともにひも状に伸びています。絶滅危惧Ⅱ類。2019.11


 イオウノボタン(硫黄野牡丹;ノボタン科ノボタン属)。小笠原諸島北硫黄島の固有種でノボタンの変種。6月~8月頃に薄い赤紫色の5弁の花をつける。花弁の先の部分は外側に反り返り、長い雄しべや雌しべがくっきりと見える。イオウジマノボタン(硫黄島野牡丹)の別名あり。常緑低木。絶滅危惧Ⅱ類。2021.4


 小笠原固有種のムニンネズミモチ(無人鼠黐;モクセイ科イボタノキ属)。各島の海岸に近い岩場から山の中まで広く生える。3月~4月頃に円錐花序を形成し、白色の多くの小花が密集して咲きます。全縁の葉は対生し、厚みがある葉の表面は光沢がある。2021.4


 小笠原固有植物の多年生草本オオハマギキョウ(キキョウ科ミゾカクシ属)。草本ながら見かけは木本のような太い茎がある。花期は6月~7月で、5枚の花弁が合わさって下向きに付く。発芽してから数年間は成長を続け、花を咲かせて実を付けると枯れていく1回繁殖型の植物サイクルをもつ。絶滅危惧ⅡB類。2021.3


 小笠原固有の多年草ツルワダン(蔓海菜;キク科ニガナ属)。海岸の崖や砂地、草地に生える。ロゼットの根元から匍匐するつる状の茎が伸び、新たなロゼットを形成する。細長い葉が輪生し、花茎の先に黄色の花を付けた頭状花序をなす。絶滅危惧Ⅱ類。2021.3末


 小笠原固有種のシマカコソウ(島夏枯草;シソ科キランソウ属)。父島、母島、妹島に分布し、日当たりのよい湿った岩場に生育する多年草。全草一面に短毛が生え、葉の先端は丸みを帯び、波形の鋸歯がある。夏に一時枯れて、11月頃に芽を出す。絶滅危惧IA類。2019.11


 ムニンタイトゴメ(無人大唐米;ベンケイソウ科キリンソウ属)。花期は12月~3月で、小さな黄色の5弁花を咲かせる。米粒のような葉が付く。小笠原諸島の固有種。環境の厳しい山頂部の岩場に生える多年草。絶滅危惧IB類。2021.1


 小笠原の聟島列島の固有種の多年草ムコジママンネングサ(聟島万年草;ベンケイソウ科キリンソウ属)。最近まで小笠原固有種のムニンタントゴメと同一と思われていたが、DNA検査により新種であることが判明した。2021.4

 これ以外にも、小石川植物園などで色々な小笠原の植物に出会うことができます。詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年8月 小笠原の植物)



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猛暑下の8月、熱戦の東京五輪とコロナ禍の不安



 猛暑下の8月です。先月下旬から始まった東京五輪では、連日熱戦が繰り広げられています。早くも日本チームの金メダル獲得数が過去最高とのこと。やはり、若い選手たちの活躍は素晴らしいですね。コロナ禍の不安が広がる私たちに勇気と希望を与えてくれます。大会の無事終了と早期のコロナ終息を祈っています。

〔8月の風景〕
 さて、小石川植物園の四季折々の季節感あふれる風景、植物の写真を中心に四季の植物としてアップしています。この中で季節の花々、深緑の夏木立などの数多くの8月の風景を楽しむことができます。
 ●8月セレクション  ●8月の Photo Gallery

(小石川植物園の8月の風景の例)

 小石川植物園の日本庭園の一隅に建つ旧東京医学校の赤い建物の前にサルスベリの花が咲いています。2010.8


 サルスベリ(百日紅;ミソハギ科サルスベリ属)は炎天下で長く咲き続ける代表的な夏の花木です。2010.8


 北米原産の多年草キクイモ(菊芋;キク科ヒマワリ属)の鮮やかな黄色の花。地中に塊茎ができ、菊の花と似ていることから和名が由来。2012.8


 深緑に覆われた巨木のユリノキ(モクレン科ユリノキ属)の夏木立。2012.8


(過去の8月の月別スケッチ)
 また、過去の8月の風景(月別の季節のスケッチ)は以下の通りです。
   2020.8
   2019.8    8月植物園 塩原ゆりパーク
   2018.8    南東北
   2017.8+山形
   2016.8+山形
   2015.8
   2014.8+山形
   2013.8+会津
   2012.8+山形  蓼科・霧ヶ峰


 詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年8月)

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