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2021年10月

2021年10月 8日 (金)

10月上旬、晴れ上がった秋空に浮かぶ鰯雲


 10月上旬の秋晴れの下の小石川植物園の風景です。天高い秋の空には鰯雲が浮かんでいます。園内はフクロミモクゲンジ、ピラカンサ、イイギリ、マルバチシャノキなど、多くの木の実を見かけるようになりました。



 秋空の下の大樹の木立。上はヨーロッパ原産の落葉高木イタリアヤマナラシ(ヤナギ科ヤマナラシ属)。下はユーカリ(フトモモ科ユーカリ属)。空にはこの季節ならではの鰯雲が浮かんでいます。



 10月は特に目立った木々や野の花が少ないのですが、木々の実りをあちこちで見かけるようになります。これは中国原産の落葉高木フクロミモクゲンジ(袋実木欒子;ムクロジ科モクゲンジ属)。先月は細かい黄色の花が盛んに咲いていましたが、今はベージュ色の袋実が樹木を覆うようなっています。遠くから見ると、まるで花が満開のように見えます。


 ピラカンサ(品種名:ローズデール;バラ科トキワサンザシ属/ピラカンサ属)。南ヨーロッパ、西アジアが原産の常緑低木。赤い実がつき始めました。


 イイギリ(飯桐;ヤナギ科イイギリ属)。本州〜沖縄の山地に生える落葉高木。これから晩秋にかけてブドウのように房状になった多数の赤い実が垂れ下がります。


 マルバチシャノキ(丸葉萵苣の木;ムラサキ科チシャノキ属)。関東以西~沖縄に自生する落葉小高木。多くの黄色の実が塊状になってついています。


 山地に自生し、本州中部以北で植栽される落葉高木ヒメグルミ(姫胡桃;クルミ科クルミ属)の実が成っています。果実の内部の種はいわゆるクルミで、風味豊かで食用とされる。


 ケンポナシ(玄圃梨;クロウメモドキ科ケンポナシ属)。北海道から九州まで自生する落葉高木。ケンポナシの小さな実を支えている柄の部分が膨らんで甘くなり食用になり、二日酔いに効くともいわれる。



 北海道~九州に分布し、雑木林に多く見られる落葉高木コナラ(小楢;ブナ科コナラ属)。樹皮は灰色で、縦に裂け目ができる。木の下に多くのドングリの実が落ちています。


 日本固有種で本州から九州にかけて分布するつる性落葉木本のフジ(藤;マメ科マメ亜科フジ属)。ササゲのような細長い実が垂れています。


 日本固有種で九州南部から南西諸島に分布するソテツ(蘇鉄; ソテツ科ソテツ属 )。木の根元に赤色の実が付いています。この赤い実には多量のでんぷんと同時に有毒物質を含むので、十分に毒抜きすれば食用になる。原産地の沖縄や奄美諸島では、かつて食料がないときの非常食として食べられていました。

 詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年10月)


 

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2021年10月 1日 (金)

新展開の10月、小石川植物園の秋の風景


 10月に入って自民党の岸田新総理による新政権がスタートすることになります。厳しい内外情勢の中、安定した国政運営が強く望まれます。また、コロナの緊急事態宣言が解除され、いよいよ with コロナでの社会活動が始まろうとしています。ようやく明るい兆しが見えてきた感じがします。


 さて、小石川植物園の秋の風景です。暦の上では10月は晩秋となっていますが、実際には秋の入口といった感じです。鮮やかな木々の紅葉・黄葉が東京都心のような平地で見られるようになるのは11月から12月で、この頃が体感上の晩秋となります。四季の植物10月セレクションに小石川植物園の10月の風景が収録されていますが、その中から樹木の花、秋の野の花、木の実、紅葉など目につくものをいくつか紹介します。


 秋の山野に生える落葉低木ハギ(萩;マメ科マメ亜科ハギ属)。万葉集にも多く詠まれていて、古くから日本人に親しまれています。秋の野に紅紫色の小さな花を低木の細い枝に多数つけて枝垂れて咲きます。草本でなく木本だが、秋の七草の一つに数えられている。 2007.10


 落葉小高木ヘプタコディウム ジャスミノイドス(スイカズラ科ヘプタコディウム属)。中国原産で高地の崖地などに生える。8月~10月頃に白い唇状の花が木枝に咲きます。また中国名は七子花、英名はオータムライラック(autumn lilac)。春には新緑の葉が元気よく飛び跳ねているかのようです。2020.10


 日本固有種の落葉低木コツクバネウツギ(小衝羽根空木;スイカズラ科ツクバネウツギ属)。本州の中部地方以西、四国、九州に分布し、日当たりのよい丘陵地の雑木林などに生育する。2019.10


 背の高いセイタカアワダチソウ(背高泡立草;キク科アキノキリンソウ属)を園内の草むらで見かけました。形状のいい黄色の花穂を付けています。北米原産の帰化植物で河原や空き地などに群生する多年草。2012.10


 シュウメイギク(秋明菊;キンポウゲ科イチリンソウ属)の白い花が群生して咲いています。シュウメイギクの名前は、キク科のようですが、実はキンポウゲ科の植物です。中国から渡来し、京都の貴船地方に野生化した多年草。2019.10


 北海道~沖縄に分布する落葉小高木クサギ(臭木;シソ科クサギ属)。全国の日当たりのよい原野などに生える。8月頃に咲いた白い花の後、ピンク色の星形のガクの中心に紺色の種子が付く。ちょうど木の頂上部分に赤い花が咲いているかように見えます。
2019.10


 落葉高木トチノキ(栃の木;ムクロジ科トチノキ属。)。枝先の大きな葉は掌状複葉で、長い葉柄の先に倒卵形の数枚の小葉が掌状につく。晩秋に大樹の黄葉が輝き、木の下に栃の実が見つかります。日本原産で東日本を中心に分布し、特に東北地方に多く見られる。2006.10


 ハナミズキ(花水木;ミズキ科ミズキ属)。初夏には紅白の花を咲かせ、秋には木の葉が赤く色づいてきます。陽光で透かしてみると美しさが引き立ちます。北米原産の落葉高木でわが国のヤマボウシに似ることからアメリカヤマボウシともいう。2012.10


 詳しくは
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