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2022年3月

2022年3月28日 (月)

3月下旬の特別招待日、ソメイヨシノが満開



 ソメイヨシノが満開を迎えた3月28日、小石川植物園を回ってきました。休園日でしたが、この日は特別招待ということで、川北園長や邑田前園長らの方々に園内の植物について詳しくわかりやすく説明していただきました。


 江戸時代の染井村の植木屋さんが、葉をつける前に沢山の小さめの花が咲くエドヒガンと、大きめの花が葉と同じ頃に咲き出すオオシマザクラを交配させて、偶然にも大きめの花が葉がつく前に咲く出す1本のソメイヨシノが誕生したとのこと。そして、そのクローン株が全国に広がったそうです。


 たまたま誕生した1本のソメイヨシノのおかげで、すべての日本人が毎年春のこの時期、満開の桜に酔いしれることができるわけです。この奇跡の桜の誕生に改めて感謝! 植物園内ではサクラ並木を中心に多くのソメイヨシノが生えています。


 何年か前に植えられたベニシダレ(紅枝垂)が今では大きく成長しました。シダレザクラエドヒガンの栽培品種で、3月頃に天空を覆わんばかりの上品な白い花が美しく枝垂れます。淡紅色のシダレザクラのことをベニシダレという。


 わが家のテラスから見た植物園の眺望です。ちょうど満開になったサクラ並木が横に広がっています。また、手前のイロハモミジの小径がこれから新緑に染まってきます。


 ベニシダレに隣接して生えるイトヒバ(糸檜葉;ヒノキ科ヒノキ亜科ヒノキ属)。細枝や葉先が糸のように垂れ下がることから和名が由来。冬の頃は葉が茶色がかっていましたが、今は緑色に戻っています。


 温室内も案内してもらいました。これは奄美大島~琉球列島に分布する常緑低木のオオシマコバンノキ(大島小判の木;コミカンソウ科オオシマコバンノキ属)。葉柄の根元をみると、緑色で小さくあまり目立たない花が咲いています。


 紅色~淡紅色に熟した球形の果実(液果)も付いていました。オオシマコバンノキはハナホソガという昆虫の蛾と絶対送粉共生関係を有していて、ハナホソガの幼虫が赤い果実の中に入り込んでいるとのこと。


 フィリピンの限られた熱帯雨林に自生する常緑つる性木本ヒスイカズラ(翡翠葛;マメ科マメ亜科ヒスイカズラ属)。長い花房が垂れ下がり、オウムのくちばし状の形をした翡翠色の花を多数つけていました。花がついたのは温室のリニューアル後初めてだそうです。

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2022年3月25日 (金)

西多摩の瑞穂町に群生するカタクリの花


 3月下旬になり、東京都ではようやくコロナ禍の緊急事態宣言が解除になりました。解除になったとはいえ、感染者数はまだ毎日数千人規模ですので用心に越したことはありません。マスクを付けながら、近郊の西多摩郡瑞穂町のカタクリの群生地までドライブしてきました。



 瑞穂町に広がる「さやま花多来里(カタクリ)の郷」では約3,000㎡の斜面の一面に20万株以上ものカタクリが群生しています。まだ全体的に4分咲きといった感じでしたが、それでも多くの可憐な赤紫色のカタクリの花が咲き並んでいました。



 カタクリ(ユリ科カタクリ属)は落葉広葉樹林の林床などに生育する球根植物です。春になると6枚の花弁が反り返った赤紫色の可憐な花が咲き出します。まるで春の陽光の下で森の妖精たちが背中の羽根を羽ばたきながら遊んでいるようにも見えます。カタクリの鱗茎(球根)は澱粉を含み、片栗粉の原料になり、若葉は食用に供されます。春の妖精の代表格。


 カタクリの群生地を回った後は、屋敷森に囲まれ、武蔵野の旧家の佇まいを残す近くの耕心館(町が運営)で昼食。耕心館の庭園では、季節ごとに花をつける140種類ほどの山野草等を楽しむことができるようになっています。この日は珍しい春の野草を多く見かけました。


 ユキワリイチゲ(雪割一華;キンポウゲ科イチリンソウ属)。本州中部以西の暖かい地域の林内に生える多年草。春の妖精の仲間。


 ミスミソウ(三角草;キンポウゲ科ミスミソウ属)。本州の中部以西の山間地に多く生育する常緑の多年草。三角形状の葉が三つに分かれているのが特徴。



 キクザキイチゲ(菊咲一華;キンポウゲ科イチリンソウ属) 。北海道~近畿地方の落葉広葉樹林の林床などに生育する多年草。菊の葉のように切れ込みが鋭いのが特徴で、菊咲一輪草とも呼ばれる。春の妖精の仲間。



 ショウジョウバカマ(猩々袴;シュロソウ科ショウジョウバカマ属)。北海道から九州までのやや湿った場所に分布し、人里近くの田んぼの畦道から高山帯の高層湿原まで生える多年草。根生葉の重なりが袴(ハカマ)に似る。春の妖精の仲間。


 キケマン(黄華鬘;ケシ科ケマンソウ亜科キケマン属)。関東から沖縄の海岸や低地に生える多年草。細長い形状の黄色の花が穂先に多く並んで咲く。全草に毒性あり。


 庭園の一角にある土蔵に豪華なひな人形が飾られていました。

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2022年3月 1日 (火)

陽春の小石川植物園、いよいよ春本番


 3月に入り、ようやく春暖の日が続くようになりました。また、国内のコロナ感染(第6波)にピークアウトの兆候が見られ、少し安堵しています。その一方で、欧州ではロシアが隣国ウクライナに一方的に軍事侵攻するという衝撃的な戦争が勃発しました。今後の事態の推移が非常に憂慮されます。


 さて、春本番の3月の小石川植物園の様子を取りまとめてみます。小石川植物園では3月に入ると、美しい春本番の季節を迎えます。カンヒザクラ、ヤマザクラ、オオシマザクラなどのいろんな桜の花が次々に咲き出します。そして、月末にはソメイヨシノが満開になり、シナミズキ、サンシュユ、コブシなどの桜以外の木々の花も一斉に咲き出します。まさに園内は春爛漫の様相を呈するようになります。また、カタクリ、ハナニラ、オオイヌノフグリ、スミレなどの春の野の花も賑やかに咲き広がります。

(木々の花)

 沖縄に自生するカンヒザクラ(寒緋桜)。日本のサクラの基本野生種の一つ。満開になった濃い紅色の鐘状の花が強烈な印象を与える。カンヒザクラを片親とする多くの栽培品種があります。2015.3


 植物園の入口近くのヤマザクラ(品種:群桜)。ヤマザクラは日本、台湾、韓国、北朝鮮に分布する落葉高木。日本のサクラの基本野生種の一つで和歌にも数多く詠まれている。サクラの仲間では長寿で大木も多い。2018.3(なお、この群桜は残念なことにその後の台風により倒木)


 伊豆大島などに多く生息するカンザキオオシマ(寒咲き大島)。白く清楚な感じの花が咲いています。オオシマザクラの園芸品種で早春に開花する早咲きのサクラ。2008.3


 本州に分布するエドヒガン(江戸彼岸)。サクラの基本野生種の一つ。ソメイヨシノより早く彼岸の頃に美しく満開になる。葉が展開するより先に小さな白い花が無数に咲く。ヤマザクラとともに長寿。各地に巨樹エドヒガンの一本桜が多い。2018.3


 ソメイヨシノの花の見事さは、空間に突然出現する圧倒的なボリューム感にあります。週末でもあったのでまさに老若男女で大賑わいでした。ソメイヨシノはオオシマザクラとエドヒガンとの交雑種でエドヒガン系の園芸品種。2008.3


 中国原産の落葉低木シナミズキ(支那水木;マンサク科トサミズキ属)。細い枝がよく分枝し株立ち樹形を成す。3月頃、青空の下に無数の黄色の花が点描されるかのように一斉に咲き出す。2008.3


 サンシュユ(山茱萸;ミズキ科ミズキ属)が満開になりました。小さな黄金色の花が点々と木枝の至るところから吹き出しています。木全体が黄金色に輝くことからハルコガネバナとも呼ばれます。2012.3


 北海道から九州まで広く分布する落葉高木コブシ(辛夷)。早春に白い花が咲き出し、春の訪れを謳歌するかのように青空の中で花が乱舞する。花は小枝の先に咲き、ひらひらの白い6枚の花弁をもつ。開花の後、新緑が芽吹く。モクレン科モクレン属。2019.3


(春の野の花)

 カタクリ(片栗;ユリ科カタクリ属)。薄い赤紫色のカタクリの花が秘やかにかつ可憐に咲いています。花は6枚の花びらが反り返っていて、まるで春の陽光の下で森の妖精たちが背中の羽根を羽ばたきながら遊んでいるようです。落葉広葉樹林の林床などに生育する球根植物。スプリング・エフェメラルの代表格。2008.3


 ハナニラ(花韮)の清楚な白い花が植物園内の各所に咲き広がります。花の形はアマナに似ることから、セイヨウアマナ(西洋甘菜)とも呼ばれます。南米原産で明治時代に観賞用として帰化。ヒガンバナ科イフェイオン属 or ハナニラ属の球根植物。


 春の園内にオオイヌノフグリの星くずのように可憐な青い小さな花が咲き広がります。秋に芽を出して他の植物が繁茂しない冬に横に広がり、春に多数の花をつけ、春の終わりには枯れてしまうといった生態になっています。ヨーロッパ原産の多年草。日本に帰化し全国に分布。オオバコ科クワガタソウ属。2003.3


 コスミレ(小菫;スミレ科スミレ属)の花を何株か見つけました。花姿がタチツボスミレによく似ているが、細長い葉の形状が異なります。本州から九州の人里や山野に分布します。2018.3


 代表的な春の野花のホトケノザ(仏の座;シソ科オドリコソウ属)です。葉の様子が仏像の蓮座を連想させます。赤紫のきれいな花を咲かせているので目立ちます。本州から沖縄に自生する多年草。2019.3


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