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2022年9月

2022年9月16日 (金)

9月中旬の小石川植物園、ヒガンバナや八重咲サルスベリが見頃


 9月中旬になって暑さが一服したので、久しぶりに小石川植物園を回ってきました。園内では真赤なヒガンバナの花や珍しい八重咲サルスベリの花が見頃になっていました。また、温室では1回繁殖型の植物サイクルをもつ小笠原固有種のオオハマギキョウがちょうど花をつけていました。


 植物園に入って直ぐ左方に進むと奥の方に日本庭園が見えてきます。庭園に立つ旧東京医学校本館(国の重要文化財に指定)の赤い建物の前方には季節ごとに楽しめるようにいろんな植物が植えられています。この日は、落葉中高木の八重咲サルスベリが見頃になっていました。


 この八重咲サルスベリ(ミソハギ科サルスベリ属)は通常のサルスベリのC遺伝子が欠損する変異種で、サルスベリの花の雄しべが付く部分が花弁となり、2次花から5次花まで形成され八重咲の形状になる珍しい種です。八重咲サルスベリの開花時期は9月~10月と通常のサルスベリよりも遅く、9月中旬頃に咲き始めます。


 ちょうど秋の彼岸の時期が近づき、植物園の随所で燃える炎のように美しいヒガンバナ(彼岸花;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)の花を見かけました。珍しい白花も咲いていました。全草有毒で、特に鱗茎にアルカロイドを多く含む有毒植物。球根植物。


 妖美な感じの花を咲かせるヒガンバナは、わが国では墓地などにも植えられ、ちょうど秋の彼岸の時期に咲くことから、死人花、幽霊花などの異名が付いています。後方に小さなお地蔵さんのようなものが立ち並んでいますが、これはメキシコラクウショウ(ヒノキ科スギ亜科ヌマスギ属)の気根になります。


 トウゴマ(唐胡麻;トウダイグサ科トウゴマ属)。小さな花穂が付いていて、上部の赤色の雌花、下部の黄緑色の雄花に分かれています。トウゴマの種子から得られる油はひまし油(蓖麻子油)として広く使われています。東アフリカ原産の多年草(熱帯)、一年草(日本などの温帯)。


(温室・冷温室)

 小笠原固有植物のオオハマギキョウ(キキョウ科ミゾカクシ属)。高さ2~3mにもなる多年生草本。草本ながら見かけは木本のような太い茎がある。花をつけていますが、発芽してから数年間は成長を続け、花を咲かせて実を付けると枯れていく1回繁殖型の植物サイクルをもちます。茎の上部に細長い披針形の葉が何枚も輪生状に集まり、島では千枚葉と呼ばれる。


 フジアザミ(富士薊;キク科アザミ属)。直径が10センチ位の大きなアザミの花が盛んに下向きに咲いています。日本産のアザミの中では最も大きな花を咲かせる種類で、富士山の周辺に多く生育します。


 ショクダイオオコンニャク(燭台大蒟蒻;サトイモ科コンニャク属)。草丈が数メートルで悠然とそびえ、緑葉が生い茂っています。スマトラ島固有種の草本で、その巨大さからタイタンの学名が付いています。かつて1991年、2010年に小石川植物園で開花しています。


 2010年の開花時の写真です。この時は夏の猛暑にもかかわらず連日多数の入園者が押しかけていました。真ん中の太い軸のまわりに小さな雄花と雌花が集まっていて、その花を取り囲むようにして、上向きに開いた仏炎苞がとり囲んでいます。花序の形がロウソクを立てた燭台のように見えることがショクダイオオコンニャクの和名が由来。2010.7


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2022年9月 5日 (月)

秋の野にはヒガンバナ、コスモス、ソバなどの季節の花々



 9月に入りました。さすがに35度を超えるような猛暑が収まってきて、少し暑さが残っているものの朝晩は過ごしやすくなってきました。この頃になると、ヒガンバナ(彼岸花)、コスモス(秋桜)、ソバ(蕎麦)などの季節の花々が秋の野に咲き出すようにになります。

 ちょうど秋の彼岸の時期に、植物園の随所で燃える炎のように美しいヒガンバナ(彼岸花;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)の花が満開になって咲き出します。全草有毒で、特に鱗茎にアルカロイドを多く含む有毒植物。球根植物。2003.9

 ヒガンバナは多くの呼び名があります。曼珠沙華(まんじしゃげ)の別名が最も有名ですが、サンスクリット語からきたもので天界に咲く美しい花ということです。ヒガンバナは大部分が赤花ですが、白い花も希に咲いています。2010.9

 わが国では墓地などにも植えられ、ちょうど秋の彼岸の時期に咲くことから、死人花、幽霊花などの異名が付いています。特徴的な赤いヒガンバナの花を見渡すと、本当に故人の魂が漂っているような感じがします。2008.9

 9月下旬~10月上旬、奥武蔵野の巾着田で赤い絨毯を敷き詰めたように一面に咲き広がるヒガンバナに出会うことができます。巾着田とは、日高市内を流れる高麗川の蛇行により長い年月をかけて形成され、その形が巾着の形に似ていることから、そのように呼ばれています。2010.10

 秋の風物詩のコスモス(秋桜;キク科コスモス属)。各所に咲き出す無数の花が風に舞う。熱帯アメリカ原産でメキシコからスペインに渡りコスモスと名づけられた。日本には明治20年頃に観賞用として渡来。富士五湖の一つ精進湖の辺で、富士山のシルエットを背景にコスモスの花が風にたなびいていました。一年草。2005.9

 山形県内を縦走する最上川の河原に咲くコスモスの花。中流域のここ大石田町付近は陸路と水路の接点という地の利から、かつては最上川最大の舟着場として栄えました。2015.9

 立川近辺の180haもの広大な土地に広がる昭和記念公園。奥の方に進んでいくと、「花の丘」の斜面に何千本ものコスモスの花が一面咲いていて秋風に舞っていました。その風景は見事で圧巻です。2011.10

 北海道、東北地方〜中部の高冷地などで栽培される一年草のソバ(蕎麦;タデ科ソバ属)の白い花が咲いています。山形では最近のソバ人気もあって、ソバ畑の作付けが広がっています。ソバの栽培は春播きの夏ソバと夏播きの秋ソバがあって、これは夏ソバの花になります。2005.9

 近くからソバの花を見ると、白い小さな花が塊になって密生して咲いています。山形のあちこちに蕎麦街道ができていて、山菜蕎麦やソバガキなどの山形ソバのいろんな味が堪能出来ます。2005.9

 ソバには赤い花が咲くものもあり赤ソバと呼ばれます。長野県箕輪町の「赤そばの里」ではソバの赤い花が見事に色づいています。赤ソバは、ネパール原産のソバを品種改良したもので、遊休農地活用と景観形成を兼ねて栽培しているとのこと。(この赤ソバの写真は、地元出身のI氏からいただきました。)2006.9


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