4月中旬の小石川植物園、美しい新緑が広がる
4月中旬の小石川植物園を回ってきました。華やかだったソメイヨシノなどの桜の時季が過ぎ、園内は落ち着いた雰囲気の中で美しい新緑が広がっています。また、NHK朝ドラ「らんまん」の主人公牧野富太郎博士にちなんだ展示が見られます。
この時季はなんと言っても新緑が美しい。これは北米原産の落葉高木アカガシワ(赤柏;ブナ科コナラ属)の新緑です。わが国には明治時代に渡来し、北海道を中心に街路樹や公園樹などに植栽されています。
アカガシワ(赤柏)は、これから初夏に目立たない黄緑色の花が咲き、秋に堅果(ドングリ)がつきます。葉の形状が日本のカシワに似て、紅葉が美しいことから和名が由来。レッドオーク、アカナラ(赤楢)の別名あり。
ノグルミ(野胡桃;クルミ科ノグルミ属)。東海以西の本州、九州、四国に分布し、日当たりの良い林縁に生える落葉高木。新緑のアト、6月~7月頃、新枝の先に目立たない穂状の花穂が直立してつきます。風媒花で風に乗せて花粉を運びます。後日、松かさに似た果実をつけますが、食用にならない。建築材、器具材として用いられる
北米東部原産の落葉高木アメリカスズカケノキ(スズカケノキ科スズカケノキ属)。わが国へは明治時代に渡来し、巨木が多い。花期は4月~5月で球形の花序がぶら下がる。互生する広卵形で掌状の大きな葉は切れ込みが浅い。緑葉に覆われた夏木立や晩秋の褐色の紅葉の景観は迫力があります。
ヒトツバタゴ(一つ葉タゴ;モクセイ科ヒトツバタゴ属)の樹木全体が白雪に覆われたようになっていました。ヒトツバタゴは対馬地方、木曽川流域、岐阜県東濃地方などに限定的に自生する落葉高木。春に新緑が木枝に芽生え、その後初夏に開花し、枝先に集散花序をつけ多数の花が咲く。晩秋には紅葉が見られる。
中国、インド、ミャンマー等が原産の落葉高木で丘陵地~山地に自生するアルニフィラム・フォーチュネイ(エゴノキ科アルニフィラム属)が枝先の葉腋に円錐花序を形成し、多数の白い花が咲き出していました。普段周りに見かけない珍しい樹木で、小石川植物園では柴田記念館の近くなどに生えています。
サクラソウ(桜草;サクラソウ科)の特別展示。古典園芸植物の代表格とされるサクラソウは、江戸近郊の荒川の原野に生える野生種から栽培、品種改良が広まったと言われています。小石川植物園ではサクラソウの古い品種が栽培・保存されています。
これは野生種のサクラソウ(桜草)です。サクラソウは北海道~九州の高原や原野に分布する多年草で、林間の湿性地や原野の草地に生育します。地中に根茎があり、高さ15~40cmの花茎を直立させ、5~10個の清楚な美しい花をつけます。
植物園の標本室に収蔵されているサクラソウ標本。牧野富太郎博士が1903年5月に採集したもの。この当時、サクラソウは関東近辺に多くの自生地が残っていたが、現在では準絶滅危惧種(NT) として保護の対象となっている。
柴田記念館の入口では満開のヒラドツツジ(品種名:大紫)がお出迎え。館内にはNHK朝ドラ「らんまん」の主人公牧野富太郎博士の足跡などの特別展示がなされています。
マルバオウセイ(丸葉黄精;キジカクシ科アマドコロ属)をはじめて見かけました。マルバオウセイは四国南西部、九州に分布し、海岸近くの広葉樹林下、林縁などに生える多年草。同属のアマドコロやナルコユリとよく似るが、葉の形は丸みを帯びる。散房状に並んだ多数の小さな花が葉腋から垂下しています。
シャガ(著莪、射干;アヤメ科アヤメ属)の花が一面に咲き広がっていました。シャガは中国四川省原産で谷沿いの陰地や竹林などに群生する常緑多年草。4月~5月、黄と青の幻想的な模様の入った白い花が次々に咲き出してきます。根茎が短く横に這い、群落を形成します。
最後に小石川植物園以外の風景ですが、珍しいシャクナゲ(石楠花;シャクナゲ亜属シャクナゲ節)の街路樹を見つけました。場所は千代田区二七通りの五番町交差点付近。大きな赤い花が満開になっていて通行する人やドライバーの目を惹きます。
詳しくは
→ 季節のスケッチ(2023年4月)
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