4月上旬の小石川植物園、ソメイヨシノがやや遅めの満開
今年はソメイヨシノの開花を目前にした3月下旬になって冷え込みが続くようになり、開花時期が遅れ、ソメイヨシノの満開は4月上旬になりました。花見を待ちかねた大勢の人たちが桜の木の下に集っています。最近は災害とか戦争とか穏やかならざる出来事が頻発しているので、このような見慣れた花見の光景に出会うと、ふと心が和みます。小石川植物園ではサクラ以外にもいろんな木々の花々や新緑があふれ、美しい季節の到来を実感します。
ようやく満開になった4/4のソメイヨシノ(染井吉野;サクラ亜属エドヒガン群)。あいにく曇天でしたが、多くの人が押しかけていました。いつもながらサクラの花の圧倒的なボリュームには感動させられます。
ベニシダレ(サクラ亜属エドヒガン群)の見事な景観です。シダレザクラの淡紅色の品種。ここに植えられて、まだ10年未満だと思うのですが、順調に生育しています。
4/4の満開の後、強風が吹く悪天候の日があって心配でしたが、4/10時点のサクラ並木には、まだ花がかなり残っていました。
しかしサクラ並木の樹下を見渡すと、このように散った桜の花が絨毯のように地面に敷き詰められていました。
日本、中国などが原産の常緑高木トキワマンサク(常盤満作;マンサク科トキワマンサク属)。満開になった大樹がひも状の白色、淡黄色の無数の小さな4弁花に覆われます。樹木を見上げると、まるで滝のように花が流れている感じになります。
東北地方南部~沖縄まで分布する常緑高木モチノキ(黐の木;モチノキ科モチノキ属)。大樹の木枝に無数の黄緑色の花が束になって咲いています。
イロハモミジ(いろは紅葉;ムクロジ科カエデ属 )の鮮やかな新緑です。東アジアに自生し、わが国では本州以南に分布する落葉高木。秋の紅葉の代表格ですが、この時期の新緑も見事です。
イロハモミジの新緑に覆われた木枝をよく見ると、暗紫色の小さな花がたくさん咲いています。この花は風媒花で5弁花。俳句では花楓とかもみじ咲くなどと詠む。
園内を散策していると、林の中で珍しい樹木を見かけました。コブシモドキ(辛夷擬、這辛夷;モクレン科モクレン属シモクレン節)が数輪の花を付けていました。日本固有種の落葉低木でコブシの品種とされる。葉の展開に先立って大きめの白い花を咲かせています。
コブシモドキは1948年に徳島県相生町で1個体のみが発見されたが、その後、野生種が見つからず野生絶滅(EW)とされている。コブシが2倍体であるのに対し、コブシモドキは3倍体で結実しないので、現在は挿し木で増やしたクローン株が国内数ヶ所に生えているに過ぎないとのこと。
本州西部の太平洋側、四国、九州に広く分布する常緑高木クスノキ(樟、楠;クスノキ科ニッケイ属)の巨木。鎮守の森の主のようにそびえ立っています。常緑樹ですが、そろそろ新葉と入れ替わります。
メタセコイア林の春の風景です。園入口から左方に曲がって少し進むと、天空に向かって直伸するメタセコイアが林立しています。この時期、うっすらと新緑が吹き出してきました。
詳しくは
→ 季節のスケッチ(2024年4月) Archive
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