小石川植物園は新緑から万緑へ、落ち着いた雰囲気の花々
初夏の風薫る5月に入りました。先月初旬に満開になった小石川植物園のサクラ並木です。その頃は大勢の人で賑わっていましたが、今や新緑が過ぎ、万緑の様相を呈しています。木の下では緑陰を求める家族連れがチラホラと見受けられます。この時季になるとバラの仲間の花や大樹の目立たない花が咲き、園内は落ち着いた雰囲気になります。
満開になったアルニフィラム・フォーチュネイ(Alniphyllum fortunei;エゴノキ科アルニフィラム属)。中国、インド、ミャンマー等が原産の落葉高木で、丘陵地~山地に自生する。園内では大樹が柴田記念館の近くに生えており、この時期だけ近づくことが出来るようになっています。
アルニフィラム・フォーチュネイは初夏~夏にかけて、枝先の葉腋に円錐花序を形成し、多数の白い花が付いています。枝に互生する全縁の葉の表面には光沢がある。普段見かけない珍しい樹木です。
バラ科の花が目立ちました。これはノイバラ(野茨;バラ科バラ属)。北海道から九州にかけての山野に自生する落葉低木。バラ特有のトゲが多い野バラです。房状になって白い花が多数咲く。秋に小さな赤い実が付く。日本のバラの代表的な原種です。
ナナカマド(七竈;ナナカマド属)。北海道から九州の亜高山帯の林地に自生する落葉高木。初夏に複散房花序を付け、小さな白い花が多数咲く。秋になると見事に紅葉し、真っ赤な球状の実をたわわに付ける。庭木や街路樹、花材として用いられる。
シセンテンノウメ(四川天の梅; バラ科テンノウメ属 )。中国南部、台湾が原産の常緑低木。山地の岩場に生育する。ウメに似た白い花が咲くが、鳥の羽毛のような葉が付き全体としてユニークな形状。点々と咲く花が天空の星のように見えることから和名が由来します。
タニウツギ(谷空木;スイカズラ科タニウツギ属)。北海道や本州の日本海側の山野に自生する落葉小低木。山地の谷沿いや斜面に多く見られる。新緑の中、美しい淡紅色の漏斗状の花を付ける。田植えの時期に花が咲くことから、「田植え花」ともいわれる。
大樹の木枝をよく見ると、目立たない地味な花も多々見かけます。これはシラカシ(白樫;ブナ科コナラ属)。福島・新潟県〜九州の山地に生える常緑高木。初夏に枝から多数の花穂(尾状花序で黄褐色の雄花)が垂れ下がります。秋にはドングリの実(堅果)がつく。
スダジイ(椎の木;ブナ科シイ属)。福島県以西の日本全国に分布する常緑高木。いわゆる椎の木のこと。初夏に大樹がうっそうと緑に覆われ、雄花が枝先にたくさん付く。雄花は強い香りを放ち、虫を呼び寄せます。秋の木の実(堅果)はドングリの一つで、椎の実とも呼ばれる。
針葉樹にも花穂が付いています・これはクロマツ(黒松;マツ科マツ属)。本州、四国、九州に分布し、海岸に多く自生する常緑針葉樹。和風庭園の主木としてや用いられる。樹皮は名の通り黒みを帯び、樹齢を重ねると亀甲状に剥離する。雌雄同株で、4月~5月頃花をつけ、雌花の後に球果(松かさ)ができる
アカマツ(赤松;マツ科マツ属)。本州、四国、九州に分布する常緑針葉樹。山地や山野に生えることが多い。アカマツの心材と呼ばれる中心部は耐水性が高く、建築用材や杭などに幅広く使われる。樹皮は赤みの強い褐色で、鱗状に薄く剥がれる。雌雄同株で、4月頃目立たない花をつけ、雌花の後に球果(松かさ)ができる。
アレッポマツ(Aleppo Pine;マツ科マツ属)。地中海地方を原産とする常緑高木のマツ。球果(松かさ)は細い円錐状で、はじめの緑色から2年ほど経つと熟し、茶色に変化する。 現地では庭園木や木材等に用いられている。アレッポはシリア北部の都市。
草むらなどを見渡すと、初夏の野の花をも見かけます。これはカマヤマショウブ(蒲山菖蒲;アヤメ科アヤメ属)。朝鮮半島、中国東北部が原産の多年草。濃い紫色の花で外側の大きい花びら(外花被)の中央に網目模様がある。葉は細長い線形で直立し、花径も長くて外花被片の幅が広い。韓国の釜山から和名が由来。
同じアヤメ属のキショウブ(黄菖蒲;アヤメ科アヤメ属)。ユーラシア大陸原産の多年草。日本全国の水辺や湿地、水田脇に野生化しています。5月~6月に青紫色、紫色の花を付ける他のアヤメ属の仲間と異なり、黄色の花が咲きます。外花被片が大型の広卵形で先が下に垂れ、花弁の基部に茶色の網目がある。
詳しくは
→ 季節のスケッチ(2024年5月) Archive
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