季節・風景・植物

2021年10月 8日 (金)

10月上旬、晴れ上がった秋空に浮かぶ鰯雲


 10月上旬の秋晴れの下の小石川植物園の風景です。天高い秋の空には鰯雲が浮かんでいます。園内はフクロミモクゲンジ、ピラカンサ、イイギリ、マルバチシャノキなど、多くの木の実を見かけるようになりました。



 秋空の下の大樹の木立。上はヨーロッパ原産の落葉高木イタリアヤマナラシ(ヤナギ科ヤマナラシ属)。下はユーカリ(フトモモ科ユーカリ属)。空にはこの季節ならではの鰯雲が浮かんでいます。



 10月は特に目立った木々や野の花が少ないのですが、木々の実りをあちこちで見かけるようになります。これは中国原産の落葉高木フクロミモクゲンジ(袋実木欒子;ムクロジ科モクゲンジ属)。先月は細かい黄色の花が盛んに咲いていましたが、今はベージュ色の袋実が樹木を覆うようなっています。遠くから見ると、まるで花が満開のように見えます。


 ピラカンサ(品種名:ローズデール;バラ科トキワサンザシ属/ピラカンサ属)。南ヨーロッパ、西アジアが原産の常緑低木。赤い実がつき始めました。


 イイギリ(飯桐;ヤナギ科イイギリ属)。本州〜沖縄の山地に生える落葉高木。これから晩秋にかけてブドウのように房状になった多数の赤い実が垂れ下がります。


 マルバチシャノキ(丸葉萵苣の木;ムラサキ科チシャノキ属)。関東以西~沖縄に自生する落葉小高木。多くの黄色の実が塊状になってついています。


 山地に自生し、本州中部以北で植栽される落葉高木ヒメグルミ(姫胡桃;クルミ科クルミ属)の実が成っています。果実の内部の種はいわゆるクルミで、風味豊かで食用とされる。


 ケンポナシ(玄圃梨;クロウメモドキ科ケンポナシ属)。北海道から九州まで自生する落葉高木。ケンポナシの小さな実を支えている柄の部分が膨らんで甘くなり食用になり、二日酔いに効くともいわれる。



 北海道~九州に分布し、雑木林に多く見られる落葉高木コナラ(小楢;ブナ科コナラ属)。樹皮は灰色で、縦に裂け目ができる。木の下に多くのドングリの実が落ちています。


 日本固有種で本州から九州にかけて分布するつる性落葉木本のフジ(藤;マメ科マメ亜科フジ属)。ササゲのような細長い実が垂れています。


 日本固有種で九州南部から南西諸島に分布するソテツ(蘇鉄; ソテツ科ソテツ属 )。木の根元に赤色の実が付いています。この赤い実には多量のでんぷんと同時に有毒物質を含むので、十分に毒抜きすれば食用になる。原産地の沖縄や奄美諸島では、かつて食料がないときの非常食として食べられていました。

 詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年10月)


 

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2021年10月 1日 (金)

新展開の10月、小石川植物園の秋の風景


 10月に入って自民党の岸田新総理による新政権がスタートすることになります。厳しい内外情勢の中、安定した国政運営が強く望まれます。また、コロナの緊急事態宣言が解除され、いよいよ with コロナでの社会活動が始まろうとしています。ようやく明るい兆しが見えてきた感じがします。


 さて、小石川植物園の秋の風景です。暦の上では10月は晩秋となっていますが、実際には秋の入口といった感じです。鮮やかな木々の紅葉・黄葉が東京都心のような平地で見られるようになるのは11月から12月で、この頃が体感上の晩秋となります。四季の植物10月セレクションに小石川植物園の10月の風景が収録されていますが、その中から樹木の花、秋の野の花、木の実、紅葉など目につくものをいくつか紹介します。


 秋の山野に生える落葉低木ハギ(萩;マメ科マメ亜科ハギ属)。万葉集にも多く詠まれていて、古くから日本人に親しまれています。秋の野に紅紫色の小さな花を低木の細い枝に多数つけて枝垂れて咲きます。草本でなく木本だが、秋の七草の一つに数えられている。 2007.10


 落葉小高木ヘプタコディウム ジャスミノイドス(スイカズラ科ヘプタコディウム属)。中国原産で高地の崖地などに生える。8月~10月頃に白い唇状の花が木枝に咲きます。また中国名は七子花、英名はオータムライラック(autumn lilac)。春には新緑の葉が元気よく飛び跳ねているかのようです。2020.10


 日本固有種の落葉低木コツクバネウツギ(小衝羽根空木;スイカズラ科ツクバネウツギ属)。本州の中部地方以西、四国、九州に分布し、日当たりのよい丘陵地の雑木林などに生育する。2019.10


 背の高いセイタカアワダチソウ(背高泡立草;キク科アキノキリンソウ属)を園内の草むらで見かけました。形状のいい黄色の花穂を付けています。北米原産の帰化植物で河原や空き地などに群生する多年草。2012.10


 シュウメイギク(秋明菊;キンポウゲ科イチリンソウ属)の白い花が群生して咲いています。シュウメイギクの名前は、キク科のようですが、実はキンポウゲ科の植物です。中国から渡来し、京都の貴船地方に野生化した多年草。2019.10


 北海道~沖縄に分布する落葉小高木クサギ(臭木;シソ科クサギ属)。全国の日当たりのよい原野などに生える。8月頃に咲いた白い花の後、ピンク色の星形のガクの中心に紺色の種子が付く。ちょうど木の頂上部分に赤い花が咲いているかように見えます。
2019.10


 落葉高木トチノキ(栃の木;ムクロジ科トチノキ属。)。枝先の大きな葉は掌状複葉で、長い葉柄の先に倒卵形の数枚の小葉が掌状につく。晩秋に大樹の黄葉が輝き、木の下に栃の実が見つかります。日本原産で東日本を中心に分布し、特に東北地方に多く見られる。2006.10


 ハナミズキ(花水木;ミズキ科ミズキ属)。初夏には紅白の花を咲かせ、秋には木の葉が赤く色づいてきます。陽光で透かしてみると美しさが引き立ちます。北米原産の落葉高木でわが国のヤマボウシに似ることからアメリカヤマボウシともいう。2012.10


 詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年10月)


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2021年9月14日 (火)

9月中旬、少し早めにヒガンバナやキンモクセイが満開



 9月中旬になってパラリンピックが終わる頃にコロナの感染者数に減少傾向が見られるようになり、やれやれといったところです。天気のほうも暑くなく寒くなく秋の季節に入った実感があります。久しぶりに小石川植物園を回って来ましたが、例年よりも少し早めにヒガンバナやキンモクセイの花々が満開になっていました。

(樹木の花)


 ヒガンバナ(彼岸花;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)はちょうど秋の彼岸の頃に満開になり、昔から墓地に植えられ、故人を弔っているような感じがします。ヒガンバナは曼珠沙華の別名がありますが、サンスクリット語からきたもので天界に咲く美しい花という意味です。


 ヒガンバナは大部分が赤花ですが、白い花も希に咲いています。全草有毒で、特に鱗茎にアルカロイドを多く含む球根植物です。


 日本庭園の旧東京医学校の赤い建物の前の池のほとりで、珍しい八重咲サルスベリ(ミソハギ科サルスベリ属))の花が咲いています。通常のサルスベリの遺伝子変異体です。



 中国南部原産の常緑小高木キンモクセイ(金木犀;モクセイ科モクセイ属)の大樹が日本庭園の一角に生えています。例年10月頃に満開になりますが、今年は早くもこの時期に橙黄色の花が盛んに咲いていました。秋の代表的な芳香花木で、マスクを外すと甘くいい香りが漂っていました。




 中国原産の落葉高木のフクロミモクゲンジ(袋実木欒子; ムクロジ科モクゲンジ属)。細かい黄色の花が盛んに咲いています。


 海外では golden rain tree と呼ばれていますが、まさにその通りに木の下の歩道の地面は黄金色のオガクズを敷き詰めたようになります。

(秋の野の花)

 ムラサキシロガネヨシ(イネ科コルタデリア属)の花穂がたなびいていました。真白なシロガネヨシの仲間で紫色がかっています。


 中国に自生する多年草ホソバオケラ(細葉朮;キク科オケラ属)。根茎は蒼朮という生薬に用いられる。


 つる性多年草クズ(葛;マメ科マメ亜科クズ属)。赤紫色の花を見かけました。根からは葛澱粉が採れ、この根は葛根(かっこん)と呼ばれ、漢方薬として使われます。秋の七草の一つ。


 インド原産の多年草ウコン(鬱金;ショウガ科ウコン属)。白い花が大きい葉の根元に咲いています。ウコンは黄色の色素をもち、カレー粉やタクアンの色づけに用いられます。また、肝機能増進、癌予防などの薬効があり、生薬(鬱金)として用いられる。


 ミズヒキ(水引;タデ科イヌタデ属)。全国各地の日当たりのよい林床や林縁、路傍等に生育する多年草。ミズヒキの和名は、紅白に見える花序が水引に似ていることに由来。

(秋の実り)


 フシノハアワブキ(節の葉泡吹;アワブキ科アワブキ属)。山口県、対馬、奄美諸島、沖縄に分布する落葉または半常緑の高木。暗赤色に熟した球形の核果が沢山付いています。 琉球泡吹の別名あり。


 山野に分布する落葉低木コムラサキ(小紫;シソ科ムラサキシキブ属)。紫色の小粒の実が付きます。


 中国原産の常緑高木ガビハナミズキ(峨眉花水木;ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属)。集合果で球形の赤い果実が付いています。


 常緑つる性木本のサネカズラ (実葛;マツブサ科サネカズラ属)。液果が球形に集まった集合果が付いています。


 詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年9月)

 

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2021年9月 1日 (水)

9月に入って秋の気配が漂う

 9月に入って夏の猛暑が落ち着き、秋の気配が漂うようになってきました。一方、コロナウィルスの感染が日本中に広がっていて、なかなか終息の見通しが立ちません。これから私たちがコロナに対してどのように向き合い、どのように社会活動を維持していくべきか新たなビジョンの構築が必要かと思われます。

〔9月の風景〕
 さて、小石川植物園を散策すると、四季折々の季節感あふれる風景、植物を楽しむことができます。これらの写真を四季の植物としてアップしています。

 9月の風景については
  ●9月セレクション  ●9月の Photo Gallery
としてまとめています。

(小石川植物園の9月の風景の例)

 秋の彼岸の時期に、植物園内の随所で燃える炎のようなヒガンバナ(彼岸花;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)が満開になって咲き出します。ヒガンバナには曼珠沙華(赤い花をあらわす梵語)の別名があります。昔から墓地に植えられ、本当に故人を弔っているような感じがします。2008.9


 秋の七草は、野を眺めて風情を楽しむ秋の野の花です。植物園内でも夏から秋かけて秋の七草を愛でることができます。これは秋の七草の一つのフジバカマ(藤袴;キク科ヒヨドリバナ属)。花色が藤の花に似ていることから「藤袴」の名が付いたとのこと。本州~九州に分布する多年草でうっかり道ばたの雑草として見逃してしまいそうです。2008.9


 秋の野にひっそりと咲くいろんな野菊の花を見かけるようになります。菊まつりなどに展示される観賞用の和菊、洋菊などと異なり、豊かな秋の風情があります。左は、野菊のハコネギク(箱根菊;キク科シオン属)。箱根駒ヶ岳の山頂で見られることから、和名が由来。箱根を中心に富士火山帯の山地に多く分布します。2012.9


 9月に咲く樹木の花です。これは、秋口に細かい花を盛んに付ける落葉高木のフクロミモクゲンジ(袋実木欒子; ムクロジ科モクゲンジ属)。木の下の地面は黄金色のオガクズを敷き詰めたようになる。まさに、英名の golden rain tree そのものです。晩秋に真丸の種子が入った袋果が付く。中国原産の落葉高木。2014.9


 赤白色が交じったアオイ科フヨウ属の落葉低木スイフヨウ(酔芙蓉)の花です。一日花で、はじめは白色、のちに赤色に変わってしぼみます。「酔う芙蓉」ということから、この風流な名がついています。日本や中国、台湾などに自生するフヨウの園芸種。2005.9


 樹木に木の実を多く見かけるようになります。台湾に多く自生する落葉低木のニイタカガマズミ(レンプクソウ科ガマズミ属)にも赤い実が付いていました。ニイタカ山は台湾の最高峰です。2014.9

(各地の9月の風景)
 小石川植物園以外の9月の風景は以下の通り。
  2019.9  おわら風の盆 
  2015.9 信州(白馬五竜、戸隠神社)
  2011.9 箱根湿生花園(秋の山野草)


  詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年9月)


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2021年8月22日 (日)

夏空が戻った小石川植物園の深緑の風景


 五輪閉幕後、日本上空に線状降水帯が発生し、各地に豪雨災害をもたらしました。さらに、コロナウィルスのデルタ株による感染が急拡大し、これも災害級の事態と喧伝されており、大変な8月となっています。
 さて、8月下旬になってようやく夏空が戻り、久しぶりに深緑に覆われた小石川植物園を回ってきました。



 久しぶり訪れた植物園は全体的に深緑に覆われていました(上は桜並木、下は巨木並木の風景)。早くも桜の木の下では落葉がチラホラと見えるようになっています。深緑の中にいろんな木々の花や野の花が咲いていました。



 日本庭園の池の周りにサルスベリ(百日紅;ミソハギ科サルスベリ属)の真紅や薄紫色の花が咲いています。サルスベリは花期が長く、炎暑下の強い日差しの中で咲き続けます。


 北海道~沖縄に分布する落葉小高木のクサギ(臭木;シソ科クサギ属)。この時期に咲く5弁の白い花を初めて見かけました。


 クサギは秋になると、ピンク色の星形のガクの中心に紺色の種子が付くようになり、一見するとこれが花のように見えます(2019.10)。クサギの和名は葉に悪臭があることから由来。


  日当たりの良い草地に生える多年草オミナエシ(女郎花;スイカズラ科オミナエシ属)。直立した茎の先にあざやかな黄色の花が群生して咲いています。秋の七草の一つ。


 ワレモコウ(吾亦紅;バラ科ワレモコウ属)。秋の高原の風物詩の多年草で、北海道~九州の日当たりのよい草原に見られる。花は穂の先端から咲き始め、独特の暗赤色の丸く短い花穂を付けます。


 タヌキノカミソリ(狸の剃刀;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)。中国原産の球根植物。同属のヒガンバナナツズイセンキツネノカミソリと同様、春に葉が出て夏には枯れ、その後花茎だけが直立するようになり、花茎の先に薄い桃色の花をつける。 花の形はキツネノカミソリとよく似るが、花の色が異なる。


 これはキツネノカミソリ(狐の剃刀;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)。林床や林縁などに自生する球根植物。タヌキノカミソリの近くに生えています。タヌキ……とかキツネ……とか面白い名前が登場しますが、深い理由がある訳ではなく、単に区別用に使われているようです。


 シナノアキギリ(信濃秋桐;シソ科アキギリ属)。長野県松原湖周辺と群馬県の一部でのみ自生する多年草。絶滅危惧Ⅱ類に指定されている。種の保全を図るため、小石川植物園が長野県の協力を得て移植したもの。


 木の実もボチボチ見かけるようになりました。これはボダイジュ(菩提樹;アオイ科シナノキ属)。中国原産の落葉高木。この実は菩提子といい、数珠をつくります。


 関東~沖縄に自生する落葉小高木マルバチシャノキ(丸葉萵苣の木;ムラサキ科チシャノキ属)。多くの黄色の実が塊状になって付いています。


 中国原産の落葉高木エンジュ(槐;マメ科マメ亜科エンジュ属)。ササゲのような細長い果実が多数枝先から垂れ下がっています。


 わが家のテラスから見た小石川植物園の風景です。ようやく晴れ上がった夏空が見られるようになりました。



 わが家の庭ではサルスベリ(百日紅;ミソハギ科サルスベリ属:上)の花やハイビスカス(アオイ科フヨウ属:下)の花が色鮮やかに咲いています。


 詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年8月)

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2021年8月 1日 (日)

本土から遠く離れ、独自の生態系をもつ小笠原の植物


 先月の沖縄特集に続き、今月は独自の生態系をもつ小笠原特集です。本土から遠く離れた父島、母島などの小笠原諸島はまだ訪れたことがありませんので、今回は主に小石川植物園の温室内の小笠原の植物をまとめてみました。


 小笠原諸島の島々は海底火山の隆起により形成されたもので、日本本土や大陸と一度も繋がったことがない海洋島です。このため独特の生態系となっていて、多くの固有種の植物が存在し、植物では自生種の約5割が固有種とされています。都内では、小石川植物園や神代植物公園、新宿御苑、夢の島熱帯植物館などの温室にて保存・生育されている小笠原の植物に出会うことができます。


 小笠原諸島を代表する固有植物の常緑小高木ワダンノキ(海菜木;キク科ワダンノキ属)。東アジア産のキク科の木本としては最も大きく生長し、樹高3~5mに達する。小笠原諸島は競合する木本植物が少ない海洋島であることから本来の草本植物が木本化したものとのこと。絶滅危惧Ⅱ類 。2021.3


 小笠原固有の常緑低木オガサワラクチナシ(小笠原梔子;アカネ科クチナシ属)。山頂付近から山腹にかけて広く分布する。4月~5月頃、枝先に白い6弁の大きい花が咲き、いい香りがします。光沢のある厚い葉が対生する。同属のクチナシに全体的によく似るが、やや小ぶり。絶滅危惧Ⅱ類。2021.3末


 小笠原固有種の常緑低木シマザクラ(島桜;アカネ科シマザクラ属)。島の道路沿いや林の縁、岩場などに生える。花期は7月~10月頃で普通の桜の花とは全然似ていない。枝先に集散花序がつき、うっすらと紫色を帯びた多くの白い花が咲く。花の裂片、雄しべ、雌しべともにひも状に伸びています。絶滅危惧Ⅱ類。2019.11


 イオウノボタン(硫黄野牡丹;ノボタン科ノボタン属)。小笠原諸島北硫黄島の固有種でノボタンの変種。6月~8月頃に薄い赤紫色の5弁の花をつける。花弁の先の部分は外側に反り返り、長い雄しべや雌しべがくっきりと見える。イオウジマノボタン(硫黄島野牡丹)の別名あり。常緑低木。絶滅危惧Ⅱ類。2021.4


 小笠原固有種のムニンネズミモチ(無人鼠黐;モクセイ科イボタノキ属)。各島の海岸に近い岩場から山の中まで広く生える。3月~4月頃に円錐花序を形成し、白色の多くの小花が密集して咲きます。全縁の葉は対生し、厚みがある葉の表面は光沢がある。2021.4


 小笠原固有植物の多年生草本オオハマギキョウ(キキョウ科ミゾカクシ属)。草本ながら見かけは木本のような太い茎がある。花期は6月~7月で、5枚の花弁が合わさって下向きに付く。発芽してから数年間は成長を続け、花を咲かせて実を付けると枯れていく1回繁殖型の植物サイクルをもつ。絶滅危惧ⅡB類。2021.3


 小笠原固有の多年草ツルワダン(蔓海菜;キク科ニガナ属)。海岸の崖や砂地、草地に生える。ロゼットの根元から匍匐するつる状の茎が伸び、新たなロゼットを形成する。細長い葉が輪生し、花茎の先に黄色の花を付けた頭状花序をなす。絶滅危惧Ⅱ類。2021.3末


 小笠原固有種のシマカコソウ(島夏枯草;シソ科キランソウ属)。父島、母島、妹島に分布し、日当たりのよい湿った岩場に生育する多年草。全草一面に短毛が生え、葉の先端は丸みを帯び、波形の鋸歯がある。夏に一時枯れて、11月頃に芽を出す。絶滅危惧IA類。2019.11


 ムニンタイトゴメ(無人大唐米;ベンケイソウ科キリンソウ属)。花期は12月~3月で、小さな黄色の5弁花を咲かせる。米粒のような葉が付く。小笠原諸島の固有種。環境の厳しい山頂部の岩場に生える多年草。絶滅危惧IB類。2021.1


 小笠原の聟島列島の固有種の多年草ムコジママンネングサ(聟島万年草;ベンケイソウ科キリンソウ属)。最近まで小笠原固有種のムニンタントゴメと同一と思われていたが、DNA検査により新種であることが判明した。2021.4

 これ以外にも、小石川植物園などで色々な小笠原の植物に出会うことができます。詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年8月 小笠原の植物)



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猛暑下の8月、熱戦の東京五輪とコロナ禍の不安



 猛暑下の8月です。先月下旬から始まった東京五輪では、連日熱戦が繰り広げられています。早くも日本チームの金メダル獲得数が過去最高とのこと。やはり、若い選手たちの活躍は素晴らしいですね。コロナ禍の不安が広がる私たちに勇気と希望を与えてくれます。大会の無事終了と早期のコロナ終息を祈っています。

〔8月の風景〕
 さて、小石川植物園の四季折々の季節感あふれる風景、植物の写真を中心に四季の植物としてアップしています。この中で季節の花々、深緑の夏木立などの数多くの8月の風景を楽しむことができます。
 ●8月セレクション  ●8月の Photo Gallery

(小石川植物園の8月の風景の例)

 小石川植物園の日本庭園の一隅に建つ旧東京医学校の赤い建物の前にサルスベリの花が咲いています。2010.8


 サルスベリ(百日紅;ミソハギ科サルスベリ属)は炎天下で長く咲き続ける代表的な夏の花木です。2010.8


 北米原産の多年草キクイモ(菊芋;キク科ヒマワリ属)の鮮やかな黄色の花。地中に塊茎ができ、菊の花と似ていることから和名が由来。2012.8


 深緑に覆われた巨木のユリノキ(モクレン科ユリノキ属)の夏木立。2012.8


(過去の8月の月別スケッチ)
 また、過去の8月の風景(月別の季節のスケッチ)は以下の通りです。
   2020.8
   2019.8    8月植物園 塩原ゆりパーク
   2018.8    南東北
   2017.8+山形
   2016.8+山形
   2015.8
   2014.8+山形
   2013.8+会津
   2012.8+山形  蓼科・霧ヶ峰


 詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年8月)

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2021年7月16日 (金)

東京五輪開幕を前に梅雨明け、夏空が広がる


 東京は長かった梅雨がようやく開け、目の前の小石川植物園の上空には待ち遠しかった夏空が広がりました。一方、東京五輪の開幕が迫っていますが、コロナの感染拡大が続いていることから、一向に盛り上がりません。ワクチン接種を進め、国民の不安感を払拭することが早急に求められます。


 わが家のテラスからの眺望です。ようやく梅雨が明け、南側の小石川植物園の上空には夏雲と青空が広がってきました。


 東側の夏空の中に東京スカイツリーの姿が見えます。


 日没後の景色です。空があかね色に染まっています。


 夜になると、ヒマラヤスギの上空に半月が見えます。


 最後に、わが家の花壇の様子です。季節感を添えようと、ヒマワリの花も加えておきました。


 詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年7月)

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2021年7月 1日 (木)

懐かしい沖縄の樹木・花々


 相変わらず梅雨空が続き、夏空が待ち遠しいこの頃ですが、夏空といえば、やはり南国沖縄を思い浮かべます。かつて昭和から平成へ元号が代わる時期、沖縄に約2年間赴任していたことがあり、沖縄と聞くと懐かしさがこみ上げてきます。当時はデジカメやPCが普及してなかったので、沖縄の風景写真を殆ど撮ってなかったことが悔やまれます。

 しかし、その後小石川植物園をはじめ、新宿御苑、神代植物公園などの都内の植物園をめぐって、懐かしい沖縄の樹木、花々を見かけるようになり、その都度写真を撮っては楽しんでいます。さらに沖縄出張時の写真も加えて、沖縄の樹木、花々を取りまとめてみました。


カンヒザクラ(寒緋桜)

 沖縄に自生するカンヒザクラ(寒緋桜;バラ科サクラ属サクラ亜属カンヒザクラ群)。日本のサクラの基本野生種の一つ。満開になった濃い紅色の鐘状の花が強烈な印象を与える。カンヒザクラを片親とする多くの栽培品種が作り出されている。2017.3@小石川植物園

 沖縄でサクラといえばこのカンヒザクラのことをいい、新年早々から咲き始めます。本部町、名護市などの地域で多く見られ、花見客で賑わいます。


トックリキワタ(南洋ザクラ)

 南米原産の落葉高木トックリキワタ(アオイ科セイバ属)。沖縄にはボリビア移住地から1964年に琉球政府農業技術者の天野鉄夫氏によって種子が持ち込まれた。10月~12月にかけて鮮やかなピンク色の花が咲き、自動車道沿いや街道沿いなどに立ち並ぶトックリキワタの高木は壮観な眺めとなる。南洋ザクラとも呼ばれ、観賞用花木として親しまれている。2016.10@神代植物公園


ブーゲンビリア(Bougainvillea)

 沖縄の青空によく似合うブーゲンビリア(Bougainvillea;オシロイバナ科ブーゲンビリア属)。赤色、赤紫色などの鮮やかな原色の花を付けるが、この部分は葉が変形した苞。その中心部に白色の小さな筒状の花が咲く。育てやすく色彩が鮮やかなことから庭木によく用いられる。2008.10@沖縄宜野湾海浜公園


ブッソウゲ(アカバナー)

 常緑小低木ブッソウゲ(扶桑花;アオイ科フヨウ属)。長い柄をもつ赤い大きな5弁の花が開き、管状に癒合した雄しべと雌しべとが突き出す。沖縄ではアカバナーとも呼ばれる。観賞用に温室で栽培されるが、夏季は戸外でもよく育つ。わが国では、フヨウ属の中で南国のイメージをもつ熱帯/亜熱帯性のいくつかの種がハイビスカスと呼ばれるが、本種はその代表的な植物。2013.1@新宿御苑


サキシマフヨウ(先島芙蓉)

 南西諸島(鹿児島県西部の島~沖縄)に分布する半落葉低木のサキシマフヨウ(先島芙蓉;アオイ科フヨウ属)。全体的に夏の代表的な花木のフヨウと似ているが、開花時期は遅れ、10月~11月頃に白色から淡紅色の花が咲く。庭園、公園などで用いられる。沖縄県先島地方(宮古島、八重山諸島)に多く自生しているため和名が付く。2021.6@小石川植物園


キョウチクトウ(夾竹桃)

 沖縄でよく見かける常緑低木キョウチクトウ(夾竹桃;キョウチクトウ科キョウチクトウ亜科キョウチクトウ属)。炎暑の夏を延々と咲き続ける夏の花木で赤花と白花がある。葉の形状が竹に似て狭く、花が桃に似ていることから和名が由来。乾燥や大気汚染に強いため、街路樹などに利用される。木枝に強い毒性を有するので要注意。生木を燃やした煙も有毒。2004.7@小石川植物園


デイゴ(梯梧)

 沖縄民謡などにも出てくる落葉高木デイゴ(梯梧;マメ科マメ亜科デイゴ属)。沖縄が北限の南国に生息し、わが国では沖縄以外には奄美群島、小笠原諸島に自生する。いかにも南国のイメージに合う原色の燃えるような真赤な色の花が枝先に咲く。沖縄では県花として親しまれている。公園や街路樹などによく用いられている。また、材が柔らかく加工しやすいため、漆器の材料に利用される。2021.2@小石川植物園


コバノセンナ

 コバノセンナ(マメ科ジャケツイバラ亜科センナ属)。鹿児島県南部、奄美、沖縄に分布する耐寒性常緑低木。10月~12月頃、枝先に多くの鮮やかな黄色の花がまとまって咲き、青空とのコントラストが美しい。小さな丸い葉が互生する。同属のハブソウエビスグサと花が似る。沖縄では公園等でよく見かけます。2008.10@沖縄宜野湾海浜公園


ソシンカ(蘇芯花)

 落葉高木ソシンカ(蘇芯花;マメ科ジャケツイバラ亜科ハカマカズラ属)。わが国では奄美大島、沖縄で広く栽培されている。3月~4月に赤紫色の5弁の大きな花が咲く。沖縄では街路樹や公園木に用いられる。2021.3@小石川植物園


サンタンカ(山丹花、三段花)

 常緑低木サンタンカ(山丹花;アカネ科サンタンカ属)。沖縄と九州の一部で野生化している。茎の先に美しい紅色の集散花序がつき、多くの小さな花が咲く。沖縄ではディゴ、オオゴチョウとともに沖縄の三大名花とされる。サンダンカ(三段花)とも呼ばれ、公園木や庭木などによく用いられる。2019.11@小石川植物園


ギョクシンカ(玉心花)

 九州南部から沖縄に分布する常緑低木ギョクシンカ(玉心花;アカネ科 ギョクシンカ属)。山地の林内に生息する。散房形の花序に、ひらひらした形状の花弁をもつ純白の花がつき、近づくとほのかにいい香りがする。葉に共生する葉粒バクテリアにより菌粒を作り、空気中の窒素を固定する。2021.4@小石川植物園


コウシュンカズラ(恒春葛)

 沖縄、台湾、東南アジアなどに分布するつる性常緑低木コウシュンカズラ(恒春葛;キントラノオ科コウシュンカズラ属)。枝先に総状花序を出し、黄色の5弁花が密に咲く。マングローブ林や海岸に生える。丈夫に育つので沖縄では生け垣にも用いられる。準絶滅危惧種(NT) 。2020.9@小石川植物園


ノボタン(野牡丹)

 沖縄に生える常緑高木ノボタン(野牡丹;ノボタン科ノボタン属)。枝先に赤紫色の5弁の大きな花を咲かせる。花の中で黄色の雄しべがよく見える。 ノボタン科の植物は主に熱帯・亜熱帯地方に分布するが、日本ではノボタンを含む4属7種が南西諸島や小笠原諸島などに分布する。 2021.4@小石川植物園


シマサルスベリ(島百日紅)

 沖縄、奄美諸島などの亜熱帯地方に分布する落葉高木シマサルスベリ(島百日紅;ミソハギ科サルスベリ属)。初夏に白い滑らかな木肌の幹の上方に若葉が生い茂る。夏には高木の木頂付近に白い花が咲く。サルスベリの花と比べると質素な感じです。晩秋の紅葉は美しい。2019.9@小石川植物園


イヌビワの仲間

 奄美大島~沖縄地方に広く分布するハマイヌビワ(浜犬枇杷;クワ科イチジク属)。沖縄では海岸近くの石灰岩地に多く見られる。雌雄異株の常緑中高木。ハマイヌビワは、本州のホソバイヌビワなどと似ているが、左右非対称(主脈の部分で折り返すと左右が重ならない)の葉の形状が特徴的。5月頃に球形の花嚢が葉腋から直につき、秋に熟す。花嚢の中に外から見えない花が咲き、授粉を媒介する寄生蜂との共生関係を有する。2021.4@小石川植物園

 ハマイヌビワ以外にも、アカメイヌビワオオバイヌビワホソバムクイヌビワなどの多くのイヌビワの仲間が沖縄に生育する。


ガジュマル(榕樹)

 主に南西諸島(沖縄、奄美大島など)に分布する常緑高木ガジュマル(榕樹;クワ科イチジク属)。幹や枝から垂れ下がる気根が複雑に絡み合って独特の樹形をなす。雌雄同株で、5月~8月頃に葉腋につく球形の花嚢の中に、他のイチジク属の仲間と同じように外から見えない花を咲かせ、授粉を媒介する寄生蜂と共生関係を有する。厚く小さな葉にはつやがある。2021.4@小石川植物園


 沖縄コンベンションセンターの緑地に生えるガジュマルの木。沖縄では精霊キジムナーが宿る木として神聖視されてきた。ガジュマルの大木を裂けるように道路が曲がっている光景も目にする。2011.6@沖縄コンベンションセンター


コバテイシ(モモタマナ)

 沖縄各島と小笠原に分布する半落葉高木コバテイシ(モモタマナ;シクンシ科モモタマナ属)。花期は5月~7月で穂状花序が葉腋につく。樹木の上方が横に広がり、葉が大きい。沖縄では貴重な木陰を提供し、街路樹、緑陰樹として多用される。果実は食用にもなる。2011.6@沖縄コンベンションセンター


リュウキュウアセビ(琉球馬酔木)

 沖縄に分布する常緑低木リュウキュウアセビ(琉球馬酔木;ツツジ科アセビ属)。沖縄本島固有種で古世層地帯の日当りの良い川辺に生える。開花時期は2月~3月。葉や花は同属のアセビよりも厚みと光沢がある。乱獲で個体数が減少し、絶滅危惧IA類(CR)に登録されている。 2021.3@小石川植物園


セイシカ(聖紫花、八重山聖紫花)

 沖縄の八重山地方(石垣島や西表島)に自生する常緑小高木セイシカ(聖紫花;ツツジ科ツツジ属セイシカ亜属)。八重山聖紫花ともいう。川沿いの林内や林縁の岩上に生育する。神秘的な語感の和名は、山奥の渓流沿いという秘境に咲く花のイメージに似合う。2008.5@小石川植物園


センカクツツジ(尖閣躑躅)

 わが国の尖閣諸島魚釣島の固有種で山頂付近の岩地に生育するセンカクツツジ(尖閣躑躅;ツツジ亜属ツツジ節サツキ列)。3月~4月頃に赤紫色の花が咲き、葉の両面に白い毛が付く。ただ、同島に生息するヤギの食害により絶滅が危惧されている(絶滅危惧IA類)。 2021.3@小石川植物園

 センカクツツジは戦後、琉球政府(沖縄返還前の統治機構)の数次の調査団により採取されたものです。この事実からも尖閣諸島がわが国の固有の領土であることは明らかです。


センカクオトギリ(尖閣弟切)

 日本固有種で沖縄県尖閣諸島の魚釣島のみに分布するセンカクオトギリ(尖閣弟切;オトギリソウ科オトギリソウ属)。断崖の風衝地に生育する常緑低木。1970~1971年の琉球大学の学術調査により、魚釣島の山頂付近で発見された。夏に咲く雄しべが長い5弁の黄色の花は、他のオトギリソウ属の植物の花によく似る。園芸用の採取やヤギによる食害等により自生地及び個体数が減らしている。絶滅危惧IA類。2021.4@小石川植物園


ハナコミカンボク(花小蜜柑木)

 ハナコミカンボク(花小蜜柑木;コミカンソウ科コミカンソウ属)。わが国では沖縄中部の万座毛近辺のみに見られ、海岸の石灰岩の岩場に生える落葉小低木。自生地は「万座毛石灰岩植物群落」として沖縄県指定天然記念物となっています。幹のつけ根の部分からよく分枝し、小枝に多数の楕円形の葉が互生する。開花時期は周年で、葉の葉腋からごく小さな紅紫色の6弁の花が下垂する。絶滅危惧IB類(EN)に登録されている。2021.3@小石川植物園


ソテツ(蘇鉄)

 裸子植物の常緑低木ソテツ(蘇鉄;ソテツ科ソテツ属)。日本固有種で、九州南部~南西諸島に分布。海岸近くの岩場に生育する。茎の先端に丸くドーム状に膨らんだ雄花を付けています。2016.7@小石川植物園


 ソテツの木の根元に赤色の実が付いています。この赤い実には多量のでんぷんと同時に有毒物質を含むので、十分に毒抜きすれば食用になる。原産地の沖縄や奄美諸島では、かつて食料がないときの非常食として食べられていた。2010.12@小石川植物園


アダン(阿檀)

 南西諸島、大東諸島に分布する常緑小高木アダン(阿檀;タコノキ科タコノキ属)。海岸近くに生育し、密集した群落を作る。夏季に花序をつくり、その後パイナップルと同様の集合果の果実ができる。実は繊維分が多いため、食用には向かない。葉はパナマ帽等の細工物としたり、筵やカゴを編む素材として利用される。2008.10@沖縄宜野湾海浜公園


ショウキズイセン(鍾馗水仙)

 黄色の花を付けたショウキズイセン(鍾馗水仙)。形状はヒガンバナとそっくりで、黄花彼岸花とも言われる。ヒガンバナより遅れて10月頃に咲き出します。中国からの帰化植物。九州、四国、沖縄などで自生。ヒガンバナ科ヒガンバナ属の球根植物。2016.10@小石川植物園


マツムラソウ(松村草)

 沖縄県の西表島と石垣島に分布する常緑多年草マツムラソウ(松村草;イワタバコ科マツムラソウ属)。湿った崖面に生育する。花期は7月~10月頃で茎先に長い総状花序を形成し、漏斗形の黄色の花が多数並んで咲く。対生する葉は大きめで鋸歯がある。1属1種。現在、採集などにより自生する個体数が減少している(絶滅危惧IA類)。2021.4@小石川植物園


ナガエササガニユリ(スパイダーリリー)

 沖縄の公園でよく見られる多年草ナガエササガニユリ(ヒガンバナ科ヒメノカリス属)。6月~8月に白い花を咲かせる。細長い6枚の花弁は放射状に伸びる。花の姿がクモが脚を広げたようにも見えるユニークな形状をしていて、スパイダーリリーとも呼ばれる。葉はつやがある緑色で、細長い剣のような形をしている。球根植物。2011.6@沖縄コンベンションセンター


 上記以外に、アコウ(赤榕)、サキシマツツジ(先島躑躅)、ショウジョウボク(猩々木)、テンニンカ(天人花)、タイワンハマオモト(台湾浜万年青)、テッポウユリ(鉄砲百合)、ショウジョウソウ(猩々草)などの沖縄に生える植物も小石川植物園などで観賞できます。


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2021年6月26日 (土)

6月下旬、梅雨の合間の小石川植物園


 今年の東京の梅雨入りは平年より一週間遅れの6月14日で、以降じめじめした天気が続いています。また、依然としてコロナ禍がスッキリ収まらず、連日の「感染拡大のおそれ」の報道にはいささか食傷気味です。さらに、海外から大勢の人が押し寄せる五輪開催が決まり、国民の安全・安心が本当に確保されるかが心配です。これらのことが相まって社会全体に不透明な空気を醸し出しているような気がします。


 さて、梅雨の合間の小石川植物園散策です。早い時間帯を選んでいるので人出はパラパラで、ゆったりと回ることができます。園内は相変わらず落ち着いた緑の世界が続いています。



 梅雨空に似合うアジサイ(紫陽花;アジサイ科アジサイ属:写真上)の花が咲き残っていますが、林の中では早々と夏の花木のムクゲ(木槿;アオイ科フヨウ属:写真下)の花を見かけました。


(緑の樹木)


 この時期の樹木は緑葉に覆われていて、その中に目立たない地味な感じの花を多く見かけます。これは、タイワンニンジンボク(台湾人参木;シソ科ハマゴウ属)。台湾、中国などに広く分布する落葉低木。青紫色の小さな花が見えます。


 ニガキ(苦木;ニガキ科ニガキ属)。北海道~九州、沖縄に分布し、山野の林内に生える落葉高木。小さい黄緑色の花を多数つけています。植物の全体に強い苦みがあり、生薬の苦木になる。



 ヘラノキ(箆の木;アオイ科シナノキ属)。日本固有種で本州(紀伊半島、中国地方)、四国、九州に分布し、山地に生える。淡黄色の花が咲いています。集散花序の基部からはヘラ形の総苞葉が出る。秋には美しい黄葉が見られ、庭木に用いられる。



 シャシャンボ(小小坊;ツツジ科スノキ属)の花。本州西部~九州に分布する常緑小高木。多くの白色の壺状の花が咲いています。秋に熟す果実は小さい球形の液果で食べることができる。同属のブルーベリー類と同じようにアントシアニンを多く含む。



 ヒメグルミ(姫胡桃;クルミ科クルミ属)。わが国の山地に自生する落葉高木。緑葉の中に青い実がまとまって付いています。オニグルミの変種で本州中部以北でよく植栽されている。堅果の内部の種(クルミ)は風味豊かで食用になります。


 メンデルのブドウの木(Mendel'sgrapevine)。遺伝学の基礎を築いたメンデルが実験に用いた由緒あるブドウの分株がブドウ棚に這うように植えられています。棚の中をよく見てみると、小さな花が付いていました。花の後、徐々に実がつき、秋には小さい果実がなる。


(季節の花、草本)


 ヤブカンゾウ(藪萱草;ススキノキ科キスゲ亜科ワスレグサ属)。園内の林地や池辺などに群生して咲いています。ヤブカンゾウは八重咲きで濃いオレンジ色が特徴で、周りの緑色とよく調和しています。


 ベニバナ(紅花;キク科ベニバナ属)。薬草保存園でオレンジ色の花が咲いていました。ベニバナは山形県の県花で、古くから口紅の原料として盛んに栽培され、江戸に運ばれていました。今では、紅色染料や食用油の原料として、さらには観光用に栽培されています。


 スズカケソウ(鈴懸草;オオバコ科クガイソウ属)。徳島県、岐阜県、鳥取県に分布し、林の中に生える多年草。園芸植物として江戸時代から知られていたが、自生地が長年わからなかったとのこと。濃紫色の花が茎に連なって咲いています。花のつき方が山伏の衣装の鈴懸に似ていることから和名が由来。絶滅危惧IA類。


 詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年6月)

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