
連休の合間に西蔵王高原に造られた山形野草園を訪ねてきました。北国のこの時季はちょうど新緑が美しい頃です。園内をゆっくりと散策し、世界で一本しかないというミヤマカスミザクラや今が見頃のアズマシャクナゲ、林間に咲き広がるシラネアオイ、サクラソウなどを楽しんできました。

山形野草園は、西蔵王高原の中に「自然との共生」を図ることをねらいとして1993年に開園され、野草、樹木あわせて約1,000種類のさまざまな植物があり、四季折々の野草が群生しています。山形市の市政施行100周年の記念事業の一環として整備されたものです。この日はちょうど新緑が美しい時季で、暑くもなく寒くもなく絶好の散策日和でした。

園内にはいろんな植物が生えていて、花を咲かせていました。これはミヤマザクラとカスミザクラが自然交配した新種のサクラで、世界に1本だけの貴重なサクラとのこと。ミヤマカスミザクラと命名されています。花期は過ぎていたものの、花が少しだけ咲き残っていました。

日本固有種の一属一種の植物で中部地方以北の多雪地に生える多年草のシラネアオイ(キンポウゲ科シラネアオイ属)の群生が見られました。新緑の林の中で、薄紫色の花がしっくりと落ち着いた感じで咲き広がっていました。日光の白根山に多く生え、花がタチアオイに似ていることが和名の由来。

山地の湿り気の多い所に生える多年草のサクラソウ(サクラソウ科サクラソウ属)も、シラネアオイの近くで群生していました。サクラソウは地中に根茎があり、高さ15~40cmの花茎を直立させ、5~10個の清楚な美しい花をつけます。花が美しいのでよく栽培され園芸品種も多く流通しています。

地下茎で繁殖する多年草のクマガイソウ(ラン科アツモリソウ属)が林地で群生していました。袋状の花が源氏の武将熊谷次郎直実が背負った母衣に似ていることから和名が由来。

トウゴクマムシグサ(サトイモ科)を見かけました。花のように見えるのは仏炎苞です。
ウラシマソウや
ミズバショウ、
ザゼンソウも同じサトイモ科の仲間。

薄紅色や白色の数多くのアズマシャクナゲ(東石楠花;ツツジ科ツツジ属シャクナゲ亜属)の花が満開になって咲き競っていました。アズマシャクナゲは東北地方(宮城県、山形県以南)、関東地方、中部地方(南部)に分布し、亜高山帯の林内、稜線上などに自生します。

アズマシャクナゲの周辺の木々にはウワミズザクラ(上溝桜;バラ科サクラ属)の白い花が咲いていました。北海道、本州に自生するウワミズザクラは普通のサクラの花とは違い、ブラシのような白い花序に小さな花が凝集しています。

ミズバショウとザゼンソウの群生するミズバショウの谷ですが、この時期はもう両者とも花が咲き終わっていて、青々とした大きな葉だけが繁茂していました。

ミズバショウの谷では、山地の湿地や沼に生える一属一種の多年草のミツガシワ(ミツガシワ科ミツガシワ属)の白い花が群生していました。葉は複葉で3小葉からなります。寒冷地に分布し、氷河期の生き残りと考えられています。

リュウキンカ(立金花;キンポウゲ科リュウキンカ属)の花もミズバショウの谷で見かけました。本州、九州に分布し、水辺や湿地などに生育します。茎が直立し、黄金色の花をつけます。

オキナグサ(翁草;キンポウゲ科オキナグサ属)も多く生育していました。山地の日当たりのよい草原や河川の堤防などに生育しますが、草地の開発が進んだことや山野草としても乱獲が進んだことから、各地で個体数が激減しているとのこと。オキナグサは花が終わると雌しべが羽毛状に伸び、
老人の白髪のようになります。

山地の草地に生える多年草のアマドコロ(甘野老;キジカクシ科アマドコロ属)も見かけました。茎に6本の稜があり、触ると角ばった感じがします。茎や根茎には甘みがあり、山菜として食用にされます。

山形野草園の出入口付近です。山野草祭りが催されていたこともあり、お年寄りのグループも多く見かけました。野草園には珍しい野の花が多く、これからもリピートしたいと思います。
上記以外にも、いろんな野草園の風景写真をアップしています。
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