小石川植物園

2023年6月18日 (日)

奥日光の大自然を満喫



 6/17-18の週末、奥日光湯元温泉の休暇村に宿泊して、奥日光の大自然を周遊してきました。梅雨の合間で晴れ上がった天気にも恵まれ、緑に囲まれた高原道路をゆったりとドライブして、久しぶりにリフレッシュできました。


 最初の目的地は奥日光の湯ノ湖です。東京からクルマで東北自動車道を北上、日光宇都宮道路に入り、清滝ICより国道120号で約25km進むと湯ノ湖が現れます。マス釣りの釣人で賑わっていました。今回の宿泊地は湯ノ湖の北岸湖畔に広がる日光湯元温泉です。


 湯元温泉、湯ノ湖周辺に緑の大自然に囲まれた散策路が整備されています。緑一面の中にオレンジ色のレンゲツツジ(蓮華躑躅;ツツジ属シャクナゲ亜属レンゲツツジ節)の花が風景のアクセントになっています。レンゲツツジは戦場ヶ原など、奥日光の各所で見かけます。


 湖畔の木々です。これは北海道~九州に分布し、山地から亜高山帯にかけて自生するミズナラ(水楢;ブナ科コナラ属)。葉は大きく波打つようなはっきりした鋸歯(輪郭のギザギザ)を有する。木材は柾目の模様が美しく、高級家具、建築材、洋酒樽などに利用されます。ミズナラ以外にもシラカバ、シウリザクラなどが生えています。


 珍しいベニサラサドウダン(紅更紗満天星;ツツジ科ドウダンツツジ属)の花も見かけました。ベニサラサドウダンは日本原産で東北地方~中部地方の高地に自生する落葉低木でサラサドウダンの変種です。5月~6月頃、葉腋から伸びる総状花序に深紅色の小さな鐘形の花が多数下向きにつきます。


 湯ノ湖から日光方面に少し戻ると、奥日光三名瀑の一つとされる竜頭の滝に着きます。前回の奥日光旅行の時に見逃していたので、今回こそはと訪れました。竜頭の滝は、湯ノ湖に端を発し戦場ヶ原を流れ下ってきた湯川の末流にかかる滝。急斜面の途中で二手に別れ、豪快に流れ下っています。この滝の姿を龍の頭に見立て、竜頭の名が付いたとされる。


 さらに日光方面に進むと、中禅寺湖と男体山が見えてきます。中禅寺湖は約2万年前に男体山の噴火でできた堰止湖で、今や観光地として人気を博しています。また、男体山は標高2,486mの火山で、日本百名山のひとつ。日光二荒山神社の境内地にある。


 次は華厳の滝です。中禅寺湖からの地表を流れる唯一の流出口の大谷川の最上流の一部。落差97mの滝一気に流れ落ちる姿は壮観です。この写真は華厳の滝展望台からのものですが、エレベータで滝壺まで下りることも出来ます。


 この後、長くくねったいろは坂を下って日光東照宮近くの日光植物園(小石川植物園の日光分園)に立ち寄ってきました。広大な園内には、日本の高山ならびに温帯から亜寒帯に生育する種をはじめ多くの植物が生育しています。この日は、珍しい山野草も数多く見かけました。


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  → 季節のスケッチ(2023年6月)

 

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2023年6月 3日 (土)

6月初旬の小石川植物園、落ち着いた緑の風景


 今年は台風2号の影響で前線の動きが活発になり、東京地方は6月早々に大雨に見舞われました。また、早めの梅雨入りも予想されています。この時期は、梅雨空の下で木々がしっとりとした緑に覆われるようになります。


 6月初旬に小石川植物園を回ってみると、落ち着いた緑の世界の中でハナショウブ、アジサイ、タイザンボク、ドクダミなどの季節の花々が静かに咲き出していました。


 メタセコイア林の近くに位置するヤナギ池。一面落ち着いた緑色に覆われています。画面左側に生えていたシダレヤナギ(枝垂柳)の高木が今年に入って伐採されてしまいました。スッキリした風景になりましたが、少し寂しくなりました。


 ハナショウブ(花菖蒲;アヤメ科アヤメ属)。全国各地の庭園、寺社などで栽培される多年草。植物園の菖蒲田でも、白、紫、黄、薄紅色の優雅な花が咲き乱れ、梅雨時のうっとうしさを忘れさせてくれます。


 別世界に来たかのような美しい空間を演出するハナショウブはノハナショウブ を原種とする園芸品種で、古典園芸植物の一つ。江戸時代に盛んにハナショウブの栽培が行われた。


 ガクアジサイ(額紫陽花;アジサイ科アジサイ属アジサイ亜節)。日本固有種で房総半島、伊豆半島、三浦半島などの海岸地に自生する落葉低木。梅雨空に似合い、しっとりと咲いています。花序を見ると、中心部の多数の両性花の周りに装飾花が額縁のように縁取る。アジサイ亜節の基本種。


 タイサンボク(泰山木;モクレン科モクレン属 Magnolia亜属)。高木の樹上に威風堂々の白い大きな花が上向きに咲いていました。花の中心部に黄色の雄しべが密生します。高所に神々しく咲く花は王者の風格があります。光沢ある常緑の緑葉と大輪の純白の花のコラボは見ごたえがあります。


 クリ(栗;ブナ科クリ属)。日本・朝鮮半島原産で北海道~九州、屋久島に分布する落葉高木。ブナ科植物は風媒花のものが多いが、クリは虫媒花。この時期、地味な感じの雄花が多数木枝に付いていました。秋に実が茶色に熟し、イガの中から栗とか栗の実といわれる堅い果実(堅果)が現れます。


 ユキノシタ(雪の下;ユキノシタ科ユキノシタ属)。本州から九州に分布し、湿った半日陰地の岩場などに自生する常緑多年草。園内のシダ園の入口の所に小さい華奢な花がたくさん咲いているのを見つけました。ユキノシタは名前のとおり、雪の積もった下でも耐え、日陰や湿地を好みます。


 ドクダミ(毒溜;ドクダミ科ドクダミ属)。道ばたや草むらの半日陰地に分布する多年草。ドクダミの白い花が園内随所に群生していました。十薬ともいわれるドクダミは、様々な薬効があり、腫れ物、皮膚病などに利用されます。葉茎に独特の強い匂いがあります。


 トウダイグサ(燈台草;トウダイグサ科トウダイグサ属)。本州以南に広く分布し、日当たりのよい荒地や畑などに自生する一年草(。苞葉の中に花を複数つけたユニークな形状の緑色の花序が先端部に形成されています。茎や葉を傷つけると有害な白い乳液を出す。種子にも有毒な成分を持つ。


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  → 季節のスケッチ(2023年6月)

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2023年5月 1日 (月)

若葉茂り風薫る5月、初夏の木々の花、野の花が咲き競う



 風薫る5月に入りました。木々の新緑は徐々に濃くなり、若葉が生い茂る万緑の世界が目前です。小石川植物園では、緑の世界の中で先月後半から咲き出したカラフルなツツジの花々や白く清楚なウツギの花などが咲き競います。また、クスノキやスダジイ、シラカシなどの常緑樹も木枝の中を覗いてみると地味な花々を盛んにつけています。また、アヤメ、カマヤマショウブ、イチハツなどの初夏の野の花も咲き出してきます。


(5月の風景)
  5月セレクション ツツジの花々

(フォトギャラリー)
  5月の風景 新緑の輝き 万緑・夏木立
  四季フォト(木立、風景)

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  → 季節のスケッチ(2023年5月)

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2023年4月24日 (月)

4月中旬の小石川植物園、美しい新緑が広がる



 4月中旬の小石川植物園を回ってきました。華やかだったソメイヨシノなどの桜の時季が過ぎ、園内は落ち着いた雰囲気の中で美しい新緑が広がっています。また、NHK朝ドラ「らんまん」の主人公牧野富太郎博士にちなんだ展示が見られます。


 この時季はなんと言っても新緑が美しい。これは北米原産の落葉高木アカガシワ(赤柏;ブナ科コナラ属)の新緑です。わが国には明治時代に渡来し、北海道を中心に街路樹や公園樹などに植栽されています。


 アカガシワ(赤柏)は、これから初夏に目立たない黄緑色の花が咲き、秋に堅果(ドングリ)がつきます。葉の形状が日本のカシワに似て、紅葉が美しいことから和名が由来。レッドオーク、アカナラ(赤楢)の別名あり。


 ノグルミ(野胡桃;クルミ科ノグルミ属)。東海以西の本州、九州、四国に分布し、日当たりの良い林縁に生える落葉高木。新緑のアト、6月~7月頃、新枝の先に目立たない穂状の花穂が直立してつきます。風媒花で風に乗せて花粉を運びます。後日、松かさに似た果実をつけますが、食用にならない。建築材、器具材として用いられる


 北米東部原産の落葉高木アメリカスズカケノキ(スズカケノキ科スズカケノキ属)。わが国へは明治時代に渡来し、巨木が多い。花期は4月~5月で球形の花序がぶら下がる。互生する広卵形で掌状の大きな葉は切れ込みが浅い。緑葉に覆われた夏木立や晩秋の褐色の紅葉の景観は迫力があります。


 ヒトツバタゴ(一つ葉タゴ;モクセイ科ヒトツバタゴ属)の樹木全体が白雪に覆われたようになっていました。ヒトツバタゴは対馬地方、木曽川流域、岐阜県東濃地方などに限定的に自生する落葉高木。春に新緑が木枝に芽生え、その後初夏に開花し、枝先に集散花序をつけ多数の花が咲く。晩秋には紅葉が見られる。


 中国、インド、ミャンマー等が原産の落葉高木で丘陵地~山地に自生するアルニフィラム・フォーチュネイ(エゴノキ科アルニフィラム属)が枝先の葉腋に円錐花序を形成し、多数の白い花が咲き出していました。普段周りに見かけない珍しい樹木で、小石川植物園では柴田記念館の近くなどに生えています。


 サクラソウ(桜草;サクラソウ科)の特別展示。古典園芸植物の代表格とされるサクラソウは、江戸近郊の荒川の原野に生える野生種から栽培、品種改良が広まったと言われています。小石川植物園ではサクラソウの古い品種が栽培・保存されています。


 これは野生種のサクラソウ(桜草)です。サクラソウは北海道~九州の高原や原野に分布する多年草で、林間の湿性地や原野の草地に生育します。地中に根茎があり、高さ15~40cmの花茎を直立させ、5~10個の清楚な美しい花をつけます。


 植物園の標本室に収蔵されているサクラソウ標本。牧野富太郎博士が1903年5月に採集したもの。この当時、サクラソウは関東近辺に多くの自生地が残っていたが、現在では準絶滅危惧種(NT) として保護の対象となっている。


 柴田記念館の入口では満開のヒラドツツジ(品種名:大紫)がお出迎え。館内にはNHK朝ドラ「らんまん」の主人公牧野富太郎博士の足跡などの特別展示がなされています。


 マルバオウセイ(丸葉黄精;キジカクシ科アマドコロ属)をはじめて見かけました。マルバオウセイは四国南西部、九州に分布し、海岸近くの広葉樹林下、林縁などに生える多年草。同属のアマドコロナルコユリとよく似るが、葉の形は丸みを帯びる。散房状に並んだ多数の小さな花が葉腋から垂下しています。


 シャガ(著莪、射干;アヤメ科アヤメ属)の花が一面に咲き広がっていました。シャガは中国四川省原産で谷沿いの陰地や竹林などに群生する常緑多年草。4月~5月、黄と青の幻想的な模様の入った白い花が次々に咲き出してきます。根茎が短く横に這い、群落を形成します。


 最後に小石川植物園以外の風景ですが、珍しいシャクナゲ(石楠花;シャクナゲ亜属シャクナゲ節)の街路樹を見つけました。場所は千代田区二七通りの五番町交差点付近。大きな赤い花が満開になっていて通行する人やドライバーの目を惹きます。


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  → 季節のスケッチ(2023年4月)

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2023年4月 1日 (土)

春爛漫の4月はサクラから新緑、ツツジへ主役交代



 いよいよ春爛漫の4月です。小石川植物園では心躍るソメイヨシノの風景が終わってもオオシマザクラやサトザクラなどのいろんな桜の花が咲き続けます。そして、4月中下旬にはサクラから新緑とツツジに主役交代となります。また、ニリンソウ、オオアマナ、ヒメオドリコソウ、ラショウモンカズラなど春の野の花が園内各所の草むらに咲き広がります。

(4月の風景)
  4月セレクション サクラの風景 ツツジの花々
  春の妖精たち

(フォトギャラリー)
  4月の風景 新緑の輝き サクラの風景
  春の野の花 春の妖精たち


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  → 季節のスケッチ(2023年4月)

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2023年3月21日 (火)

春分の日、はやくもソメイヨシノが満開に


 ポカポカ陽気が続く春分の日3/21、小石川植物園を訪れてきました。待望のソメイヨシノの桜がほぼ満開とあって、園内は家族連れなど大勢の人で賑わっていました。かつては入学式の頃に桜満開の年もあったのですが、今年は卒業式の頃とあって相当早まっています。また公開中のロックガーデンでは、普段は道ばたに咲いていても単なる雑草として見過ごしてしまうようなヤブニンジンやヒメウズのような小さな野の花も見かけました。


 植物園入口から真っ直ぐ坂道を上り左に曲がったところに広がる桜並木の風景です。ちょうどソメイヨシノ(染井吉野;バラ科サクラ属サクラ亜属エドヒガン群)が満開になっていました。


 サクラ並木の木の下では、家族連れや仲間どうしのグループが敷物の上に座り込み、思い思いに花見を楽しんでいます。


 温室前のベニシダレ(紅枝垂)も満開になっていました。枝垂桜(バラ科サクラ属サクラ亜属エドヒガン群)の淡紅色の品種。優雅に枝垂れた桃色の花が樹全体に広がっています。


 植物園のメタセコイア林近くの草むらに小高木の樹木全体が白い花に覆われていました。


 近づいてみると、この木の正体は南アジアの高地に自生する常緑小高木のトガリバサザンカ(尖葉山茶花;ツバキ科ツバキ属)でした。名前のとおり葉の先が尖っているのが特徴。12月~2月頃に小さめの白い花が咲く


 この時期公開中のロックガーデンも忘れずに回ってきました。これは関東地方~沖縄の海岸近くの林で多く見られる多年草のムサシアブミ(武蔵鐙;サトイモ科テンナンショウ属)です。2個の長い葉柄、その先の大きな3個の小葉が特徴。花(仏炎苞)の形が鐙に似ていることから和名が由来。


 ニンジン葉に似た葉をつけるヤブニンジン(藪人参;セリ科ヤブニンジン属)。北海道~九州に分布し、山野の日陰になる草むら、藪地などに生育する多年草。直立する茎は白いせん毛に覆われる。4月~5月頃、茎先にごく小さな白い5弁花を何個かつける。


 関東以西の本州~九州の暖地に分布する多年草。ヒメウズ(姫烏頭;キンポウゲ科ヒメウズ属)。畑や人家周辺、山間部などに広く見られる。地下茎から伸びる花茎の先端にややうつむいた小さな白い花をつける。和名のウズはトリカブト(鳥兜)のことで、小さなトリカブトの意味になる。漢方に使われる。


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  → 季節のスケッチ(2023年3月)

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2023年3月16日 (木)

コブシ、ベニシダレ、シナミズキなどの木々が次々と満開

 このところ初夏のような暖かい日が続き、早くも東京の桜開花が発表されました。この日小石川植物園を回ってきましたが、コブシ、ベニシダレ、シナミズキなどの木々が次々に満開になっていました。まさに春爛漫の季節到来の感があります。また、公開中のロックガーデンでは、カタクリやヒロハノアマナなどの春の妖精の花々も咲き出してきました。



 北海道から九州まで広く分布する落葉高木コブシ(辛夷;モクレン科モクレン属 Yulania亜属)。この時期に白い花が満開になり、春の訪れを謳歌するかのように青空の中で花が乱舞します。花は小枝の先につき、ひらひらの白い6枚の花弁をもつ。開花の後、新緑が芽吹きます。


 温室前の草原にそびえ立つベニシダレ(紅枝垂)が満開になっていました。枝垂桜(バラ科サクラ属サクラ亜属エドヒガン群)の淡紅色の品種。枝垂れた様子が艶やかです。


 中国原産の落葉低木シナミズキ(支那水木;マンサク科トサミズキ属)。細い枝がよく分枝し株立ち樹形を成しています。この時期、青空の下に無数の黄色の花が点描されるかのように一斉に咲き出し、壮観な眺めです。


 林立するメタセコイア(曙杉)の風景です。まだ冬木立のメタセコイアの手前では、灌木状になったチョウセンレンギョウ(朝鮮連翹)の黄色の花が満開になっていました。


 2月頃からユキワリイチゲフクジュソウなどの春の妖精と言われる植物が姿を見せ始めていますが、いよいよ春の妖精の代表格のカタクリ(片栗、堅香子;ユリ科カタクリ属)の花が咲き出しました。まるで春の陽光の下で森の妖精たちが背中の羽根を羽ばたきながら遊んでいるようにも見えます。


 日本固有種で関東地方から近畿地方、四国に分布するヒロハノアマナ(広葉の甘菜;ユリ科アマナ属)の花を園内のロックガーデンで見つけました。花茎の先に6個の花弁と6本の雄しべを有する可憐な白色の花が咲いています。幅が広めの葉の中央に白線模様が特徴的。絶滅危惧II類、春の妖精の仲間。


 ツクシスミレ(筑紫菫;スミレ科スミレ属)の小さな花を見つけました。花の中央部が黄色で周りがうす紫色の珍しい色調のスミレです。元々九州地方に分布するスミレだが、園の研究用のものが野生化したと言われています。


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  → 季節のスケッチ(2023年3月)

 

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2023年3月 4日 (土)

貴重な山野草が生えるロックガーデンが期間限定公開中



 天気が良くなってきた3月初旬、小石川植物園をぶらぶらと散策してきました。 普段は立入禁止区域になっている園内のロックガーデン(山地植物栽培場)がたまたま期間限定の公開中になっていてラッキーでした。ロックガーデンの公開はおそらく今回が初めてだろうと思います。この日はフクジュソウ、セリバオウレン、キクザキイチゲなどが開花していました。また、園内の他の区域ではカンヒザクラ、シナミザクラ、サンシュユなども木々の花々も咲き出していました。


 ロックガーデンの様子です。これは北海道から九州にかけて分布し山林に生育する球根植物のフクジュソウ(福寿草;キンポウゲ科フクジュソウ属)。早春に忘れずに咲き出し、まぶしいような黄金色を放ちます。寄せ合って咲くので、ほのぼのとした家族のようにも見えます。春の妖精の仲間。


 セリバオウレン(芹葉黄蓮;キンポウゲ科オウレン属)。日本固有種で本州、四国に分布し、山地の樹下に自生する山野草。早春に8~10個の花弁をもつ小さな白い花が咲きます。小葉がセリ(芹)の葉に似ることから和名が由来。


 本州近畿地方以北から北海道に分布し、落葉広葉樹林の林床などに生育するキクザキイチゲ(菊咲一華;キンポウゲ科イチリンソウ属)。葉が元気に上向いている感じで、ちょうど菊の葉のように切れ込みが鋭いのが特徴。キクザキイチリンソウ(菊咲一輪草)とも呼ばれる。春の妖精の仲間。


 ロックガーデン以外の草むらでも多くの春の野の花を見かけるようになってきました。アマナ(甘菜;ユリ科アマナ属)が咲き出してきました。個体数は多くないのですが、園内散策路の道ばたで花を見かけました。まるで小さなチューリップのように可憐な花です。本州東北地方南部以南、四国、九州、奄美大島に分布する球根植物。春の妖精の仲間。


 ハナニラ(花韮、西洋甘菜;ヒガンバナ科イフェイオン属 or ハナニラ属)。南米原産、明治時代に観賞用として帰化した球根植物。ハナニラの清楚な白い花が咲き出してきました。これから植物園内の各所に咲き広がります。花の形がアマナに似ることから、セイヨウアマナ(西洋甘菜)とも呼ばれます。


 中国原産の一年草オオアラセイトウ(諸葛菜、紫花菜;アブラナ科オオアラセイトウ属)の紫色も花を数輪見かけました。4月頃には紫色の菜の花のような花が草むらを覆うようになります。わが国へは江戸時代に栽培用として導入されたが、繁殖力が強く野生化しています。


 木々の花もにぎやかになってきました。これはカンヒザクラ(寒緋桜;バラ科サクラ属サクラ亜属カンヒザクラ群)です。盛んに咲き出していました。沖縄に自生し、日本のサクラの基本野生種の一つ。満開になった濃い紅色の鐘状の花が強烈な印象を与えます。


 中国原産のシナミザクラ(支那実桜;バラ科サクラ属サクラ亜属シナミザクラ群)。関東以南の暖地に分布する落葉商工ボク。カラミザクラ(唐実桜)ともいう。3月頃にひそやかな落ち着いた感じのウメに似た花が咲き、普通のサクラとは少し趣が異なる。薬草園の近くで見られる。


 サンシュユ(山茱萸;ミズキ科ミズキ属)の黄色の花を林の中で見つけました。中国及び朝鮮半島を原産とする落葉小高木。新葉の展開前、3月に無数の黄金色の花が大空に吹き出すように広がり、ハルコガネバナとも呼ばれます。観賞用として庭木などに利用される。


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  → 季節のスケッチ(2023年3月)

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2023年2月21日 (火)

大樹の見事な冬木立やウメ、ツバキなどの早春の花々



 2月も後半になり、久しぶりに小石川植物園を回ってきました。春のような日差しでしたが、風が冷たい一日でした。園内では大樹の見事な冬木立や梅、椿、マンサクなどの木々の花が目に入ってきます。また、ユキワリイチゲやアマナなどの早春の野の花も枯葉の中から顔を覗かせていました。


 小石川植物園には大木・巨樹が沢山生えていて、2月のこの時期になってもその見事な冬木立の姿を楽しむことができます。上図のイチョウ(銀杏;イチョウ科イチョウ属)の大木は園入口付近ところにあります。手前は精子発見で有名なソテツ(蘇鉄; ソテツ科ソテツ属 )です。


 植物園入口から真っ直ぐ坂道を上り左に曲がるとソメイヨシノ(染井吉野;バラ科サクラ属エドヒガン群)のサクラ並木が広がっています。来月末の満開時には大勢の人出で賑わいますが、今は冬木立で開花準備中です。 → サクラ並木の風景


 サクラ並木をそのまま進んでいくと、スズカケノキユリノキケヤキなどの巨木並木の空間が広がっています。林立する巨木たちの冬木立を見上げとその神々しさに圧倒されます。まさにパワースポットです。 → 巨木並木の風景


 園入口から左方に曲がって少し進むと、天空に向かって直伸するメタセコイア(曙杉;ヒノキ科セコイア亜科メタセコイア属)が林立しています。四季折々に表情を変え来園者を迎えてくれます。スギの先祖と言われるメタセコイアは、現在全国各地の公園木、並木などに使用されています。 → メタセコイア林の風景


 梅林では紅白のウメ(梅;バラ科サクラ属スモモ亜属)の花が咲き出してきました。色々な品種のウメが生えていますが、上図の白梅の品種名は長寿です。長寿は毎年元気な花を咲かせます。高齢になりつつある団塊人の私たちにも元気を与えてくれます。 → 梅百科


 この紅梅の品種名は八重松島(やえまつしま)です。紅梅といっても黒雲(くろくも)や鹿児島紅(かごしまこう)のように真紅色の品種からこの八重松島(やえまつしま)や未開紅(みかいこう)のような桃色系の品種もあります。 → 梅百科


 この時期、園内ではツバキ園やそのほか随所でツバキ(椿; ツバキ科ツバキ属 )の花を見かけます。上図は古典椿の代表的な品種の太郎冠者(たろうかじゃ)です。精子発見で有名な大イチョウの樹下で華やかな花色の花を密に咲かせています。 → ツバキの仲間


 マンサクの仲間の花々も咲き出しています。左は中国原産の落葉小高木シナマンサク(支那満作;マンサク科マンサク属)です。早春に満開になった無数のふわふわした黄色のリボン状の4弁花が周りの空間に広がります。


 この時期、草むらは枯葉に覆われていますが、よく見ると早春の野の花がポツポツと咲き始めています。上図はユキワリイチゲ(雪割一華;キンポウゲ科 イチリンソウ属)。本州中部以西の暖かい地域の林内に生える多年草です。夏まで葉をつけると、残りは地下で過ごすスプリング・エフェメラル(春の妖精)の仲間です。


 本州東北地方南部以南、四国、九州、奄美大島に分布する多年草のアマナ(甘菜;ユリ科アマナ属)です。まるで小さなチューリップのような可憐な花を咲かせます。この日は寒風の中、そろりそろりと地表に顔を出していました。スプリング・エフェメラル(春の妖精)の仲間。


 ヨーロッパ原産の多年草のオオイヌノフグリ(オオバコ科クワガタソウ属)。日本に帰化し全国に分布します。春先から星くずのように可憐な青い小さな花が咲き広がり、春の終わりには枯れてしまいます。


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  → 季節のスケッチ(2023年2月)

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2023年2月 1日 (水)

2月の小石川植物園、もうすぐ紅梅・白梅が賑わう



   (次々と咲き出す紅梅・白梅 2003.2)

 小石川植物園では2月に入ると、梅林が賑やかになってきます。紅梅、白梅の花が咲き始め、メジロなどの小鳥も誘われるかのように集まってきます。ウメの花以外にも、カンザクラ、ツバキ等の木々の花や、春の妖精といわれるユキワリイチゲ、アマナ、フクジュソウなどの春の野の花も咲き出し、園内の散策も楽しみが増えてきます。

(2月の風景)
  2月セレクション 梅百科 ツバキの仲間
  春の妖精たち

(フォトギャラリー)
  2月の風景 梅林の風景
  春の野の花 春の妖精たち


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  → 季節のスケッチ(2023年2月)

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