栃木・群馬・埼玉

2023年6月18日 (日)

奥日光の大自然を満喫



 6/17-18の週末、奥日光湯元温泉の休暇村に宿泊して、奥日光の大自然を周遊してきました。梅雨の合間で晴れ上がった天気にも恵まれ、緑に囲まれた高原道路をゆったりとドライブして、久しぶりにリフレッシュできました。


 最初の目的地は奥日光の湯ノ湖です。東京からクルマで東北自動車道を北上、日光宇都宮道路に入り、清滝ICより国道120号で約25km進むと湯ノ湖が現れます。マス釣りの釣人で賑わっていました。今回の宿泊地は湯ノ湖の北岸湖畔に広がる日光湯元温泉です。


 湯元温泉、湯ノ湖周辺に緑の大自然に囲まれた散策路が整備されています。緑一面の中にオレンジ色のレンゲツツジ(蓮華躑躅;ツツジ属シャクナゲ亜属レンゲツツジ節)の花が風景のアクセントになっています。レンゲツツジは戦場ヶ原など、奥日光の各所で見かけます。


 湖畔の木々です。これは北海道~九州に分布し、山地から亜高山帯にかけて自生するミズナラ(水楢;ブナ科コナラ属)。葉は大きく波打つようなはっきりした鋸歯(輪郭のギザギザ)を有する。木材は柾目の模様が美しく、高級家具、建築材、洋酒樽などに利用されます。ミズナラ以外にもシラカバ、シウリザクラなどが生えています。


 珍しいベニサラサドウダン(紅更紗満天星;ツツジ科ドウダンツツジ属)の花も見かけました。ベニサラサドウダンは日本原産で東北地方~中部地方の高地に自生する落葉低木でサラサドウダンの変種です。5月~6月頃、葉腋から伸びる総状花序に深紅色の小さな鐘形の花が多数下向きにつきます。


 湯ノ湖から日光方面に少し戻ると、奥日光三名瀑の一つとされる竜頭の滝に着きます。前回の奥日光旅行の時に見逃していたので、今回こそはと訪れました。竜頭の滝は、湯ノ湖に端を発し戦場ヶ原を流れ下ってきた湯川の末流にかかる滝。急斜面の途中で二手に別れ、豪快に流れ下っています。この滝の姿を龍の頭に見立て、竜頭の名が付いたとされる。


 さらに日光方面に進むと、中禅寺湖と男体山が見えてきます。中禅寺湖は約2万年前に男体山の噴火でできた堰止湖で、今や観光地として人気を博しています。また、男体山は標高2,486mの火山で、日本百名山のひとつ。日光二荒山神社の境内地にある。


 次は華厳の滝です。中禅寺湖からの地表を流れる唯一の流出口の大谷川の最上流の一部。落差97mの滝一気に流れ落ちる姿は壮観です。この写真は華厳の滝展望台からのものですが、エレベータで滝壺まで下りることも出来ます。


 この後、長くくねったいろは坂を下って日光東照宮近くの日光植物園(小石川植物園の日光分園)に立ち寄ってきました。広大な園内には、日本の高山ならびに温帯から亜寒帯に生育する種をはじめ多くの植物が生育しています。この日は、珍しい山野草も数多く見かけました。


 詳しくは
  → 季節のスケッチ(2023年6月)

 

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2022年5月 1日 (日)

各所の初夏の風景(季節のスケッチより)


 大型連休に入りました。今年はコロナ感染による外出規制が3年ぶりに解除されたということで、各地で少しづつ賑わいが戻ってきているようです。しかしながら、まだ東京で数千人の感染者が毎日出ており、最後まで油断禁物です
 さらには、2月から続くロシアによるウクライナ侵略戦争、知床半島の観光クルーズ船の沈没など、気が滅入るような出来事が相次ぎ、なかなか気持ちが穏やかになりません。

 さて、5月の初夏の季節は木々の新緑が若葉・万緑へと移り変わり、美しい緑の世界が広がります。そして、ツツジ、ウツギ、トチノキ、アヤメ、シャクヤクなどの花々も落ち着て咲き出します。各所の5月の風景(季節のスケッチ)を以下にまとめてみました。

小石川植物園


 面積は約16万㎡もの広大な緑地が東京中心部(文京区)の一角に広がっています。園内には台地、傾斜地、低地、泉水地などの地形を利用して様々な植物が配置されていて、来園者は野趣に富む山野を自由に歩き回るといった感じで四季折々の自然を楽しむことができます。

 5月セレクション 5月の風景(フォトギャラリー)
 2020.5  2019.5 2018.5


皇居東御苑

 東京丸の内・大手町に隣接する皇居東御苑は旧江戸城本丸・二の丸の跡地に広がり、庭園や芝生、雑木林などが見事に配置されています。そして季節の花木や野草を楽しむことが出来るようになっています。都心のど真ん中にあっても、都会の喧噪は全く感じられず、いつも落ち着いた雰囲気の中で散策を楽しめます。 2017.5  2014.5 2012.5


神代植物公園

 調布市の名刹深大寺のすぐ近くに広がる神代植物公園には約4,500種類、10万株の植物が植えられています。また、武蔵野の面影が残り、四季を通じて草木の姿や花の美しさを味わうことができるようになっています。 2014.5 2013.5


都心の街路樹など

 まちを美しく彩る東京の街路樹・樹木は、木々の新緑や黄葉、春~夏に咲く花々など、季節の移り変わりを知らせてくれる自然のキャンパスです。普段は何気なく見過ごしてしまいがちですが、よく観察すると新鮮な出会いに驚くことがあります。

(この時期の街路樹の花々) 2021.5
  桜田門付近:トチノキ、浅草橋:マロニエ(トチノキ)
  飯田橋:ヤマボウシ、水道橋皀角坂:サイカチ
  銀座並木通り:シナノキ、迎賓館周辺:ユリノキ
  筑波大付高キャンパス:キリ
  サンシャイン公園:タイザンボク ほか


山形の風景

 郷里の山形は風光明媚な自然に恵まれています。山形盆地に立って四方を見渡すと、東には奥羽山脈が南北に走り、船形山、蔵王連峰などの山々が連なり、西方には出羽三山(月山、湯殿山、羽黒山)などの朝日連峰に連なる山々が眺望できます。また、芭蕉の句「五月雨や集めてはやし最上川」で有名な最上川は、吾妻山系を源とし、置賜地方、山形盆地、新庄盆地、最上峡、庄内平野と県内を229km縦走して日本海に注ぐ大河です。ここでは大自然に遊び心身ともにリフレッシュすることができます。 2019.5  2017.5 2015.5


山形野草園

 山形野草園は、西蔵王高原の中に「自然との共生」を図ることをねらいとして1993年に開園され、野草、樹木あわせて約1,000種類のさまざまな植物があり、季節の野草が群生しています。山形市の市政施行100周年の記念事業の一環として整備されたものです。 2018.5


上三依水生植物園

 上三依水生植物園は日光の山地につくられ、男鹿川沿いの敷地面積約2万2千平方メートルの広大な園内に約300種、3万本の高山植物、湿生植物などが季節を彩るように咲き競っています。 2019.5


  詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2022年5月)

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2019年8月17日 (土)

400万本のユリの花が美しく咲き広がる塩原高原


 まだ猛暑が続く旧盆の時期、箒川の渓流が流れ木々の深緑に覆われた塩原温泉郷を旅してきました。温泉に一泊し、翌日近くのハンターマウンテン塩原ゆりパークを回ってきました。ちょうど台風10号が過ぎ去った夏の青空の下、約400万本もの色とりどりのユリの花が高原いっぱいに美しく咲き広がっていました。



 那須塩原市のスキー場ハンターマウンテン塩原のゆりパークで今年も恒例の「ゆり博」が開かれていて、この日は遅咲きのユリが見ごろを迎えていました。エントランスモールから入り、約10分間のフラワーリフトに乗ってゆりパークの高原部まで一気に上ります。3万坪の広大なゲレンデには約50種400万本ものユリの花が生えています。



 リフトを降りた高原部には白い木肌が美しい白樺の丘などがあります。木々の下に広がる草地には遅咲きの色とりどりのユリの花が所狭しと咲き乱れています。



 ここは標高1360mの高原なので、時折吹く夏風も涼しく、整備された遊歩道を辿って清々しい高原散策を楽しむことができます。



 白樺の丘などの高原部からはほとんどの人がリフトに乗らず歩いて下ります。途中のゆり大斜面、ゆり平原にも数多くのユリの花が咲き広がっています。


 ゆり平原の遠方には那須や会津の山々が連なって素晴らしい風景です。



 ゆりパークの園内には清楚な白、鮮やかなピンク、明るい黄色、艶やかな赤などの約50種ものユリの花が植えられています。品種名はとても覚えきれませんが、カラフルで非常に賑やかです。



 高原から下りる途中、道脇の草むらではヨツバヒヨドリ(上)、ゴマナ(下)などの初秋の草花を見かけました。


 最後に、宿泊したホテルの眼下に流れる箒川の渓流の風景です。箒川はやがて那珂川に合流し太平洋に注ぎ込みます。


 また、塩原の道の駅近くの田園では、流行の田んぼアートを見かけました。


 詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2019年8月 塩原ゆりパーク)


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2019年6月17日 (月)

久喜市の田園に花菖蒲、ラベンダーの花々が咲き競う


 埼玉県東北部の久喜市の田園でハナショウブがまだ見頃とのTVニュースを見て、早速晴れ上がった6/17に車で出かけてきました。現地に着いてみると、果たして広大な田園の中の菖蒲田に無数のハナショウブの花が風に揺られながら咲き競っていました。さらには近くの小川の堤に紫色のラベンダーの花が咲き出していました。



 久喜市の菖蒲田(菖蒲城址あやめ園)へ車で出かけました。東北自動車道から圏央道に入り白岡菖蒲インターで降りて数キロです。現地まで約1時間のドライブでした。



 この菖蒲田には50品種、1万6千株もの多くのハナショウブ(花菖蒲;アヤメ科アヤメ属)が植えられています。この時期全国各地の庭園、寺社などに植えられた花菖蒲が開花し、大勢の人で賑わいます。白、紫、黄、薄紅色に咲き出すハナショウブの優雅な花は梅雨時のうっとうしさを忘れさせてくれます。



 6月中旬はハナショウブの花期の終わり頃になりますが、この菖蒲田では白色や紫色の無数のハナショウブの花が風に揺られながらまだまだ咲いました。ハナショウブが咲く菖蒲田の遠方を見やると広大な田園が地平線となり、上方の夏空には薄い白雲が流れています。美しい牧歌的な風景でした。



 菖蒲田に近接する小川の堤などで約1万株のラベンダー(シソ科ラベンダー属の半木本性植物)の花が咲き出していました。ラベンダーのいい香りも風に乗って流れてきます。



 この時期、ハナショウブとラベンダーの両方の花を観賞することができ、地元ではブルーフェスティバルを開催しPRに努めていました。菖蒲田とラベンダー堤は田んぼのあぜ道で容易に行き来できるようになっています。


 ラベンダー畑と言えば北海道の富良野が有名ですが、規模は小さいものの東京近郊で見ることができるとは思ってもいませんでした。ラベンダーは、かつては香料原料として盛んに栽培されていましたが、今では美しい紫色のラベンダー畑が観光スポットとなっています。久喜市のこの地はハナショウブとラベンダーがコラボする他にない独特の魅力を有しています。


 周辺には田植えを終えた田園が広がり、水を張った田んぼの苗は日毎に成長していきます。


 …> 季節のスケッチ(2019年6月 久喜)


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2019年5月 8日 (水)

高山植物が咲く日光山地の上三依水生植物園



 GW終了後、郷里の山形から東京に帰る途中、那須高原にワンストップして宿泊。翌日、車で約1時間のところにある日光市の上三依水生植物園を訪ねてきました。2016年7月に次いで2度目の訪問です。この日はケマンソウ、コマクサ、シラネアオイ、アネモネ・ネモローサなどの珍しい花々が咲いていました。


 上三依水生植物園は日光の山地につくられ、男鹿川沿いの敷地面積約2万2千平方メートルの広大な園内に約300種、3万本の高山植物、湿生植物などが季節を彩るように咲き競っています。今回は宿泊地の那須高原から日光市上三依水生植物園へは車で行きましたが、会津と鬼怒川を結ぶ野岩鉄道会津鬼怒川線(ほっとスパ・ライン)を利用すれば上三依塩原温泉口駅から徒歩7分です。


 園内では、多年草のケマンソウ(華鬘草;ケシ科ケマンソウ亜科ケマンソウ属)が盛んに咲いていました。花の形を見ると、鯛が釣竿にぶら下がっているように見えることからタイツリソウとも言われます。この時期に咲き出し、9月ごろに地上部が枯れて休眠に入ります。


 白花のコマクサ(駒草;ケシ科コマクサ属)が静かに咲き出していました。コマクサはその可憐な美しさから高山植物の女王と呼ばれます。


 赤紫色のサクラソウ(桜草;サクラソウ科サクラソウ属)が木元に群生していました。サクラソウは山地の湿り気の多い所に生える多年草。


 北海道、本州北部の湿った林地に生える多年草のオオバナノエンレイソウ(大花延齢草;シュロソウ科エンレイソウ属)。3枚の花弁、萼片、葉を持つのが特徴的です。白花の中に暗赤色のアカバナエンレイソウも交じっていました。


 シラネアオイ(キンポウゲ科シラネアオイ属)。日本固有種の一属一種の植物で中部地方以北の多雪地に生える多年草。薄紫色や白色の多くの花が落ち着いた感じで咲き広がっていました。日光の白根山に多く生え、花がタチアオイに似ていることが和名の由来。


 アネモネ・ネモローサ(キンポウゲ科イチリンソウ属、和名はハルオコシ)の小さな白い花が群生していました。ヨーロッパ原産のヤブイチゲの八重咲の品種。白い花びらの周りに緑色のがく片と総苞葉がついています。スプリング・エフェメラルの一つ。


 ボタンキンバイ(牡丹金梅;キンポウゲ科キンバイソウ属)。北海道の利尻島にのみ分布する固有種です。利尻山の高山草原植物の多年草。


 ヒメリュウキンカ(姫立金花;キンポウゲ科キンポウゲ属)。イギリスやヨーロッパ大陸の山地の湿った草原や湖沼畔に生えるキンポウゲの仲間。


 落葉小低木のチングルマ(珍車、稚児車;バラ科ダイコンソウ属)。本州中部以北、北海道などに分布し、やや湿った草原に生える高山植物。


 上記以外にも、多くの写真をアップしています。
   …> 季節のスケッチ(2019年5月 上三依)


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2018年11月16日 (金)

晩秋の上州(伊香保温泉、榛名山)を周遊

 11月も中旬になると、山地や高原の錦秋模様は終わりを迎え冬支度が進みます。この時期に高地に位置する上州群馬の伊香保温泉や榛名山を車で周遊してきました。最盛期を過ぎていたものの、褐色の木々の間に紅葉・黄葉がまだ少し残っていて、晩秋の上州のたたずまいを楽しんできました。


 群馬の伊香保温泉はわが国有数の温泉地です。関越自動車道の渋川・伊香保ICで降りてから榛名山方向に車でぐんぐん上っていくと、標高約700m付近、榛名山の中腹に位置する伊香保温泉にたどり着きます。


 到着は夕方近くでしたが、急いで温泉の中央部につくられている石段街を散策してきました。石段をはさんで両側に旅館やホテル、みやげ物屋が並んでいます。


 伊香保温泉の湯元は石段街を登り切ったところにあります。この近くの渓流に朱塗りの太鼓橋の河鹿橋が架かっていて、周囲の紅葉の風景と一体化しています。


 温泉から榛名湖へ少し車で登ったところの高根展望台から、伊香保温泉が一望できます。


 伊香保温泉から榛名湖へ「静かな湖畔」のメロディーの音楽が流れる舗装が施されている榛名湖メロディーラインを進むと閑静な榛名湖畔に到着します。


 榛名湖は榛名山の火山噴火に伴って形成されたカルデラ湖で、榛名山山頂の標高1084mに位置する湖です。榛名湖の湖畔に、中央火山丘の榛名富士がそびえています。この榛名富士は溶岩で造られていて、富士山に似た形状をしています。


 周辺の木々は紅葉を終え、褐色の葉が少しだけ残っていました。もうすぐ冬木立になります。


 榛名湖から少し南下したところにパワースポットとして有名な榛名神社があります。榛名山の中腹に境内が広がる榛名神社は、927年に創建されたといわれています。


 神社入口から700mの参道を登っていくと約15分で本殿に着きます。この参道はそれほどきつくなく、年寄りにも手軽な散歩道といった感じです。


 清らかな榛名川の渓流に添って敷設された参道を進んでいくと、空を覆う高木の老杉並木や周囲に連なる巨岩・奇岩などの不思議な大自然の景観に圧倒されます。


 巨岩に挟まれた空間に小さな滝が形成されていて、渓流(榛名川)に注ぎ込んでいます。


 参道の終点は本殿になりますので、ここで参拝します。


 本殿の背後にそびえ立つ御姿岩は今にも崩れ落ちそうな奇岩です。この岩の洞窟の中にご神体が祀られています。


 参道の道すがら七福神の神さまたちが出迎えてくれます。これは寿老人です。


 布袋尊です。大きなお腹はみんなが撫でていくので、その部分だけ変色しています。


 恵比寿天です。大きな魚を腕に抱えています。


 福禄寿です。寿老人と似ていますが、細長い頭が特徴的です。


 弁財天です。元々のヒンドゥー教の女神が日本的変容を遂げ、さらに後に財宝神としての性格が付与されています。今回は七福神の中で大黒天と毘沙門天を見落としてしまいました。次の機会には是非出会いたいと思います

  上記以外にも、いろんな伊香保温泉、榛名山の晩秋風景をアップしています。
   …> 季節のスケッチ(2018年11月 上州)


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2018年7月 5日 (木)

色鮮やかに修復された日光東照宮



 7月上旬、日光・鬼怒川地方を旅行してきました。日光では日光東照宮の国宝・陽明門が平成の大修理を終え、色鮮やかに修復されていました。三猿や眠り猫も久しぶりに目の当たりに見学できました。さらに、宿泊地の鬼怒川温泉周辺の龍王峡にも足を伸ばしてきました。


 日光東照宮は東照大権現(徳川家康)を祀る神社です。東照宮の社殿群は1999年12月に世界文化遺産に登録され、国内のみならず海外からも大勢の観光客が訪れます。駐車場から出て両脇に杉の大木が立ち並ぶ参道を進みます。


 筑前藩主の黒田長政が奉納したとされる石鳥居から社殿に入っていきます。この石鳥居は九州の石材が使われています。


 神馬をつなぐ厩の神厩舎には、昔から猿が馬を守るとされていて、長押上に猿の彫刻が8面あり、人間の一生が風刺されています。中でも見ざる・言わざる・聞かざるの「三猿」の彫刻が有名です。


 大鳥居の先に修復され鮮やかに輝く国宝の「陽明門」が見えてきます。宮中正門の名をもらったと伝えられ、故事逸話や子供の遊び、聖人賢人など500以上の彫刻が施されている美しい門です。いつまで見ていても見飽きないところから日暮の門ともよばれます。


 陽明門を通り過ぎると、すぐに本殿に通じる「唐門(からもん)」が現れます。やはり国宝で、全体が胡粉で白く塗られ、舜帝朝見の儀など細かい彫刻が施されています。


 唐門から少し離れたところに左甚五郎作と伝えられる国宝の「眠り猫」の彫り物が見られます。猫が牡丹の花に囲まれ日の光(日光)を浴び、うたたねをしています。


 陽明門の天井絵の一つが昇竜(左)です。これを有名な鳴竜と間違え、真下で手をたたく人がいます。本物の「鳴竜」は、本地堂(薬師堂;右)の天井に描かれています。本物といっても、狩野永真筆の竜の絵は昭和36年に焼失し、その後復元されたもの。竜の頭部の下で手を拍くと鈴の音のような反響音が聞こえます。なお、鳴竜の絵は撮影禁止になっています。


 鬼怒川温泉近くの龍王峡も訪ねてきました。川治温泉と鬼怒川温泉の間、約3kmに亘る鬼怒川が流れる渓谷のことをいいます。今から約2200万年前に火山が爆発し、その溶岩が固まったできた岩石を、その後長い年月をかけて鬼怒川の渓流が侵食し、現在の峡谷が造形されました。渓流の両岸に奇岩怪石が連なっている景観が、龍の姿に見えることから、龍王峡と名付けられたといいます。龍王峡の入口から遊歩道に沿って渓谷の斜面を下り鬼怒川の渓流に近づくにつれ、見事な景観が目に飛び込んできます。

 これ以外の写真もアップしています。
   …> 季節のスケッチ(2018年7月 日光東照宮)
   …> Photo Gallery

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2018年7月 4日 (水)

7月上旬、日光の大自然の中に広がる日光植物園の風景



 東京の小石川植物園の分園で 高山植物や寒冷地の植物の研究と教育を主な目的とする日光植物園は、日光東照宮近くの約10万㎡の林地に広がっています。7月上旬に日光植物園を訪れる機会がありましたが、当日は小雨がぱらつく天気模様でしたので、園内を少し回っただけで帰らざるを得なかったのが少々残念でした。


 園内の遊歩道は鬱蒼と緑生い茂る原生林の中を周回しています。大自然の中で高山植物等を観賞するような感じです。


 園内ではいろんな花を見かけました。これはナツツバキ(夏椿;ツバキ科ナツツバキ属)。別名はシャラノキ(娑羅の木)。


 わが国の山地に自生するヒナウチワカエデ(ムクロジ科カエデ属)。少し紅葉が始まっていました。


 ヒマラヤ、中国南西部などを原産とするヒマラヤキンシバイ(ヒマラヤ金糸梅;オトギリソウ科オトギリソウ属)。


 日当たりの良い岩地に生育するイブキジャコウソウ(伊吹麝香草;シソ科イブキジャコウソウ属)。伊吹山に多く自生し、芳香があります。


 本州中部の高山や亜高山の草原に多く自生するカライトソウ(唐糸草;バラ科ワレモコウ属)。シッポのような花穂が下に垂れています。


 亜高山帯、温帯の林床や草原に生育するトリアシショウマ(鳥足升麻;ユキノシタ科チダケサシ属)。北海道、本州の中部地方以北に分布します。


 北海道、本州の中部以北に分布し、深山の湿原などに自生するヒオウギアヤメ(檜扇菖蒲;アヤメ科アヤメ属)。


 山地や河川敷の日当たりのよい草地に自生するトモエソウ(巴草;オトギリソウ科オトギリソウ属)。


 わが国原産で山地の草原によく見られる多年草シモツケソウ(下野草;バラ科シモツケソウ属)。

 これ以外の園内の写真もアップしています。
   …> 季節のスケッチ(2018年7月)


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2018年4月 8日 (日)

栃木の大柿花山はキバナカタクリ、イカリソウなど山野草の花園



 4月上旬の週末(4/8)、栃木の大柿花山を訪ねてきました。大柿花山は、日光連山の裾野に広がる大柿の里山にある古城・袋ヶ岡城跡の山地を老園主が長年かけて花山として大改造した植物園で、四季折々の花々やトレッキングを楽しむことができるようになっています。


 この日は、キバナカタクリ、イカリソウなどの山野草やモモ、ツツジ、モクレンなどの木々の花々が山いっぱいに咲き広がっていました。



 この日は初めてのキバナカタクリを求めて大柿花山に足を運びました。大柿花山へのアクセスは、東京から東北自動車道を使い栃木インターで降りて約10~15分の道のりです。近くにはカタクリ自生地の三毳山やセツブンソウ自生地の星野の里があります。


 花山のトレッキングコースを進んでいくと、遊歩道の周りは桃色や白色のモモの花、黄金色に輝くチョウセンレンギョウなど満開になった季節の花木が目を楽しませてくれます。



 ツツジ(上)やシャクナゲ(下)も所々にあざやかな花を咲かせています。



 これ以外にも優美な紅白の花を咲かせたボケ(上)、紫モクレンとハクモクレン(下)などのいろんな花木を見かけました。


 さて、園入口から入ったすぐのスペースに色々な山野草が咲いていました。真っ先に目に入ったのが、お目当てのキバナカタクリ(ユリ科カタクリ属 )で、黄色の可憐な花が所々に咲き始めていました。


 北米に分布するキバナカタクリは、春の妖精の代表格で赤紫色の花のカタクリと同属です。花の形はカタクリとよく似ていますが、茎が長めで背丈が30~40㎝になります。キバナカタクリも開花後1ヶ月程度で葉が枯れてきて長い休眠期に入るといったサイクルを有するということですので、春の妖精の仲間になると思われます。


 イカリソウの仲間も多く開花していました。これは各地の林地に野生する多年草のイカリソウ(碇草、錨草;メギ科イカリソウ属)。4枚の花弁が中に蜜をためる距を突出しています。滋養・強壮に効果がある薬草です。


 小さな白い花のバイカイカリソウ(梅花碇草;メギ科イカリソウ属)。日本固有種で、本州、四国、九州の山地の林内、林縁に生育します。イカリソウ属の特徴である碇状の距がありません。


 イカリソウ(サルフレウム Sulphureum)の淡黄色の花も房状になって盛んに咲いていました。洋種のサルフレウムは普通のイカリソウと比べると、碇状の距を持っていますが、花の形状が少し違います。市場ではサルフレアの名で流通しています。


 キバナカタクリやイカリソウ以外にもいろんな珍しい山野草を見かけました。この白い花はハルオコシ(キンポウゲ科イチリンソウ属)。半八重咲きの白い花びらの周りに、緑色のがく片と総苞葉がついています。欧州原産のヤブイチゲの八重咲の品種。夏になると葉が枯れて休眠しそのまま越冬するので、ハルオコシも春の妖精の仲間になります。


 薄い青紫色の花のシラネアオイ(白根葵;キンポウゲ科シラネアオイ属)。深山に生育する山野草で普段あまり見かけません。日光白根山に多く生えています。

 上記以外にも、大柿花山の多くの写真をアップしています。
  …> 季節のスケッチ(2018年4月 大柿花山)
  …> Photo Gallery


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2018年3月25日 (日)

三毳山の山腹に無数のカタクリの花が咲き広がる



 3月下旬の週末 (3/25)、 サクラがほぼ満開の小石川植物園を早朝に回った後、急いで東北自動車道に乗り、次の目的地の三毳山(みかも山)に向かいました。車で都心から1時間半もあれば楽に到着です。三毳山では山腹一面にカタクリの花が咲き広がっていて、息を呑むような美しい光景に出会うことができました。


 花の百名山にも選定されている栃木の三毳山はカタクリ、アズマイチゲ、ニリンソウなどの山野草の自生地になっています。東北自動車道の佐野藤岡ICを降りてすぐの所に標高229m のやや低めの三毳山がそびえていますが、みかも山公園はその三毳山と一体化した広大な自然公園になっています。


 みかも山公園東口広場に車を留め、案内表示に従って山中のカタクリ園まで15分ほど山道を登っていきます。道の途中で「北国の春」の唄に出てくるコブシ(辛夷;モクレン科モクレン属)の花を見かけました。


 やがてカタクリ園に到達しますが、周りの山腹一面に赤紫色に彩る無数のカタクリのが咲き広がっていました。この世のものとは思えない美しい光景にしばし茫然となりました。この自生地は日本有数の規模で約150万株ものカタクリが自生しているそうです。


 可憐なカタクリ(ユリ科カタクリ属)の花は春の野の花の代表格です。春先に花を咲かせた後、夏までの間に光合成を行って地下の栄養貯蔵器官や種子に栄養分を蓄えます。そして、その後は春まで地中の地下茎や球根の姿で過ごすというライフサイクルを持ち、春の妖精(スプリング・エフェメラル)とも呼ばれます。



 赤紫色のカタクリの花は6枚の花びらが反り返っていて、まるで春の陽光の下で森の妖精たちが背中の羽根を羽ばたきながら遊んでいるように見えます。カタクリは古来から親しまれ、万葉集では「堅香子(かたかご)」の名で詠まれています。




 カタクリ園から降りてきて広場近くの野草の園に向かうと、カタクリ以外の野の花も自生しています。上からニリンソウ(二輪草;キンポウゲ科イチリンソウ属)、キクザキイチゲ(菊咲一華;キンポウゲ科イチリンソウ属、別名はキクザキイチリンソウ)、そしてアズマイチゲ(東一華;キンポウゲ科イチリンソウ属)になります。いずれも春の妖精の仲間です。

 今月は好天の下で奥秩父のセツブンソウの自生地、三毳山のカタクリの自生地と立て続きに行くことができ、無数の春の妖精たちとの出会いがかなって非常に幸運でした。

 三毳山のいろんな写真をアップしています。
  …> 季節のスケッチ(2018年3月 三毳山)
  …> Photo Gallery(三毳山のカタクリなど)


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