東京都心

2023年7月28日 (金)

7月下旬の都心、とある午前の風景


 連日「危険な暑さ」が続くの7月下旬の都心の午前の風景です。この日は用事があって朝から都心を車で走り回ってきました。車中から街路樹を眺めていると夏木立の中にサルスベリ(百日紅)やフヨウ(芙蓉)などの季節の花を見かけました。



 日テレ通りの市ヶ谷駅~旧日テレ本社の区間の街路樹はサルスベリ(百日紅;ミソハギ科サルスベリ属)です。この時季ちょうど満開になっており、道行くドライバーや歩行者を楽しませてくれてくれます。サルスベリの街路樹は、ここ以外にも飯田橋駅付近や竹橋駅付近でも見かけます。


 炎暑下に咲き続けるサルスベリ(百日紅)の花の色は濃い赤紫色のものが多いのですが、この日テレ通りには白色の花が目立ちます。白色の花は真夏に一服の清涼感を与え、いいものです。


 わが家のサルスベリ(百日紅;ミソハギ科サルスベリ属)。元気に赤紫色の咲き誇っています。わが家は7月に入って猛暑下の外壁塗装工事が始まりましたが、先日ようやく工事が終わりました。わが家が見違えるようになりました。


 神保町三井ビルの一角の小さな公園です。ちょっとした緑の憩いの空間になっています。この神保町の書店・古書店街の南側一帯(ジェイシティ東京)は三井不動産によって再開発が行われました。


 神保町三井ビル前の歩道の両脇にはクスノキ(樟、楠;クスノキ科ニッケイ属 )とケヤキ(欅;ニレ科ケヤキ属)の高木が街路樹として立ち並んでいて、緑陰の歩道になっています。クスノキが街路樹に用いられるのは珍しい。


 詳しくは
  → 季節のスケッチ(2023年7月)

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2023年4月24日 (月)

4月中旬の小石川植物園、美しい新緑が広がる



 4月中旬の小石川植物園を回ってきました。華やかだったソメイヨシノなどの桜の時季が過ぎ、園内は落ち着いた雰囲気の中で美しい新緑が広がっています。また、NHK朝ドラ「らんまん」の主人公牧野富太郎博士にちなんだ展示が見られます。


 この時季はなんと言っても新緑が美しい。これは北米原産の落葉高木アカガシワ(赤柏;ブナ科コナラ属)の新緑です。わが国には明治時代に渡来し、北海道を中心に街路樹や公園樹などに植栽されています。


 アカガシワ(赤柏)は、これから初夏に目立たない黄緑色の花が咲き、秋に堅果(ドングリ)がつきます。葉の形状が日本のカシワに似て、紅葉が美しいことから和名が由来。レッドオーク、アカナラ(赤楢)の別名あり。


 ノグルミ(野胡桃;クルミ科ノグルミ属)。東海以西の本州、九州、四国に分布し、日当たりの良い林縁に生える落葉高木。新緑のアト、6月~7月頃、新枝の先に目立たない穂状の花穂が直立してつきます。風媒花で風に乗せて花粉を運びます。後日、松かさに似た果実をつけますが、食用にならない。建築材、器具材として用いられる


 北米東部原産の落葉高木アメリカスズカケノキ(スズカケノキ科スズカケノキ属)。わが国へは明治時代に渡来し、巨木が多い。花期は4月~5月で球形の花序がぶら下がる。互生する広卵形で掌状の大きな葉は切れ込みが浅い。緑葉に覆われた夏木立や晩秋の褐色の紅葉の景観は迫力があります。


 ヒトツバタゴ(一つ葉タゴ;モクセイ科ヒトツバタゴ属)の樹木全体が白雪に覆われたようになっていました。ヒトツバタゴは対馬地方、木曽川流域、岐阜県東濃地方などに限定的に自生する落葉高木。春に新緑が木枝に芽生え、その後初夏に開花し、枝先に集散花序をつけ多数の花が咲く。晩秋には紅葉が見られる。


 中国、インド、ミャンマー等が原産の落葉高木で丘陵地~山地に自生するアルニフィラム・フォーチュネイ(エゴノキ科アルニフィラム属)が枝先の葉腋に円錐花序を形成し、多数の白い花が咲き出していました。普段周りに見かけない珍しい樹木で、小石川植物園では柴田記念館の近くなどに生えています。


 サクラソウ(桜草;サクラソウ科)の特別展示。古典園芸植物の代表格とされるサクラソウは、江戸近郊の荒川の原野に生える野生種から栽培、品種改良が広まったと言われています。小石川植物園ではサクラソウの古い品種が栽培・保存されています。


 これは野生種のサクラソウ(桜草)です。サクラソウは北海道~九州の高原や原野に分布する多年草で、林間の湿性地や原野の草地に生育します。地中に根茎があり、高さ15~40cmの花茎を直立させ、5~10個の清楚な美しい花をつけます。


 植物園の標本室に収蔵されているサクラソウ標本。牧野富太郎博士が1903年5月に採集したもの。この当時、サクラソウは関東近辺に多くの自生地が残っていたが、現在では準絶滅危惧種(NT) として保護の対象となっている。


 柴田記念館の入口では満開のヒラドツツジ(品種名:大紫)がお出迎え。館内にはNHK朝ドラ「らんまん」の主人公牧野富太郎博士の足跡などの特別展示がなされています。


 マルバオウセイ(丸葉黄精;キジカクシ科アマドコロ属)をはじめて見かけました。マルバオウセイは四国南西部、九州に分布し、海岸近くの広葉樹林下、林縁などに生える多年草。同属のアマドコロナルコユリとよく似るが、葉の形は丸みを帯びる。散房状に並んだ多数の小さな花が葉腋から垂下しています。


 シャガ(著莪、射干;アヤメ科アヤメ属)の花が一面に咲き広がっていました。シャガは中国四川省原産で谷沿いの陰地や竹林などに群生する常緑多年草。4月~5月、黄と青の幻想的な模様の入った白い花が次々に咲き出してきます。根茎が短く横に這い、群落を形成します。


 最後に小石川植物園以外の風景ですが、珍しいシャクナゲ(石楠花;シャクナゲ亜属シャクナゲ節)の街路樹を見つけました。場所は千代田区二七通りの五番町交差点付近。大きな赤い花が満開になっていて通行する人やドライバーの目を惹きます。


  詳しくは
  → 季節のスケッチ(2023年4月)

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2023年3月 9日 (木)

蔵前神社でミモザと早咲き桜が満開



 毎年3月8日の国際女性デーはミモザの日とされていることから、各所で満開になったミモザのニュースがテレビで流れました。わが家の近辺でミモザの咲く場所を探してみたら、台東区の蔵前神社で満開になっているとのこと。早速、車で出かけてきました。


 東京都台東区蔵前にある藏前神社。わが家からは車で15分位の近さ。元禄6年(1693年)に将軍綱吉によって創建された。当初の神社名は石清水八幡宮だったが、1951年に改称。関東江戸結界の重要なポイントの一つになっているとも言われている。この時期、境内では早咲きサクラとミモザの花が競演しており、早朝から大勢の人出。また、御朱印を求める人が長い行列をつくっていました。


 ミモザ(mimoza;マメ科ネムノキ亜科アカシア属)。和名はギンヨウアカシア(銀葉金合歓)。オーストラリア原産の常緑高木。早春に小さな球状の山吹色の花を沢山つける。花の可愛いらしさやミモザという名の響きから近年庭木として人気がある。ただ、神社の境内にあるのは珍しい。


 ミモザの花期は1月~3月で、山吹色の花が総状に集まり、花序を構成する。樹木全体に花がつくので壮観な眺めになる。葉は銀色を帯びており、和名のギンヨウアカシアの由来となる。


 ミモザとともに狭い境内に咲き誇る早咲きサクラは蔵前桜と呼ばれていますが、カンヒザクラ系の河津桜と思われます。


 古典落語の演目の1つ「元犬」ゆかりの神社で、元犬の像が境内にある。落語では、元犬は満願叶って人間になった真っ白い犬ということになっている。


 大相撲との縁も深く、江戸時代の浮世絵師の歌川国安作の錦絵が奉納されている。江戸時代は、神社境内にて大相撲の興行が行われ、雷電などの力士が活躍したとのことで、いわば大相撲の聖地といわれている。


 詳しくは
  → 季節のスケッチ(2023年3月)

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2022年8月 7日 (日)

都心の街路樹(サルスベリ)


 都心の街路樹を観察してみると、春から夏にかけてサクラヤマボウシユリノキトチノキなどいろんな花々を見かけますが、この時期は代表的な夏の花木であるサルスベリの街路樹が目につきます。


 これは千代田区麹町の日テレ通りです。白花のサルスベリの街路樹が通りの両サイドに立ち並んでいます。


 白色のサルスベリ(百日紅;ミソハギ科)。日テレ通りの上島珈琲店の前の街路樹。


 白色のサルスベリ(百日紅;ミソハギ科)。やはり日テレ通りの小さなレストランの前の街路樹。


 赤紫色のサルスベリ(百日紅;ミソハギ科)。日テレ通りから少し離れた三番町のマンション前の街路樹。


 薄い赤紫色のサルスベリ(百日紅;ミソハギ科)。外堀通りの飯田橋駅付近のコーヒー店(CAFFE VELOCE)前の街路樹。


 やはり外堀通りの飯田橋駅付近の薄い赤紫色のサルスベリの街路樹。

 詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2022年8月)

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2022年5月 1日 (日)

各所の初夏の風景(季節のスケッチより)


 大型連休に入りました。今年はコロナ感染による外出規制が3年ぶりに解除されたということで、各地で少しづつ賑わいが戻ってきているようです。しかしながら、まだ東京で数千人の感染者が毎日出ており、最後まで油断禁物です
 さらには、2月から続くロシアによるウクライナ侵略戦争、知床半島の観光クルーズ船の沈没など、気が滅入るような出来事が相次ぎ、なかなか気持ちが穏やかになりません。

 さて、5月の初夏の季節は木々の新緑が若葉・万緑へと移り変わり、美しい緑の世界が広がります。そして、ツツジ、ウツギ、トチノキ、アヤメ、シャクヤクなどの花々も落ち着て咲き出します。各所の5月の風景(季節のスケッチ)を以下にまとめてみました。

小石川植物園


 面積は約16万㎡もの広大な緑地が東京中心部(文京区)の一角に広がっています。園内には台地、傾斜地、低地、泉水地などの地形を利用して様々な植物が配置されていて、来園者は野趣に富む山野を自由に歩き回るといった感じで四季折々の自然を楽しむことができます。

 5月セレクション 5月の風景(フォトギャラリー)
 2020.5  2019.5 2018.5


皇居東御苑

 東京丸の内・大手町に隣接する皇居東御苑は旧江戸城本丸・二の丸の跡地に広がり、庭園や芝生、雑木林などが見事に配置されています。そして季節の花木や野草を楽しむことが出来るようになっています。都心のど真ん中にあっても、都会の喧噪は全く感じられず、いつも落ち着いた雰囲気の中で散策を楽しめます。 2017.5  2014.5 2012.5


神代植物公園

 調布市の名刹深大寺のすぐ近くに広がる神代植物公園には約4,500種類、10万株の植物が植えられています。また、武蔵野の面影が残り、四季を通じて草木の姿や花の美しさを味わうことができるようになっています。 2014.5 2013.5


都心の街路樹など

 まちを美しく彩る東京の街路樹・樹木は、木々の新緑や黄葉、春~夏に咲く花々など、季節の移り変わりを知らせてくれる自然のキャンパスです。普段は何気なく見過ごしてしまいがちですが、よく観察すると新鮮な出会いに驚くことがあります。

(この時期の街路樹の花々) 2021.5
  桜田門付近:トチノキ、浅草橋:マロニエ(トチノキ)
  飯田橋:ヤマボウシ、水道橋皀角坂:サイカチ
  銀座並木通り:シナノキ、迎賓館周辺:ユリノキ
  筑波大付高キャンパス:キリ
  サンシャイン公園:タイザンボク ほか


山形の風景

 郷里の山形は風光明媚な自然に恵まれています。山形盆地に立って四方を見渡すと、東には奥羽山脈が南北に走り、船形山、蔵王連峰などの山々が連なり、西方には出羽三山(月山、湯殿山、羽黒山)などの朝日連峰に連なる山々が眺望できます。また、芭蕉の句「五月雨や集めてはやし最上川」で有名な最上川は、吾妻山系を源とし、置賜地方、山形盆地、新庄盆地、最上峡、庄内平野と県内を229km縦走して日本海に注ぐ大河です。ここでは大自然に遊び心身ともにリフレッシュすることができます。 2019.5  2017.5 2015.5


山形野草園

 山形野草園は、西蔵王高原の中に「自然との共生」を図ることをねらいとして1993年に開園され、野草、樹木あわせて約1,000種類のさまざまな植物があり、季節の野草が群生しています。山形市の市政施行100周年の記念事業の一環として整備されたものです。 2018.5


上三依水生植物園

 上三依水生植物園は日光の山地につくられ、男鹿川沿いの敷地面積約2万2千平方メートルの広大な園内に約300種、3万本の高山植物、湿生植物などが季節を彩るように咲き競っています。 2019.5


  詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2022年5月)

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2021年11月15日 (月)

丸の内行幸通り周辺の散策



 丸の内の行幸通り周辺のイチョウ(銀杏)の木々がそろそろ見頃と聞き、急ぎ和田倉門噴水公園、皇居外苑などを回ってきました。好天にも恵まれ、心地よい散歩になりました。


 皇居方面から東京駅へ続く行幸通りの両サイドの街路樹のイチョウ(銀杏)の木の黄葉が見頃になっています。奥の正面が東京駅です。


 行幸通りの和田倉交差点付近。右が皇居、左が東京駅になります。



 皇居外苑地区の一角に広がる和田倉門噴水公園の風景。虹が出る噴水やオブジェ、紅葉するケヤキ並木などが楽しめます。ケヤキ並木の後方に皇居の建物(桜田二重櫓など)が見えます。



 和田倉交差点を通る日比谷通りの街路樹。イチョウ(銀杏)とシダレヤナギ(枝垂れ柳)のダブル配置になっています。



 和田倉門噴水公園に隣接する皇居外苑に生えるハナノキ(花の木)は黄葉が進んでいました。木頂付近は紅葉が見えます。


 詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年11月)

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2021年5月28日 (金)

東京の樹木の風景(サンシャイン公園)


 東京の街路樹・樹木めぐりが続いています。今回は久しぶりにサンシャイン60ビルに隣接する小さな森のようなサンシャイン公園(東池袋中央公園)を回ってきました。


 この公園の正面入口付近に24本のラクウショウ(落羽松;ヒノキ科ヌマスギ属)が植樹されています。ラクウショウの並木は珍しく、秋には見事な紅葉の景観が見られるそうです。


 ラクウショウは北米原産の落葉針葉樹で、湿地に生育し、木元が少し水につかった状態で自生することが多く、ヌマスギ(沼杉)とも呼ばれます。葉の形状はメタセコイアによく似るが、葉のつき方はメタセコイアが対生でラクウショウは互生。



 この地は太平洋戦争の戦犯者が収容された巣鴨プリズンの跡地になっていて、公園の一隅に東京裁判の慰霊碑(平和の碑)がひっそりと置かれています。戦勝国による理不尽な裁判にかけられた人たちの無念さに思いを馳せ、手を合わせてきました。



 慰霊碑のすぐ近くに生えるタイサンボク(泰山木;モクレン科モクレン属)の高木に純白の大きな花が点々と咲いていました。一つ一つの花が崇高な魂のようにも思えます。


 詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年5月)

 

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2021年5月24日 (月)

東京の樹木の風景(靖国神社)



 千代田区九段にある靖国神社の風景です。この日は平日だったので人出は少なく、静かに境内を散策してきました。さすがに先の大戦の英霊を祀る名高い神社だけあって、境内には立派な樹木が数多く生えていました。かつて長くこの近くに住んでいたのですが、在職中ということもあってじっくりと回ったことがなく、当時は全然気がつきませんでした。


 社殿への参道の両側にはイチョウ(銀杏;イチョウ科イチョウ属)の大樹の並木になっています。秋の黄葉の景観を見に来たいと思います。



 神社の入口付近でケヤキ(欅;ニレ科ケヤキ属:上)やクスノキ(楠;クスノキ科ニッケイ属:下)の大樹が生えていました。


 神社境内で盛んに白い花が咲くサンゴジュ(珊瑚樹;レンプクソウ科ガマズミ属)の樹木を何本か見かけました。戦友会の献納により植樹されたものでした。


 サンゴジュは日本・台湾が原産で、関東地方以西~沖縄に分布する常緑高木。初夏、枝先に円錐花序を形成し、小さな白い花が多数咲く。夏~秋に実が赤く熟し、この実を海のサンゴに見立て和名がつけられた。材を燃やすと泡を吹くほど水分が多いことから、防火樹や防風樹に利用される。


 別の入口付近にタイザンボク(泰山木;モクレン科モクレン属)の高木が生えていて、白い大きな花が咲いていました。


 タイザンボクは北米原産の常緑高木で、6月頃大木の樹上に威風堂々の白い大きな花が上向きに咲きます。高所に神々しく咲く花は王者の風格があります。光沢ある常緑の緑葉と大輪の純白の花のコラボは見ごたえがあります。


 靖国神社の傍を靖国通りが通っています。この付近の街路樹はソメイヨシノ(染井吉野;バラ科サクラ属)のサクラ並木ですが、今は華やかな花期が終わり、静かに緑葉に覆われています。



 その一方で、街路樹の下方の緑の植栽を見やると、キンシバイ(金糸梅;オトギリソウ科オトギリソウ属)の多くの黄色の花が咲いていて落ち着いた美しい雰囲気を醸し出しています。

 詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年5月)

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2021年5月14日 (金)

東京の街路樹めぐり トチノキ、マロニエ、ユリノキなど


 コロナの緊急事態宣言が延長となり、5月11日を過ぎても小石川植物園の閉園が続いています。このような状況下でも自然の営みは確実に進み、木々の新緑が日に日に濃くなってきます。そこで、いままでの植物めぐりのやり方を変え、東京の街中をブラブラし、街路樹を探訪することにしました。いつも目にしているはずの街路樹ですが、思いのほか色んな発見があり、トチノキ、マロニエ、ユリノキなどの樹木の花々も見かけました。今までは単に通り過ぎていただけだったことが分かりました。

(水道橋皀角坂 ベニバナトチノキ他)

 まず最初に水道橋駅からお茶の水駅方面へ上る皀角坂(さいかちざか)に向かいました。


 街路樹として何本ものベニバナトチノキ(紅花栃の木;ムクロジ科トチノキ属)が植えられています。ちょうど満開になった大きな薄紅色の円錐状の多くの花穂が高木の樹中に垣間見えます。皀角坂以外にも、この付近一帯にがベニバナトチノキが立ち並んでいます。ベニバナトチノキは北米原産のアカバナトチノキと欧州原産のセイヨウトチノキ(マロニエ)との交配種で、わが国では街路樹に多く用いられています。


 皀角坂の坂下で、街路樹の中に満開になったセンダン(栴檀;センダン科センダン属)の高木も見かけました。木枝に淡紫色の小さな花が密集して咲いています。センダンの木は本州~沖縄に分布し、温暖な地域の海岸近くや森林辺縁に多く自生する落葉高木。


   皀角坂の名前の由来になったサイカチ(皀莢;マメ科サイカチ属)の木があるはずだと思い、近辺をあれこれ探したところ、坂上の街路樹の中に一本のサイカチの木を見つけました。


 サイカチは本州から九州の山野や川原に自生する日本固有種の落葉高木。この時期に淡黄緑色の小花を多数つき、秋にできる豆果の種子は漢方の皀角子として利尿や去痰の薬に用られる。

(浅草橋 マロニエ)

 トチノキの仲間のマロニエ(ムクロジ科トチノキ属、セイヨウトチノキとも呼ばれる)の街路樹があるということで、水道橋から浅草橋まで足を伸ばしてきました。浅草橋駅の北側周辺の福井町通りや左衛門橋通りなどの道路に多数の紅白の花を咲かせるマロニエの街路樹が植えられています。


 例年この時期はマロニエ祭りが開かれるのですが、コロナ禍の影響で昨年、今年と連続して中止になっています。ただ、祭りが中止でもトチノキに似た白い円錐状の花そのものは見ることができました。


 欧州原産の落葉高木のマロニエはヨーロッパで街路樹や公園木などに多く用いられています。同属のトチノキベニバナトチノキと比べると、葉が大きくふっくらとした感じです。


 わが国の街路樹にはベニバナトチノキが多く用いられ、マロニエの植樹の例が少ないため、浅草橋の街路樹を管理する台東区に確認したところ、間違いなくセイヨウトチノキ(マロニエ)で、平成14年~18年にかけて植樹されたとのこと。貴重な正真正銘のマロニエ並木となります。

(桜田門付近 トチノキ)

 警視庁や法務省などの官庁の建物が集まる桜田通り(桜田門付近)です。


 トチノキ(栃の木;ムクロジ科トチノキ属)の街路樹が生えていました。建物の前の立派なトチノキの大樹が満開になっていて、上向きで円錐状の白い花穂がニョキニョキと立ち並んでいました。

(迎賓館周辺 ユリノキ)

 港区元赤坂の迎賓館周辺の街路樹はユリノキ(百合の木;モクレン科ユリノキ属)で、大樹が立ち並んでいます。


 ユリノキは北米中部原産の落葉高木で、この頃(初夏)にチューリップに似た形のクリーム色の花が咲き出します。若葉が生い茂る大樹の中をよく見てみると、沢山の花が咲いていました。高所に咲き、若葉の色に似ているので、一見しただけでは気がつきません。

(九段~飯田橋 ヤマボウシ)

 ヤマボウシ(山法師;ミズキ科ミズキ属ヤマボウシ亜属)の街路樹。九段~飯田橋の富士見地区(早稲田通り)に立ち並んでいて、ちょうどこの時期(初夏)が開花期です。


 ヤマボウシは本州から九州の山地に生える落葉高木。同属のハナミズキと全体がよく似ていますが、ヤマボウシは葉がついた後に樹木の上方に上向きに咲きます。


 白花以外にも薄紅色の花も見かけました。


 詳しくは
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2021年4月 1日 (木)

久しぶりの皇居外苑、氷河期生き残りのハナノキを探して


 皇居外苑馬場先地区のお濠側の土手に氷河期の生き残りといわれるハナノキが生えているいうことを知り、早速出かけてきました。この日はハナノキのほか、満開の桜、新緑のケヤキやクスノキが対比する美しい景観が見られました。


 皇居外苑の馬場先地区は土手下の道沿いに桜の木が立ち並んでいて、多くの人がベンチに座ってのんびりと花見や日光浴を楽しんでいました


 土手の草むらにはオオキバナカタバミカラスノエンドウなど春の野の花が勢揃いです。


 北の方向を見やると、満開のサクラ、新緑のケヤキクスノキの対比が美しい景観です。パレスホテルや東京海上ビルの高層ビル群が背景になっています。


 さて、お目当てのハナノキは探すのに苦労しましたが、外苑管理事務所の方に教えていただき、ようやく木の上半分がうっすらと赤みがかった樹木がハナノキの雌株だと分かりました(左)。歩きながら眺めると単に枯葉が残っているような感じで、うっかり通り過ぎていました。



 拡大写真で見てみると紅色の雌花が枝先に多数集まって付いています。このアト熟して翼果になります。雄花が咲く雄株もあるはずですが、見当たりません。葉も花も付いていない冬木立のままのもう1本のハナノキがありましたので、その木が雄株かも知れません。


 小石川植物園にもハナノキが2本生えていますが、不思議なことに花が付く前に赤みを帯びた新葉が展開してきました。もう少し観察を続けたいと思います。


   詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2021年4月)

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