武蔵野・秩父

2022年9月 5日 (月)

秋の野にはヒガンバナ、コスモス、ソバなどの季節の花々



 9月に入りました。さすがに35度を超えるような猛暑が収まってきて、少し暑さが残っているものの朝晩は過ごしやすくなってきました。この頃になると、ヒガンバナ(彼岸花)、コスモス(秋桜)、ソバ(蕎麦)などの季節の花々が秋の野に咲き出すようにになります。

 ちょうど秋の彼岸の時期に、植物園の随所で燃える炎のように美しいヒガンバナ(彼岸花;ヒガンバナ科ヒガンバナ属)の花が満開になって咲き出します。全草有毒で、特に鱗茎にアルカロイドを多く含む有毒植物。球根植物。2003.9

 ヒガンバナは多くの呼び名があります。曼珠沙華(まんじしゃげ)の別名が最も有名ですが、サンスクリット語からきたもので天界に咲く美しい花ということです。ヒガンバナは大部分が赤花ですが、白い花も希に咲いています。2010.9

 わが国では墓地などにも植えられ、ちょうど秋の彼岸の時期に咲くことから、死人花、幽霊花などの異名が付いています。特徴的な赤いヒガンバナの花を見渡すと、本当に故人の魂が漂っているような感じがします。2008.9

 9月下旬~10月上旬、奥武蔵野の巾着田で赤い絨毯を敷き詰めたように一面に咲き広がるヒガンバナに出会うことができます。巾着田とは、日高市内を流れる高麗川の蛇行により長い年月をかけて形成され、その形が巾着の形に似ていることから、そのように呼ばれています。2010.10

 秋の風物詩のコスモス(秋桜;キク科コスモス属)。各所に咲き出す無数の花が風に舞う。熱帯アメリカ原産でメキシコからスペインに渡りコスモスと名づけられた。日本には明治20年頃に観賞用として渡来。富士五湖の一つ精進湖の辺で、富士山のシルエットを背景にコスモスの花が風にたなびいていました。一年草。2005.9

 山形県内を縦走する最上川の河原に咲くコスモスの花。中流域のここ大石田町付近は陸路と水路の接点という地の利から、かつては最上川最大の舟着場として栄えました。2015.9

 立川近辺の180haもの広大な土地に広がる昭和記念公園。奥の方に進んでいくと、「花の丘」の斜面に何千本ものコスモスの花が一面咲いていて秋風に舞っていました。その風景は見事で圧巻です。2011.10

 北海道、東北地方〜中部の高冷地などで栽培される一年草のソバ(蕎麦;タデ科ソバ属)の白い花が咲いています。山形では最近のソバ人気もあって、ソバ畑の作付けが広がっています。ソバの栽培は春播きの夏ソバと夏播きの秋ソバがあって、これは夏ソバの花になります。2005.9

 近くからソバの花を見ると、白い小さな花が塊になって密生して咲いています。山形のあちこちに蕎麦街道ができていて、山菜蕎麦やソバガキなどの山形ソバのいろんな味が堪能出来ます。2005.9

 ソバには赤い花が咲くものもあり赤ソバと呼ばれます。長野県箕輪町の「赤そばの里」ではソバの赤い花が見事に色づいています。赤ソバは、ネパール原産のソバを品種改良したもので、遊休農地活用と景観形成を兼ねて栽培しているとのこと。(この赤ソバの写真は、地元出身のI氏からいただきました。)2006.9


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2022年6月 1日 (水)

各地のアジサイ(紫陽花)の風景


 6月に入りました。2月から続いているロシアによるウクライナへの侵略戦争は一進一退の戦況が続いているようで、なかなか出口が見えません。建物やインフラの破壊、数多くの市民の虐殺、物資の略奪など目を覆いたくなるような出来事が相次いで報道されています。ロシアの早急な全面撤退を願いたいのですが。


 さて、6月は梅雨空の下で木々がしっとりとした緑に覆われる落ち着いた季節です。近所を散歩すると、軒先にアジサイの花が目立つようになります。以下、これまでの季節のスケッチから、各地のアジサイ(紫陽花)の風景をまとめてみました。

白山神社@文京区
 近所の白山神社では毎年6月に文京あじさい祭りが開かれ、大勢の人で賑わいます。この白山神社はもともと小石川植物園内に建っていましたが、徳川時代に綱吉の屋敷造営のため現在地に移ったといわれてます。


 約3千株の多様な紫陽花が、白山神社の境内から隣接する白山公園にかけて植えられています。この年も色とりどりのアジサイの花が咲き始めていました。2012.6


 多くのアジサイの花を集めた恒例の「あじさい富士」です。毎年、あじさい祭りのモニュメントとして境内に作られます。2010.6

小石川植物園
 面積は約16万㎡もの広大な緑地が東京中心部(文京区)の一角に広がっています。園内には台地、傾斜地、低地、泉水地などの地形を利用して様々な植物が配置されていて、来園者は野趣に富む山野を自由に歩き回るといった感じで四季折々の自然を楽しむことができます。


 この年の東京地方の入梅は6月10日でした。植物園内でも、随所にアジサイの花が梅雨空にしっとりと咲いています。これは日本固有種のガクアジサイ(額紫陽花)です。2009.6


 園内にはいろんなアジサイの花が咲いています。これはホンアジサイの花。観賞用には美しいアジサイですが、毒性があり摂食すると中毒を起こすので要注意。2019.6

郷土の森博物館@府中市

 郷土の森博物館は府中の自然と歴史を楽しみながら知ることのできるようになっています。約14万㎡の広大な敷地の中に、府中の自然、地形、風土を表現すべく昔の農家や町屋、歴史的な建物などが配置されています。都心からは車で甲州街道を走り、1時間ほどで到着です。


 敷地内の古い建物の前や「あじさいの小径」沿いに約1万株の赤、青、紫、白などの色とりどりのアジサイが植えられていて、毎年あじさいまつりが開催されるとのこと。6月中旬のこの時期にちょうど見頃を迎えていました。2019.6


 ホンアジサイガクアジサイヤマアジサイなどのいろんな種類の紫陽花の花々が一斉に咲き出していて、緑の木々と調和して見事な風景を醸し出していました。2019.6


皇居東御苑

 東京丸の内・大手町に隣接する皇居東御苑は旧江戸城本丸・二の丸の跡地に広がり、庭園や芝生、雑木林などが見事に配置されています。この時季にはアジサイの花が所々に咲き出しています。2013.6

浜離宮恩賜庭園

 浜離宮恩賜庭園は潮入の池と二つの鴨場をもつ江戸時代の代表的な大名庭園で、現在は都立公園として親しまれています。汐留や築地に近くアクセスが便利です。潮入の池の中のお伝い橋と中島の御茶屋の風景です。池のほとりにアジサイの花が咲いていました。2017.6

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2022年4月13日 (水)

新緑の森林公園、ヤマシャクヤクとヤマブキソウが咲き広がる



 4月中旬、武蔵丘陵森林公園までドライブしてきました。ちょうど3年前のこの季節に出会ったヤマシャクヤクとヤマブキソウが美しく咲き広がる花畑の光景が忘れられず、今回の再訪となりました。


 武蔵丘陵森林公園は、東京都心から60kmの奥武蔵連山や荒川に囲まれた恵まれた自然環境の中にあって、わが国初の国営公園として1974年7月に開設されました。面積約304haに武蔵野を代表する木々が生茂り、疎林地、広場、池沼が点在しています。この日は中央口から入園しました。


 公園内は散策路が張り巡らされていますが、あまりに広大なためうっかりすると迷子になりそうです。新緑の木々の間に紅色の花をつけたヤマツツジが所々に生えていて、新緑の風景のいいアクセントになっています。


 中央口から約15分ほど歩くと野草コースの入口に着きます。野草コースは雑木林や沼辺をめぐる一周約1kmの小道です。四季を通じて、さまざまな山野草を楽しむことができるようになっています。


 この日の野草コースのお目当てのヤマシャクヤク(山芍薬)とヤマブキソウ(山吹草)が一面に咲き広がる花畑です。別世界のような美しい光景に再会することができ、大満足です。


 花畑の斜面の土手を見ると、ヤマブキソウ(山吹草)やトキワイカリソウ(常盤錨草)が群生しています。左下方にはマムシグサ(蝮草)も見えます。

 以下、野草コースでこの日見かけた主な花々を紹介します。

 ヤマシャクヤク(山芍薬;ボタン科ボタン属)です。北海道~九州の落葉広葉樹林下などの山地帯に生え、石灰岩地を好む山野草。山地帯に生え、草本全体がシャクヤクに似ていることから和名が由来。


 ヤマブキソウ(山吹草;ケシ科ヤマブキソウ属)。本州、四国、九州に分布、山野の樹林地に群生する多年草。木本のヤマブキ(山吹;バラ科ヤマブキ属)と花の形状が酷似するが、科目が異なる。


 トキワイカリソウ(常盤錨草;メギ科イカリソウ属)。常緑多年草で落葉樹林の林床に生育する。花の形状はイカリソウに似ていて、ふわふわした白~薄い赤紫色の花を咲かせます。


 マムシグサ(蝮草;サトイモ科テンナンショウ属)。北海道から九州にかけて分布し、山地や原野の湿った林床に生える多年草。花茎は直立し、紫褐色のまだらな模様があって、この模様が和名の由来。全草に毒性あり。


 ムサシアブミ(武蔵鐙;サトイモ科テンナンショウ属)。関東以西、四国、九州、沖縄に分布し、やや湿った林下、特に海岸近くの林で多く見られる多年草。2個の長い葉柄、その先の大きな3個の小葉が特徴。花(仏炎苞)の形が鐙に似ていることから和名が由来。


 ジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索;ケシ科ケマンソウ亜科キケマン属)。関東地方以西の本州、四国、九州に分布し、川岸や低地の草原などに生える多年草。全草が白みを帯び、小型で繊細な感じを受ける。ジロボウエンゴサクは根茎をもち、スプリング・エフェメラル(春の妖精)の仲間。


 ヒトリシズカ(一人静;センリョウ科チャラン属)。北海道、本州、四国、九州に分布し、山地の林内、林縁に自生する多年草。4月~5月、茎の先に1本の穂状花序を出し、ブラシ状の小さな白い花をつけて群生する。


 ジュウニヒトエ(十二単;シソ科キランソウ属)。日本固有種で本州、四国の丘陵地の落葉樹林内や道端に生える多年草。4月~5月、淡紫色から白色の花穂が直立する。全体の姿は同属のセイヨウキランソウによく似る。

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2022年3月25日 (金)

西多摩の瑞穂町に群生するカタクリの花


 3月下旬になり、東京都ではようやくコロナ禍の緊急事態宣言が解除になりました。解除になったとはいえ、感染者数はまだ毎日数千人規模ですので用心に越したことはありません。マスクを付けながら、近郊の西多摩郡瑞穂町のカタクリの群生地までドライブしてきました。



 瑞穂町に広がる「さやま花多来里(カタクリ)の郷」では約3,000㎡の斜面の一面に20万株以上ものカタクリが群生しています。まだ全体的に4分咲きといった感じでしたが、それでも多くの可憐な赤紫色のカタクリの花が咲き並んでいました。



 カタクリ(ユリ科カタクリ属)は落葉広葉樹林の林床などに生育する球根植物です。春になると6枚の花弁が反り返った赤紫色の可憐な花が咲き出します。まるで春の陽光の下で森の妖精たちが背中の羽根を羽ばたきながら遊んでいるようにも見えます。カタクリの鱗茎(球根)は澱粉を含み、片栗粉の原料になり、若葉は食用に供されます。春の妖精の代表格。


 カタクリの群生地を回った後は、屋敷森に囲まれ、武蔵野の旧家の佇まいを残す近くの耕心館(町が運営)で昼食。耕心館の庭園では、季節ごとに花をつける140種類ほどの山野草等を楽しむことができるようになっています。この日は珍しい春の野草を多く見かけました。


 ユキワリイチゲ(雪割一華;キンポウゲ科イチリンソウ属)。本州中部以西の暖かい地域の林内に生える多年草。春の妖精の仲間。


 ミスミソウ(三角草;キンポウゲ科ミスミソウ属)。本州の中部以西の山間地に多く生育する常緑の多年草。三角形状の葉が三つに分かれているのが特徴。



 キクザキイチゲ(菊咲一華;キンポウゲ科イチリンソウ属) 。北海道~近畿地方の落葉広葉樹林の林床などに生育する多年草。菊の葉のように切れ込みが鋭いのが特徴で、菊咲一輪草とも呼ばれる。春の妖精の仲間。



 ショウジョウバカマ(猩々袴;シュロソウ科ショウジョウバカマ属)。北海道から九州までのやや湿った場所に分布し、人里近くの田んぼの畦道から高山帯の高層湿原まで生える多年草。根生葉の重なりが袴(ハカマ)に似る。春の妖精の仲間。


 キケマン(黄華鬘;ケシ科ケマンソウ亜科キケマン属)。関東から沖縄の海岸や低地に生える多年草。細長い形状の黄色の花が穂先に多く並んで咲く。全草に毒性あり。


 庭園の一角にある土蔵に豪華なひな人形が飾られていました。

 詳しくは
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2019年7月15日 (月)

狭山市稲荷山公園の北斜面に自生するヤマユリの花



 狭山市に自生するヤマユリが見頃を迎えているとのTVニュースが流れました。ちょうど翌日、梅雨が中休みになりましたので、早速ヤマユリ自生地を目指して車で出かけました。自生地を探すのに少し苦労しましたが、何とか到着。実際には見頃前の咲き始めの見事なヤマユリの花を楽しんできました。


 広大な公園の北斜面緑地がヤマユリ自生地ということです。稲荷山公園の駐車場を出て延々と歩き、いったん公園を出て住宅地に入るとようやく案内図が目に入ってきます。


 北斜面のヤマユリ自生地は連日の雨で桟道は少しぬかるんでいましたが、注意して歩けば大丈夫です。



 この北斜面の自生地には、およそ1000株ものヤマユリが自生しているそうです。この日は、咲き始めということでまだ蕾の状態のヤマユリが多かったのですが、それでも緑地のあちこちに美しく野性味たっぷりの大輪のヤマユリの花を楽しむことができました。


 この自生地の場所は、元々ツツジやカタクリの名所として知られていましたが、数年前にやぶの中で自生するヤマユリの株が見つかり、地元の住民グループが下草刈りやクズの根の除去などの活動を進めることにより、自生する株数が増えてきているとのことです。ただ、クズの根の除去(上図)などにはそれなりの費用がかかり、活動へ支援が必要だとグループの方が言っていました。


 ヤマユリの自生地の斜面を登ったところに、稲荷山公園の見晴らし台があります。


 ここから、狭山市の町並みや遠方の秩父連山を眺望することができます。また、入間川の清冽な流れも見えると書いてあるのですが、よく分かりませんでした。


 詳しくは
  …> 季節のスケッチ(2019年7月 狭山)

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2019年6月16日 (日)

府中市郷土の森博物館で1万株の紫陽花が見頃



 梅雨の晴れ間になった6月中旬の日曜日(6/16)、あじさいまつりが開催中の府中市郷土の森博物館を訪れてきました。緑豊かな広大な博物館の敷地内の各所に1万株ほどの紫陽花の花が見頃になっていて、心地よい散策を楽しむことができました。




 郷土の森博物館は府中の自然と歴史を楽しみながら知ることのできるようになっています。約14万㎡の広大な敷地の中に、府中の自然、地形、風土を表現すべく昔の農家や町屋、歴史的な建物などが配置されています。都心からは車で甲州街道を走り、1時間ほどで到着です。




 この敷地内の昔の建物の前や「あじさいの小径」沿いに約1万株の赤、青、紫、白などの色とりどりの紫陽花が植えられていて、毎年あじさいまつりが開催されるとのこと。6月中旬のこの時期にちょうど見頃を迎えていました。



 西洋アジサイ、ガクアジサイ、ヤマアジサイなどのいろんな種類の紫陽花の花々が一斉に咲き出していて、緑の木々と調和して見事な風景を醸し出していました。





 敷地内の花々は大部分が紫陽花ですが、紫陽花以外にも様々な花を見かけました。上からシモツケ(下野;バラ科シモツケ属)、ハナショウブ(花菖蒲;アヤメ科アヤメ属)、ハンゲショウ(半夏生;ドクダミ科ハンゲショウ属)、カワラナデシコ(河原撫子;ナデシコ科ナデシコ属)です。紫陽花の風景のアクセントになっていました。


  …> 季節のスケッチ(2019年6月 郷土の森)


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2019年4月20日 (土)

武蔵丘陵森林公園の新緑の木々と春の野草



 4月下旬(4/20)、武蔵野の丘陵地に広がる304haもの大きさを有する森林公園をグループで歩いてきました。この日は暑からず寒からずの好天に恵まれ、気持ちのいい新緑下の森林浴と咲き広がる春の野草を存分に楽しむことが出来ました。

(新緑の木々)

 新緑が広がる散策路沿いには、いろんな木々の花が見られました。これは落葉広葉樹のアオダモ(モクセイ科トネリコ属、別名: コバノトネリコ、アオタゴ)。沢山の白い綿のような花を付けていました。


 北海道、本州に自生するウワミズザクラ(上溝桜;バラ科サクラ属ウワミズザクラ亜属)です。小さな花が凝集したブラシのような白い花序が多数見えます。


 新緑の林の中にヤマブキ(山吹 ;バラ科ヤマブキ属)の鮮やかな黄色の花が目立ちました。ヤマブキは本州の 丘陵、山地に自生する落葉低木です。


 日本全国の山地に普通に見られるヤマツツジ(山躑躅;ツツジ節ヤマツツジ列)の赤い花を林の中の所々で見かけました。


 コナラ(小楢;ブナ科コナラ属)の美しい新緑の木立が青空に映えていました。


 樹形が整った新緑のユリノキ(百合の木;モクレン科ユリノキ属)です。

(春の野草)

 野草コースをしばらく進んでいくと、ヤマシャクヤク(山芍薬)とヤマブキソウ(山吹草)の群生地が見えてきました。無数の黄色と白色の花が咲き広がっていて、別世界の花畑のような美しさでした。


 ヤマシャクヤク(山芍薬;ボタン科ボタン属)は全国の山地帯に生える多年草で石灰岩地を好む。


 黄金色に輝くヤマブキソウ(山吹草;ケシ科ヤマブキソウ属)は、花の形が木本のヤマブキ(山吹;バラ科)によく似ていますが、科が異なります。


 初めて出会った野の花も多くありました。これは野生の多年草のシライトソウ(白糸草;ユリ科シライトソウ属)です。細長い花茎が直立し、その花茎から小さな白いブラシのような花をつけています。


 フデリンドウ(筆竜胆;リンドウ科リンドウ属)。漏斗状の青紫色の花が上向きについています。山地の林内や日当たりの良いや草地に自生します。


 川岸などの低地の草原や山地の林縁などに生える多年草のジロボウエンゴサク(次郎坊延胡索;ケシ科キケマン属)の花を見つけました。同属のエゾエンゴサクオトメエンゴサクキケマンムラサキケマンと形状が似ています。ジロボウエンゴサクは関東地方以西、四国、九州に分布します。


 北海道から九州にかけて分布し、山地や原野の湿った林床に生える多年草のマムシグサ(蝮草;サトイモ科テンナンショウ属)。花茎が直立し、紫褐色のまだらな模様があって、この模様が和名の由来。全草に毒性があり、要注意。


 ジュウニヒトエ(十二単;シソ科キランソウ属)の花があちこちに咲いていました。丘陵地の落葉樹林内や道端に生える多年草。


 スミレの仲間のツボスミレ(スミレ科スミレ属、別名はニョイスミレ)を見かけました。全体がごく小型で、長く茎を出して白い花をつけます。


 西口付近の小高い丘が無数のネモフィラ(ムラサキ科ネモフィラ属)の花が覆い尽くす美しい青い丘になっていました。ネモフィラの丘は国営ひたち海浜公園の丘が有名ですが、この地の丘も見事でした。


 上記以外にも、多くの写真をアップしています。
   …> 季節のスケッチ(2019年4月 森林公園)


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2019年2月21日 (木)

秩父の山里に咲く幻の福寿草(秩父紅)との出会い


 秩父の山里でオレンジ色に輝く福寿草(秩父紅)が満開とのニュースがTVで流れましたので、早速2/21に車を飛ばし、紅秩父との初めての出会いを果たしてきました。さらに、奥秩父の節分草の自生地が近接していましたので、紅秩父のアトに足を伸ばしてきました。

皆野町のフクジュソウ(秩父紅)

 秩父の山里の皆野町にあるムクゲ自然公園では、幻の福寿草といわれオレンジ色に輝く秩父紅(ちちぶべに)が原種の福寿草とともに山の斜面に1万本植栽されています。TVのニュース番組を見て、早速クルマで出かけてきました。都心から関越道に乗り花園インター経由で約2時間ほどで現地到着です。


 秩父紅は秩父山系に咲く紅色(輝くオレンジ色)の福寿草の総称で秩父固有種です。公園内の案内板によると、秩父紅は江戸中期以前、秩父山中の自生種あるいは移植された福寿草から突然変異で出現したものと推測されています。



 秩父紅は黄金色の福寿草と同様、何株かまとまって生息しています。オレンジ色に輝く秩父紅は幸せを呼ぶとされていますが、確かにほの暖かな感じの花が家族のように肩を寄せ合って咲き出していて、幸せな感じがあふれているかのように見えます。


 秩父紅に隣接した斜面では黄金色に輝く原種のフクジュソウ(福寿草)がやはり見頃を迎えていました。黄金色のフクジュソウはオレンジ色の秩父紅に比べ、遠くからでもよく目立ちます。斜面の枯葉のすき間から数多くの花が陽光を求めて顔を出してきたかのようです。


 フクジュソウ(キンポウゲ科フクジュソウ属)は北海道から九州にかけて分布し、山林に生育します。春の妖精(スプリング・エフェメラル)の仲間で、落葉樹がまだ冬木の状態の春の一時期だけ地上に出現し、春の陽光を独り占めします。そして落葉樹に葉が茂り始めると球根の状態で地中に戻り、翌年の春先をじっと待ちます。


小鹿野町両神地域のセツブンソウ

 秩父紅の次のお目当てはセツブンソウ(節分草;キンポウゲ科セツブンソウ属)です。皆野町からクルマを30分程走らせ、小鹿野町両神地域の節分草園(セツブンソウの自生地)まで足を伸ばしてきました。


 昨年3月に訪れた時には、ちょうど満開になった無数のセツブンソウが一面に咲き広がっていて圧巻の眺めでしたが、この日は2月下旬で少し早めです。それでも、前日の暖かさでぽつりぽつりとセツブンソウが咲き始めたところでした。


 石灰岩地を好むセツブンソウの主な自生地として、わが国では埼玉県小鹿野町両神小森、栃木県栃木市星野の里、広島県庄原市総領地域などが挙げられます。奥秩父山地に位置する小鹿野町両神地域の両神小森は石灰岩地で、2月から3月にかけて可憐な小さく白い花を咲かせるセツブンソウが山の斜面に自生しています。


 セツブンソウもカタクリ、アマナ、ユキワリイチゲ、フクジュソウなどの他のスプリング・エフェメラルの仲間と同じように、落葉した広葉樹林に春の陽光が差し込んでくるのをじっと林床の下で待ち、そしてこのように地上に出た後、精一杯に命を輝かせながらつかの間の春を謳歌します。


 これ以外にも、いろんな写真をアップしています。
   …> 季節のスケッチ(2019年2月 秩父)


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2019年1月21日 (月)

秩父路長瀞の宝登山に黄金色のロウバイの花咲く



 今年は二十四節気の大寒の頃になっても穏やかな冬晴れの日が続いています。1/21、ロウバイの花を求めて秩父路長瀞町の宝登山までドライブしてきました。宝登山山中のロウバイ園にて秩父連山を遠方に眺めながら黄金色に咲き出した花を楽しみ、その後、長瀞岩畳も回ってきました。


 標高497メートルの宝登山の山頂付近に広大なロウバイ園が広がっています。全体としてまだ咲き始めの状態ですが、部分的には5分咲きの所もありました。


 ロウバイの花の枝先には、秩父のシンボルの武甲山、鋸状の山容をした両神山などの秩父の山々が連なっていて雄大な景観です。


 眼下に長瀞町の町並みや長瀞渓流の岩畳が一望できます。


 広大な園地に約3,000本ものロウバイの木が植えられています。素心、和臘梅、満月の3種類のロウバイの花が青空の下、美しく咲き出していました。


 宝登山の登山道のコースは、主に山道を歩く関東ふれあいの道(高尾山、奥多摩、秩父、上毛三山、筑波山、九十九里浜、房総、三浦半島、丹沢などを結ぶ関東地方1都6県をぐるりと1周する総延長1,799kmの首都圏自然歩道)に含まれています。


 宝登山ロープウエイ駅から下ってすぐの所に建つ宝登山神社(本殿)を参拝してきました。宝登山神社は秩父神社、三峯神社とともに秩父三社を成します。


 宝登山神社の奥宮は宝登山山頂のロウバイ園に隣接する林地に鎮座しています。


 最後に有名な長瀞岩畳(特別天然記念物)にも立ち寄ってきました。宝登山神社から車で5分位の近さです。荒川上流にある全長6キロの長瀞渓谷の中、変成岩帯が地表に露出していて畳を敷き詰めたように見える長瀞岩畳が広がっています。


 この付近の荒川は岩畳で青く淀んだ瀞となっていて、美しい景観を楽しむことができます。また、この地から長瀞ライン下りの船が出ています。

  …> 季節のスケッチ(2019年1月 秩父長瀞)

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2018年3月10日 (土)

奥秩父の自生地に咲き広がる無数のセツブンソウ



 3月上旬、奥秩父に自生するセツブンソウが満開だということで、関越道と皆野寄居有料道路を乗り継ぎ、小鹿野町両神地域の節分草園を訪れてきました。両神小森の一角に張り巡らされた園内では、満開になった無数のセツブンソウが一面に咲き広がっていて圧巻の眺めでした。


 奥秩父山地に位置する小鹿野町両神地域の両神小森に2月から3月にかけて可憐な小さく白い花を咲かせるセツブンソウの自生地が広がっています。広葉落葉樹に囲まれたこの自生地は、節分草園として小鹿野町が管理運営に当たっています。石灰岩地を好むセツブンソウの主な自生地として、わが国では埼玉県小鹿野町両神小森、栃木県栃木市星野の里、広島県庄原市総領地域などが挙げられます。近年、セツブンソウは乱獲や自生地の環境破壊によって希少植物になっています。


 奥秩父の両神小森に咲き広がるセツブンソウ(節分草;キンポウゲ科セツブンソウ属)はちょうど満開の時期でした。落葉樹林の隙間から差し込んでくる春の陽光を受け、地上の枯葉やコケの間から可憐な小さな白い花が一斉に吹き出しているかのようで見事な眺めでした。圧巻の光景です。


 セツブンソウは春の妖精(スプリング・エフェメラル)の仲間とされています。春の妖精(スプリング・エフェメラル)と呼ばれる山野草は、春先に花を咲かせた後、夏までの間に光合成を行って地下の栄養貯蔵器官や種子に栄養分を蓄えます。そして、その後は春まで地中の地下茎や球根の姿で過ごすというライフサイクルを持ちます。


 セツブンソウもカタクリ、アマナ、ユキワリイチゲなどの他のスプリング・エフェメラルの仲間と同じように、落葉した広葉樹林に春の陽光が差し込んでくるのをじっと林床の下で待ち、そしてこのように地上に出た後、精一杯に命を輝かせながらつかの間の春を謳歌します。


 園の入口に臨時の小さなの出店があって、地元産品を販売していました。無数のセツブンソウに感動した後、黄金色のフクジュソウの鉢ポットや美味しそうなジャムなどを買い求め、そして帰途につきました。この日はいいドライブになりました。

 このほかにもいろんな写真をアップしています。
  …> 季節のスケッチ(2018年3月 奥秩父)
  …> Photo Gallery(奥秩父のセツブンソウ)


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