(深緑に覆われた小石川植物園 2019.7)
今年は早々と6月下旬に梅雨が開けました。観測史上最速とのことで、はや連日すさまじい猛暑が続いています。2月から続くロシアによるウクライナ侵攻は収まらず、一般の商業施設も無差別に爆撃するなどロシアの殺戮と破壊の蛮行は留まるところを知らないようです。早晩大きな代償を支払うことになると思います。
さて、7月に入ると木々は深緑に覆われるようになりますが、濃い緑の炎天下でユリやハス、ムクゲなどの夏の花々が目立つようになります。
ユリ(百合;ユリ科)
ユリ(百合;ユリ科ユリ属)は ユリ科ユリ属の植物を総称した名称です。北半球のアジアを中心にヨーロッパ、北アメリカなどの亜熱帯から温帯、亜寒帯にかけて広く分布し、山岳地帯を含む森林や草原に自生することが多い。鱗茎(球根)を有する多年草。茎を高く伸ばし、夏に美しい漏斗状の花を咲かせます。
狭山市稲荷山公園の北斜面緑地に約千株もの
ヤマユリ(山百合;ユリ科ユリ属)が自生しています。地元の住民グループが下草刈りやクズの根の除去などの活動を進めることにより、自生する株数が増えてきているとのこと。
2019.7@狭山市稲荷山公園
那須塩原市のスキー場ハンターマウンテン塩原のゆりパークの3万坪の広大なゲレンデには約50種400万本もの
ユリの花が生えています。訪問したのは8月でしたが、遅咲きのユリが見ごろを迎えていました。
2019.8@ハンターマウンテン塩原
以下、いろんな種類のユリを紹介します。これは夏の最も暑い時期に満開となる
ヤマユリ(山百合;ユリ科ユリ属)。北海道と北陸地方を除く近畿地方以北の山地の林縁や草地に分布する。強い香り、赤い斑点など強烈な個性を感じます。
2009.7@小石川植物園
美しい
オニユリ(鬼百合;ユリ科ユリ属)の花です。黒い斑点の大きな花は迫力があり、鬼の名が付いたのでしょう。オニユリは、大型の鱗茎をもつ多年草でいろんな薬効があります。
2007.7@小石川植物園
オニユリの変種で、黄金色の
オウゴンオニユリ(黄金鬼百合;ユリ科)です。花弁は強く反り返り、黄地に赤の斑点があります。葉の付け根にムカゴを作るのが、オウゴンオニユリの大きな特徴。元々は対馬に自生。
2011.7@小石川植物園
北海道、本州、四国、九州の山地の草原等に生育する
コオニユリ(小鬼百合;ユリ科ユリ属)が天元台高原に群生していました。コオニユリは近縁種のオニユリよりも花が小さくムカゴがつかない。
2018.8@天元台高原
カノコユリ(鹿の子百合;ユリ科ユリ属)の花も園内に咲いていました。四国・九州地方の山地に自生しています。花弁に鹿の子模様の斑点があることからこの名が由来。
2013.7@小石川植物園
クルマユリ(車百合;ユリ科ユリ属)が日光市の上三依植物園で咲いていました。北海道、本州、四国に分布し、標高の高い高地に生える。葉の付き方が車輪に似ていることから和名が由来しています。
2016.7@上三依植物園
白山神社に咲く一面のアジサイの花の中に、一輪だけ美しく紅色に咲く
ヒメユリ(姫百合;ユリ科ユリ属)の花を見つけました。「夏の野の繁みに咲ける姫百合の知らえぬ恋は苦しきものそ」という万葉の歌もあるほどのハッとした美しさです。
2004.6@白山神社
北海道、樺太、シベリア、中国北東部などに分布する多年草
エゾスカシユリ(蝦夷透百合;ユリ科ユリ属)の薄オレンジ色の美しい花。花弁の根元部分が細くなっており隙間があるのが「スカシ」の名の由来です。
2022.5@小石川植物園
東北地方~関東地方に分布する多年草
ミヤマスカシユリ(深山透百合;ユリ科ユリ属)。石灰岩地帯の岩壁に生育する。6月~7月頃、茎の上部に総状花序を出し、橙色の花が上向きに咲く。花弁の根元部分が細くなっており隙間がある。絶滅危惧IB類、日本固有種。
2021.6@小石川植物園
九州南部~南西諸島が原産の多年草
テッポウユリ(鉄砲百合;ユリ科ユリ属)。4月~6月頃、茎の頂上にラッパに似た筒状の純白の花が横向きに咲く。楕円形で長い葉をつける。沖縄では自生種が群生する。近縁種のタカサゴユリと酷似するが、やや小型で葉が太め。
2021.4@小石川植物園
台湾原産の
ヒメタカサゴユリ(姫高砂百合;ユリ科ユリ属)。タカサゴユリの高山性の多年草。
2016.7@上三依植物園
ハス、古代ハス(蓮、古代蓮;ハス科)
日曜の早朝、
ハス(蓮)の花を見ようと上野公園の不忍池に出かけてきました。果たして池の所々にかなりの数の桃色のハスの花が咲いていました。ハスの花は東の空が白む早朝に開花し、午後には閉じてしまいます。大きな楯型の葉と天を向いて咲く大きな美しい花が幻想的な美しさを醸し出します。仏教では極楽浄土を象徴する花として蓮華(れんげ)ともいいます。水中の地下茎は野菜の蓮根(れんこん)です。ハス科ハス属の水生多年草。
古典園芸植物の一つ。
2013.7@上野不忍池
行田市の天然記念物に指定されている
古代ハス(古代蓮;ハス科
ハス属、別名:行田蓮)。原始的な形態を持つ1400年~3000年前の蓮で、現代の蓮より花びらの枚数が少なく大きいのが特徴です。古代ハスとは、古えのハスの実から発芽・開花したハスのことを言います。ここ行田市の古代蓮の里一帯は、かつてたくさんの水生植物が茂る湿地帯で、このとき咲いていた蓮の実が地中深くもぐって長い眠りについていたのですが、昭和48年に近くの公共施設の造成工事で1400年以上前の地層から偶然掘り出された種が自然に発芽し池に開花しているのが発見されたそうです。
2014.7@行田古代蓮の里
ムクゲ(木槿;アオイ科)
中国原産の落葉低木の
ムクゲ(木槿;アオイ科フヨウ属)。夏の代表的な花木で観賞用に栽培され、
古典園芸植物の一つ。主に庭木や街路樹、公園などに広く植えられている。花期が長く、風雅で落ち着いた雰囲気で夏中咲き続けます。隣の韓国ではムグンフアと呼ばれ人気があり、国花になっている。
2018.7@小石川植物園
英国のウィンザー城で、ピンク色の
ムクゲの花が風に揺れていました。クラシカルな城壁によく似合います。
2002.7@英国
詳しくは
…>
季節のスケッチ(2022年7月)
最近のコメント