小石川植物園は夏の風景へ
7月に入って最初の週末、小石川植物園を散策してきました。先月から続いている梅雨もいよいよ終盤になり、九州南部では集中豪雨の被害のニュースが出ています。例年のことながら大自然の力のすさまじさを実感します。
同じ自然界でも小石川植物園では、確実に四季の営みが進行し、次第に夏の風景に変貌しつつありました。
→ 四季の植物(7月)

ネムノキ(合歓木;マメ科)の花を見つけました。今年は開花が遅れていましたが、ようやく満開になっていました。樹上に一面に咲くネムノキの花は幻想的な美しさです。夕方には、葉が眠ったように閉じてしまうのでこの名がついています。

奥の細道の行程中、芭蕉は象潟で「象潟や 雨に西施が ねぶの花」の俳句を詠んでいます。芭蕉は雨にうたれるネムノキの花に、中国春秋時代の悲劇の美女西施を思い浮かべたといわれています。

ススキノ科(旧ユリ科)の八重咲きのヤブカンゾウ(薮萓草)の花が園内随所に咲いていました。ヤブカンゾウの鮮やかなオレンジ色が緑一色の夏の風景のアクセントになっています。ノカンゾウ、ユウスゲ、キスゲ等も同じ仲間で、この時期に咲き出します。

代表的な夏の花木のキョウチクトウ(夾竹桃)の花も咲き出しました。中国原産の常緑低木キョウチクトウは炎暑の夏を延々と咲き続ます。夾竹桃の名は、葉の形状が竹に似て狭く、花が桃に似ていることからきています。

木々の緑が深くなってきました。高木のバショウ(芭蕉)の木の大きな青々とした葉がゆったりと羽ばたいていました。沖縄では、昔からバショウの木から芭蕉布を織っています。この木を見ると美しい調べの 芭蕉布の歌 を思い出します。
…> 季節のスケッチ (22年7月)
| 固定リンク
「季節・風景・植物」カテゴリの記事
- 朝晩の冷え込み続き、植物園でも木々の紅葉が始まる(2025.11.07)
- 10月中旬、キンモクセイやショウキズイセン等の季節の花々(2025.10.17)
- 10月に入った小石川植物園、ようやく秋の気配が広がる(2025.10.03)
- 9月中旬の小石川植物園、ようやく彼岸花が咲き始める(2025.09.15)
- 葛西臨海公園のヒマワリ畑(2025.08.14)
「小石川植物園」カテゴリの記事
- 朝晩の冷え込み続き、植物園でも木々の紅葉が始まる(2025.11.07)
- 10月中旬、キンモクセイやショウキズイセン等の季節の花々(2025.10.17)
- 10月に入った小石川植物園、ようやく秋の気配が広がる(2025.10.03)
- 9月中旬の小石川植物園、ようやく彼岸花が咲き始める(2025.09.15)
- 猛暑一服の7月中旬、小石川植物園は深緑の世界(2025.07.12)


コメント
さるすべりは花が咲かないのですか?
へ~~~。あの大木の並木のさるすべりの花が咲いたらすごい景観だろうなと長年想像していました。(この時期の植物園には行ったこと無いので・・・。)
それにしても、ほんとうに植物が好きなのですね。☆☆☆☆☆(星五つ)。arigato.
投稿: 奥田健造 | 2010年7月 4日 (日) 11時17分
「大木の並木のさるすべり」は、シマサルスベリの木ですが、残念ながら花が咲くのは見たことがありません。その代わり、旧東京医学校の赤い建物が建っている日本庭園のところには、数本のサルスベリがあって、満開時は見事です。
投稿: ケイマK | 2010年7月 6日 (火) 18時29分