万緑が広がる皇居東御苑の風景
5月も中旬が過ぎ、万緑が広がる中、東京丸の内・大手町に隣接する皇居東御苑を訪れてきました。東御苑は旧江戸城本丸・二の丸の跡地に広がり、庭園や芝生、雑木林などが見事に配置されています。そして四季折々の花木や野草を楽しむことが出来るようになっています。都心のど真ん中にあっても、都会の喧噪は全く感じられず、いつも落ち着いた雰囲気の中で散策を楽しめます。

ここは、東御苑の二の丸庭園です。後方の大手町の高層ビル群が庭園の風景に調和しています。この庭園の池には水生植物が生育しています。

カキツバタ(杜若;アヤメ科アヤメ属)の花が池の周りに咲いていました。カキツバタは湿生を好み、5月から6月にかけて紫系の花を咲かせます。

一方、「いずれがアヤメかカキツバタ」と言われるように、カキツバタによく似るアヤメ(菖蒲;アヤメ科アヤメ属)の花も近くに咲いていましたです。アヤメは乾いた所に育ちます。

池の中には、水生植物のアサザ(浅沙;ミズガシワ科アサザ属)の黄色の花が咲き出していました。アサザは浮葉性植物で、地下茎をのばして生長します。アサザの近くには、やはり浮葉性植物のヒメコウホネの花も咲いていました。

この季節の風物詩でもある卯の花ことウツギ(空木;ユキノシタ科ウツギ属)です。雑木林に静かに咲いていました。

庭園や雑木林が配置される二の丸から坂道を登っていくと、ゆったりとした本丸跡のスペースが広がっています。天守閣が建っていた天守台はしっかりとした石垣で作られていて、大勢の人が上っていきます。

本丸跡の一角がバラ園になっていて、いい香りが漂ってきます。これはカノコ(鹿の子)の園芸品種名が付く小振りのバラです。一つの株に何百個もの花が枝垂れている姿はゴージャスで感動的です。

ナニワノイバラ(浪速野茨;バラ科バラ属)の白い花です。生け垣などにも用いられますが、葉が普通のバラと違いますので、一見何の花か戸惑ってしまいます。

うっすらとピンク色のサンショウバラ(山椒薔薇;バラ科バラ属)。日本固有種で、富士箱根の山地に自生し、ハコネバラとも呼ばれる。

ハマナス(浜梨;バラ科バラ属)のシロバナのものを初めて見つけました。赤花のハマナスは普通に見かけます。ハマナスは北海道に多く自生。果実は生食ができて、ジャムや果実酒にも利用されます。

本丸跡のモミジ林では、木陰のベンチで一休み。爽やかな緑風が通り抜けていきます。散策路の向こうには丸の内・大手町の高層ビル群です。

モミジ林のすぐ近くにキエビネ(黄海老根;ラン科エビネ属)の花が咲いていました。キエビネは西日本に自生し、落葉樹の林床に生育する常緑の多年草です。

深紅のカルミア(ツツジ科カルミア属)の花を見つけました。カルミアの花は普通は薄ピンク色ですので、この深紅の花は驚きでした。

いろんな野の花も見つけました。これはハハコグサ(母子草;キク科ハハコグサ属)です。人里の道端などに普通に見られる野の花で、春の七草の一つ御形のこと。茎葉の若いものを食用にします。

ムラサキツメクサ(紫詰草;マメ科ジャコウソウ属)の花が群生していました。ムラサキツメクサは赤クローバーとも呼ばれ、シロツメクサよりやや背が高く、上に伸びる。

ムラサキカタバミ(紫片喰;カタバミ科カタバミ属)の花も随所に咲いていました。地下に鱗茎があり、地上には葉と花柄だけを伸ばします。

トキワツユクサ(常磐露草;ツユクサ科ムラサキツユクサ属)の3弁の白い花が大樹の根元に咲いているのを見つけました。南米原産の帰化植物で日陰や水辺に生育。ツユクサの仲間の花は青系、紫系のものが多いが、この花は珍しく白花です。

ナガミヒナゲシ(長実雛芥子;ケシ科ケシ属)のオレンジ色の花が苑内にも潜入していました。ナガミヒナゲシは帰化植物で、現在では温暖な地方の都市周辺を中心に繁殖地が広がっています。ナガミヒナゲシは他のヒナゲシと同様、アルカロイドを含んでいないので、栽培は問題ないそうです。
この他にも、万緑の苑内にはいろんな花々が咲いていました。
…> 季節のスケッチ(24年5月 皇居東御苑)
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